――私、純ちゃんの事が大好きだよ。
――ありがと、私も憂の事大好きだよ。私の大事な女房役だもんね。
――えへへ、嬉しいな。でもね、そうじゃないんだ、純ちゃん。
――そうじゃないって?
――私ね、純ちゃん、役じゃなくて本当の意味で純ちゃんの女房……お嫁さんになりたいの。
――憂が本当の意味で私のお嫁さん……って、ええっ?
――うん、そうなの。私、純ちゃんの恋人になりたいんだ。
♯
「う、憂……」
「えへへ、純ちゃん、大好き」
純ちゃんのお部屋、私と純ちゃんは二人でくっついています。
三ヶ月前、とっても勇気を出した私の告白に、純ちゃんは頷いてくれました。
――よーし! だったら今日から憂は私のお嫁さんだからね!
顔中真っ赤にして、だけど優しくはにかんで、私を抱きしめてくれました。
その時の事は今でもはっきりと思い出せます。
大好きな純ちゃんに私の気持ちが届けられた。
純ちゃんが私の気持ちに応えてくれた。
まるで夢でも見てるみたいな気分です。
だけど夢じゃなくて、純ちゃんは現実に私の腕の中に居てくれて、それが私をとっても幸せにしてくれます。
私、今とっても幸せです!
幸せなんですけど、でも……。
「く……、くすぐったくない?」
純ちゃんが私の中で遠慮がちに呟きます。
明るくて楽しくて優しい純ちゃんがすごく自信なさそうに。
「くすぐったいけどそれが幸せだよ、純ちゃん」
私は純ちゃんに笑いかけます。
お世辞でも何でもなく、私の素直な気持ちをそのまま伝えます。
それならいいんだけどね……、って純ちゃんが消え入りそうな小さな声で呟きました。
笑顔は少しだけ戻っていましたが、やっぱりまだ不安そうです。
こんなやりとりをするのはこれでもう何回目でしょうか?
私の方から初めて抱きついた時にも純ちゃんは同じ様な事を口にしました。
私やお姉ちゃんと違って、誰かとくっつくのに慣れてないのかな?
最初はそう思っていましたが、何度も抱きつく内にそうじゃない事に私は気付きました。
一度、純ちゃんの腕の中で目蓋を閉じてみた事があります。
一緒に遊園地で遊んだ帰り、あんまり幸せだった私は純ちゃんに正面から抱きつきました。
純ちゃんも優しく私を抱きしめてくれました。
二人で見つめ合って、瞳を合わせて、胸の高鳴りを感じながら。
私は目蓋を閉じて唇を突き出しました。
今こそ純ちゃんとファーストキスを交わす一番いい時間だと思いました。
あの時に純ちゃんとキス出来ていたら、私はきっと嬉しくて泣いてしまっていたと思います。
だけど。
一分経っても、二分経っても、五分以上経っても、
純ちゃんの唇が私の唇に重なる事はありませんでした。
何か失敗しちゃったのかな……?
不安に思いながら薄目を開けてみた瞬間、私の胸は強く痛みました。
純ちゃんがとても悲しそうな顔をしていたからです。
私を優しく抱きしめてくれているのに、顔だけ不安いっぱいで、悲しそうで。
純ちゃんの顔をそうさせているのが私なんだと思うと、別の意味で泣きたくなってしまいました。
その日は結局ぎこちない雰囲気のまま帰宅する事になりました。
――ねえねえ、憂、来週はどこに遊びに行く?
不安を抱えたまま登校した翌日、純ちゃんが明るく言ってくれたのが救いでした。
前日の悲しそうな顔が嘘みたいな明るい純ちゃん。
私が惹かれたきっかけでもある眩しい笑顔。
それからは授業の時も、部活の時も、純ちゃんは笑顔を崩しませんでした。
私に優しい表情を見せてくれていました。
だから私はあの時の事は何かの間違いだったのだと思い込もうとしました。
遊園地で思い切り遊んでいたから、二人とも髪型とかがぐしゃぐしゃだった。
そんな状態でファーストキスを交わすのは嫌だった。
無理矢理かもしれませんが、あの時の事はそう解釈しようと思ったんです。
そうしなければ私だって不安で耐えられそうもありませんでした。
それから二回ほど、純ちゃんにファーストキスをねだりました。
目蓋を閉じて、唇を突き出して、勿論外見もしっかり整えて。
それでも純ちゃんは私と唇を重ねてはくれませんでした。
悲しそうな顔で「ちょっと調子が悪くて」って言うばかりでした。
純ちゃんは私の事が嫌いになったの?
私をお嫁さんにしたのを後悔してるの?
そう考えてしまう自分が嫌で、枕を涙で濡らしてしまった事もたくさんありました。
明るくて優しい純ちゃん。
私をお嫁さんにしてくれると言ってくれた純ちゃん。
私を幸せにしてくれた純ちゃん。
キスをしてくれない純ちゃん。
悲しそうな表情を浮かべる純ちゃん。
たくさんの純ちゃんが私の頭の中をぐるぐる回ります。
どうしたらいいのか悩んで、考えて考えて、純ちゃんの事を想い続けて。
そうして私は一つの決心をしました。
今日はその決心を持って、純ちゃんの部屋にお邪魔しています。
「ねえ、純ちゃん」
後ろから純ちゃんの肩を抱きしめます。
ふわふわした大好きな純ちゃんの髪に勇気を貰いながら、私の決心を伝えていきます。
初めて私から伝えるおねだりの言葉を。
「どうしたの、憂?」
「私、純ちゃんと……」
「私と?」
「ファーストキス……したいな」
「うっ……」
また純ちゃんが悲しそうな表情を浮かべます。
私とキスするのがそんなに悲しいの?
思わずそう訊ねてしまいそうになりましたが、どうにかその言葉を呑み込みます。
私も分かっているんです。
純ちゃんはそんな子じゃないんだって。
純ちゃんはいつだって私の事を大切にしてくれますし、本当に嫌ならちゃんと断ってくれる子なんです。
勉強とかはともかく、友達の前ではその場しのぎの嘘なんて言ったりしない。
少なくとも私の好きな純ちゃんはそういう子でした。
だから私は言葉を続けます。
答えを聞くのが怖くて胸が鼓動しても、私の大好きな純ちゃんを信じて。
「私とキスしたくないの、純ちゃん?」
「そっ、そうじゃないって!
私だって憂とファーストキスしたいよっ?
で、でも……、でもね……っ?
憂は……、憂はさ……」
純ちゃんの言葉が止まります。
その表情はやっぱり悲しそうで寂しそうで、私の胸が強くズキズキし始めました。
だけど私はこぼれそうな涙をどうにか堪えます。
泣いちゃうのは後でも出来る事ですし、今泣いちゃったらもっと辛くなるだけだと思いましたから。
「私が……、何なの、純ちゃん?」
「憂は……さ……」
「うん……」
「私がファーストキスの相手でいいのかなって……」
「どうして……?
私が純ちゃんとキスしたいって言ってるんだよ?」
「唯先輩とキスしたいんじゃ……って」
今にも泣き出しそうな表情で、純ちゃんが私から目を逸らします。
やっぱり……、やっぱりそうだったんだ、と私は思いました。
純ちゃんは私の事を大切にしてくれます。
私の想いを尊重してくれます。
高校生に上がって純ちゃんと仲良くなれてから、私はずっとそれを感じていました。
実を言うと私も気付いていました。
お姉ちゃんべったりな私を変だと思うクラスメイトが多い事に。
幸いそれで嫌がらせをするような子は居ませんでしたが、変わってると思われているのは間違いないみたいでした。
私はそれでも構いませんでした。
ちょっと変でも私がお姉ちゃんを大切だと思ってるのは確かですし、実際にもお姉ちゃんの傍に居られるのが幸せでしたから。
私が変わってると思われる事くらい何でもありませんでした。
だけど純ちゃんは言ってくれたんです。
「それでいいんじゃない?」って。
「お姉ちゃんを大事に想ってる事が悪いわけないよ」って。
私を見守ってくれる優しい表情で、ちょっと照れたみたいな眩しい笑顔で。
その時に気付いたんだと思います。
私は純ちゃんの事が大好きなんだって。
それは私と純ちゃんの大切な思い出です。
だけどそれが純ちゃんの迷いになってもしまったんだと思います。
純ちゃんはお姉ちゃんの事が大好きな私を、それでいいんだって思ってくれてます。
そのままの私でいいんだって言ってくれています。
だからこそ私が告白した時、いいえ、私と付き合うようになってからも迷っていたのかもしれません。
私が好きな人をお姉ちゃんだと知りながら、私と付き合うという矛盾に。
どちらも私の想いを尊重してくれているからこそ陥ってしまう、そんな矛盾。
その矛盾の原因は勿論私にありました。
言葉が足りないのもあったでしょう。
お姉ちゃんの話ばかり嬉しそうにしていたからでもあるかもしれません。
私は純ちゃんの優しさに甘え過ぎていたんだと思います。
もうきっと言葉だけでは純ちゃんの迷いを払ってあげられない。
そんな気がします。
だけどそんな堂々巡りを続けているわけにはいきませんでした。
私が辛いのも確かですけど、それよりもこれ以上純ちゃんを迷わせたくありませんから。
純ちゃんには心の底から眩しい笑顔を浮かべていてほしいですから。
私は、今日そのための決心をして、純ちゃんの部屋に来たんです。
「ねえ、純ちゃん、見てくれる?」
純ちゃんから身体を離して距離を取って、震える喉から言葉を振り絞ります。
「見る……、って何を?」
純ちゃんはまだ私から目を逸らしています。
だけど今はその方が都合がいいかも。
純ちゃんが目を逸らしている内に、私は準備を進めました。
ある程度準備が整ってから、私はもう一度純ちゃんに申し出ます。
「いいから見てほしいな」
「う……、うん……って、ええっ?」
純ちゃんが驚きの声を上げます。
それはそうかもしれません。
何故なら私がシャツをはだけておっぱいを露わにして、スカートをたくし上げていたんですから。
ブラジャーはこの時のために今日は着けて来ませんでした。
顔が火が出そうなほど熱いですし、全身も痙攣してるみたいに震えが止まりません。
おかしな事をしちゃってるって自覚もあります。
だけどこれがきっと私と純ちゃんが分かり合うために必要な事でした。
「な、何やってんの、憂っ?」
「え、えへへ、純ちゃんに……見てほしくて……」
「み、見るって……」
「よく見て、純ちゃん、私の下着」
「し、下着……?」
「すっごく濡れてるよね?」
「……っ!」
私の言葉に純ちゃんも首筋まで真っ赤になりました。
その可愛いツインテールが小刻みに震えています。
恥ずかしさに耐え切れなくなったのか純ちゃんが目を逸らそうとした瞬間、私は少しだけ声を強くしました。
「駄目だよ、純ちゃん」
「うっ……」
「ちゃんと見てほしいんだ。
これがね、私の純ちゃんへの正直な気持ちなんだ」
「憂の正直な気持ち……?」
「うん、私ね、純ちゃんの思う通りお姉ちゃんの事が好きだよ。
すっごく大好き!
大人になってもずっとずっと一緒に居たいくらい!
私の中のお姉ちゃんの存在はそれくらい大きいんだ。
でもね、私がこうなっちゃうのは純ちゃんだけなの。
こんなに女の子の場所がぐしょぐしょになっちゃうのは、純ちゃんの事を考えた時だけなんだよ?」
純ちゃんの唾を飲む音が聞こえます。
私も釣られて唾を飲み込みます。
純ちゃんに見られているって事実が、純ちゃんに見せてるって現実が一層私の女の子を濡らします。
それだけでもう蕩けちゃいそう……。
だけどまだ蕩けている場合ではありませんでした。
私は小さく深呼吸してから、次は純ちゃんの視線をおっぱいに誘導します。
「ほら、純ちゃん、私のおっぱいが見えるでしょ?」
「う、うん……」
「乳首の先がどうなってるか分かる……?」
「すっごく……尖ってるね……」
「うん……、これも純ちゃんの事を考えてるからなんだよ?」
「私……の……?」
「すっごく恥ずかしいけど、告白しちゃうね……?
私、純ちゃんのお嫁さんになれてから、純ちゃんの事を考えて自分で触るようになってたの。
おっぱいも、女の子の場所も、それ以外にも色んな所をね。
純ちゃんに触られたいなって思いながら、ずっと触ってたんだよ……?」
言いながら、実演するみたいに自分の乳首を弾いてみせます。
普段なんて比較出来ないくらいの刺激が全身に奔りました。
「んあ……っ!」
思わず声が漏れてしまいます。
ああ……、もっと見て、純ちゃん……。
私の心の声が届いたのか、純ちゃんは髪を揺らして、
私のおっぱいを、私の顔を、私の女の子を食い入るように見てくれています。
純ちゃんが見てくれているのが嬉しくて、私はおっぱいを触る方と逆の手を下着の中に滑り込ませました。
それだけで、ちゅくっ、と大きな水音が響きました。
「純ちゃん、純ちゃん、純ちゃん……っ!」
いつもしてるみたいに純ちゃんの名前を呼びながら女の子を弄ります。
その度に激しい水音が響いて、純ちゃんの部屋の布団を濡らしてしまいます。
下着全体が私のエッチな液で下半身に貼り付くのを感じました。
このまま触ってたらもうすぐイッちゃう……。
そう感じた瞬間、私はどうにか自分の指の動きを止めました。
純ちゃんに見られて絶頂に至っちゃう。
今日はそんな事のために決心したわけではありません。
純ちゃんに本当の気持ちを伝えるために、私はここに来たんですから。
「ほら、純ちゃん」
ぽーっと私の自慰に見惚れていた純ちゃんの腕を取ります。
まさか急に触られるとは思ってなかったみたいで、純ちゃんは素っ頓狂な声を上げました。
「ふえっ?
ど……、どうしたのよ憂っ?」
「純ちゃんにも触ってほしい」
「さ、触ってって言われても……、わた……私、あの……っ!」
悪いとは思いましたが、純ちゃんの言葉を無視してその腕を私の女の子の場所に導きます。
下着の間に滑り込ませた純ちゃんの手のひらの感触。
純ちゃんの手のひらが私の女の子を触ってくれている。
まるで夢のようで、それだけで私は幸せでイッてしまいそうでした。
「んんっ……、ど、どう、純ちゃん……?」
「すっごく熱い……、熱いよ、憂……!」
「えへっ、嬉しい……、ああンっ!
これはね、純ちゃんの事を……んんっ、想っての熱さなんだよ……?」
「本当に……、本当に私の事を想って……?」
「うん……っ、うん、そうだよ、純ちゃんっ!
あああああっ、私、純ちゃんの事が好きっ! 純ちゃんの事が大好きなのっ!
純ちゃんともっとこんな事がしたいのっ、ああっ、あんっ!
純ちゃんとだけ繋がりたい、お嫁さんになりたいっ、キスしたいのっ……!」
「憂っ!」
瞬間、純ちゃんが勢いよく私の唇を奪ってくれました。
ううん、それは唇だけじゃなくて激しく舌まで絡めて、燃え上がるような情熱的なキスで。
私達の激しいファーストキス……!
ああ……、ずっと求めていた純ちゃんとのキスだあ……!
そう思った瞬間に私は耐えられなくなりました。
キスをしながら激しく女の子を触ってくれている純ちゃんの姿に、全身が昂ぶっていきます。
少しだけ唇が離れた瞬間、私は思いの丈を純ちゃんにどうにか伝えます。
「イク……、イッちゃう……っ!
純ちゃんでイッちゃうううううっ!」
「ごめん、ごめんね、憂……!
これまでずっと待たせちゃってごめんね……っ!
イッて! 私でイッて!
私だって憂とキスしたい、繋がりたい、セックスしたいからああああっ!」
「う、嬉しい……! ひんっ!
嬉しいよおっ、純ちゃああああああんっ!」
「憂いいいいいいっ!」
嬌声と一緒に痙攣する私の全身。
だけどその嬌声は純ちゃんの唇と舌で止められてしまいました。
純ちゃんは私への想いを伝えてくれるつもりだったんでしょう。
お詫びのつもりもあったんでしょう。
でもそれは私の身体を余計に敏感にさせるだけでした。
絶頂に至っている時に口を塞がれると、快感が身体の中から逃げ場がなくなる。
そんな事を私は初めて知りました。
足りないよ、純ちゃん……。
もっともっと純ちゃんが欲しくなっちゃった……。
最終更新:2013年12月21日 09:57