第2話「ゲル状がいいのぉ〜」

ある日の放課後。私はいつものように部室に向かっていました。

いつもの廊下を渡り、いつもの階段をのぼり。

そして私はいつものように部室のドアを開けました。

しかし、中に広がっていたのは異様な光景でした……

ガチャ

梓「こんにちはー」

いつものように挨拶をしながら、私は部室のドアを開ける


紬「梓ちゃん、こんにちは」

私が部室の中に入るとすぐに ムギ先輩の声が聞こえた

扉の位置からはムギ先輩の姿は見えなかったが きっとお茶の準備でもしてくれているのだろう

梓「ムギ先輩、お早いですね」

扉を閉めながら 私はムギ先輩にねぎらいの言葉をかけた

梓「あ!ムギ先輩!私も手伝いますよ」

私はムギ先輩がお茶の準備をしているのだと思い込み、食器棚の方に向かった

梓「え」

しかし、私はその途中で足を止めた


            ´         `ヽ
          /      ∧   ヽ \
          /     /  / ヽ   |  ヽ
         ,'      |   /二 ヽVヽ/ゝ  }   こんにちは、梓ちゃん
         |  |   |  /    }/  ヘ∧{   
         |  |   |/ ●     ● /:::::}
       , 、 ,, } r|   |⊂⊃     ⊂⊃:::::{--、,,
    ─(_)/ ヽ|   |    ▽    |:::::|⌒)   `, 
   (                       ̄  ,r‐
     ̄つ    '⌒'           ,r─‐‐''
     (´              ,r──'
       ̄ ゙̄'───--------‐'
食器棚の前に液状のムギ先輩がいたからだった


梓「えっ!?ちょっ!?まっ!!」

あまりに突然の出来事に 私は混乱してしまった

紬「今 お茶淹れるわね」

それに対して ムギ先輩は何事もないかのように私に話しかけた


梓「な、なんでムギ先輩 そ、そんな姿になってるんですか!」

ようやく落ち着きを取り戻した私は ムギ先輩に質問をぶつけた

紬「わからないわ〜、なんか気づいたらこうなってたの♪」

そう言いながら紬はニュルニュルと地面を這う

梓「てかなんでそんなに楽しそうなんですか!」

私は まったく危機感を感じていないムギ先輩に向かって大声で叫ぶ

紬「だってこんな経験めったにできないじゃない♪」

梓「……」

正直 どんな状況でもすぐに適応できるムギ先輩はすごいと思った


梓「でもいつ……その……ムギ先輩はそんな姿になってしまったんですか?」

私は動揺を抑えながらムギ先輩に質問した

紬「さぁ……なんか部室に来てしばらくしたらこうなっていたわ」

梓「そんなことありえるんですか……」

正直そんなことあり得るわけがないと思ったが

現実に目の前に液状化したムギ先輩がいるのも事実だった


梓「ま、まぁとにかく!元に戻る方法を考えましょう!」

私は声を張り上げて提案した

紬「そうね……」

やっと事態を重く受け止めたのか 紬も真剣な口調で返事をした

梓「まぁ、まずは液体ということですから冷凍してみましょう!」

梓は軽い口調で凄いことを宣った

紬「れ、冷凍……?」

梓「そうです。液体を固体にするためには冷凍すればいいんですよ」

梓「幸い部室には冷蔵庫があります。さぁムギ先輩、冷凍庫に入ってください」ガラッ

紬「え、ちょ……梓ちゃん!?まっt」

バタン

紬の返事も待たずに梓は液状の彼女を容器に入れ 冷凍庫に入れた

ガチャ

部室の扉が開き 澪が入ってきた

澪「やぁ梓、おはよう」


澪「……あれ?梓しか来てないのか?」

澪は部室を見回しながら言った

梓「あぁ、ムギ先輩が冷凍庫の中にいます」


澪「……え?」

澪は梓の言っている言葉の意味がよく分からなかった

澪「あの……梓……? それは……どういう……?」

澪はおそるおそる梓に質問をぶつけた

梓「あぁ、ムギ先輩が液体になってしまったので冷凍庫で凍らせているんですよ」

澪「梓……」

澪は梓が日ごろのストレスでおかしくなってしまったのだと思った


梓「ちょ……! なんでそんな哀れむような目で見てくるんですか!」

梓は口を尖らせながら 怒りっぽい口調で言った

澪「いや、だって……ムギが液体になったとか、冷凍庫に入れたとか梓が変なこと言うから……」

梓「本当ですって!私が部室に来たらムギ先輩が液状化していたんです!今 証拠を見せますよ」ガラッ

梓はそう言いながら 冷凍庫の引き出しをゆっくりと開けた

澪「こ…これは!」



       _________________________
      /|/       .──── ./                 / /|
     //|/    ´         `ヽ,/ /       . . / /  |
   ///|   /      ∧   ヽ \        .  / / /.////|
 ///    /     /  / ヽ   |  ヽ     .// / /.     |
 | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  |     ..|
 |   /     |  |   |  /    }/  ヘ∧{            .|/////// |
 | /     ´|  |   |/ ○     ○ /:::::}           |      .|
 |   .       } r|   |⊂⊃     ⊂⊃:::::{      /.     |        |
 |.     .   / ヽ|   |    △    |:::::|      /    /|////////|
 |     .   //  i f⌒ト.       ィ⌒ヽ         ./|     /
 |      ̄ ̄ ̄ ̄`ー'  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ `ー'  ̄   /     /|/////
 |             //                       |  /
 |///               //             |/
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
冷凍庫の中には氷づけになった紬の姿があった

梓「よい…しょ!」

梓は凍った紬を冷凍庫から取り出す


澪「えっ!ムギ!ちょっ、えっ!?大丈夫なのか!?」

澪は手をばたばたと動かし 相当あわてながら言った


梓「思った通り固まりましたね……あとはムギ先輩を覆っている氷を溶かすだけです!」

慌てふためいている澪とは対照的に 梓は冷静な口調で言った

澪「でも……氷がかなり分厚いぞ…… どうやって溶かすんだ?」

澪の言うとおり紬を覆う氷の体積はかなり大きなものであった

梓「そこまでは考えてませんでした……」

ガチャ

澪と梓が思案にふけっていると、再び部室の扉が開く音がした

律「おーっす……って、ええっ!!?」

律が部室に入るといきなり 氷づけになった紬の姿が彼女の視界に飛び込んできた

律「え……あの……えっ!?ムギ凍っ……!?一体何がどうなってんだ!?」

律が驚くのも無理がないことであった


澪「あー、ムギが液状化しちゃってそれを凍らせたものを今取り出したところなんだ」

対して澪は真面目な口調で律に説明を加える

律「はぁ!?何言ってんだ澪!?」

律は澪がおかしくなってしまったのだと思ったが 現に目の前に凍った紬の姿があるのもまた事実であった

梓「律先輩……なにか氷を溶かすいい方法ありませんかね?」

梓も真剣な表情で律に質問をする

律「これ……現実なんだよな……?」

そういいながら律は氷に触れてみたが どうやら本物の氷の中に紬がいるのは間違いなさそうだった

律は 現実に紬が凍っていると認めざるを得なかった

律「そうだ!」

突如頭にインスピレーションがわき 律が叫んだ

澪「?何か思いついたのか!?」

澪は期待の眼差しを律の方に向ける

律「あぁ!澪と梓がイチャイチャすればいいんだよ!!」


澪梓「……へっ?」

澪と梓は、すぐには律の提案がどういったものかを理解することはできなかった

律「要するに、二人がイチャイチャしてお熱くなればいいってことだよ!」


澪梓「!? ええっ!!?///」

澪と梓は不意をつかれたような 素っ頓狂な声を出した


律「つまりだな、澪と梓が抱き合ったりすれば熱気が生まれるだろー?それを利用するんだよ」

律は名案とばかりに 得意気な顔をして言う

澪「な…!お前そんなので熱が発生するわけないだろ!///」

梓「そ、そうですよ!おかしなこと言わないでください!!///」

澪と梓は顔を真っ赤にして反論する

律「でも……お前ら顔真っ赤っかじゃん。めちゃくちゃ熱出てそうだぞ」

澪「!///」 澪は自分の頬を手で触ってみたが確かに体温が上がっているようだった

梓「確かに熱は出てますけど!澪先輩と私が…して…それで氷を溶かすだなんて……!///」

梓の頭は今にも沸騰してしまいそうだった

律「まぁものは試しっていうじゃん!とりあえずやってみようぜー!」

律はまるで他人ごとであるかのように言った

澪「ちょ……!お前本当は面白そうだからそんなこと言ってるんだろ!」

澪は恥ずかしさから思わず大声を上げてしまう

しかし律は 真剣な表情で澪に言い返した


律「いいか!澪!ここにいるムギがずっと凍ったままでいいのか!?」

律「やってみないで効果がないと判断して諦めてしまっていいのか!?」

澪「!!」

律の言葉を聞き 澪の目の色が変わった

澪「わかった 律、わたしやるよ。 よし!梓!行くぞ!!」

澪は真剣な口調で力強く言い放った

梓「えっ!?ちょっ……!澪先輩!?まだ心の準備が……!」

梓は手をブンブンと振り、たじろぎながら 澪の方を見る

澪「梓……!」

澪は氷の中の紬に目を向けた後、訴えかけるような まなざしで梓を見つめた

梓「……わかりました」

澪としばらく目を合わせた後 梓は決意の言葉を述べた

梓「澪先輩、私たちが熱を出してムギ先輩の氷を溶かしましょう!」

梓は拳を高く上げ力強く宣言した



澪「よし……!梓!行くぞ!!」

梓「はい!!」

                        _      _ -_'. '─- . ._|. ',::ヽ  >.-´ : : : : : : : :`: -.、    l:::'
                        |:l:ヽ..、_..//: : : : : 、 : : : `. .'、./: : : :!: : : : : : i: : : : : :ヽ  /:/
                         !::',` .ヽ`:/ : : : : : : : : ',、: : : : : :/: : : : :/|: : : : : : :|: : : : : : ::'.:::/::'.,
                          ,:::ヽ .l:,' : : : : : ',: : : : ',ヽ: : : :/: : : : : :l .!: : : : : : ||::!,: : :|: : : ',: : : 〉
                        ∧::::ヽ':| : : : : : : ',: : : |',.' ヽ : l: : : : :|: ,'_.|:i: : : : i: l_!|_': : l : : : |: : :i: :ヽ
                           /: : ヽ:::`i: : : : : : : :| ', : !.||  ',l,|: : : : :!|::| |l': : : /!,' リ`',: :| : : : l: : :|: : : ヽ
                      /: : : : : ',:::', : : : : : : |,-!: l リ    ',: : : :| リ  v',: :/.リ   i:i, : : : ,': : :| : : : :|
                      /: ::!: : : : :',:::,:: : : : : ::l レ     ヽ: : :l ._- .V  -_ リ,|: : : ,', : /i:: : : :|
                       //: :|: : : : : :',::',: : : : : :|  --    '´ヽ,:|´.¨`    ´ ̄` , : : ,'/ :/ .' : : : |
                       //,': :|: : : : : : :',:',: : : : :,' x==-      ヽ ::::: '   ::::::: ./: : : /--, .|: : : !
                    /:/ ': : |: : : : : : : ',i,',: : : :', :::::::::    ' ::::: !    -‐ 、  ./: : /´  ', l:: : ::|
                      /:/ ., : : |: : : : : : : : :`.'., : : ',     , --,  /: :ヽ 、 ` ´ . -/::/   i } !: : : |
                  ,..'::/ ':: : ::|: : : : : : : : : : : :>.--ヽ _ `_´_ / : : : | ` - .´ //   /ヽ´ |:: : ::|
                   ,. : :/ .,: : ,'::l| : : : : : : : : //           ̄ ‐-., _ _ /    /.   i .|:: : ::|
                /::, '.  ,' : /l::,'|: : : : : : : :/ i               |       /,  r-‐__7|:: : ::|
               /: :, '  /: ::/,'::i l: : : : : : : i  l    、           |      , '/    =ニ.ニ.ノ!: : : !
               /: : /  /: : / ':,' .l: : : : : |: :l  ヽ - _ヽ         |-‐ .T  ̄ /    {_ニノ´.|: : : |
          /: : :/.   /: : / ,':,' i: : : : : :!: :!    `-´  l, ヽ、      ,' i   ',  /      }  .l: : : :!
         , ' : :/.    , ': : / ./:/ ./: : : : :/|: :',       |: : :| `´  ̄  t-'.  '  ヽ/       |   !: : : |
         /: : /     /: : :/ // ./: : : : : , .l: : l         ': : :,'      |    i   ヽ-、   /   .|: : : :!
.        / : , '     /: : // // , ' : : : : : //: : :|      ,': : :,      l    ',      /¨/'´    |: : : :|
       /: :/     ,: : :/リ /'/: : : : : : :/ ,: : : :l      | : : |      /    ヽ、  / ./     .!: : : :!
        / :/     」 - ´, . '´: : : : : : : :/ /: : : :,'        |: : :|ヽ、_ /       `  /      |: : : :|
.       /: /    /´  /: : : : : : : _ -‐´ /: : : : ,       l: : :l   |              i       |: : : :|
      /: /   /  /: : : : : : , ´ .l | /: : : : :l        ヽ: :|  .l              ',       |: : : :!
.    ,': :,'   /   /: : : : : : /   | l./: : : : : :!         ヽ/              ヽ.       |: : : :!
    i: : '  /   /: : : : : /     ', ./: : : : : : |          /                 i     |: : : |
そう言うと、澪と梓は互いに身を寄せ合った

律「ヒューヒュー、お熱いですな!お二人さん!」

律は冷やかしの言葉をかけたが 二人から発せられる熱にとっては焼石に水であった

澪「梓…///」

梓「澪先輩…///」


シュウウウウ…!

澪と梓が抱き合ってから数分後、部室に氷が溶ける音が響きわたった

律「……!氷が…溶けていく……!」

しばらくして紬を覆っていた氷は全て溶解した

紬「あ…?私は……?」

紬の姿も元に戻り 意識もはっきりしているようだった

律「ムギ!大丈夫か!?」

すぐに律が紬のもとへ駆け寄る

紬「えぇ……私は大丈夫よ、りっちゃん……」

律に返事をした後、紬が部室を見回すと 身を寄せ合う澪と梓の姿に気づいた

紬「梓ちゃんたちが氷を溶かしてくれたのね……!ありがとう!」

紬は二人の方を向き 感謝の言葉を澪と梓に述べた

紬が元に戻ったことに気づくと 澪と梓は互いの体を離し、紬のもとへ駆け寄る

澪「ムギ!元に戻ってよかったよ!」

梓「ムギ先輩!私もムギ先輩が絶対もとに戻るって信じてました!」

澪と梓は安堵したような表情で紬に話しかけた



律「よーし!ムギも元に戻ったことだし!お茶にしようぜ!」

律の元気のいい声が部室に響きわたる

紬「はい!今お茶の準備するわね!」

律の声に応えて 紬も張り切ってお茶の準備を始めた

・・・・・・


次の日の放課後。私はいつものように部室に向かってました。

梓「ほんと、昨日は大変だったな…」

私は昨日のことを思い出しながら いつもの廊下を渡り、いつもの階段をのぼりました。

そして私はいつものように部室のドアを開けました。

梓「こんにちは〜」

紬「こんにちは♪」

私が挨拶をするとムギ先輩がすぐに挨拶を返してくれました。

               , -────────-- 、
             /                \
           /                     \
       ___/_                       \
    ´        `丶、         ,,,, -─--、     ヽ
 /   /           \       /      ヽ    l こんにちは、梓ちゃん♪
./ /  /{.    ∧ │ │  ヽ、   /   _    l   |
| {  厶{    /_厶.  |    │  /   /  ヽ  /    ノ
|八./\)  /(/∨   |   l八|  /    i  ヽ_ノ  /   /
| リ ●\/ ●  .|/ │    }| /      \___ノ    /
|:Y  ,,    ,,  /   ∧  ノ ノl  l             /
|介::.. _▽ __ /  厶イ丁Y;/__!、___________ノ


……かたつむり姿の。

梓「もうヤダこの部活」





3