・・・・・・
部活終了後
梓の家
梓「うーん、今日は久々にみっちり練習できたなー!」
梓「先輩方もちゃんと練習すればもっともっと上手くなるのに……、なんだかもったいないよね」グゥー
梓「あっ……。お腹鳴っちゃった///」
梓「今日は練習前、あんなにケーキ食べたのになぁ……。まあそれなりにハードな練習をしたからだろうけど」
梓「とりあえずジュースでも飲もっと」キュポッ
梓「〜♪」ゴクッ
ズキッ
梓「……っ!?」
梓「い、いたっ!?ジュ、ジュースが歯にしみて……?」
梓「まさか……これって……」
梓「いや、冷静になれ私。たまたましみただけかも。とりあえずもう一口……」ゴクッ
ズキッ
梓「〜〜〜!!」バタバタバタ
梓「そんな……!まさかこれって……虫歯!?」
梓「バナナケーキ食べ過ぎたからかな……?と、とにかく歯医者さんに行かなきゃ」アセアセ
梓「でも私、歯医者さんって行ったことないからなぁ……。確かテレビとかで見る歯医者さんのイメージって……」
梓の想像
歯医者『はい、じゃあ口を大きく開けてねー』
梓『は、ひゃい……』アーン
歯医者『あー、こりゃけっこうすごいねー……。じゃあドリルで削っちゃうねー』スチャッ
梓『!?(そ、それを口に入れるんですか!?)』
歯医者『じゃあいきますよー』ギュイイイン
梓『うにゃぁあああああ!!!?』
梓「ひぃぃっ!!」ブルブル
梓(は、歯医者怖いよぉおおおおお!!)ガタガタ
梓「……そうだ、もしかしたら自然に治るかも…。うん!きっと治るよねっ!!」
梓「とりあえず、歯医者行くのはまた今度にしとこ……」
アズサー、ゴハンヨー
梓「あ、ごはんどうしよ……」
梓「(と、とりあえずここは!)き、今日は外で食べてきたからいらなーい!」
梓(ふぅ……、これでしばらくはなんとか……。明日の朝ごはんも寝坊したとか言えば食べなくて済むし……)
梓「それからどうするかは明日考えよっと」
梓(あぁ、そんなことを考えてるうちに睡魔が……。今日はたくさん練習して疲れてるからか…な……)
梓「……zzz」グー
翌朝
梓「い、行ってきまーす!!」ガチャ
梓(まさか本当に寝坊しちゃうとは……)タッタッタ
ズキッ
梓(うっ……。走るとちょっと歯が痛む……)
梓「や、やっぱり今日は歯医者に……」
梓(そういえばそこの角を曲がったところに歯医者さんがあったような……。しかもあそこは確か朝早くからやってたはず…!)
梓「確かこの角を曲がって……」
梓「あ、あったあった。あれだ」
梓(……今日はやってるのかな?)スタスタ
ガチャ
梓「!」(歯医者の中から人が!)サッ
スネ夫「うわぁあああん!ママァア!!怖かったよぉお!!!」
スネママ「頑張ったわねー、スネちゃま。あとでご褒美にケーキをあげるザマスね」
スネ夫「うん……」グスッグスッ
梓「……」
梓「……やっぱり今日行くのはやめておこうっと」クルッ
梓「って!もうこんな時間じゃん!!はやく学校行かなきゃ!」ダッ
ズキッ
梓「…いったーい!」
・・・・・・
そんなこんなでお昼休み
梓(なんか歯がときどき痛んで授業に集中できなかった……)ズキズキ
純「あーずさー。お昼食べよー」
梓「えっ……? あ、うん……(一応おひるは持ってきたけど……。歯痛いし…)」
梓「あ、やっぱ今日はいいや。お腹減ってないし」グゥー
梓「あっ……」
純「いやバリバリお腹鳴ってるじゃん! 何ー?梓ももしかしてお昼忘れたのー?」
梓「いや、そういうわ……(いや、待てよ。おひるを忘れたことにしておけば食べなくてすむかも)」
梓「……けなの!そうそう!今日は私、遅刻しそうになってたでしょ?だからお昼忘れたの!!」
純「ふーん、そうだったんだ。それは残念だねぇ」
梓「うん。あー残念だなーみんなとお昼食べられなくてー(ふぅ…これでなんとかなりそう)」
純「でも心配しなくていいよ、梓。こんなこともあろうかと今 梓の分まで憂がお昼ご飯買いに行ってるから」
梓「……は?」
ガララッ
憂「純ちゃーん。買ってきたよー」
純「あ、噂をすれば、だね。 憂ー、おつかれー!」
梓「え、あの……これはどういう……?」
純「あー、ただ私も憂も今日はお弁当忘れたから 憂に私の分も買ってきてもらったの!もちろん自分のお金は出したよ!」
純「本当は私が自分の分は食べるつもりだったけど……かわいそうだから梓にも少し恵んであげるよ」
憂「え?梓ちゃんもお弁当忘れたの?珍しいねー」
純「でも良かったね、梓。この心優しい私という友達がいて…。 さあ梓、好きなパンを一つ選びなされ!!」
梓「い、いやいやいやいいって!!そんなことしてもらっちゃあ純に悪いよ!」
純「遠慮すんなって。ほら、食べなー」ベリリッ
梓「本当に大丈夫だってば!」
純「むぅ……。なんでそんなに遠慮するんだい、梓は…」
憂「あ、もしかして」
純「ん?何ー、憂?」
憂「梓ちゃん、もしかしてダイエットしてるんじゃない?」
純「えっ!?」
梓「!!(ナイス憂っ!!)」
梓「そ、そうなの!!実は最近太ってきちゃってさー、昨日からダイエット始めたの!」
梓「放課後にケーキとか食べ過ぎたからかなー、だから今日はお腹がへっても何も食べないって決めたんだー、あー残念だなー」
純「えー……。でも私にはとても太ってるようには見えないけどなー」
純「むしろちっちゃいんだから もっとたくさん食べた方が……」ジー
梓「ちょっ……! どこ見て言ってんの!」
梓「ともかく!私はもう決心したんだから!! 今日は何も食べないからね!」
憂「……だって、純ちゃん」
純「そっかー……。じゃあしょうがないね、そんならお昼は二人で食べよっか、憂?」
憂「そうだねー……。ちょっと残念だけど」
梓「(よかった、なんとかなった……)じゃあ私は本でも読んでるn」純「スキありっ!!」ズボッ
梓「モゴッ!!?」
梓「ひょっ……!ひゅん、はにふんほよ!!」モゴモゴ
純「へっへーん。油断大敵だよー、梓ー」
純「大体、ダイエットしてるとしても お昼ご飯抜いちゃ体がもたないよ」
憂「そうだよ梓ちゃん。お昼はちゃんと食べておいた方がいいよ」
梓「もごごご……!(そ、そんなこと言われたってー!! は、歯が痛くて……)」
純「……?いつまでもごもごしてんの、梓?そのパンそんなに固かった?」
梓「いひゃ……ひょういうはへはひゃいへほ……(どうしよう……この状況)」
純「噛めないんなら私が手伝ってしんぜよう」ガシッ
梓「へ……? ひゅん、ほうひはほ、ひょつぜんひゃたしのはたまとひゃごをふかんで……」
純「えいっ」グッ
梓「!!? いったぁー!!?」
梓「モグモグ……ゴクッ」
梓「ハァー、ハァーッ……。な、何するのよ純……」
純「いや、梓があまりにも食べづらそうにしてたからさ、何か私にできることはないかなって。…ちょっと力入れすぎたかな?」
梓「ほんと勘弁してよもう……。まだ歯がいたいよ……。ズキズキいってるし」ズキズキ
純「ごめんごめん」
純「……ん?歯がいたい……?」
梓「あっ!!(し、しまった!)」
梓「いや違う!いいい言い間違い!! 羽交い(絞めし)たいって言おうとしたの!ほら、よくあるじゃん?略語って!」
純「その略語使うタイミングあるの!?」
憂「ねぇ梓ちゃん……本当にダイエットなの? 私たちに何か隠してない?」
梓「う、憂たちに隠し事なんてするわけないじゃん! 本当にダイエットだって!!」
憂「……本当かなー」
純「確かに、あやしいねー。これは間違いなく何か隠してるよ」
梓(ヤバイヤバイヤバイ…。これでもし虫歯だってバレちゃったら……)
梓の想像
憂『え!?梓ちゃん、虫歯だったの!?』
純『これは大変だ!すぐに歯医者さんに連行しなきゃ!』ガシッ
梓『ちょっ……!まだ心の準備が……』
憂『問答無用だよ、梓ちゃん』ガシッ
梓『ま、まって!お助けー!!』
チュイイイイイイイン
ウニャアアアアアア!!!
梓(ひぃっ……)ガタガタ
梓(そ、そんな事態になるのは絶対に避けなきゃ!!)
憂「梓ちゃん?どうしたの、今度は急に震えて……?もしかして風邪?」
梓「う、ううん。そういうわけじゃないk(いや待て。ここは風邪をひいたということにして離脱すれば、しばらくは……!)」
梓「……というわけでもなくて、あー確かに風邪かもー、最近寒くなってきたからなぁー、ゲホッ!ゴホッ!」
純「うわ……すごくわざとらしく見える」
梓「…とにかく!私はきっと風邪ひいたの! というわけで念のためちょっと保健室行ってくるね!!」ダッ
純「めちゃくちゃ元気じゃん!」
ガララ……バタン
純「……本当に行っちゃった」
憂「……ねぇ純ちゃん」
純「分かってるって。あれは間違いなく」
純憂「虫歯だね」
純「そうと決まれば、早速捕まえに行こうか、憂」ガタッ
憂「そうだね」ガタッ
・・・・・・
梓(なんとかピンチは脱出できた……)
梓(それにしても疲れた……。保健室では寝ちゃおっかな……って)
梓「あれ!?保健室閉まってる!?」
梓「そんな、急になんで……?」
ピンポンパンポーン
梓(ん?放送……?保健室関連の放送かな?)
放送『えー、2年の
中野梓さんにお知らせです。あなたが虫歯であるということは分かっています。至急校門の前まで来なさい』
梓「」ブッ
梓「てかこの放送、純の声じゃん!? ど、どうして私が虫歯だってわかったの……!?」
梓「とりあえずここに居ちゃダメだ、逃げなきゃ!!」アタフタ
梓「とりあえずどこか人がいない所に……! そ、そうだ、屋上だ!屋上に行こう!!」ダッ
・・・・・・
屋上
ガチャ……
梓「……」ソーッ
バタン
梓「よかった、誰もいないみたいです」ホッ
律「……そうだな」
梓「はい。良かったですよ、誰もいなくて」
梓「……ん?」
梓「!?って律先輩!!?(待ち伏せされてた!?)」
律「よっ。梓」
紬「私たちもいるわー」ヒョコッ
唯「あずにゃんも屋上にお昼食べにきたのー?」
梓「いや、あの、私は……(あれ…捕まえようとしてこない…? 先輩たちさっきの放送聞こえてなかったのかな)」
梓「あの、先輩方さっきの放送聞こえましたか……?」
律「えっ…?放送?そんなのあったのか?」
紬「ここは屋上だから校内放送は聞こえないのかも」
澪「梓、何か重要な放送だったのか?」
梓「い、いえいえ!大丈夫です(よかった…。どうやら私を捕まえに来たわけではないみたい)」ホッ
唯「そんなことよりあずにゃん、今日はムギちゃんが新作クッキーを持ってきてくれたんだけど、あずにゃんも食べる?」
梓「えっ…?クッキーですか……?(ま、また食べ物……)」
梓「……今日はお腹減ってないんで大丈夫です」
紬「そう?せっかく持ってきたのに残念だわ」ガックリ
梓(あぁムギ先輩そんなに気を落とさないでください!)
律「でも腹減ってないってことは梓は屋上に何しに来たんだ?」
梓「そ、それは、そのですね……。えと…」
律「まさか憧れの澪先輩に会いに来たとか!」
梓「もう、そんなんじゃありませんよ/// 私はただ歯医者から逃れるために来ただけです。からかわないでくださいよ」
律「だよなー」
アハハハ……
澪「……え?」
梓「あ」
澪「え、何 梓、歯医者って……?」
梓「いや、あの、それは、そのう……」
紬「梓ちゃんもしかして虫歯なの?」
梓「あ……う……(ヤバイヤバイヤバイよこの状況!!)」
梓「……あっ!!あんなところにUFOが!!ものすごい勢いで飛んでますっ!!ブォンブォンいってます!!」
澪紬「えっ?」クルッ
梓「スキありですっ!」ダッ
律「あ!に、逃げた!!」
唯「な、なんて古典的な……!」
律「引っかかる方もあれだけどな。とりあえず追うぞ!!」
梓(捕まってたまりますか!!)ダッ
私は走った
とにかく走った
無我夢中になって走った
歯医者という恐怖から逃れるために 私は全力で足を動かした
でも、これからどうすれば……?
……そうだ。旅に出よう。風来の旅に出よう。
旅に出れば歯の痛みも和らぐかもしれない うん。きっとそうだ、いやそうに決まってる……!
そうと決まれば歯医者から逃r……いや旅に出るために 今、この屋上の扉を開こう!
梓「やってやるです!!」ガチャ
憂「はい、捕まえたー♪」ガシッ
梓「…ですよねー」
・・・・・・
その後間もなくして 私は憂と純に半ば強制的に歯医者へと連れていかれた
連行される間も私は必死に抵抗を試み、幾度も逃走を企てたが 成功には至らなかった
……そして、ついに運命の時を迎えた
助手「……中野梓さーん!」
梓「!!!(つ、ついに私の番が来てしまった……)」
純「ほら、梓。名前呼ばれたんだから行ってきな」
梓「そ、その前にちょっとトイレに……」
憂「…梓ちゃん?」
梓「はい、すみません。行ってきます……」シブシブ
助手「ではこの部屋の中にどうぞー」
梓「はい……」
ガラララ……ピシャッ
純「……梓、大丈夫かな」
憂「大丈夫だよ、梓ちゃんなら」
純「まあそうであることを祈るしかないよね」
ハイ、ジットシテテネー
ニャアアアアア!!?ナ、ナニヲスルデスカ!! ヤ、ヤメテクダサーイ!!
純「って言ってるそばから小学生ばりに騒いでるし……」
憂「あはは……大変そうだね」
ガララッ
助手「はい、お疲れ様でしたー」
梓「は、はい……。ありがとうございました……」フラフラ
純「梓ー、おかえりー」
憂「梓ちゃんお疲れ様。はい、タオル」
梓「ありがと、憂。はぁー、やぁーっと終わったぁー……」
純「でも良かったじゃん、梓。これでもう痛い思いしなくてすむよ」
梓「全然よくないよ……。まいったよ、本当に昨日今日は」
憂「今日からはしっかり歯磨きしなきゃね」
梓「歯磨きは絶対するよ。もうこんな思いはしたくないしね!」
純「それがいいね。私もまた今日みたいに放送室を乗っ取ってまで校内放送したくないしね」
梓「乗っ取ってって何!?」
純「まあ話すと長くなるけど……聞く?」
梓「……いや、敢えて聞かないでおくよ。関わりたくないし」
純「なにそれひどっ!」
梓「……でも純、その、ありがとね」ボソッ
純「どうも。まあ校内放送だから学校中の人に知れ渡っちゃっただろうけどね」
梓「はいさっきのありがと取り消しね」
純「撤回はやっ!!」
梓「憂も心配かけてごめんね?」
憂「ううん、全然平気だよ。それより、もしかしたらお姉ちゃんたちの方が心配してるかも」
梓「あ……。そういえばそうかもね……急に逃げてきちゃったし」
純「案外誰も心配してなかったりしてねー」ニシシ
梓「そ、そんなことないもんっ!」
純「まあともかく。明日は元気な姿を見せてやりな。それとも、私がまた放送室をジャックして伝えてあげようか?」
梓「あー、急にまた羽交いたくなってきたなぁー」ギリギリ
純「ぐえぇ……冗談なのにぃ……」
憂(梓ちゃんもすっかり元気になったな……。これでお姉ちゃんたちも心配しなくてすむね)
純「ちょっと、憂、見てないでたすけ……ぐえっ!」
・・・・・・
翌日の放課後、軽音部はいつものようにティータイムをしていました。
律「あー!うめー!!ムギ、今日のケーキも最高にうまいっ!!」
唯「おいし〜♪」ムシャムシャ
澪「……おいしいな」
紬「うふふ、どういたしまして」
ガチャ
梓「こんにちはー……ってまたケーキ食べてるんですか」
律「おー、梓来たか。どうだ?虫歯は治ったのか?」ニヤニヤ
梓「う、うっせーです/// もうとっくに治しましたよ、昨日」
唯「あずにゃんも歯医者さんが苦手だったなんてかわいいねー」ニヤニヤ
梓「う…///。も、もうこの話はおしまいです!ほら、練習の前に歯磨きしますよ!すぐに準備してください!」
唯律「はーい……」
唯律「……ってはい?」
梓「? 何そんなに驚いた顔してるんですか?ほら、唯先輩も律先輩も。歯ブラシ出して」
梓「さあ、今日からはビシバシ歯を磨きますよ!!」
唯「…えぇーっ!?」
律「どうしてこうなった」
梓「まあというわけで皆さん、食後はきちんと歯を磨きましょう!あずにゃんとの約束ですよ!!」
律「全然まとまってねーから!!!」
おわれ
最終更新:2015年02月10日 22:05