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唯「あずにゃん、こんなこと言わすなんて最低だよ」

梓「私はなんにも言ってませんよ」

梓「律先輩、ほんとにわかんないんですか?」

律「えっと……ん?」

唯「ねぇりっちゃん、悪ふざけはいいからさ」ガシッ

律「え、え、……梓、この人怖い」

梓「本気で言ってるんですか?」

唯「唯だよ? ねぇりっちゃん、ふざけてるだけだよね?」

律「……?」

梓(もしかしてさっきの頭痛……)

唯「あずにゃんほんとになんにもしてないんだよね?」

梓「してませんって」

唯「じゃあどうしてなの!?」

梓「そんなの知りませんよ!」

唯「ほんとは何かしたんでしょ? ねぇ、そうだって言ってよ……」

梓「……たぶんストレスで記憶がなくなった……とかだと思いますけど」

梓「嫌な記憶だけ消えた……みたいな」

唯「嘘だよ、確かに嫌なことが多かったかもしれないけど……良いことだってあったんだよ!? 私自体忘れるなんてあり得ないよ!」

梓「そんな都合よく消えるわけないです」

唯「じゃありっちゃんは私とのこと全部忘れちゃったの?」

梓「律先輩を見てるかぎりはそうですね」

唯「じゃあもしかして最初からやり直せるんじゃないの?」

梓「それはないです」

唯「なんで?」

梓「今律先輩の中では唯先輩の存在が消えただけです 私のことを好きなのは変わってないと思います」

梓「それに……忘れたなら忘れたで都合のいい人間だって、いますよね?」

唯「……最低だよ」

梓「はっきり言って、自業自得なんですよ、唯先輩」

唯「……」スクッ

梓「帰るんですか?」

唯「そうだよ」

梓「そのまま諦めてくれると私も嬉しい限りです」

唯「誰も諦めるなんて言ってないよ」

唯「あずにゃん、どうなっても知らないからね?」

ーー9月ーー

澪「律がほんとうに唯のことを忘れるとは……」

唯「酷い話だよ、全く」

紬「でもすぐ思い出すわよ あれだけ仲良しだったんだから」

唯「そうだよねー」

唯「ねぇ、りっちゃん 帰り一緒に遊びにいこうよ?」

律「あ、今日は……ごめん」

唯「用事あるの?」

律「梓のところに行くんだ」

唯「そっかー、じゃあ途中まで一緒に帰ろうよ? 私も妹に会いに行くし」

律「……」

唯「どうしたの?」

律「いや、別に いいよ、一緒に帰ろ」

ーー帰りーー

唯「りっちゃんはさー? あずにゃんのこと好き?」

律「な、なんだよ……いきなり」

唯「ねぇどうなの?」

律「す、好きだよ」

唯「毎日ちゅーしたりしてるの?」

律「そ、そんなこと聞くなよっ」

唯「りっちゃん、本当は私とりっちゃん付き合ってるんだよ?」

律「……ん?」

唯「毎日ちゅーできるのは私のはずなのに……」

唯「あずにゃんに取られちゃうなんて」

律「ど、どういうこと?」

唯「すぐ思い出すよ」

チュッ……

ーー中野家ーー

梓(律先輩遅いなぁ……まさか唯先輩になにかされてるんじゃ……)

ピーンポーン


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ガチャッ


唯「こんばんはー」

梓「……律先輩は?」

唯「りっちゃんなら私の家だよ」

梓「……なんで?」

唯「いい具合に記憶戻してくれたみたいで」

梓「そ、そんな……」

唯「りっちゃんからの伝言 ごめんってさ」

梓「う、嘘です! そんなはずないです!」

唯「本当だよ」

梓「どうせなにかしたんでしょ!? 卑怯なことを!」

唯「してないよ、なにも」

唯「さっき一回寝ただけで」

梓「っ……」

唯「あずにゃんも溜まってるんでしょ? 今なら一緒に可愛がってあげてもいいんだよ?」

梓「うるさいです……っ」


ドカッ……ドサッ……

唯「っ……もう、危ないなぁ。 地べただよ? 頭打ったらどうするの」

バシッ…バコッ……

唯「っ……あずにゃんも分からず屋さんだね……」


ドカッ……ザクッ……


梓「っ……!?」

ドサッ……

唯「大丈夫だよ、死んじゃうようなところには刺してないから」

唯「まぁそのまま居なくなってくれたほうが私はありがたいんだけど、りっちゃん悲しんじゃうもんね?」ガシッ

梓「っ……ぐっ……」

唯「だから救急車呼んであげる」

唯「その代わり私の名前出さないでね? 別に出してもいいけど、あずにゃんが先に手出してきたことをよく考えてね」

唯「それじゃ、バイバイ」

ーー9月10日 病院ーー

憂「ごめんなさい」ドゲザ

梓「ちょ、ちょっと憂」

憂「本当にごめんなさい」

梓「別に憂が悪いんじゃ……」

憂「私がもっとしっかりしてたら……」

梓「もう、憂はなにも悪くないよ。 頭あげてよ……」

憂「……」スクッ

梓「憂はなにも悪くないんだから……ね?」

憂「でも」

梓「いいの、別にもう。 こんなことしても律先輩は私のところに帰ってくる」

憂「どういうこと?」

梓「唯先輩のDV癖なんて直るわけない」

憂「……」

梓「すぐ帰ってくるよ、それを待てばいいだけだし、怪我も大たいしたことないし」

ーー9月20日 病院ーー

梓「っ……」(なんか具合悪い……)

律「……梓」

梓「り、律先輩……?」

律「ばかだよなぁ……私って……」

梓「なにか……あったんですか?」

律「……唯にさ、いっぱい殴られてきたよ」

律「私って都合いいよな……でも梓しか……頼れる人いなくて……」

梓「都合いいなんてそんな……頼ってもらえて嬉しいです」

律「ごめんな……ほんとごめん……」

梓「……謝らないでください、別にいいですから」

律「なぁ……抱き締めていいか……?」

梓「はい……抱き締めてください」

律「ありがとう……梓」ギュゥ…

梓「律先輩……」ギュゥ…

律「……あれ? 梓……熱あるのか?」

梓「ないと……思いますけど」

律「なんか体熱くないか……?」

梓「そう……でしょうか」ゲホッ

律「大丈夫か?」

梓「っっ……」ゲホッ……

律「ど、どうした? そ、それ血じゃないか……?」

梓「……」クタ……

律「お、おい梓……? 梓っ」

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ーー平沢家ーー

憂「お姉ちゃん……どうするつもりなの?」

唯「どうもしないけど?」

憂「どうもしないって……お姉ちゃんのせいなんだよ?」

唯「うん、そうだね。」

憂「悪いって……思わないの?」

唯「うん、思わないよ 正当防衛しただけだもん」

憂「……」

唯「それじゃ、私寮に戻るね」

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ーー病院ーー

律「……」

律(私がいるから……二人は喧嘩するんだよな……?)

律(私がいなかったらこんなことに……ならなかった)

律(私さえ……いなければ)

梓「……っ」

梓「……そんな……顔……しないで……」

律「あ、梓……?」

ーー9月24日ーー

梓「ご心配をおかけしました」

律「びっくりさせないでくれよ……ほんと」

梓「自分でもびっくりしちゃいました」

律「吐血って怖いな」

梓「そうですね」

律「……」

梓「……またそんな顔して」ギュゥ…

律「ごめん……」

梓「謝らなくていいです、またこうやって律先輩を抱き締められるだけで私は嬉しいです」

律「……私がいなかったらこんなことにはならなかった……よな?」

梓「そんなこと言わないでください」

律「だって……」

梓「……私はこんな怪我しても、律先輩に出会えて良かったって思ってるんですよ?」

梓「律先輩を好きになれて良かったって」

律「梓……」

梓「多少難のある人生のほうが楽しいじゃないですか」チラッ

律「……なんだよそれ」チラッ

梓「おかえりなさい、律先輩」

律「ただいま……梓」


チュッ……


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