律「入部希望者を待つ!!」

澪「…待つの?」

………………

律「…」

澪「…帰ろっか?」

ガラッ

紬「あの〜」

律澪「!!」

紬「見学したいんですけど〜」

律「軽音部の!!?」

澪「…」

紬「い、いえ、合唱部の…」

澪(うわぁ〜…、可愛い子だなぁ…)ポッ

律「軽音部に入りませんか!? 今部員少なくて…」

紬「え、え〜と…」オロオロ

澪(がさつな私や律と大違い…ぽわぽわしてて、なんかまさに女の子って感じ…)

紬「……」チラッ

澪「!」

紬「…」ニコッ

澪「!!」ドキン

律「お、お願いしますぅぅ!!」ガシッ

紬「へ!? いえ、あの〜…」チラリ

澪「…は!」

澪「こ、こら!! そんな強引な勧誘したら迷惑だろ!」

律「うぅ〜…」

律「——あの時の約束は嘘だったのかーー!?」

澪「——捏造すんな!」ゴン

紬「ぷっ…くすくす…」

澪「!」

澪(笑われた……。でも、笑顔いいな……)

澪(なんかこの子、優しそうだし……可愛いし…///)

澪(この子と一緒に部活できたら……)

澪(でもなぁ…。どう考えても軽音部って感じじゃあないし、文芸部に誘ってみようかなぁ)

紬「——なんだか楽しそうですね。私でよければ入部させてください」

律澪「えぇぇぇ!!」

澪(う、うそ……)

澪(本当にこの子と一緒に…3年間部活を…青春バイブレーションを……)ポー

律「やったぜーー! これであと2人揃えれば!」

澪「ほぇ!?」

紬「2人ですか?」

律「ああ…部として認められるには4人の部員が必要で…」

紬「え〜と…」チラッ

律「ん、ああ。ここいる澪は他の部活入りたいんだってさ」

律「今だけちょっと勧誘手伝ってもらってるだけなんだ」

紬「そうなんですか…」ショボン

澪「うえぇ!?」

澪「い、いやぁ、これであと『1人』で軽音部設立だな!!」

律「は…?」

澪「さあ! すぐに見つけよう! 『1人』ぐらいすぐだよ!」

紬「! それじゃあ!」

律「あの〜、澪さん? アナタ確か文芸b…」

澪「ふん!」ドゴッ

律「ぐぇっ!」

澪「よろしく! え〜と…」

紬「琴吹 紬と申します」

澪「よろしく! 琴吹さん」

律「…なんだっつーんだよ…」

律「う〜ん、それにしてもこれからは同じ部活の仲間! 苗字で呼び合うのもなんだかなあ」

紬「そうですか?」

律「琴吹さん、あだ名とかある?」

紬「……」

律「琴吹さん?」

紬「あ! い、いえ、特に何も…」

律「つむぎー、って呼ぶのもなんか長いしな」

澪「いや、長くはないけど……(ていうか、恥ずかしくて呼び捨てはムリだ…)」

律「そうだ! じゃあムギでいいや。呼びやすいし、ねぇ?」

紬「え? うふふ……」

澪(ムギ、かぁ……。律にしては良い仕事するじゃないか///)

律「私のことは律って呼んでくれムギ! これ以上省略しようもないしな!」

紬「よろしくお願いします。りっちゃん♪」

律「オイオイ…長くなってるじゃあねーか」

律「…そんでコイツは秋山澪!」

澪(ムギ…うふふふふ…ムギ……)

紬「よろしくお願いします。澪ちゃん」

澪「へ、へぇぇ!!?」ドキーン

紬「あ、あの…?? ごめんなさい…」

律「ああ、ごめんなー、ムギ。こいつ凄い人見知りなんだよ」

澪「あ…いやいや。よよよよろしく!……ム……」

紬「!」パァァ

澪「…ム……琴吹さん…」

紬「…」シュン…

律「おいおい澪ー。この子はムギだって言ったばっかだろーが」

紬「いいんです…こういうことは人それぞれですし…」

澪「あ、いや…その…」

律「ほ〜ら、澪〜。ムギって呼んでみ」

紬「…」

澪「うぅ……///」

澪「ム……」

紬「…」

澪「ム…」

澪「ムギュ…ゥ…っ」

律「えぇ〜…」

澪(か、噛んだ///)

紬「ぷっ」

紬「…くすくす」

澪「あ…///」

律「ふ、あはははは!」

澪「わ、笑うなよっ」

紬「ふふふ…ごめんなさい…くす」

澪「もう! よろしく、ムギ!!」

紬「よろしく、澪ちゃん♪」

……………………………
…………………
………

唯「は〜、もう疲れたよぉ〜…」ドタリ

律「私も〜」バタリ

澪「早っ!」

澪「まだ練習始めたばかりだろ! やる気だせよ!」

紬「…」ジー

澪(ムギの前だからな…いい所見せなければ)ドキドキ

律「だいたい澪はウチの部入るつもりなかったくせに、なんで一番はりきってんだよー」

澪「」ギクリ

澪「や、やるからには全力が私のモットーなんだよ!」

律「初めて聞いたぜ、そんなのー」

紬「…」ジー

澪(ムギが見てる…! ここは格好良くみんなを説得して……)

紬「…お茶にしましょうか?」

澪「」ガーン

唯「わぁ〜い! さすがムギちゃん」

紬「ね、澪ちゃん?」ニコッ

澪(うぅ…反則だその笑顔…///)

澪「で、でもっ…!」

紬「今日はガトーショコラ持ってきたの〜」

澪「…少し、休もうか」

律「おい、とんだ全力野郎だな」

澪(あぁ…おいひぃ…むぎゅカワユス…)ニマニマ

律「な、なんてしまりの無い顔してるんだ…コイツ…」

……………………………
…………………
………

澪「えーと…」カキカキ…

澪「はぁ…詩を先にすれば良かった…」

ヴヴヴヴヴ

澪「…メール」

澪「!!」

澪「ムギからだ…!」

澪「なんだろう///」ニヤニヤ

紬『—さわ子先生が顧問になって、なんだかドキドキしています—』

澪「? ドキドキ…?」

澪「ま、まさかな…」

唯「——うぅ…ギター弾きながら歌えない…」

さわ子「——私が特訓してあげるわ! まずは歯ギターから…!!」

澪「…はぁ」

澪「…ん」チラリ

紬「…」

澪(ああ…ムギの横顔…かわひい…)デレ

澪(ムギを見てるといつもハートむぎゅむぎゅ…)ポー

紬「…」ポー

澪(…んん?)

澪(なんかムギもぼーっとしてるな)

澪(視線の先は……さわ子先生!?)

紬「ふぅ…」

澪(そういえば…この前もさわ子先生を見ると胸がドキドキするって言ってた…)

澪(まさか…ムギ…)

澪「ね、ねぇ律…!」

律「ん〜なんだよ」

澪「ムギってさ、もしかして、さわ子先生のこと…」

律「なに?」

澪「い、いや、だだだから…さわ子先生を…」

律「マジか! ムギ〜! さわ子先生のこと好きなのか〜?」

澪「ば、ちょっと…っ!!」

紬「…え?」

紬「ああ…いえ、女の子同士ってなんかいいな〜って…」

律「はぁ?」

澪「なんだ…良かったぁ…」ホッ

律「えぇぇ?」

律「いいのかよ…」

紬「本人たちがいいならいいんじゃあないでしょうか!」

律「おまえは何を言ってるんだ…」

澪(はぁ…びっくりした)

澪(でも、ムギ…女の子同士は有りなのか…)

澪(ムギ自身は女の子を好きになったりするのかな…)

澪(って、何を考えてるんだ…)

澪(おかしいよな私…)

……………………………
…………………
………

唯「ムギちゃ〜ん。お茶にしようよ〜〜」

澪「毎度毎度…、練習始めたばっかりじゃないか!」

梓「そうですよ! せっかく皆やる気出してるのに…」

律「あ〜疲れた。休もうぜー」

澪「やはりお前もか…」

梓「…もう! 澪先輩! ここは一つ、ビシッと言ってやって下さい!」

澪「ああ、もちろんだ! 唯! 律! よく聞け!!」

紬「まぁまぁまぁ、落ち着いて澪ちゃん? ここはひとまずお茶にしない?」

梓「またそうやってムギ先輩は甘やかして……さあ、澪先輩!!」

澪「…ああ! 何してるんだ梓! お茶の準備だっ!!」

梓「ぇ」

紬「ふんふんふ〜ん♪ しゃらんら〜♪」

澪「…」ジロリ

梓「ぇ……。て、手伝いますムギ先輩……」

紬「あら、ありがとう梓ちゃん」

梓(どうしてこうなった…)

澪(ああ…お茶を淹れるムギ…美しい……)ポー


紬「はい、今日はガトーショコラよ♪」

唯「うわ〜い! 頂きます!」

澪(ああ…ガトーショコラを食べながらムギを見つめ…ムギの淹れたお茶を飲む…)

澪(これ以上の幸せって、この宇宙にあるのかな…)ドバドバ

梓「み、澪先輩…口に入れたもの全部漏れてますよ…」

律「な、なんてだらしない口してるんだ…コイツ……」

……………………………
…………………
………



紬「今日はショートケーキよ〜」

律「おお! やっぱりケーキの基本はショートケーキだよな!」

梓「すいません、頂きます」

澪(ムギが用意してくれたものならなんでもいいけどな///)

唯「…」

梓「? なんか今日唯先輩おとなしいですね」

律「確かに、お茶の時間になるといつも全身で喜びを表すのに」

唯「…」

紬「唯ちゃん…まさか……?」

唯「…」ジー

澪「な、なんだよ唯。私のケーキずっと見て…」

唯「…」ジー

律「ふは! 澪のケーキにゴキブリでも付いてるのか?」

梓「ひえぇ!」

澪「ひ、ひぃぃぃ! 変なこと言うな!!」ゴチン

梓「どうしたんですか、本当に?」

唯「澪ちゃんのケーキ…」

澪「なんだよ…」

唯「みんなのよりイチゴおっきい…」

澪「」

澪「なんだよ、そんなことか…」ホッ

唯「そんなことじゃないよ! ショートケーキのイチゴは重要なんだよ! ケーキ国の王様なんだよ!!!」フンスカ

澪「ひぃっ! わ、わかったよ…。でもそんなに大きさ違うかなぁ」

唯「全然違うよ!」

澪(言われてみれば確かに……だけど)

澪「気にするなって。同じ同じ。唯の方だって色ツヤ良いじゃないか」

唯「じゃあ交換して」

澪「え」

唯「澪ちゃんは同じと思ってるんでしょ? それなら交換してよ〜」

澪「なななんでだよ、ヤダよ…」

唯「じゃあやっぱり自分の方が大きいと思ってるんだ! あげるのが惜しいんでしょ!」

澪「ち、違うって! 同じだから交換するだけ労力のムダだろ!?」

唯「ぶー。澪ちゃんのケチー!」

律「おいおい、ケンカすんなよ」

梓「どうしたんですか唯先輩? なんかいつも以上にわがままですね…」

紬「ご、ごめんね唯ちゃん…次は唯ちゃんに大きそうなの渡すようにするから…」

澪「おいおいムギが謝ることじゃあないような…」

唯「そうだ…そうだよ…ムギちゃんてさ…」

唯「なんか澪ちゃんばっかりヒイキしてない?」

紬「え…そんなことは…」

唯「嘘! だって澪ちゃんが『ガトーショコラ食べたい』って呟いた次の日は絶対に持ってくるし!」

唯「お茶だって澪ちゃんのカップにはいつも私より1cm多いし!」

律「なんつー言い掛かりを…」

梓「唯先輩…ちょっと本当にどうしたんですか……」

嫉妬ですね分かります

紬「唯ちゃん…」

唯「ふ〜んだ! どうせムギちゃんて澪ちゃんのこと好きなんでしょ!」

紬「え…?」

澪「え!!」ドキン

澪(ム、ムギが私のこと……!?)

澪「ゆゆゆ唯…ちょっといい加減にしろよぉ///」ドキドキ

紬「ごめんね…唯ちゃん。私、出来る限り平等にするようにしてたんだけど…」

澪「…(平等か…。ま、そうだよね)」

唯「ぶー」

紬「じゃあ、明日は唯ちゃんの好きなケーキ持ってくるわ」

唯「…え」

唯「じゃあ…もんぶらん!」

紬「うん、楽しみにしててね」ニコッ

澪(ふふ…やっぱりムギってこういう所が良いよな…)

澪(そりゃあ普通に考えてありえないことくらいわかってたけど…)

澪(でも…それでも、もしムギが私のこと……)

澪(うふふふふふ…ふひひひ……///)

澪(ちょっとだけど、いい夢見させてもらったよ…唯……)フッ

澪「唯、ほら」スッ

唯「え?」

澪「欲しいならやるよ、私のイチゴ…食べてくれよな?」

唯「澪ちゃん……」ウルウル

梓「いいんですか…澪先輩?(私もちょっと欲しい…)」

澪「いいんだ。一瞬だけど、私はイチゴよりももっと大切な夢<モノ>を見れたから」フッ

唯「澪ちゃん///」

紬「ふふ…澪ちゃんてやっぱり優しいね」ニコッ

澪「…!!」ズキュゥゥゥン

澪「ほ、ほら唯! もうイチゴだけと言わず、丸ごとあげるよ! ほら!」ニヤニヤ

唯「澪ちゃん……愛してる///」ポー

紬「あらあら…うふふ」

律(……私以外が騒々しいって珍しいな)

……………………………
…………………
………



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最終更新:2014年11月03日 19:06