紬「澪ちゃん、言っておくけれど私が学校に持ってきたのはモデルガンよ」

澪「く、くそっ…」

唯「お泊まりは楽しそうだけど、お布団はあるの?」

さわ子「宿直室にどれだけかあるけれど、さすがに人数分はね…」

律「そう言えば、アタシたち以外にも残ってる生徒がいるって言ってたっけ」

さわ子「とりあえず今は勝手に帰るなって、伝えにきたの」

さわ子「残ってる先生方とまた相談してくるから、またあとでね」

ガチャッ

バタン…

梓「さて、どうしましょう」

澪「どうもこうも、私たちに出来る事は何もないよ」

唯「う~」

律「ん?どうしたんだよ唯」

律「頭でも悪いのか?」

唯「頭は悪くないよ!」

律「ほぉ、じゃあお前、東大入れるんだな?」

唯「う…わ、悪いです…」グスッ

律「よしよし唯はイイ子だな、頭ナデてやろう」ナデナデ

唯「う、うにゃあ~…」

梓「私も撫でてみよう」ナデナデ

唯「ゴロゴロ…」

紬「私はお腹を撫でてみるわ」ナデナデ

澪「気持ち良さそうな顔してるよ」

唯「スヤスヤ…」

律「そんな事より腹減った」

唯「私もそれを言おうとしていたんだよ」ムニャ

澪「あぁ…もう8時だもんな」

梓「でも、そう言えばお夕飯って、どうなるんですかね」

律「む…」

紬「学校に蓄えなんか無いだろうし
この雪じゃ買い出しにも行けないんじゃ…」

唯「えっ、じゃあご飯抜き!?」

梓「そうなりますね」

唯「そんな…」

紬「梓ちゃん、2万出すからコンビニ行ってきて」

梓「えっ、行く行く!」

律「おい待て、それなら私が…」

澪「お、お前ら2万円で命を捨てる気か」

梓「高校生にとっての2万はデカイですよ!」

律「い、家も建つぜ!?」

澪「建たないよ」

律「う、嘘を言うな…」

唯「りっちゃんはその程度で私の頭をバカにしたの?」

ガチャッ

和「生きてる?クズども」

唯「あっ、和ちゃん」

律「ハイエナが金の匂いをかぎつけてきやがったか」

梓「とっとと失せるがいいです!!」

和「アンタたち何言ってるの?」

和「バカなの?」

和「死ぬの?」

律「ひっ、人はいずれ死ぬ…」

梓「そうだそうだー!」

和「ふん、言うじゃない…」

澪「いや、そんな大したこと言ってないぞ」

唯「それで呼ばれもしないのに何故来たの?」

和「ちょっと唯、冷たく接しないでちょうだい」

和「股関をまさぐるわよ?」モミモミ

唯「うぇひっ!?」ビクッ

梓「ぃぃ…」

澪「アイツ本当に何しに来たんだ」

和「校内に取り残されたグズどもに
生徒会役員どもから乾パンの配給よ」

唯「わあっ!和ちゃん頼りになるぅ!」

律「ありがたくいただこうずw」

和「待ちなさいクズども」

唯「ほぇ?」

和「乾パンが欲しければ、3べんまわってワンと言いなさい」

唯「3べんまわってワン」

律「3べんまわってワン」

和「そうじゃなくて3べん回るのよ」

唯「さんべんって何?」

律「アタシらアホだから和、ちょっとやってみてくれよ」

和「こうやって…」クルクルクル

和「わん!」

唯「よ~しヨシヨシヨシ」ナデナデ

律「かわいいヤツめ」ナデナデ

和「ハッ…」

和「アホどもにハメられた!」

澪「疲れているんだね…」

唯「おいしいおいしい!」ムシャムシャ

澪「よく乾パンなんてあったなあ」モグ

和「私の後輩の先輩に中ニ病のヤツがいて
学校にいる間に世界が崩壊した時のために
食料をコツコツ生徒会室の物置にタメ込んでいたらしいわ」

唯「へ~」

梓「その中ニ病患者に感謝ですね」

澪「ちなみにその後輩の先輩って赤いメガネをかけているのでは…」

和「かけているわね」

紬「まあまあ紅茶でも飲んでいきなされ」カチャッ

和「ありがとう、いただくわ」ズズッ

和「あら…この紅茶、お湯の味しかしないけど?」

紬「…いい紅茶はそういうモノなのよ」

唯「でたよ…」

紬「なにが出たの?唯ちゃん」

梓「ムギさん、早くティロ・フィナーレって言ってくださいよ」

紬「ティロ・フィナーレ」

澪「一体なんの話をしているんだ」

カチャッ

さわ子「ご機嫌いかが~?」

さわ子「親父のキンタマから発射された娘らよ」

梓「お前もそうだろうが!?」

澪「酷すぎる」

紬「早く円環の理に導かれればいいのに」

さわ子「誰か、この中に私の事を愛してくれるお医者様はいませんか!?」

律「なに言ってんだ、あのメガネ」

和「ちょっと。メガネで一くくりにしないでちょうだい」

唯「和ちゃんが気の毒だよ」

さわ子「何がいけなかったのかしら…?」

澪「それで職員会議はどうなったんですか」

さわ子「色々話しあった結果、やる事も無いし

もう寝たらいいんじゃない?

って事になったわ」

律「2時間も話しあった結果がそれかよ」

さわ子「今、学校に残ってる教師は
運動部の顧問ばかりだから仕方ないのよ」
梓「ああ…戦士系のバカしかいないって事ですね」

和「ところでテレビで何か言ってないんですか?
除雪スケジュールとか」

さわ子「ずっとアメトークスペシャル観てたから分かんない」

紬「琴吹財閥の力でコイツを解雇したい」

唯「ムギちゃんなら出来るよ、きっと…」

さわ子「なんか道路から水がビビュッ!と飛び出るヤツが凍結して
もうどうにもならないらしいわ」

律「えっ、ビビュッが…」

さわ子「車道で立ち往生したまま雪に埋もれた車もあって
除雪車も身動きとれないし
吹雪もひどいしで、本当にどうにもならない状態だってラジオで言ってたわ」

和「ただ事じゃないと思ってたけど、想像を越えてたわね…」

澪「こういう規模の豪雪って、今まであったのかな…」

梓「他の地域は大丈夫なんですかね」

唯「雪がいっぱい積もったら家、潰れちゃわないかな…」

律「さわちゃんはいつ結婚できるんだろう…」

和「あの性格を矯正しないと無理ね…」

澪「でも性格を直すという事は人格を変えるというワケで…」

紬「それは魂の死を意味するわ…」

梓「じゃあ、いっそ死んで生まれ変わった方がてっとり早いかも…」

唯「さようなら、さわちゃん」

さわ子「帰りてぇ」

梓「寝る場所って決まってるんですか?」

さわ子「寝るのに適した場所なんて無いし自由よ」

さわ子「一つ所に押し込めた方が光熱費とか捗りそうだけど、ストレスたまるだろうし」

唯「じゃ、私たち部室で寝てもいいんだね」

さわ子「ええ…あと、わずかにあった毛布や布団は一年生優先に貸し与えることになったから
あなた達は諦めなさい」

律「うーむ、そりゃ仕方ない」

紬「若いって良いわね」

さわ子「まあ、暖房ガンガンにつけてていから
布団なくても死にはしないでしょう」

澪「はあ…」

さわ子「ただ、せめてもの節電という事で
もうすぐ消灯時刻だから
トイレとか済ますなら早く行っておきなさい」

さわ子「あらっ、あと5分しかない。時が経つのは早いわねぇ」

梓「お前がタマキンとか言ってたからだろうが!?」

さわ子「うるさいわね!!寝てる間に口の中にツバ垂らすわよ?」

梓「望むところですよ!?」

さわ子「えっ、いいの!?」

梓「はっ、はやくっ」

律「おい、お前ら」


律「どっか行け」

─廊下─

唯「オシッコ♪おしっこ♪らんらんらん♪」

紬「その歌なあに?」

唯「おしっこランドの歌だよ~」

律「嫌な歌だな…」

澪「ところで和は何処で寝るんだ?やっぱり生徒会室?」

和「いや…視聴覚室を考えているわ」

和「あそこの床はカーペットが敷かれているから」

紬「確かに固い床に寝転がるよりはマシかも」

律「なるほど、そんな考え方もあるか」

和「あと使ってない教室のカーテンを外せば
シーツ代わりにはなるわね」

唯「あっ、冴えてるね!」

澪「じゃあ、その辺りの教室のカーテンをひっぺがすか…」

唯「すごいすごい!部室がまるで楽園だね!」

律「じゃ、じゃあ、他の娘が置きっぱなしにしてる体操服を拝借して
着込めば防寒対策になるんじゃないか!?」

和「変態じゃないの?」

紬「りっちゃん、それはダメ」

澪「早く股に挟んで隠してるオチンチン出してみろよ」

唯「りっちゃん、こわいょ」

律「くそっ…くそっ…」

─けいおん部室─

澪「カーテンも2枚重ねだと、そこそこ暖かいもんだ」

紬「体育館から、かっぱらってきたマットもイイ感じね」

律「おーし!そんじゃ枕投げしよっぜーwww」

唯「でも枕なんかないよ…」

紬「じゃあ椅子を投げるとか」

ドガシャアッ!

澪「ひぃいいっ!?」

梓「な、なんの躊躇もなく椅子を投げないでください!!」

紬「大丈夫。梓ちゃんしか狙わないからっ!」

澪「そんなら安心だ」ホッ

梓「ちっとも安心じゃない!!」ウギギ

唯「こらっ、ムギちゃん!そんな事したら、あずにゃんがかわいそうでしょ?」

律「えぉっ!?」

紬「唯ちゃんに怒られた…」クスン

梓「やった!えへへ!唯先輩ありがとうございま唯先輩っていいニオイだなあ」クンクンスンスン

唯「やめて」

梓「はい…」

唯「ハイハイ、じゃあ、みんなバカやってないで寝るよ~」

律「唯が不自然にシッカリし始めた」

澪「こりゃ明日は雪が降るな…」

梓「現在進行形で降ってますよ」

紬「もしかして、この異常気象は唯ちゃんがシッカリしたから…?」

唯「ふんす-3」


おわり



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最終更新:2014年04月19日 21:49