犬神様の施設


エリ「はーい、皆おはよう」



アカネ犬「おはようございます、犬神様」



とし美犬「おはようございます」



三花犬「おやすみなさい」



エリ「うぉーい、寝てどうすんのよ!」



いちご「犬神、今日は新しい犬が来るのね」



エリ「そうだよ、どうしても飼えなくなったって泣きながら電話してきてさ…」



いちご「名前は?」



エリ「まきだって」



いちご「どんな、犬だろうね」



エリ「泣きながら電話して来るぐらいだもん」



エリ「きっと、大切に育てられたんだよ」



ピンポーン



エリ「あっ!来たよ」



男「こんにちは、今日は無理を聞いて頂きありがとうございました」



エリ「とんでもありません、どうぞ」



女「いえ、長居すると別れが辛くなりますから…」



エリ「そうですか…それで、まきは?」



男「この子がまきです」


エリ「まぁ、可愛いって…」



まき犬「ガルルル」



エリ「この子、普通じゃない…」



男「きっと、初めてだから緊張してるんですよ」にこっ



エリ「目が血走って牙を剥き出しにしてる…」



女「この子、人見知りなんです」



エリ「失礼ですが、一体どんな環境で飼ってらっしゃったのですか?」



男「それはもう、目に入れても痛くないぐらい大切に育てて来ましたよ」



エリ「嘘吐かないで下さい、大切に育ててこんなになる訳ありません」



女「…」



エリ「本当は虐待していたんじゃないんですか?」



まき犬「ガルルルー」



男「ちっ、うっせーなー」



エリ「な、何言って…」



女「飽きたのよ、面倒臭いし金はかかるしね」



男「躾しても聞かねぇし、犬って馬鹿なんじゃねぇの?」



エリ「…」わなわな



女「金は払うんだから、黙って引き取りなさいよ」



エリ「あんた達に動物を飼う資格なんかない…」



男「うっせーなー金だ受けとれよ偽善者」ぽいっ



エリ「このっ!」ぶんっ



いちご「駄目!」がしっ



エリ「離してよ離して!」



男「暴力はんたーい」



女「こわーい」



男「それじゃな、馬鹿犬!」がんっ



まき犬「ワンワンワン!」



女「最後まで可愛くなーい!」



エリ「待て!」



バタン



エリ「何で止めたのよ!」



いちご「落ち着いて、貴女は人間なのよ?施設が潰れても良いの?」



エリ「くっ!」



いちご「今は、とにかくまきを」



まき犬「寄るな!」



エリ「こんなに汚れて…」



まき犬「寄るな来るな人間なんて嫌いだ大嫌いだ!」



エリ「大丈夫だよ、怖がらなくて良いからね」すっ



まき犬「このっ!寄るな触るな噛み殺すぞ」がぶっ



エリ「痛ッ」



まき犬「ざまーみろ!いい気味だ、痛がれもっと」



エリ「大丈夫だよ」にこっ



まき犬「笑うな!そんなに私が可笑しいか!殺してやる殺してやる」



いちご「姫子も呼ぼう」



エリ「まき…」






姫子「こんにちは、大丈夫?」



まき犬「また来たのか!近づくな来るな!」



姫子「これは、普通じゃないね」



エリ「うん、劣悪な環境で飼われて更に肉体的な虐待を受けてたみたいなんだ」



まき犬「だからどうした!可笑しいか?笑いたければ笑え!お前らなんか大嫌いだ」



姫子「さて、どうしようか…」



エリ「私が何とかしてみるよ」



いちご「犬神、大丈夫なの?」



エリ「やってみるよ」



姫子「わかった、任せるよ」



エリ「うん!」




まきの部屋



エリ「ほらっ、ご飯だよ」にこっ



まき犬「笑うなと言ってるんだ!」



エリ「ご飯食べないと元気になれないよ」すっ



まき犬「!」がぶっ



エリ「痛いッ」



まき犬「あはは、おかしいー」



エリ「私の事は幾ら噛んでも良いから食べようね」にこっ



まき犬「笑うな!」がぶっ



エリ「どうして笑うと怒るの?」



まき犬「お前に関係ないだろ!」



エリ「ご飯、置いとくから落ち着いたら食べてね」にこっ



まき犬「笑うな!」



バタン



まき犬「…」




エリの部屋



エリ「いたたた…」



姫子「随分と派手にやられたね」



いちご「落ち着くまでは少し放っておいた方が良い」



エリ「だね、そうするよ」



エリ「心を開いてくれるかな…」



姫子「大丈夫だと思うよ」



いちご「何でわかるの?」



姫子「ペットとは言え、犬なんだから本気で殺す気なら指がなくなってるよ」



エリ「うん」



姫子「まだ、慣れないだけだよ」



姫子「きっと、大丈夫だから」



エリ「だよね、私もう一度チャレンジしてみるよ」





再び まきの部屋



まき犬「ZZZ」



エリ「眠ってしまったんだね」



エリ「まき、必ず助けてあげるからね」



エリ「少し、心を覗かせてね」すっ






まきの夢の中



みんな、笑顔だ
私を飼ってくれるの?
嬉しいな嬉しいな



撫でてくれた
嬉しいな嬉しいな



おしっこ失敗しちゃって怒られた
ごめんなさい



何か、段々冷たくなってきたな
良い子にするから
もっと構って
良い子にするから






何で、殴るの?何で蹴るの?
私は何もしてない
何でご飯くれないの?
お腹空いたよ 喉渇いたよ
助けて助けて助けて助けて
良い子にするから許して



何で笑うの?私はそんなに汚いの?
笑わないで笑わないで笑わないで
頑張るから許して
私は人間の事好きだよ



ご飯食べさせて お願い
このままだと嫌いになってしまうよ…



人間なんて嫌いだ
大嫌いだ


初めて噛んでやった
無茶苦茶に殴られた
ても、痛がってた
ざまーみろ



近づくな触るな構うな




【飼育放棄】狂暴です。飼主に捨てられた子の保護時の様子:


エリ「…」ぐすっ




姫子「まき、どうだった?」



エリ「眠ってた…」



いちご「何かあったの?」



エリ「まきね、とても酷い飼育放棄と虐待受けてた」



いちご「心を覗いたのね」



エリ「うん、でもね」



エリ「まきはそれでも人間の事が好きだった信じていた…」



姫子「…」



エリ「裏切られたんだよ、無惨にもね…」



いちご「じゃあ、神の力を」



エリ「駄目だよ」



いちご「ても、このままじゃ」



エリ「私は犬神、全ての犬を束ねる者」



エリ「ても、その前に今は人間」



エリ「まきには人間として、瀧エリとして向かい合わないと駄目なんだ」



エリ「私が犬神って事言ったら駄目だよ?わかった?」



いちご「…」



エリ「言ったら絶交だからね」



姫子「わかったよ」



いちご「わかった…」



飼育放棄された犬が心を開いた瞬間です!!:



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