『トァァッ!』

『シュワッッ!』

タロウはヤプール。
ゾフィーは怪獣。
それぞれの相手に向かっていく。

『このぉッ……ちょこまかと!』

ヤプールの強力な火の玉が連続で発射されるが、タロウはそれらをすべてかわし、横っ飛びでヤプールを蹴りつけた。

『ぐぅ……!』

起き上がったところをローキックで身体を浮かし、地面に引き倒す。

『死にぞこないがァッ!!』

ヤプールは受け身を取って起き上がり、念動波を立て続けに乱発するが、タロウはそれを転がってかわし、ある場所に誘導した。

『キュルルルルル!!』

タロウの狙い通り、念動波はゾフィーと戦っていた怪獣に激突し、怪獣の動きが緩む。

『シェアッ!!』

ゾフィーは怪獣の喉に強烈なアッパーを叩き込んだ。会心の一撃に、澄んだ音が響く。
さらに側転で距離を取り、両手をあわせると、溜めたエネルギーをスパークさせて光線として打ち出した。

『キュルルルルル……!!』

光線はバリアを貼る暇さえ与えない速さで怪獣に直撃した。
決定打とはいかないまでも、かなりのダメージを負わせた様子だ。

タロウもそれを見て、得意の技を発動させた。

『タロウスパウト!』

身体を高速回転させ、竜巻を起こす。
竜巻となったタロウはヤプールを巻き込み、ぐんぐん空へと舞い上がった。
そして、高度10000メートル――竜巻の頂点でヤプールを放り出す。

「ふわぁ――私……この空を飛んでる!?」

『この――落ちろカトンボォッ!』

空中でぶつかり合い、激しい空中戦を展開する。
ヤプールの火の玉、タロウの光球が火花を散らす、一進一退の攻防が続く。
そして――

『いくぞ……キングブレスレット!』

タロウは機転を利かせ、腕のブレスレットに手をかけて自らの分身を作り出した。
実体と分身、変幻自在の軌道でヤプールを翻弄し――一瞬の虚を突き、叩き落とす。

『ぬわぁぁぁぁぁぁッ!』

ヤプールはまっ逆さまに墜落し地面に叩きつけられ、タロウもそれを追って地上に降り立つ。
今こそ、勝負の時。

『ハァァァ――デュアッ!!』

ゾフィーは前で両腕をあわせ、突き出した右手から必殺の一撃を繰り出した。

『キュルルルルル……!!』

光線の直撃を受けた怪獣は断末魔の叫びをあげ、ついに爆炎と共に崩れ去った。

純「やったぁぁぁぁっ!!」

澪「あとは、あの怪人だけだ!」

律「ウルトラマン!いっけぇぇぇーっ!」

『ストリウム――』

『「――光線!!」』

Tの字に組んだ両腕から、威力を乗せた虹色の光――ストリウム光線が叩き込まれる。

『ぐわぁぁぁぁぁッ!!』

光線はヤプールに吸い込まれ、体表で大爆発を起こした。

『馬鹿な……我々がこんなザマを晒すなど……!!』

梓「お前の負けです。おとなしく眠りなさい!」

『ふ、もう勝ったつもりか……ハハハハハハッ!!』

だが。

「……え?」

身体のあちこちから火花を散らし、息も絶え絶えだというのに、ヤプールは大声で笑っていた。


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最終更新:2014年03月28日 07:52