─外─
唯「えっほ、えっほ」ザフザフ
憂「はぁはぁ」ザフザフ
唯「うい…」ハァハァ
憂「なぁに、お姉ちゃん」ハァハァ
唯「雪が積もっていて歩きにくいよ…」ハァハァ
憂「そうだね!」
唯「……」ザフザフ
憂「……」ザフザフ
唯「うい…」ザフザフ
憂「な~に?」ザフザフ
唯「……」ザフザフ
憂「……」ザフザフ
唯「ゆい…」ザフザフ
憂「…?」ザフザフ
唯「帰る」クルリ
憂「か、帰っちゃうの!?」
唯「武士に二言は無い」ザフザフ
憂「でも学校に行く、という事柄については
二言になってるよ!」ザフザフ
唯「じゃあ、帰るのやめるでこざる」クルリ
憂「この武士、二言だらけだ!」ザフザフ
唯「……」ザフザフ
憂「疲れる…」ザフザフ
唯「うい…」ザフザフ
憂「なあに?」ザフザフ
唯「私は武士じゃないよ」ザフザフ
憂「知ってるよ」ザフザフ
唯「はぁはぁ」ザフザフ
憂「ハァハァ」ザフザフ
唯「こうやって…」ハァハァ
憂「え?」ハァハァ
唯「ふたりとも…ハァハァ、息が荒いと…ハァハァ」
憂「うん…」ハァハァ
唯「れずびあんみたいだね…」ハァハァ
憂「あっ、お姉ちゃんがエロいことを…」ハァハァ
唯「たまにはね…」ハァハァ
憂「お姉ちゃん、家で下ネタ言わないよね…」ハァハァ
唯「学校でも言わないよ…」ハァハァ
憂「どこで言うの…?」ハァハァ
唯「どこでも言わないよ…」ハァハァ
憂「カッコいいなぁ…」ハァハァ
唯「憂は学校で言うの…?」ハァハァ
憂「梓ちゃんが…」ハァハァ
唯「あずにゃんが…?」ハァハァ
憂「倒れてるよ」ハァハァ
唯「ホントだ」ハァハァ
梓「うぅ…」
憂「どうする?ほうっとく?埋める?」
唯「そのニ択しか無いのかい?」
梓「く……」ハァハァ
憂「冗談冗談。ほら、梓ちゃん、お水だよ?」チョロッ
梓「う…」
梓「レモンティー…」
唯「うん?」
梓「レモンティー」パァンパァン
憂「手拍子?」パァンパァン
梓「レモンティー、レモンティー!レモンティー!!レモンティー!!!レモンティー!!!!」パァンパァンパァン
ワー-
憂「お姉ちゃん、どうしよう」
憂「目を閉じたまま怒涛のレモンティーコールが始まっちゃったよ」
唯「悪い夢でも見ているんだよ」
憂「いいなぁ~」
憂「じゃあ無理やり、お水を飲ませるね」ジョロロ
梓「れもっ」ゴボガボ
梓「ぶるるぁああああ」ブバッ
唯「わあっ、鼻から吐き出した」
憂「汚ないドブネズミだなぁ」
梓「レモ…ンティー…」 カクッ
唯「どうやらレモンティー以外、飲みたくないらしいね」
憂「わがまま梓ちゃんだね!」
唯「まぁ無理に水を飲ませることもないよ」
憂「そうだね」
唯「しかし、あずにゃんが目を覚ます様子が無いや」
憂「人を一人かついで、この雪の中、歩けないよ」
唯「もうちょい雪がツルツルになっていれば
あずにゃんをカーリングみたいに滑らせて学校まで連れていくのに」
憂「電柱にぶつけたら10点?」
唯「うん」
憂「お姉ちゃん!」
唯「うん?」
憂「そこの池が凍ってるよ」
唯「凍ってるね」
憂「……」
唯「……」
憂「……」ウズウズ
唯「……」ワクワク
憂「カーリング…」
唯「!」
唯「で、でもそこの池であずにゃんを滑らせても、移動は出来ないよ?」
憂「いいから…」
唯「いいよね…」
憂「一回だけだから…」
唯「一回だけだもんね…」
梓「うーん、うーん」
唯「せーの」
しゃー
ばりばり
憂「あっ」
どっぽおおん
唯「びっくりしちゃった」
憂「まさか池の氷が割れるなんて…」
唯「これが地球温暖化なんだね」
梓「ガチガチガチ」
唯「水揚げされたあずにゃんが目を閉じたまま
歯をカチカチ鳴らしてるよ」
憂「ふふっ、梓ちゃんかわいい」
唯「ところでこのままだと、あずにゃんが死ぬよ」
憂「やばいね」
唯「とりあえず火をつけよう」
憂「梓ちゃんに?」
唯「いや…なんか別のものに」
憂「それがいいね」
梓「うぅ…」ガチガチガチ
憂「でも冷たい池にダイブしたまま
ズブッ濡れの格好のままというのがケッサクだよね」
梓「ヒューヒュー」ガチガチガチ
唯「どうしようかな」
憂「まぁ私は燃やすものを集めてくるから
お姉ちゃんは梓ちゃんをお願い」
唯「あい」
梓「はぁはぁ」ブルブルブル
唯「さて、このまま濡れた格好のままは良くないよね」
唯「とにかく脱がせなきゃ…」グイグイ
唯「」ズルリ
唯「」グイグイ
唯「」グイグイ
唯「うーん…」
唯「パンツとかは脱がせたけど袖のあるものが…」
唯「……」
唯「!」
唯「」チョキチョキ
唯「」チョキチョキ
唯「」チョキチョキ
唯「できた!これで、あずにゃんは丸裸だ!!」
梓「うぅ…」ガチガチガチ
ぴゅ~
唯「寒そうだね」
梓「はぁっ…はぁっ…」ブルブルブル
憂「お姉ちゃ~ん」
唯「やゃっ、憂だ」
憂「あっ。梓ちゃんが丸裸」
唯「救命活動だよ」
憂「されど確実に死が近づいているよ」
唯「死なない人間なんていないもん」
憂「そのとおりだね!」
梓「……」
憂「梓ちゃんが動かなくなった」
唯「献身的な介護で震えがおさまったんだ!」
憂「心臓の鼓動もおさまったみたい」
梓「」
唯「あずにゃんを燃やそうか」
憂「証拠隠滅だね!」
梓「く…」ヒューヒュー
唯「ラッキーチャンス!生きてた!」
憂「じゃあ、とりあえず別のものを燃やして
梓ちゃんを加熱してみよう」
唯「よーし!」
~~~~~~~~~~
~~~~~~~
パチパチパチ…
う…
く…
何かが弾けるような音がして
私は深いまどろみから引き戻された
…なんだっけ
いま何時だっけ…
ここはどこだっけ…
わたしは…?
ヘアピン少女「あ~ずにゃん!」
あずにゃん「ふぇ…?」
あずにゃん「…あずにゃん?」
ヘアピン少女「違うよ~」
ヘアピン少女「私はあずにゃんじゃなくて唯だよ~」
ああ…
ああぁ…
ああ…そうだった
あずにゃんは私で
この人は唯だった
ゆい……唯先輩…
唯「あずにゃん」
そういって優しい目で私の頭をなでなでしてくれた。
優しい目でなでなでするといっても
日本文学的表現であって
眼球をこすりつけている訳でないので
安心だ。
梓「唯せんぱい…」
唯「なぁにかな~?」ナデナデ
梓「唯先輩にとって、私はなんなんですか…?」
唯「後輩だよ」
梓「……それだけですか」
ふふっ
やわらかい表情で微笑んだあと
唯先輩は、つけたした。
唯「先輩は、先をゆくパイパイ」
梓「はい」
唯「だけど、後輩は」
唯「後ろから、ついてくるパイパイ」
梓「にゃん」
唯「こ、恐い」
梓「恐くにゃいですにゃん」
唯「おおおっぱいが、私を追いかけてくりゅ!」
梓「にゃ~」タタッ
唯「それこそが、あずにゃんの
あずにゃんによるあずにゃんのためのあずにゃん…」
唯「あずにゃんofジ・あずにゃんなんだよ~!!」
梓「ハニャっ?」
………………
…………
……
…?
気がつくと
私は薄暗いところにいた。
からあげクン増量中…?
パチパチパチ
一斗缶の中から火の粉が仄かに、まきあがり
辺りを照らす。
どうやら、ここはコンビニらしい。
そして私は
なぜか全裸だった。
最終更新:2014年04月19日 22:02