─38─
澪「雪が降ってきたから私はもうダメだ」
唯「えっ、どうしたの」
澪「さむいんだ」
唯「確かに」
澪「私はもうファンヒーターの前から一歩も動かないぞっ」マルッ
唯「あっ、澪ちゃんがネコさんみたいに丸くなっちゃった!」
澪「こうすると冷たい外気に触れる肌の表面積が少なくなって
寒さを軽減できる作戦」
唯「はぁ~、澪ちゃんは相変わらずアタマいい事 言うなあ~」
唯「じゃあ、わたしも丸まろっと」マルッ
澪「わ~、ファンヒーターの前に押し寄せるなよ~」マルッ
ガチャッ
梓「俺より強いヤツに会いに行くです」
澪「あっ、ストリートファイターが来たぞっ」
梓「おやっ…先輩たちがファンヒーターの前で、丸くなっている」
唯「あったかいでしょ~?」
梓「でしょ~?って言われても知りませんよ」
澪「言っておくがファンヒーターの前は満員だ」
澪「丸まるなら別の場所で丸まってくれ」
唯「このファンヒーターは二人用だもんね」
梓「スネ夫くんみたいなこと言う人だなぁ」
梓「叩き殺してやる」
唯「あっ!あずにゃんが恐ろしい事を!!」
澪「ファ、ファンヒーターの場所とりで人を殺す気か!?」
梓「うそです」
澪「なんだ、ウソか…」ホッ
唯「ウソをつくのは良くないんだよっ!」
梓「平気ですよ、自分にウソはついてないですから」
唯「どういう事なんだろう…」
澪「気持ち的には本当に叩き殺したいって事なのかな…」
唯「うう…」
梓「ムラムラしてきました」
ガチャッ
律「おーす!」
唯「あっ、りっちゃん」
律「ん?みんな床の上で丸くなってどうしたんだ?」
澪「ネコはコタツで丸くなるだろ?」
律「まあ…見た事はないけど」
唯「えっ!?りっちゃん、ネコを見た事無いの!?」
律「あるよ、ネコを見た事はあるよ」
律「インターネットで」
澪「インターネットでしか見た事ないのかよ!?」
梓「バカだなぁ」
律「くそっ、自慢しやがって」
唯「ネコを見た事がある事を自慢する日が
やってくるなんて思わなかった!」ピョンピョン
律「ネコって本当にコタツで丸くなるのか?」
梓「ネコが丸くなるって、子供の頃は意味が分かんなくて
コタツの中に入るとネコが肉ダンゴになるのかと思いましたよね」
唯「私はあずにゃんの言ってる意味が分からないよ」
澪「私も」
律「アタシも」
梓「ムギ先輩なら分かってくれるかも…」
律「アタシの友達を悪く言うな!!」
梓「褒め言葉なのですが」
唯「はたしてそうかなあ」
ガチャッ
紬「しゃらんらしゃらんら♪HeyHeHey♪YeahYeah♪ShaLanLaaaaah~♪」
唯「あっ、ムギちゃん」
紬「あらっ、みんなどうしたのかしら」
紬「唯ちゃんたちは床で丸まっているかと思えば
りっちゃんはソファーの上で丸くなる」
律「床よりは断然あったかいからな」
澪「かしこいヤツめ」
律「ところで梓がムギに聞きたい事柄があるらしい」
紬「えっ、なにかしら」
梓「ムギ先輩ってオナニーするんですか?」
紬「えっ、あっ」
紬「えっ?」
澪「……」
唯「……」
律「……」
梓「……」
紬「……」
─5時間経過─
紬「……」
唯「……」
梓「……」
律(梓がおかしな事を言い出してから誰も一言もしゃべらない…)
澪(なにか手を打たないと…)
律「アタシ、思ったんだが…」
梓「言い出しっぺの唯先輩からカミングアウトすべきですよね」
律「アタシはそんな事、思ってねぇよ!?」
唯「ていうか、あずにゃんが言い出しっぺだよ!?」
梓「いいじゃないですか!?オナニーの事を聞いて何が悪いんですか!?」
澪「開き直るんじゃないよ」
紬「お茶にしよ?ねえ、お茶にしよっ?」
律「お、お前がオナニーについて話したら、お茶にしてやる」
紬「えっ」
澪「お前はどっちの味方だいっ!?」
唯「今の澪ちゃん、ちょっとシーマ・ガラハウっぽかったよね」
澪「そ、そう?」
律「アタシのアシストが効いたな!」
紬「いいな~」
梓「はぁ…アホな事言ってないで、そろそろ帰りましょうよ」
律「お前にだけは言われたかねーよ」
唯「あれっ?」
澪「どうしたんだ唯?」
唯「そと!雪が積もってる!」
律「へえ?まあ、そりゃ昨日の夜から降ってたんだから多少は…」
澪「えっ」
紬「……」
梓「なんか1メートルくらい積もってますね」
唯「あれじゃ、あずにゃんが埋まっちゃうよ」
梓「そんなにちっちゃく無いやい!!」
澪「まぁそんな事はどうだっていいが……
澪「なんだコレ…異常気象か?」
紬「朝はここまで積もってなかったのに……」
梓「そんなこと話してる場合じゃないですよ。
早く帰りましょう!」
梓「雪は降り積もる一方だし、グズグズしてたら本当に埋まってしまうです…」
律「…なあ、もうちょっとだけ待たないか?」
律「梓の身長分くらい雪が積もるまで…」
紬「そうね…」
唯「いいね…」
澪「ああ…いいな…」
梓「お、お前らも死ぬぞ!?」
唯「死にたくないから、おうちにか~えろっと」
律「そうだなぁ」
澪「待て待て」
律「なんだよ?」
紬「1メートルも雪が積もってる時点で
うかつに外に出るのは危険なような…」
律「そうか?そりゃ学校の敷地内はアレだけど
道はある程度、除雪されてんじゃないの?」
澪「でも急な積雪だから…」
唯「む~…」
紬「思ったんだけど、梓ちゃんに帰らせてみて
ちゃんと雪かきされてるか確かめさせたらどうかしら」
唯「いいね」
律「ああ…いいな…」
澪「名案だよ、ムギ…」
梓「私にだけ何故イジワル言うんですか!?」
紬「お前がオナニーとか言うからよ」
梓「視線が心地いい…」ゾクゾク
梓「アアアアアァァォオっ」ビビュッ
紬「ひぃっ…!?」
梓「でも万が一の事を考えたら
この中で一番長く生きてるムギ先輩が命を張るべきでは…」
律「む…」
唯「なるほど…」
澪「一理ある…」
紬「えっ」
梓「ウェヒッw」
紬「じゃあ17時間プレイしたゲームのセーブデータと
18時間プレイしたゲームのセーブデータ…」
紬「どちらか一方を消すとしたなら?」
律「17時間の方だな」
唯「あずにゃん何歳?」
梓「17歳です///」
澪「決まりだな」
梓「いやだあああああ!?」
律「これは決定事項だ」
唯「というかあずにゃんは
何故、年齢を聞かれたとき照れたのだろう」
紬「とうに、おかしくなっているのよ」
ガチャッ
さわ子「あなたたち、まだ残ってたの?」
唯「あっ、さわちゃんだ!」
律「いつ結婚するんですかー?」
さわ子「野球選手の子供を孕んで離婚して養育費で豪遊したい」
澪「いいですね…」
律「ああ…いいな…」
唯「養育費で子供にアイス買ってもらおう…」
梓「」チラッ
紬「なぜ私の方を見るのかしら」
さわ子「ムギちゃんと合体したい」
紬「ひっ…!?」
唯「私も…」
律「アタシも…」
澪「私はゴメンだ」
紬「それはそれで傷つくわ、澪ちゃん…」
梓「乙女心は複雑だなあ」
さわ子「突然の豪雪でね、部活やってた生徒はみんな校内に取り残されているのよ」
澪「やっぱり…」
律「無理やり帰っちゃダメなワケ?」
さわ子「今さっきテレビで『学生、会社員は無理に帰宅しないように』って
呼びかけてるレベルだから…」
紬「そんな大事になっているんですか…」
律「なんかワクワクするよな」
澪「ここにサイヤ人がいるぞ」
ピロロリロ♪ピロロリロ♪
唯「あっ、憂からだ!」
律「おぉ、憂ちゃんは今、家にいるのか?」
唯「そのハズだよ~」
梓「心配してるだろうから早く出てあげてください」
澪「というか私も家に電話しとこう」
紬「そうね、私も…」
唯「はいはい、もしもしー?」
唯「あ、私だよ~。え?うんうん、大丈夫」
唯「そっちはどうなの~?えっ、そうなんだ?」
唯「うん、そう。まあ、今日も相変わらずというか…う~ん…」
唯「でもエゴだよ、それは…」
唯「私は憂ほど急ぎ過ぎもしないし絶望もしたりしないから…」
唯「うん、分かった。分かったよ。じゃあ、いったん切るね。はーい」
ツー、ツー
律「途中から、なんの話をしてたんだ?」
唯「憂が、そろそろ澪ちゃんを許さないって…」
澪「!?」
律「お前…どれだけの業を背負ったら
あの温厚な憂ちゃんを怒らせる事が出来るんだよ…」
澪「し、知らない知らないっ!!」
紬「澪ちゃん、死んだわね…」
梓「クラスのレクリエーションで
憂に一人ずつジャンピングレッグラリアットを喰らっていった事があるんですけど
最高記録が15メートルでしたからね…」
律「それ、なんの記録なんだ?」
梓「人間がラリアットでフッ飛んでいった飛距離です」
澪「ひいいいっ!?」
さわ子「というか梓ちゃんのクラスのレクリエーションって、どうなってるの?」
梓「ウチのクラスは変態しかいないですから」
紬「Oh...」
梓「ちなみに純だけは最期まで反対してました」
唯「安心の純ちゃんだね」
紬「リーサル良心ウェポンだもの」
梓「でも誰よりも勢いよくフッ飛んでいって
15メートルという記録を打ち立てたのも、また純でした」
紬「まさにリーサルウェポンね…」
律「とにかく澪は謝っておいた方がいいぞ」
唯「憂、相当怒っているからね」
澪「だから何故、怒っているんだよ!?」
紬「そんな事より、これからどうするか決めないと…」
梓「そうそう、外は雪だらけで…」
澪「いや!唯がサクサクッと言えば済む事なんだよ!!」
唯「今アメ舐めふぇるから喋れらい」モゴモゴ
澪「さっきまで舐めてなかったのに!?」
紬「澪ちゃん、落ちついて……」
さわ子「こういう時、焦ったヤツから死ぬと相場が決まってるわ」
澪「死ぬのは嫌死ぬのは嫌死ぬのは嫌死ぬのは嫌死ぬのはいやあああああ」
律「簡単に死ぬなんて言うな!!」
澪「だから死にたくないって言ってるんだよ!!」ワギャー
さわ子「とにかく今日は学校に泊まっていってもらう事になりそうなのよ」
律「ええ~?」
唯「ムギちゃんの家の力でなんとかならないの?」
紬「琴吹財閥はドラえもんでも無ければ
ドラゴンボールでも無いのよ」
梓「そんな事言って…家に隠しもってるグレネードで
雪を消し飛ばしたらいいじゃないですか」
紬「そんなモノ無いもん!」
律「で、でも、この間アタシの頭をフッ飛ばすとかいって
ショットガン持ってきてたじゃねーか…」
紬「ショットガンはあるけれどグレネードは本当に扱ってないの!」
澪「ショットガンはあるのか…」ゴクリ
澪「ムギ、ショットガンって、いくらで買えるんだ?」
梓「う、憂を本気で殺る気だ…」
最終更新:2014年04月19日 21:49