―次の日―
唯「うほーい!和ちゃん久しぶり~♪」
和「昨日、電話で話したばかりじゃない」
唯「電話越しとナマ和ちゃんは違うよぉ」
スリスリ
和「はいはい」
澪「やあ和、元気そうだな」
律「ちょっと大人っぽくなってないか」
紬「うんうん、アダルティな感じでステキだわ」
和「そうかしら」
和「まあ来年には社会人になるんだし、そろそろ大人に見えないと困るけど」
唯「私はいつまでも子どものままでいたいよ~」
澪「幼なじみでこうも心の在り方が違うものか」
紬「ふふっ、本当ね」
律「でも唯が大人っぽくなって、もうガキみたいな事言わなくなったら
なんかショックを受けそうだな」
唯「大人ってどんな事話すの?」
澪「なんだろうね」
紬「TPP賛成とか反対とか」
唯「てぃぴぃぴぃ」
和「なんの事か分かってる?」
唯「もちろんだよ」
律「じゃあTPPってなんの略?」
唯「タイム」
紬「うん」
唯「パトロール」
澪「うん」
和「最後のPは?」
唯「……」
唯「ぱんつ」
律「それでこそ我らの唯さんだぜ!」
唯「やったー!!」
澪「偉そうにしてるが律は分かるのかTPPがなんの略か」
律「トラフィック・パシフィック・ファンタスティック」
澪「お前の頭がファンタスティックだった」
紬「ちょっとだけ合っている所がかえって残念ね」
律「だろ?」
澪「ファンタスティックはPで始まらない所がさらに残念でならないよ」
唯「環太平洋戦略的経済連携協定」
律「ハハハ!!なんだよそれ!?」
和「正解よ」
律「へぇ」
澪「唯のヤツ、知ってたのか!」
紬「唯ちゃん大人ね」
唯「ふふっ!」
和「まあいいからそろそろ出発するわよ」
唯「もっと褒めてよ!」
和「よしよし」
唯「わぁい!」
澪「子どもだ…」
澪「あれ、和」
澪「和の車って軽じゃなかったの?」
唯「めるせです!」
紬「いや、全然違うけど」
律「車種は分かんないけど普通車なことは確かだ」
和「ええ。今日は4人だけって聞いて、律だけ原付でついてくるのもなんだと思って
母さんの車借りてきたのよ」
和「どうせなら、みんな一緒に乗れる方がいいでしょう?」
律「お前、女神かよ」
唯「和ちゃんはメガネ女神オメガだよ」
和「バカにしてるの?」
唯「愛してるんだよ!」
和「よっしゃ!」
律「すげえ言葉のキャッチボール」
紬「キャッチボールで金がとれるわ」
和「それにしても今日は梓ちゃん、残念だったわね。でも山奥で新種のザリガニ探してるんじゃ仕方ないか」
唯「そうだね」
澪「とても残念だよ」
紬「本当に残念な後輩だったわ」
和「じゃあ助手席に2人、後ろに2人乗ってね」
律「助手席に2人座らせるのかよ!?」
和「ジョークよ」
澪「そ、そうか」
紬「和ちゃんジョークはどこまで本気か分からなくてスリルがあるわ」
唯「やはり幼なななじみたる私が助手席だね!」
和「勝手にすればいいわ」
唯「そんな言い方があるか!」
和「ジョークよ」
澪「じゃあ私たちは後ろに乗るか」
律「アタシ窓側!」
紬「私も!」
澪「勝手にすればいいよ」
律「そんな言い方すんな!!」
紬「そうよ、ここは『じゃあ私は両手に花だな』くらい言うべきよ」
澪「いやムギは花だけど律は草とか根っことか枝とかその類いだろ」
律「つまり野菜サラダってワケだな」
唯「え?」
澪「?」
紬「……?」
和「そうなんだ、じゃあ出発するけどまずコンビニ寄るね」
律「ごぼう!」
唯「りっちゃんもまたきちがいでした」
律「なかま!」
澪「テンションあげあげだな」
紬「ヤハーイww」
和「この流れに乗るべきか否か」
唯「和ちゃんは放送禁止用語連発するからダメ」
和「チッ」
和「●ポ!」
澪「エマージェンシーエマージェンシードン引き注意報発令ドン引き注意報発令」
紬「和ちゃん怖い」
唯「和ちゃん、向こうで何かあったの?」
和「ジョークよ」
律「なんだジョークか」
澪「てっきり本当かと思ったよ」
和「でも私が『モード反転裏コード、ザ・ビースト』って叫んだら出来るだけ遠くに逃げてね」
唯「この人、帰るまでに何回●●ポって叫ぶ気だろう」
―コンビニ―
こぽこぽ
唯「あっ、和ちゃんが淹れたてコーヒー買ってる!」
和「大きな声で発表する事でもないわ」
律「うーん、やっぱり和は大人だなあ」
和「まあ21歳だし」
澪「そりゃそうだ」
唯「私、コンビニでコーヒーなんか買ったことないよー」
紬「甘いカフェオレなんかは買うけれどね」
澪「淹れたてコーヒー美味しい?」
和「そうねえ」
和「正直そんな味の違いとか分からないけど、こういうのは雰囲気を求めて買ってるところもあるかも」
澪「雰囲気か。分からなくもないなあ」
澪「お茶買うつもりだったけど私もコーヒー買ってみようかなあ」
律「お、じゃあアタシもコンビニコーヒーデビューしてみるかな」
紬「私もそうしてみようかしら」
和「口に合わなくても責任持たないわよ?」
唯「私はいちごオレにするよ~」
律「和を乱すヤツめ」
唯「乱れる和ちゃん」
和「え?」
紬「ムラムラしてきた」
―走行する車内―
律「盗んだクルマで走り出す~♪」
律「行き先も~分からぬまま~♪」
和「盗んだ車じゃなくてウチの車よ」
律「はい」
和「でも行き先が分からないのは確かね」
唯「今日の目的はスーパー銭湯だけど…」
澪「朝からお風呂入るのもなんだかなあ」
律「風呂の前にどっか行こうぜ」
唯「賛成の反対の賛成」
紬「つまり反対なの?」
唯「間違えたかも」
澪「ややこしい事を言うんじゃないよ」
律「じゃあ運転手さん、どっか行くって方向性で」
和「それはいいけど私、この辺りの地理に疎いから
みんなで行き先決めてくれる?」
唯「あっ、じゃあ私たちの大学を和ちゃんに見せびらかすよ!」
律「おっ、いいな」
和「私は構わないけど…」
和「あなた達、休みの日まで学校に行きたいの?」
唯「行きたくないね」
律「絶対に行きたくないな」
澪「もっと考えて発言するんだ、大人ならば」
唯「むむ、大人だもんね…」
唯「なんか今日はアレだよね」
唯「大人的な場所に行きたくなってきちゃったね」
澪「いちごミルク飲みながら言われてもなあ」
唯「あっ、そういえば淹れたてコーヒーおいしい?」
律「苦い」
澪「私はシロップちょっと入れたからわりと快適」
紬「私も」
和「やっぱり微糖くらいが飲みやすいわよね」
律「アタシだけ無糖ブラックRXかよ」
和「RXって?」
紬「ガンダムの話よね」
澪「いや、たぶん仮面ライダーだ」
律「くそっ、くそっ、アタシはなんでこんな苦汁に金払ったんだ…」
澪「ハァ…そんな事だと思ってシロップ一個持ってきといたよ」
律「おお!澪しゃん!」
唯「さすがりっちゃんの恋女房だね!」
紬「うんうん!」
澪「別に嬉しくはないな…」
律「あっ、シロップ淹れたらウマイコーヒーになったぞ」
澪「良かったな」
律「澪にキスしたい気分だ」
紬「いいわよ」
澪「なんでムギがOKするんだ!?」
和「ふふ、みんな高校の頃と変わらないわね」
唯「そうかなあ。きっと和ちゃんがいるから昔に戻ってるだけだよ」
和「あら、いつもはどうなの?」
唯「もっとひどいよ」
澪「おい唯どういうことだ」
唯「私たち大学の寮で共同生活してきたじゃん」
和「そうみたいね」
唯「ということは3年もともに過ごせば、それぞれの見てはいけないシーンを見てしまうものなのです」
和「オホッ、何よそれ」
律「オホッて お前」
唯「まず澪ちゃんには驚かされたね」
澪「な、なんだよ唯…」
唯「澪ちゃんの部屋からは夜になると時々、大音量でアニメソングが聞こえてくるんだよ~」
律「ああ」
紬「澪ちゃん意外と子どもっぽい歌が好きなのよね」
澪「べ、別にいいだろっ」
和「そうね、ぶっちゃけ隠れてアニソンくらい聞いてても本当にどうでもいいわ」
唯「でも真相はアニソン大音量に紛れて…?」
澪「えっ」
和「大音量に紛れて?」
唯「やっぱりコレは朝から話す話題じゃなかったかも」
律「おいちょっと待て、え?なになに?」
紬「なに?なんなの?」
唯「あわわ、りっちゃんとムギちゃんが興味津々」
澪「ゆいぃ」
和「何よ、オナニーでもしてたの?」
唯「えっ、う、うん」
澪「」
律「」
紬「」
唯「」
和「ヨーホー、ヨーホー、海賊暮らし♪」
澪「ししし親切心なんてものはとっくに飲みほしちまったぜヨーホーッッ!!!!」
唯「ゆうかい♪はかい♪おかまいなしさ♪」
律「ヨォーホォオオオッ!!!!」
紬「どうしよう、ついていけない」
和「少し私たちの時間を巻き戻しましょう」
律「それがいい」
唯「なんか今日はアレだよね」
唯「大人的な場所に行きたくなってきちゃったね」
澪「そ、そうですね」
紬「さすが唯ちゃん、すごく自然に巻き戻したわ」
和「しかし大人的な場所と言われても、ずいぶんザックリしてるわね」
澪「まあアレだよ」
澪「何が大人かは人によって定義が違うだろうけど」
澪「せっかくなんだし車がないと行きにくい所なんてどうかな」
澪「郊外にある大型ショッピングモールとか」
澪「子供同士じゃなかなか行けない場所さ」
澪「そうそう、海を見に行くなんてのもいいかもな」
澪「海水浴の季節ではないけど」
澪「海の見えるレストランでランチなんて素敵だと思うぞ」
紬「オナニーポエマーにはピッタリよね」
澪「ボッ???」
最終更新:2013年11月12日 03:04