第9話「澪誕!」

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年が明け、冬休みも終わり、学校も再開した1月の初旬の放課後。

軽音部は今年も相変わらず(?)楽しくティータイムをしていました。



ガチャ

梓「こんにちはー」

唯「あっ!あずにゃん来た! あけおめー!!!」ギュー

梓「ちょっ!?///新年早々抱き着かないでくださいよっ///」


梓「もう、離れてください!みなさんも唯先輩に何とか言ってやってくだ……」

律「あー紅茶うめー」ズズー

梓「……」シドー

律「え、何?」

梓「いや 年が明けてもやっぱりいつも通りなんだな、と思って……」ガックリ


紬「まあまあ梓ちゃん。廊下寒かったでしょ?梓ちゃんも温かいお茶どうぞ」コトッ

梓「ありがとうございます……。 あれ?そういえば澪先輩は?」

唯「あー、澪ちゃんは学校の春期講習の申し込みかなんかで遅れるってー」

梓「……唯先輩とかは申し込まなくて大丈夫なんですか」

唯「えー私? 大丈夫だよー、憂に勉強教えてもらってるし?」

律「それは姉としてどうなんだよ」

唯「てへへ」

梓「あきれた……。まあそれはともかくとして!そろそろ練習しましょうか」

律「待て、梓。お前何か大事なことを忘れてないか?」

梓「へ?大事なこと……?」

律「…梓。今日の日付を言ってみろ」

梓「今日の日付……?今日は確か1月10日……。あっ」

梓「そういうことでしたか!確かに、もうすぐ成人式ですね!!」

律「そうそう…。ってそっちかよ!! 違うわい!!」


梓「…冗談ですよ。もうすぐ澪先輩の誕生日…ってことですよね?」

律「なんだよー、分かってるんじゃないかよ。 そんなら最初から素直にそう答えなさい!」

唯「澪ちゃんももうすぐ誕生日かー…。誕生日といえばケーキ……」ジュルリ

梓「ちょっ……。ケーキももちろん準備しますけど、あくまでも澪先輩を祝うためのケーキですからね!」

唯「わかっへるよー。あ、ムギちゃん ケーキのおかわりあるー?」モグモグモグ

梓(まるで説得力がない!)


紬「はい、唯ちゃんケーキ。…あ、そうだそうだ、プレゼントも用意しなきゃねー。何がいいかしら」

律「私はホラーDVDにしようかなー。あ!お化け屋敷ペアチケットもいいな!」

紬「そ、それはさすがにどうかと思うけど……」

律「こっちも冗談だよ冗談。……あ!何ならみんなで何か一つ 澪にプレゼントしないか!?」

梓「! いいですね!」

梓「みんなで気持ちを一つにしてプレゼントを贈るなんて…!すてきですっ!」

律「だろー?それに私たちが負担する費用も4分1で済むしな!!」

梓「……まあそういう理由だと思いましたけど」


紬「まあまあ。それはともかくとして、とりあえずプレゼント何にするか決めなきゃ」

唯「ハイハイ!大きなぬいぐるみはどうでしょうか!」

梓「ぬいぐるみですか…。確かに澪先輩 ぬいぐるみとが好きそうですし、いいかもしれませんね!」

唯「だしょー。あ!せっかくだから思いっきり大きなのにしようよ!」

律「大きなのって…。そもそも何のぬいぐるみにするんだよ」

唯「うーん……。キリンとか…?等身大の」

梓「そんな大きなもの買ったら玄関通れませんよ……。てかそもそも売ってるんですか」


紬「じゃあウサギさんとかネコさんのぬいぐるみとか!」

律「うーん…。それでもいいんだけど、何かありきたりだなー…」

律「それに澪のことだからウサギとかのぬいぐるみはもう持ってる可能性もあるし、もっと面白いやつにしようぜ!」

梓「例えばなんですか?」

律「それはだな……。えーと……」

律「……てへっ」

梓「考えてなかったんですか」

律「もうホラーDVDでいいや……」

唯「妥協はダメだよりっちゃん隊員!」


紬「……あ!何ならこういうのはどうかしら!」

唯「…? なになにー、ムギちゃん?聞かせてー」

紬「………ていう案なんだけど」

梓「……なるほど。いいかもしれませんね」

唯「さすがムギちゃん!私は賛成です!!」

律「ナイスアイデアだなムギ!! よーし、ムギの案でけってーい!」

梓「ちょっ…。勝手に決めないでくださいよ…。でも私もムギ先輩の案でいいですけど」

紬「うふふ。じゃあ今年の澪ちゃんの誕生日プレゼントは決定ってことで」

唯「きっと澪ちゃん喜ぶね!!」


・・・・・・

1月15日 放課後の講堂前


澪(律に今日の放課後 ここに来るように言われたけど一体何だろう……)

澪(まさか、私の誕生日をここで祝ってくれるとか……? いや、こんな大規模なところでそんなわけないか)ガチャ


澪「律ー?入るz」ファンクラブ会員1「!! 澪先輩来たよ!!!」

会員7「!? ほ、本当だ!澪先輩だ!!」

ウソー!!? ホントダー! ミオセンパイキター!! カッコイイー!! ミオタン!ミオタン!

ワイワイ…… ガヤガヤ…… ザワザワ…… 

澪「ってうぇええええ!!?(え!?な、何この人数!?)」



律『! やっと来たか澪!さぁさぁ皆さん!本日の主役、秋山澪さんのご登場だー!!盛大な拍手をお願いします!』

ワー!!! キャーキャー パチパチパチ! ミオセンパーイ!! ミオタン!ミオタン!

澪「え……あの……、これは、どういう……?」

律『ほーら、本日の主役!いつまでも入口のところで突っ立ってないで さっさとステージの方まで来なさい!』

澪「……かえろ」クルッ

紬「そうはさせないわー」ヌッ

澪「ってうわぁあああ!!? ム、ムギ!?一体どこから……」

紬「細かいことはいいのよー。とりあえずステージの方まで行きましょ」グイッ

澪「ちょっ、ムギ!?待っ…いたたた!」ズルズル


紬「隊長!本日の主役を連れてきました!!」ビシィッ

律「よーし、よくやったムギ! あとはこちらに任せてくれ!」

澪「ひぃっ!な、何をするつもりだ!!」ジタバタ

律「唯、梓!澪を抑えといてくれ」

唯梓「ラジャー」ガシッ

澪「梓まで!? だ、誰か助けてくれー!!」

梓「大丈夫ですよ、澪先輩。ちょっといろいろと握るだけですから」

澪「ハンドルをか!?それとも寿司をか!?どっちにしろいやだぁa」
律『というわけで!今から秋山澪 誕生日記念握手会をはじめたいと思いまーす!』

ワーワーワー!! キャーキャー!! ミオセンパーイ!! マッテマシター!! ミオタン!ミオタン!

澪「」ガクッ


紬「さあさあ!みんな押さないで並んで並んでー!」

澪「せっかくの誕生日が……どうしてこんなことに……。コンナコトナラオウチカエッテオケバヨカッタ…」ブツブツ

律「まあいーじゃんいーじゃん。とりあえず、握手会、スタートッ!」

ファンクラブ会員1「じゃあ私から!」

ファンクラブ会員1「澪先輩!お誕生日おめでとうございます!私ケーキ作ってきたんですけどよかったら食べてください!」

澪「え…?わ、わたしのために……?あ、ありがとう…」

会員2「私もクッキーを焼いてきました!」

澪「わ、わざわざ悪いな…。ありがとう」

会員3「澪先輩と握手できるなんて感激です!私、この手は一生洗いません!!」

澪「て、手はちゃんと洗わなくちゃダメだぞ」

会員4「澪先輩お誕生日おめでとうございます!(キャー!澪先輩と握手しちゃった!!)」

澪「あ、ありがとう///(あれ…?こういう風に祝われるのも意外といいもんだな///)」

会員5「ミオタン……ミオタン……」ブツブツ

澪(……たまに変な人もいるけど)

・・・・・・

数十分後

会員30「澪先輩、お誕生日おめでとうございます!」

澪「あぁ。ありがとう」ニコッ

会員30「(カッコイイ……///)では、失礼します!」タタタッ

ガチャ バタン


律「よし!これで全員終了だな!!澪、おつかれ!」

澪「あぁ。確かに結構疲れたけど…、意外と握手会ってのもいいもんだな///」

唯「うわぁ!見て見て!プレゼントの量もすごいことになってる!!」ドッサリ

律「マジだ……。どこの芸能人だよ…」

紬「こんなに祝ってくれる人がいるなんて澪ちゃんは幸せ者ねー」

澪「そ、そうかな///」


梓「そうだ!私たちからも澪先輩のことお祝いしないと!」

唯「! そうだね!忘れるところだったよ!」

律「じゃあせーの、で祝うか!!いくぞ、みんな!せーのっ!」

唯律紬梓「澪(ちゃん、先輩)お誕生日おめでとう(ございます)!!!」

澪「!! みんなまで……!あ、ありがとう!!」


澪「みんなのおかげで今日は今までで一番忘れられない誕生日になったよ……!」ウルウル

紬「あ、澪ちゃん 目が赤くなってるー!」

澪「ち、ちが……!これは目から汗が出てきただけだっ!」

梓「ふふっ……」


澪「そ、そうだ!!そろそろ片づけをしないとなっ!!だからこの話はもうおしまい!」

律「片づけ……? 何言ってんだ澪、片づけどころか本番はこれからじゃないか」

澪「……え?だって今 握手会は終わっ」
ピンポンパンポーン

アナウンス「まもなく、秋山澪さん お誕生日会第2部がはじまります 皆様ご着席ください」

澪「……はい?」

ガチャ

ハジマルッテー! キター! ミオセンパーイ! マッテマシター!! ミオタン!ミオタン!

ドドドドド……

澪「う、うわぁあああ!!?」


澪「ちょっ!!ど、どういうことなんだよ律!?」

律「あ、ちなみに第2部は澪による単独ライブの予定だから、よろしく」

澪「はぁあああ!?な、なんだそれ!!」

律『それでははじめまーす!秋山澪さんによる単独ライブでーす!ごゆっくりお楽しみくださーい!!』

澪「おぃいいいいい!!!」



純「……今年の誕生日は、澪先輩にとって(いろいろな意味で)忘れられない思い出となったそうです」



第10話

「寒い!」


ある寒い 冬の朝の平沢家


〜唯の部屋〜


……エチャーン

オネエチャーン


唯「……んぁ…?」

憂「お姉ちゃーん、朝だよー、起きてー」ユサユサ


唯「…うーん……、あと5分だけ……」ムニャムニャ

憂「ダメ。遅刻しちゃうよ」

唯「でもー。布団から出たら寒いしー…。だからもうちょっとだけ……」

憂「ダーメ。ごはん冷めちゃうよ」

唯「ぶー。憂のケチ……」ガバッ

唯「うぅっ…!さむっ!」ブルルッ


憂「今日はこの冬一番の寒さになるって天気予報で言ってたからねー」

唯「な、なんですと!? てことはもしかして雪とか降るのかな!?」

憂「うーん……。雪は降らないって言ってたな」

唯「えー……。残念…。そしたらただ寒いだけだね」

憂「そうだねー…」


憂「とりあえず、こたつに入りながらごはん食べて、あたたまろっか?」

唯「うん。……あぁー、さぶいー」ブルブル

・・・・・・

30分後

唯「行ってきまーす!」ガチャ

ヒュウウウウウウ

唯「うぅ…!さ、さむい!!身を切られるような寒さだよ!!」ブルブル


唯「うわ!あそこの水たまりの水、凍ってる!!」

唯(どれぐらい凍ってるのかな……?)ガシガシ

パリッ……ピチャッ

唯「!!つめたっ!」


唯「くっ…。罠だったか……。油断大敵だね…」

唯(あー、靴ぬれちゃったし早く学校に行ってあったまろう……)

・・・・・・

数十分後

部室


唯「あぁー!やっとついたー! …でも当たり前だけど部室も寒いね……」ガタガタ

唯「しかーし!部室にはエアコン君があるからね!! ふふふ……、これで今年一番の寒さなんてなんのそのだよ」ピッピッ

シーン……

唯「……あれ?つかないや」


唯「あ、もしかしてリモコンの電池が切れてるのかな?どれどれ…」カパッ

唯「あれー…?結構新しい電池だ……」

唯「あ!そういえば先週電池替えたんだったっけ。じゃあ電池が切れたわけじゃないか……」


唯(いちおうテレビのリモコン君の電池でも試してみよう……)パカッ

唯「……」ピッピッ

シーン……

唯「うーん……。やっぱりつかない…」


唯(一応……)ピッピッ

シーン……

唯「まあテレビのリモコンでエアコンがつくわけないよね」


ガチャ

律「おいーっす……って何やってんだお前」

唯「あっ。りっちゃんおはよー」


律「てかそれテレビのリモコンじゃん。エアコンのリモコンはそっちだぞ。昨日ちゃんと寝たのかよ、オイ」

唯「ふふふ……私をなめてもらっちゃ困るよりっちゃん。なんと昨日は9時に寝ました!」

律「はえーな、オイ! てかそんなに大声で言うことじゃないだろ」

唯「そんなことより りっちゃん!さっきからエアコンが動かないんだよ!」

律「……いやそりゃあテレビのリモコンじゃ動かないだろ」

唯「そうじゃなくって!ホラ!」ピッピッ

シーン……

律「あれ……? ホントだ、エアコンのリモコンでも動かないな」


律「うーん、まいったな……。壊れちまったのかー?よりにもよってこのクソ寒い日に」

唯「りっちゃん……。このままじゃ私、凍死しちゃうかも……」

律「!? 大丈夫か唯隊員!?」

唯「あぁ……寒さでからだ…が……」ガクッ

律「唯……? ゆいーっつ!!!」



唯「……飽きたね」

律「……そうだな」


律「てかこんなことしてる場合じゃねーな。何か部室を暖める方法を考えないと……」

ガチャ

梓「おはようございまー……って何やってるんですか先輩方」

唯「遭難ごっこだよー。あずにゃんもやる?」

梓「そんなことやってる暇があったら練習しましょうよ……」


梓「てかなんでこんなに部室寒いんですか?エアコンつけましょうよ」

律「あー、それなんだけどな梓……。実はエアコン、壊れちまったみたいなんだ」

梓「……え?」


梓「え、何ですか壊れたって……?まさか先輩方、壊したんじゃ……」

唯「失礼な!! 違うよ!リモコン押してもエアコンがつかなくなっちゃったの!」ピッピッ

シーン……

唯「ほらっ!ね?」

梓「あれ、本当ですね……。この前電池替えたばかりなのに」


律「そういえば電池替えたのって梓だったよな。本当にちゃんとした電池持ってきたのかー?」

梓「失礼な!ちゃんと持ってきましたって!てか現に昨日までは使えてたじゃないですか」

唯「うーん、そうなんだよねー。昨日までちゃんと使えてたんだよねー……」

唯「まったく、どうしてこの冬一番寒い日に壊れてしまうんだい、このエアコン君は」

梓「……日ごろの行いが悪いからじゃないですかね」ボソッ

唯「ひどーい!?私たちが何したっていうのさ!」

梓「練習しなかったり、練習しなかったり、練習しなかったりとかじゃないですか?」キッパリ

律「……なんかすんません」


唯「そんなことより!今はこの寒さをなんとかする方法を考えなきゃ、だよ!あずにゃん、何かいいアイデアない?」

梓「急にそんなこと言われましても……。 …あ!ちょっと待っててください!」スタスタ

ガチャ バタン

律「……?梓のやつどうしたんだ?急に音楽準備室になんて入って」

唯「まさか 抜け駆けして一人で音楽準備室の中で暖を取るつもりなんじゃ……」

律「いや、さすがにそれはないだろ」


ガチャ

梓「お待たせしましたー。……よいしょっと」

唯「あ、あずにゃん出てきた!」

律「両手でなんか持ってるな……。何だそれ梓、ストーブか?」


梓「はいっ! ……よっと。結構重いですね、やっぱり」ドスッ

律「へえー。そこの音楽準備室にストーブなんてあったんだなー」

梓「ハイ。この前掃除した時に見かけたのを思い出しました」

唯「いろいろ置いてあるんだねー、音楽準備室。私そこで暮らそうかなー」

梓「唯先輩があんな場所で暮らしたら中がさらにぐちゃぐちゃになるからダメです!」

唯「えー、何それー……。ひどいよあずにゃん」

梓「てか音楽準備室の私物、いいかげん持ち帰ってくださいよ。まだまだ唯先輩の私物いっぱいありましたよ」

唯「そ、そんなことより今はさっさとストーブつけて部室を暖めようよ!あー、さむいさむい」

律梓(話逸らしたな……)


律「まあでも確かに唯の言うことももっともだ、今はちゃっちゃとストーブつけて部室を暖めちゃおうぜ!」

律「とりあえず、梓。このコードをコンセントに繋いで、はい」

梓「分かりました。よいしょっと……」グッ

梓「律先輩!繋げました!」

律「よっしゃー、いくぜ!スイッチオン オブ ザ ストーブ!!!」ポチッ

唯「おー、なんかかっこいいよりっちゃん!!」

梓「文法とかいろいろおかしい気がするけどとりあえずこれで部室は……」

ストーブ「」


梓「……うんともすんとも言わないんですが」



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最終更新:2015年02月10日 22:06