ワーワーワーワーワー

澪「……凄い人だな」

律「軽く学祭の時と同じくらいはいるな」

唯「あ、歌詞日本語のままだけどわかるかな?」

梓「在日米軍っすから。日本語は多少はわかりますよ」

梓「それにわかんなくたって雰囲気で楽しめるでしょ」

律「あたしらが洋楽聞くのの逆か」

紬「そうなるわね」

ワーワーワーワーワー

梓「っと、そろそろ出番っすね」

律「おっし、みんないくぞぉーっ!」

全員「おーーっ!!」

ワーワーワーワーワー

唯「どうも、放課後ティータイムですっ!」

ヒューヒュー oh cool girl!! yeaaahhh!!

澪「凄い……人……外人……」

律「(まずい、澪が緊張しかかってるな)」

唯「えっと、わたしたちがここのステージに立ってるのは、あずにゃんが……あ、あずにゃんって言うのは」

梓「(唯センパイ!曲紹介行ってください!)」

唯「あ、えっと!それでは最初の曲行きます!」

唯「Go!Go!Maniac!」

律「終わってみたら、大盛況だったな」

澪「外人……盛り上がって……」ブルブル

律「盛り上がりすぎて澪が未だに震えてるけど」

紬「りっちゃーん。ピザ買ってきたわよー」

律「おお、サンキュ」

律「ってでかいなオイ!」

紬「アメリカンサイズだからね?」

唯「りっちゃんりっちゃん!こんなワッペン売ってたよ!」タタタッ

律「おー!フェリックスのワッペンじゃん!」

唯「ギー太のカバーに付けるんだー♪」

紬「あ、そろそろ梓くんのステージ始まったわよ」


♪?

澪「うん、なんと言うか」

紬「凄いわね」

律「これ本当にアマチュアなのか?」

唯「あのあずにゃんが付いていってるのに精一杯だよ……」

かえり!

梓「そんじゃ、皆さんお疲れさんでした」

律「おー!お疲れー!」

唯「あずにゃん!一緒にかえろ!」

梓「あ、俺少し野暮用がありますんで、先帰っててください」

澪「野暮用?」

梓「……大したことじゃないっすから。ほら、シャトルバス行っちゃいますってば!」

紬「怪しい……」

梓「怪しくないっすから!」アセッ

唯「あずにゃん!本当はやっぱりお薬とか」

梓「違いますってば!」

少佐『よう、賑やかだな。アズサ』

梓「げ、メイジャー」

少佐『ほら、今日の駄賃だぜ』ヒョイ

梓「あ、ああ。サンキュー」

少佐『じゃ、親父さんに宜しく言っといてくれよ。暫くしたらそっちにも顔出すってさ』

梓『わ、わかったよ』

スタスタスタ

澪「……これを隠したかったのか」

梓「……はい」

律「これなんだ?ギター?」

梓「……見ます?」

澪「いいのか?」

梓「どうせばれたようなもんですから」

シュルル

唯「あ、これって……」

梓「そうっすよ」

梓「レスポール・スタンダードの59年型ティーバースト。80年代に再生産された品っすけどね」

梓「早い話がギー太の兄弟機っス」

梓「あの少佐がこいつ売るって言うから、それなら俺がもらうって話しになって」

紬「でもなんでまた、梓くんはムスタングがあるのに」

梓「……来週、憂の誕生日ですから」

梓「ギター教えるとき、いつも俺のムスタングやギー太使うわけにもいかないし。それならギターをプレゼントしようかなって」

梓「それでどうしようかって思ったときにギター譲り受けるって話になったんですよ」

律「で、なんで秘密にしてたんだ?」

梓「一番秘密にしておいて欲しい唯センパイが、いっちばん口軽そうなんで」

澪「ああ」

紬「なるほどね」

律「それなら理解できるな」

梓「でしょ」

唯「ひどっ!」


ある土曜日

アイタカッタゾ ガンダムゥゥゥゥ!! フラッグ!?

梓「……そろそろ終わるな、この再放送も」

梓「またギターでもいじるかね……えっとウォークマンウォークマン……」ガサガサ

梓「あれ?ウォークマン無いな……」ガサガサ

ウチオトッセッナーイ

梓「部室に忘れてきたのかな……没収されるのもやだし、取りに行くか」


学校

梓「あれ?」

♪〜

梓「誰かギター弾いてるな」

梓「ジャズ研の連中かねえ」トットットッ

♪〜

梓「と思ったら、音の出処ウチの部室か」

ガチャ

唯「あれ?あずにゃん。どうしたの?」

梓「そりゃこっちのセリフですよ」

梓「なんで休日に一人で部室でギター弾いてるんですか?」

唯「あ、これ?」

唯「自主練自主練」ニヒヒ

唯「もしかしてこれ、あずにゃんの?」ヒョイッ

梓「あ、俺のウォークマン」

唯「そうか、じゃあこれを取りに来たんだね〜」

梓「そうですよ……」

♪〜

梓「しっかし、唯センパイもなんでここでわざわざ?」

唯「ん〜、家だとやっぱりおっきな音出せないからね」ギャーン

唯「それにアンプはここにしか無いから、ここで練習するのが一番かなーって」ギャギャーン

唯「そろそろ先輩として頼られたいからね、わたしも!」フンス

梓「……」

梓「って言ってもあと一年しか無いでしょ」

唯「ああん、それ言っちゃダメだってばぁぁ……」

♪〜

梓「(でも、まあ、凄い上達してってるよな。この人は)」

梓「(始めて二年目でここまで上手くなるのも凄いかもな)」

唯「ふひー……ちかれたぁ……」

梓「お茶淹れますか?」

唯「え?いいの?」

梓「いいっすよ。ムギセンパイほどの腕は期待しないほうがいいですけど」


始業式の日

憂「おはよ!純ちゃん、梓くん!」

梓「」ゲッソリ

純「」ゲッソリ

憂「二人ともどうしたの?」

梓「むっちゃ眠い……」

純「梓は昨日何してた?」

梓「全然寝れなくて、三時までワンセグ見てた……」

純「あたしも寝付けなくて昔のマンガ読み返してたわ……」

憂「二人とも春休み中に夜更かし癖つけるからだよっ!」メッ!


純「そいやさ、軽音部がアメリカ軍の基地でライブしたってホント?」

梓「本当だよ」

梓「最初はアメリカ人に伝わるように、演奏曲の歌詞全部英語にしようって話になったんだけどさ」

梓「訳が間に合わないのと、ボーカル二人の口が回らないので、日本語で演っちゃったんだよ。結局」

梓「それでも凄いウケてたからいいんだけど……」

憂「日本人が英語の歌聞くような感じなんだろうね」

梓「だろうな」

純「で、そこで貰ったギターを憂の誕生日プレゼントに送ったんでしょ?」

憂「うん!」

梓「おい鈴木っ!なんでそれをっ!」

純「憂経由で全部聞かせてもらいました♪」

梓「…………やっぱりか」

憂「ほら、これ!ギー子!」ピッピッ

純「唯センパイのヤツの兄弟機なんだっけ?」

梓「そうだけどさ。ってかそんな名前つけたのかよ……」

憂「付けたのはお姉ちゃんです!」フンス

梓「(安直すぎるネーミングだと思ったら、やっぱあの人の命名かよ)」

憂「でもギー子が来てから一人でも練習できるようになったし、お姉ちゃんとセッションもできるようになったんだよ!」

憂「ほんとにありがとう!梓くん!」

梓「」カアアアアア

純「(あ。梓がオーバーヒートしてる)」


ワーワーワー

純「クラス替えどうなってるのかな?」

憂「また三人一緒のクラスがいいよね」

梓「(どうだか。去年澪センパイだけ別のクラスだったなんてこともあったみたいだし)」

梓「(俺だけ別のクラスになってたりしてな)」

梓「(それだとホッとする反面、哀しいけどな……)」

純「あっ!2組、鈴木純平沢憂中野梓、全部揃ってるよ!」

憂「やったね!また一緒だよ梓くん!」ギュー

梓「いやそうだけど抱きつくな!抱きつくな!」カアアアアア

梓「(この姉妹の抱きつき癖はどうにかならんのかっ!)」

純「(面白そうだからもうちょっと見ていよう)」ニコニコ

♪〜〜

唯「…………スゥ」

ギャンギャンギャンギャンギャンーーーーーン!!

唯「…………」

唯「うん!」

ガチャ

和「ちょっとお邪魔していいかしら」

唯「あ!和ちゃん!」

和「今の演奏、唯の?」

唯「うん、そうだよ」

和「随分上手になったんじゃない?」

唯「そうかなぁ?あんまり実感わかないんだけど」

和「ところで、新歓の件で来たんだけど……他のみんなはどこ?」

唯「ムギちゃんは日直だよ、あとのみんなはあそこにいるんだけどね……」

律澪梓「」グー……

唯「みんなここ来てからあんな感じで寝ちゃってて」

和「……まさか休みボケが澪や梓くんにまで広がってるなんて、思ってもなかったわ」

梓「……新歓ライブ前の大事な時期だというのに」

律「十分かそこら軽く休むつもりが」

澪「まさか夕方まで寝てしまうとは……」

紬「普段は唯ちゃんが寝てるんだけど、今回は逆になっちゃったわね」

唯「だね」

澪「……仕方ないから、今からでも演るか?」

律「……だな」

梓「明日朝練しますか?」

紬「そうしましょう。みんなが起きられるなら」

梓「う」ザクッ

唯「それなら目覚ましセットしなおしとかなきゃ……」

律「じゃ、ホッチキスから行くぞー」

律「ワンツースリーフォー!」


新歓当日 講堂

ワーワーワーワー

唯「どうも!軽音部です!」

梓「毎度毎度思うんですが、律センパイ」

律「なんだ?梓」

梓「MCって本来部長がやるべきなんじゃないですかね?」

律「……あたし大勢の前で話すの苦手なんだよね。澪ほどじゃないけど」

梓「ああ、そうだったんですか」

唯「それじゃあ聞いてください!」

唯「私の恋はホッチキス!」

♪??

梓「(唯センパイのギター、俺が思ってたより随分上達してる……)」

梓「(ところどころで俺の即興に返してくれてるし……)」

梓「(澪センパイも、律センパイも、麦センパイも)」

梓「(俺の即興弾きしそうなところで待ってくれて、応えてくれてる)」

梓「(これって、俺が軽音部に馴染んだってことなのかな)」

「ららまたあしたー♪」

♪??

ワーワーワーワーワーワーワーワー


唯「あんだけ盛り上がったのに」

律「入部希望者こないなー」

澪「何か……いけなかったのかな?」

梓「さあ」

梓「(俺らの演奏の息が合いすぎてたのを遠慮したとか?)」

梓「(……んなわけないか)」

紬「お茶が入ったわよー」

唯「待ってました!」

澪「しかし、私たち卒業したら軽音部って梓一人になるんじゃないか?」

梓「っすね」ズズー

紬「大丈夫?」

梓「まあ、なんとかしますよ」

梓「センパイらだって、部員ゼロ人から始めたって言うじゃないスか」

澪「あれはかなり運が良かったからな……」

紬「そうね……最初から軽音部を目指してたのって、律ちゃんだけだったし」

律「澪は文芸部で、ムギは合唱部希望だったもんな」

梓「え?唯センパイは?」

律「ああ、唯はニートしてた」

唯「確かにそうだからってあんまりだよりっちゃん!!」

梓「(まあ、最悪憂を引っ張ってきて、一人埋めるという手もあるからな)」

梓「部室の片付け、っすか?」

律「そうなんだよ、梓ぁ」ゴソゴソ

澪「三年間も使ってるとどうしても物が溜まるからな」

澪「これを機に片付けろ。ってさわ子先生に言われて」ゴソゴソ

紬「梓くんも自分の私物があったら持ち帰ってね」ゴソゴソ

梓「いぇっさ」

梓「って、なんだかこの界隈に私物が集中してるような……」

唯「あずにゃああん、これ全部持って帰るとか無理だよおおお」ポロポロ

梓「……手伝いませんからね。俺は」


梓「……だんだん昔の部員の残したものが混じってきましたね」

律「見ろ!漱石落ちてたぞ漱石!」ヒラヒラ

澪「動物占いって、懐かしいなぁ……」パラパラ

唯「見て!扇風機置いてある!」バンバン

紬「賞味期限は平成14年8月22日……なんかすごい濁ってるわね。この午後ティー」ジイイイ

梓「カオスさを増すなぁ……」ゴソゴソ

梓「(ん?これって……)」ゴソゴソ

梓「(ポータブルのレコードプレイヤー?)」

梓「(……欲しいけど、これ誰のだかわからないからな……)」

唯「わ!ギター出てきた!」

梓「え?」

さわ子「あら?どうしたの?」

澪「先生、掃除中に古いギターが出てきて……」

さわ子「あら、懐かしいわね。これ私が使ってたやつよ」

梓「そうなんスか?元軽音部とは聞いてましたが」

梓「(ついでにデーモン閣下顔負けのデスメタルバンドの首魁とも聞いてましたが)」

さわ子「そうよ。こっちは貰い物で、あんまり使ってなかったけど」

澪「じゃあ、これ持って帰りますか?」

さわ子「ええ、それじゃ……」

さわ子「(と言っても使わないだろうし、あとで楽器屋に売りに出そうかしら……)」

梓「あ、すいません。他にも色々使えそうな昔のセンパイの私物出てきてるんですけど」

さわ子「ああ。全部処分するか持って帰るかしていいわよ」

梓「え?」

さわ子「どうせ誰のだかわからない上に、残した本人も忘れてるんだから、全部一緒に処分しちゃって構わないわ」

梓「はぁ……」


レーイラァー

梓「で、持って帰ってきちゃったんだよな。このポータブルレコードプレイヤー」

梓「音相当籠ってるけど、これはこれで味があってなかなか」



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最終更新:2014年01月21日 14:57