さわ子「!? キャァァ!!」

ファイブレッド「さわ子ちゃん!!」


 馴れない運転のせいで、石に躓き横転する。
 肘はすりむけ、服は破け、眼鏡は吹き飛んだがそれでも諦めない。




さわ子「放課後ティータイム!!」




 髪を力強く揺らしながらステージに向かって叫んだ。



さわ子「てめーらいつまでそうやってんだよ!! いつまでこんなことやってんだよ!! お前らにとっての文化祭ってのはそんなもんだったのかよ!!」



さわ子「違うだろ!! こんなで終わりじゃねーだろ!! 何のために今まで頑張って来たっていうんだよ!!」



さわ子「田井中律!! てめーは部長だろ!! 部員たちを引っ張らねぇーでどうすんだよ!! お前が率先して、文化祭が終わっても自分たちは一緒だって態度を見せねーといけねぇんじゃねーのかよ!!」


さわ子「秋山澪!! 普段は怖い怖いって言ってるくせに、破壊活動だけはいっちょまえにやんのかよ!! そんな勇気があるなら文化祭で発揮しやがれよ!! このメンバーで成功させてみろよ!!」


さわ子「琴吹紬!! てめーはこいつらとの今までが楽しくなかったていうのか? 違うだろ!! 楽しかっただろ!! こんな事してる場合じゃないだろう!! 文化祭は最高に楽しい!! 私が保証する!!」


さわ子「平沢唯!! てめーはいつもいつも、受験に対しても私の見た中では不真面目な方だったけど、だけど、軽音部でのお前はいつも本気だっただろ!! お茶を飲んでた時も、演奏していた時も!! っ本気の本気だっただろ!! なのに、文化祭にでねーでどうすんだよ!!」


さわ子「中野梓!! 確かに先輩達との文化祭は最後だよ!! だけどな、それで関係が終わるわじゃねーだろ!! お前たちはそんな簡単に途切れる絆じゃねーだろ!! 最後の文化祭を大事にしようとは思えねーのかよ!!」


唯「さ、……わ……ち……ゃん」


律「文か……さい」


澪「さ……いご」


紬「楽……し……か……た」


梓「き……絆……」



コマンドギン「どうした? どうしたというのだ!!」


 突如演奏が崩れ始める。ライブで言うなら酷くグタグタな演奏である。
 これに焦りを見せたのはシュバリエである。


シュバリエ「その女を黙らせろ!!」

ファイブレッド「させるか!!」

シュバリエ「くっ、ファイブレッド!?」


 ボロボロの体でVソードを振りかざす。咄嗟に、自分の剣で受け止めたが動きが封じられる。

 周りを見てみると、他の幹部達もファイブマンに喰い止められていた。
 ファイブレッドはシュバリエを喰い止めながら、さわ子に向かって頷く。



さわ子「いつまでそんな事してんだよ!! それでいいのかよ!! このままでいいのかよ!! おぉい!! 何か言ったらどうだ!!」

さわ子「皆で文化祭を成功させて、何年経っても出会ったら笑って話せるような思い出にしようじゃねぇかよ!!」

さわ子「お前たちならそれが出来んだろ!! 私はな、おめぇらの顧問だから何度だって叫んでやるよ!! だから、いい加減目ぇ覚ませよ!!」



さわ子「放課後ティータイム!!」



唯「放……か……」

律「……ご……」

澪「ティ……」

紬「タ……イ……」

梓「…………ム」



 瞬間、唯達の体を覆っていた黒いオーラが消滅すし、コマンドギンが作り出した楽器が消滅する。
 それと同時に、体を覆っていた衣装も消滅し、制服の姿に戻る。


コマンドギン「馬鹿な……何故……?」


 この状況に一番驚きを隠せないのがコマンドギンである。
 こんな事一度もなかった。


ファイブレッド「今だ!! 必殺!! ファイブテクター!!」

シュバリエ「なにっ!?」


 ファイブテクターのエネルギーを全身に纏い炎の塊となり、シュバリエもろともコマンドギンへと体当たりする。

 強力な必殺技であるがシュバリエがそれを全エネルギーで防ぎ、威力を中和させたため、コマンドギンには大きなダメージを与える事が出来なかった。
 それでも、ステージから引き離すには十分すぎる。


さわ子「みんなぁぁ!!」

唯・律「さわちゃん!!」

澪・紬・梓「「「先生!!」」」


 さわ子は唯達へと駆け寄り力強く抱きしめる。
 その温もりを感じ、唯達もさわ子を抱きしめ涙を漏らす。


唯「ごめんなさい……ごめんなさ~~い!!」

律「ごめ~ん、私達……グスッ……わたし」

さわ子「もういいのよ、泣かないで……泣くのは文化祭が終わってからでしょう」


 指で涙を拭く。
 ファイブレッドは彼女達に近づく。


澪「……学さん……」

さわ子「学君、ありがとう……」

ファイブレッド「俺は何もしてないよ、さわ子ちゃんの思いが、そして、彼女達の絆が闇に打ち勝っただけだよ……。それよりも時間が無い。アーサー、スターキャリアーを!!」


 ファイブレッドの呼び声と同時に飛んできた、ファイブマンが使う2号ロボであり、宇宙飛行用を可能とする巨大な戦闘機・スターキャリアー。


 スターキャリアーはファイブレッドの前に着陸し、中からロボットが出てくる。


アーサー「さわ子ちゃん!! 速くこれに乗るんだ!!」

澪「ひぃ、ロボットが喋った!?」

さわ子「アーサー!? 久しぶり、元気だった?」

アーサー「話は後だ!! 速く!!」


 アーサーは久しぶりの再会よりも、速く乗ることを促す。


さわ子「わかったわ。みんな!!」

律「これって、ファイブマンのロボットの……スターキャリアーじゃ……」

紬「これに乗れるなんて夢みた~い」

梓「なんか、色々とぶっ飛んでますね」

唯「えぇ~、速く乗ろうよ~」


 それぞれ色々な事を言いながらスターキャリアーに乗り込もうとする途中で気付く。

 ファイブレッドのスーツの損傷を。
 スーツは黒き焼け焦げ、斬り裂かれ……スーツから滴る血が痛々しい。
 いや、ファイブレッドだけじゃない。ほかの4人も同じような状態である。


唯「さわちゃん!! ファイブマンは!? 何で逃げないの!!」


 唯はファイブレッドを引っ張ろうとする。


律「唯……無理言うなよ」

澪「そうだ……だってファイブマンは……」


 今まではファイブマンの活躍をテレビで見ても何も感じることはなかった。
 けれども気づいてしまった。
 地球を守る戦士の宿命を……。

 どんなに傷ついても、ファイブマンは逃げることはできない……。
 平和のために戦い続けなければならない。


唯「だって、だって……」


 ファイブレッドは唯の頭を撫でる。


ファイブレッド「唯ちゃん、俺達は大丈夫だ。だから、文化祭を絶対に成功させるんだ」

 優しく語りかける。

唯「でも……」

さわ子「さぁ、行くわよ!!」


 それでも退こうとしない唯をさわ子が引っ張る。


唯「どうして、さわちゃんは心配じゃないの!?」

さわ子「心配に決まってるわよ……でも、私達がいたら戦えないのよ……」


 そして気付いた、さわ子の瞳が赤くなっていることに。
 もうこれ以上に何も言えなかった。


ファイブレッド「アーサー。後は頼んだ」

アーサー「分かった」


 全員が搭乗するとスターキャリアーが発進する。

 ファイブレッドはそれを見送る。窓からは心配そうに見つめる彼女達の姿が見える。
 気丈に振る舞い手を振る。
 彼女たちが見えなくなるまでは、決して弱い姿を見せてはならない。


 ドガーン!! バーン!!


 背後から爆音。
 レッドと同じように、傷だらけのスーツを纏っている4人のファイブマン。


ファイブレッド「健、数美、レミ、文也、大丈夫か?」

ファイブブルー「何とか……まだ大丈夫……かな?」

ファイブイエロー「でも……」


 彼等の視線の先には、銀帝軍ゾーンの幹部達の姿が。


シュバリエ「くっ、己……ファイブレッド……やはり、我がライバルとして十分な奴だ」


 必殺・ファイブテクターを受けたシュバリエは暫くの間動く事が出来なかったが、どうやら持ち直したようである。


シュバリエ「だが、お前たちは眠れる獅子を起こしただけにすぎんのだ」

ファイブレッド「なに?」


 シュバリエの隣には、ファイブレッドの技により破壊されてしまった楽器を身に纏ったコマンドギンの姿が。
 その体は、怒りオーラに包まれていた。

コマンドギン「よくも、私の演奏を邪魔してくれたな!! 貴様らは殺す、殺して、貴様らの骨を楽器の一部としてくれるわぁ!!」

 コマンドギンだけではなく、それぞれの武器を構えるビリオン、ドルドラ、ザザ、ついでにドンゴロス。


シュバリエ「ファイブマン、今日こそお前たちの命日となるのだ!!」

ファイブレッド「負けるものか!! 行くぞ!!」


 ボロボロの体を動かしてゾーンの怪人たちに向かっていった。それが勝ち目のない戦いと知りながら。


 ―桜が丘高校・講堂。


生徒会「会長、もうこれ以上軽音部を待つことは無理ですよ」

和「分かってるわ……でも、後ちょっとだけ待って、唯達は……今年が最後の演奏なのよ」

生徒会「それは、そうですけど……でも、もう時間が」

和「そう。だから、軽音部が今やらないと本当に中止になっちゃうの。だから、もうちょっと待って」


 既に講堂はたくさんの生徒で賑わっている。
 和は時計を見る。既に十分開始が遅れている。
 こちらではさわ子に頼まれた全てを済ませたというのに……いったい何を。


唯「あぁ!! 和ちゃん!!」

澪「はぁ……はぁ、何とか間に合ったかな?」

梓「やっぱり、音楽室に戻ったのが……はぁ、不味かったんじゃ、はぁ……ないですか?」

紬「でも梓ちゃん、このTシャツとか、さっきの決意表明とかよかったじゃない」

律「うぉっ、もう楽器がセットしてある!? ついでに、まだ大丈夫だよな?」


 遅れて舞台裏にやって来た放課後ティータイム。
 先程、スターキャリアーから降りた後、音楽室へと戻り、そこでさわ子から受け取ったお揃いのシャツを着ている。


和「みんな、遅刻よ。早く初めて」

律「りょーかい」

唯「ありがとうね、和ちゃん」

和「いいから早く」


 全員それぞれの位置に着く。
 これで準備は万全である。和は幕を上げるように指示する。


『大変長らくお待たせしました。ただいまより、桜高祭のメインイベント放課後ティータイムによる演奏です』


律「ハードル上げるなよ、和~」


 歓声と拍手と一緒にゆっくりと幕が上がる。
 彼女達が最初に驚いたのは自分達と同じTシャツを着ている生徒たちの姿であった。


唯「なに、なにこれ~?」

梓「みんな、私達と同じTシャツ着てる」

律「もしかして、さわちゃん!?」


 さわ子の方を見てみると、Vサインを返してきた。
 それで分かった。さわ子は自分たちが帰ってくるのを信じていた。
 だからこそ、Tシャツを配るように頼んでいたのだ。


 さわ子が無理に笑顔を作っていることが分かる。
 ゾーンと今も戦っているであろう、ファイブマンの事を思っているのだ。


 自分達に出来る事は……。


律「唯……一曲目、変更だな」

澪「そうだな、先ずは予定になかったけどあれからだな」

紬「こういう土壇場の変更って何かいいわよね」

梓「いいんじゃないですか……私達らしくて」

唯「うん、じゃあ、行くよ」


 唯「皆さん聞いてください。実をいうと、今日私達はある人達に助けれられました!!」


「助けられたって?」

「いったい何の話なんだろう?」

「お姉ーちゃん。何があったんだろう。怪我とかしてないかな?」


唯「今もその人たちは私達、ううん、地球のために戦っています。どんなに傷ついて、倒れても、何度でも立ち上がって」



さわ子「あの子達……何をする気なの?」



唯「いろいろ考えたんですけど、私達に出来る事は歌を送る事だと思います。よかったら、皆も一緒に歌ってください!!」


「勿論だよ~、唯」

「澪先輩と一緒に歌えるなんて~」

「がんばれ~放課後ティータイム!!」



唯「それでは、一曲目行きます!! 地球戦隊ファイブマン!!」


 曲名を言うと、それぞれ頷きあい確認する。


律「1,2,3,4!!」



唯「1・2・3・4・5!! ファイブマーン!!」


 採掘場。

 爆音が響き渡り、地面に叩き付けられる5人。
 それと同時に、ファイブマンの姿が維持できなくなり、変身が強制的に解除してしまう。

 もはや、目を開く力さえ残っていない。


シュバリエ「ここでお終いだな……ファイブマン。どれ、止めは俺が刺してやる」



―危険に今、命を張れ!! 地球が危ない!!―



学「……聞こえる……」

健「この歌は……」



―銀河でただ1つきりの 虹が降る星―



レミ「唯ちゃん……ううん、もっと沢山の声」

数美「不思議……力が湧いてくる」

文也「……もう一度戦える……」


「「「「「うぉぉぉぉぉぉっ!!」」」」」」



シュバリエ「何だ!? この光は!!」


 光に包まれながら立ち上がる5人。
 眩い光が辺りを包むと、体の傷が癒え、自然とファイブマンへと変身が完了する。


「地球戦隊!!」

「「「「「ファイブマン!!」」」」」


 スーツの傷も消え、力強く名乗りを上げる。


シュバリエ「馬鹿な、何故再び立ち上がれる!?」

ファイブレッド「分からないのか? 歌が聞こえたんだ」

シュバリエ「歌だと……そんなもの聞こえないではないか?」

ファイブレッド「いや聞こえる、俺達を応援する歌が。それが、俺達に力を与えたんだ!!」

ファイブイエロー「どんなに離れていても、私達を思う声は聞こえるのよ.!!」


 突然のファイブマン復活にうろたえるゾーン。


ファイブレッド「行くぞっ!!」


 ゾーンに向かって走り出す。


シュバリエ「怯むな、やれ!!」


―奇跡の絆で―



ファイブイエロー「メロディタクト!! はぁ!!」

ザザ「うわっ!!」


 華麗なカンフー技から流れるように、メロディタクトでの攻撃。
 ギンガイエローとザザをタクトのリボンで捉える。


ファイブイエロー「メロディパワー!!」

 ザザとギンガイエローはリボンから流れるエネルギーを浴びる



―結ばれた―



ファイブピンク「キュティサークル!! サークルフィニッシュ!!」


 得意のフェンシングを応用した必殺技をドルドラとギンガピンクに浴びせる。


―熱い熱い 熱い炎を 上げろ―!!―



ファイブブラック「スピンカッター!!」

ビリオン「ぐぉっ……」


 パワーカッターから繰り出される円盤状のカッターがビリオンやギンガブラック、それにバツラー兵を襲う。


―Wow Wow Wow マイブラザー―



ファイブブルー「ツインアレイ!! ハァッ!!」

シュバリエ「何だ、この力は……?」


 バク転からのツインアレイにより力強い一撃がシュバリエに決まる。
 続けざまに宙返り気味の足蹴りが浴びせられシュバリエは吹き飛ぶ。


ファイブブルー「お前もだ!! とりゃっ!!」


 続けざまにギンガブルーにも喰らわせる。
 戦車さえも破壊する威力のそれを喰らっては、銀河闘士と言えども一溜りはなかった。


―Wow Wow Wow マイシスター―



ファイブレッド「はぁっ!! とりゃっ!!」


 Vソードでギンガレッド、ドンゴロスを斬る。


コマンドギン「己ぇ、貴様さえ邪魔しなければ!! ピック爆弾!!」


 怒りに任せ、ピック爆弾を繰り出すがVソードで全て弾かれる。


―救えよ 美しい 星の命を―


ファイブレッド「Vソード!! アタック!!」

コマンドギン「ぬっ、うわぁァァァァァァ!!」


 咄嗟に指揮棒状の剣で受け止めたが、今のファイブレッドのパワーはそれさえも破壊してコマンドギンの体を斬り裂く。
 切り傷から火花があふれ出る。


―Wow Wow Wow マイブラザー Wow Wow Wow マイシスター―



ファイブレッド「スーパーファイブボールだ!!」

「「おぉ!!」

「「OK」」


 何処からもなく取り出したのは赤いボール状の爆弾である。
 ゾーンの幹部はその威力を知っているからこそ、一歩下がるが、怒りに身を任せたコマンドギンは突っ込んでくる。

コマンドギン「おのれぇぇぇ!! ファイブマァァァァァァン!!



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