とみ「あの人の話かい?」
唯「うん、去年のクリスマスにお婆ちゃんを若返らせた人の事」
憂「私も聞きたいな」
とみ「いいよ」
とみ「あの人との出会いは14歳の時でね」
とみ14歳
米兵「ヘイヘイ」
とみ「や、辞めて下さい…」
米兵「ぐへへへ」ぐぃっ
とみ「いやー誰か誰か助けてー!」
辞めろ!
米兵「?」
とみ旦那「うぉぉー」
米兵「チッ」
とみ旦那「に、逃げた…」
とみ旦那「ははは…」へたっ
とみ「あ、あの… 」
とみ旦那「怪我はなかったか?」
とみ「は、はい///」
とみ旦那「良かった…」
唯「旦那さん、強いね!」
憂「うん、迫力だけで追い払ったんだね!」
とみ「背が高くて体格も良かったからねぇ」
唯「そういえば、高かったね」
憂「何センチくらいあったの?」
とみ「180cm以上はあったんだよ」
唯「その時、お婆ちゃんは?」
とみ「142cmくらいだったよ」
唯「凄い身長差だね」
とみ「そりゃもう、かっこ良かったよ」
憂「そこから、お付き合いしたの?」
とみ「そうだよ、それが縁でお付き合いしたんだよ」
とみ14歳
とみ「あ、あの…お名前お聞きしても良いですか?」
とみ旦那「亨です」
とみ「亨さん、私はとみです」
亨「とみさん、宜しくお願いします」
とみ「はい///」
亨「家まで送って行きますよ」
とみ「そ、そんな悪いです…」
亨「いえ、危険ですから」
亨「さっきのような事が起きないとも限らないから」
とみ「宜しくお願いします///」
亨「とみさん、お年は?」
とみ「私は14歳です」
亨「僕は18歳です」
とみ「大人ですね」
亨「僕なんか、まだまだです」
とみ「そんな事ないです、さっき凄くカッコ良くて頼もしかったです!」
亨「ありがとうございます」にこっ
とみ(カッコいい///)
唯「とみお婆ちゃんは旦那さんのどこが好きだったの?」
とみ「私はあの人が一生懸命働いてる姿が好きでね」
憂「お仕事は?」
とみ「板前さんだよ」
唯「すごーい!」
とみ「働いてる姿を一目見たくて良くこっそり覗いてたんだよ」
板場
親方「馬鹿野郎、六方が綺麗に剥けてねぇだろが!」
亨「はい、すいませんでした!」
親方「さっさと剥いちまえ!」
亨「はい!」
外
とみ「また怒られてる、あんなに言わなくたって…」
とみ「でも、カッコいいな…」
とみ「一生懸命働いてる姿って素敵だな///」
親方「おい、何やってんだ?」
とみ「あっ…」
親方「何か用か?」
とみ「す、すいません直ぐ帰ります!」
親方「いや、帰んなくてもいいけどよ」
親方「何か用か?」
とみ「あ、あの…働いてる姿を見たくて」
親方「亨のか?」
とみ「は、はい」
親方「ちょっと待ってな」
とみ「…」
亨「とみさん…」
親方「お前の彼女か?」
亨「はい」
親方「そうか、良さそうな子じゃねぇか」
親方「好きか?」
亨「はい、勿論です」
親方「そうか、仕事に戻れ」
亨「で、でも」
親方「いいから」
亨「わかりました…」
とみ「わ、私も帰ります」
親方「お嬢さんの家は遠いのか?」
とみ「少し歩かないといけません」
親方「そうか、送って行くよ」
とみ「悪いです…」
親方「亨の事で聞きたい事もあるしな」
とみ「聞きたい事?」
親方「歩きながら話すさ」
とみ「は、はい」
帰り道
親方「とみさん、あんた亨が俺に怒られてるの見てどう思った?」
とみ「どうって…」
親方「カッコ悪いと思ったか?」
とみ「そんな訳ありません!」
親方「…」
とみ「亨さんは怒られても挫けずに一生懸命働いてました!」
とみ「だから、全然カッコ悪いなんて思いません!」
とみ「寧ろ、カッコいいと私は思いました!」
とみ「亨さんは絶対に貴方より凄い板前になって見返してくれると信じています」
親方「…」
とみ「あっ…すいません、生意気言ってしまいました!」
親方「ありがとな、そんなに亨を想ってくれて」
とみ「えっ…」
親方「あんたは素晴らしい女だよ」
親方「これからも亨を宜しくお願いします」
親方「あいつを支えてやってくれ、頼む」ぺこっ
とみ「親方さん、わかりました」
親方「ありがとう」
唯「親方さん、良い人だね」
とみ「親方さんは亨さんの親代わりでねぇ」
憂「亨さんの両親は亡くなっちゃったの?」
とみ「戦争でね、だから可愛くて心配で堪らなかったんだろうねぇ」
唯「デートはどんな事していたの?」
とみ「あの時代は物も今みたいに遊べる場所もなかったから」
とみ「木陰でお話したり一緒にお散歩したりしていたんだよ」
憂「何か、いいな」
唯「お婆ちゃんの両親は何て言ってたの?」
とみ「バレないようにしていたけど…わかってしまってねぇ」
憂「反対されたの?」
とみ「そりゃ、もう…」
とみ父「とみ、こっちに来なさい」
とみ「お父さん、どうしたの?」
とみ父「早く座りなさい」
とみ「う、うん」
とみ母「貴女、私達に言うべき事があるんじゃないの?」
とみ「言うべき事って…?」
とみ父「お前は最近、近所の板前と出歩いてるそうじゃないか」
とみ「…」
とみ母「どうなの?」
とみ「はい、その通りです」
とみ父「もう、会わないようにな」
とみ「何故ですか?」
とみ母「貴女はまだ14歳よ?恋人なんて早いの」
とみ「嫌です」
とみ父「何だと?」
とみ「私はあの人を愛しています」
とみ母「…」
とみ父「お前は私達に逆らうのか?」
とみ「私にも譲れない想いがあります」
とみ母「とみ、お父さんに謝りなさい」
とみ「謝りません」
とみ父「そこまで言うなら明日連れて来なさい」
とみ母「お母さん達に会わせて頂戴」
とみ「わかりました」
最終更新:2014年12月12日 07:56