第4話「ドライブ!」


運転免許試験場 学科試験会場


律「いよいよ合格発表だな……受かってるといいな、澪」

澪「うん……」ドキドキ

アナウンス『ピー これより電光掲示板で学科試験合格者の発表をいたします』


律「! きたか!!行くぞ、澪!!」グイッ

澪「り、律! まだ心の準備が……」ズルズル


電光掲示板前

澪「」クルッ

律「……? なんだよ急に後ろ向いて……」

澪「やっぱり怖い……。律、私の代わりに見てきて……」


律「……わかったたよ。まったく怖がりでちゅねー、澪ちゅわんは」

澪「う、うるさいなぁ/// じゃあ頼んだぞ、律」

律「へいへーい」ジー

澪「」ドキドキドキ

律「……ややっ!衝撃の結果が!!」

澪「えっ!?」


律「……つーか人が一杯いてよく見えないなー」

澪「もう帰りたい……」


律「もうちょっと前の方に行ってくるな? ……はい、ちょっと失礼しやすよ」グイッ


律「……よっと。 おー、ここからならよく見える…… …こ、これは……!!」

澪「!?」

律「澪、ちょっとこっちに来い」

澪「えっ!? で、でも……」

律「いいから来い!」

澪「……わかったよ。すみません、ちょっと失礼します」グイッ


澪「ど、どうだったの……?」ドキドキ

律「澪の番号って何番だったっけ?」テヘッ

澪「」ガクッ


澪「……030だよ」

律「あー、そうだったそうだった!」

律「えーと、030、030……あ、あった」

澪「え!?本当か!?」ガバッ


澪「……あった!」

律「おー、よかったじゃん澪ー。これで車乗れるな」

澪「……やった」

澪「やったー!やったよ律!! め、免許取っちゃった!」ピョンピョン


律「う、うん。よかったな澪。で、でも……」

澪「なんだ!?」ピョンピョン

律「その……飛び跳ねるのは周りの人に迷惑かと……」


澪「あっ……///」



澪「でもよかった……受かってて……」

律「本当だな。これも私が毎日澪に試験のポイントを教えてきたおかげだな!!」

澪「ねつ造すんな」ゴチンッ

律「あいたっ」


律「ってーな……。あ、頭がクラクラする……」

澪「ご、ごめん。ちょっと強くたたきすぎたか?」サスリサスリ

律「……今度の日曜日、澪がドライブに連れていってくれたら治るかも」

澪「……はい?」


律「だからドライブだよ、ドライブ。たしか澪のお父さん車持ってたよな?」

澪「うん、確かにパパは車持ってるけど……」

律「……パパ?」

澪「お、お父さん! ……で、でもお父さんが車貸してくれるかどうかわからないし、第一まだ私初心者だし……」

律「みおー……ダメ……?」ウルウル

澪「!? な、な……!?」


律「みおとドライブ行きたいよ……」ウルウル

澪「そ、そんな目で見るな!!」

律「みおー……ダメなの……?」ウルウル


澪「わ、わかったよ!パパに車貸してもらえるよう頼めばいいんだろ頼めば! まったくしょうがないなぁ……」

律「ホント!?ありがと澪大好きー!!」ギュー

澪「ちょっ///やめろよこんな人前で///」



律「じゃあ澪、もし車貸してもらえることになったら電話してくれ!」

澪「わかったよ」

・・・・・・

日曜日

澪の家



澪(そろそろ約束した時間だ……)

ピンポーン

澪「お?律来たかな? よっこらしょっと」ムクッ


澪「でもよかったな、パパが車貸してくれて。教官なしで路上に出るのはまだちょっと怖いけど……」スタスタ

澪「今日は、律を楽しませてやらなくちゃな!」ガチャ


澪「律、おはよ……って誰!?」

律「いや、わたしだし……」

澪「り、律なのか……?だって、お、おデコが出てないぞ!!」

律「私=おデコなのかよ!」


律「今日はせっかくの澪とのドライブの日だからおめかししてきたのに!」シクシク

澪「ゴ、ゴメン!あまり律が髪下ろした姿、その、見慣れてなかったから……」

律「ふーんだ。もういいよ、どうせ私はおデコ出してなきゃ誰だか分かりませんよーだ! もうカチューシャ着けちゃうもんねー」スチャ

澪(うぅ……ドライブに行く前から律のことを怒らせてしまった……)


澪「律、その……、ゴメン……」

律「……」グスッ

澪「ドライブで律の好きな所に行っていいから許してくれ……」

律「……いいの?」

澪「あぁ本当だ。どこでも連れてってやるぞ!」

律「よっしゃあー!!じゃあニューヨークへ行くぞ!澪!!」

澪「無理だ!!」


車内!

澪「律、シートベルトしたか?」

律「バッチリだぜ!」

澪「よし、ドアロックオッケー、ミラー、シートベルト、座席の位置も大丈夫!」

律「よっしゃー!出発だー!!」

澪「おー!」

ブロロロ……


澪「……で、律?どこに行くんだ?」

律「澪と一緒ならどこだっていいぜ」キリッ

澪「もう/// 急にそんなかっこいい台詞言うなよ」

律「う、うっせーし///」


澪「……じゃあ偕楽園に行こうか」

律「……快楽園?そんなところ私たちが行って大丈夫なのか?」

澪「漢字が違うよ漢字が!三大名園の方の偕楽園だよ」

律「あぁ、あれな!あの、ほら、なんかで有名な!!」

澪「お前絶対知らないだろ」

律「……ゴメンなさい、知ったかぶりしました」


澪「まぁ知らなくても無理はないけど。偕楽園は江戸時代に作られた公園で、梅がたくさん植えられてるんだ」

律「へぇー……でも澪、その偕楽園?への行き方分かるのか?」


澪「……分からん」

律「ダメじゃん! どうやって行くんだよ!」

澪「ふっふっふ……」

律「何がおかしい」

澪「律、お前の目の前にカーナビがあるの気づかなかったか?ほら、これ」

律「おぉっ!あったのか……って前見ろ澪ー!!」


澪「……ゴメン。でもこれさえあば道に迷わないぞ!!律、スイッチを押してくれ」

律「あぁ、分かった」ポチッ

カーナビ「ウィーン」

律「へぇ、カーナビってこんな感じなんだな。ん……?何だ、ユーモアモードって?」

澪「……あぁ、それあんまり面白くないぞ」

律「いやいや名前からして面白そーじゃん!ちょっとつけてみようぜー!」ポチッ

澪「えー……」


カーナビ「ポンッ この先の交差点、右です」

律「おー!喋った!!……でもあんまりユーモアじゃないな」

澪「……いや、律。この先の交差点を見てみろ」

律「え……?ってオイ!右に道路なんてないじゃん!!」

カーナビ「ポンッ ……なーんてね」

律「なんだこのカーナビ!!」


澪「いや、まだ怒るのは早いぞ律。ユーモアモードはこんな生易しいレベルじゃない」

律「えっ?」

カーナビ「ポンッ この先300Mで300M走行したことになります」

律「いいよそんなこと言わなくて!」

カーナビ「ポンッ 右手300mに富士山が見えます」

律「見えるか!!」

カーナビ「ポンッ …………」

律「……?何だ? 故障か?」

カーナビ「『ポンッ』って言ってみただけ///」


律「……」イラッ

澪「な?ろくでもない機能だr……って律!どこから持ってきたか分からないけど金槌をカーナビに振り下ろそうとするのはやめろ!!」


澪「ボタン押せば通常モードに切り替えられるから!とりあえず金槌は置け!」

律「……分かったよ」ポチッ


律「しっかし何だったんだよー、あのカーナビはよー……」

澪「まぁまぁ。せっかくの楽しいドライブなんだから。そう怒るなよ」

律「うん……」


ポツポツ……

律「……あ、雨降ってきた」


澪「え!? ……本当だ、フロントガラスに水滴が…。ワイパーつけないと」ウィーン

律「うわー……、せっかくのドライブなのに雨かよー……。テンション下がるなー」

澪「そうだな……。確かに残念だな……」


澪「……ふふっ」

律「なんだ、澪急に笑って……?笑い茸でも食べたのか?」

澪「なんでそうなるんだよ…… …私が律と初めて出会った時のこと思い出してたんだ」

律「私と初めて出会った時……?あー、そういえばあの時も雨が降ってたな……」


・・・・・・

12年前

放課後の昇降口


ザー……


みお「うわぁ!雨いっぱい降ってる!……天気よほうでは今日一日晴れだって言ってたのになぁ……」

みお「えーと、たしかかさ立てに予び用のかさをおいておいたはずだけど……」ガサガサ

みお「……あれー?」ガサガサ


みお「……な、ない!!たしかにここに置いておいたはずなんだけど……」

みお「うぅ……どうしよう……」グスン


ザー……


みお「雨、やまないなぁ……」


みおが昇降口の前で立ち尽くしていると 後ろからカチューシャをつけた女の子がやってきた

傘を持ったその子は 悲しそうに外を眺めていたみおに優しく(?)話しかけた


りつ「うわー!すごい雨だねー!!シャワーみたいだね!!!」

みお「えっ!?……う、うん、そうですね…」

りつ「……どうしたの?帰らないの? あ、もしかしてかさ忘れちゃったの?」

みお「……うぅん。かさ立てに置いておいたかさがなくなっちゃったの……」

りつ「えー!? だれかが間ちがえて持っていっちゃったのかなー?」

みお「うぅ……わたしのかさ……」グスン


りつ「じゃあさ、わたしといっしょに帰ろうよ!」

みお「……え?」

りつ「ほら、つめればさ、わたしのかさに二人はいれるでしょ!」

みお「い、いいの?」

りつ「うん! こまった時はおたがいさまだよ!」

みお「あ、ありがとう!」

りつ「えへへぇ///」


りつ「よーし、じゃあ行くよー! しゅっぱつだー!!」バチャバチャ

みお「う、うん!」バチャバチャ


りつ「ねぇ、名前はなんていうのー?」

みお「あ、秋山、みおです……」

りつ「へぇー!みおちゃんっていうんだー!わたしは田い中りつっていうんだー! よろしくね!」

みお「よ、よろしく」

りつ「みおちゃんちはどこら辺なのー?」

みお「じ、じゅう所は○○町の△△丁で……」

りつ「△△丁!? へぇー!わたしの家とけっこう近いんだねー!今度遊びに行っていい?」

みお「あ、あそびに……?」


りつ「そう!家も近くだし! ……あ!そうだ、明日から一緒に帰ろうよ!」

みお「……えっ!? い、いいの……?」

りつ「うん!」

みお「ほ、ほんと!? ……うれしい」

みお「あ、あの…私、その……人みしりだからなかなかおともだちができなくて……だから、その……うれしい!!」

りつ「わたしもみおちゃんと おともだちになれてうれしいよー!」

みお「あ、ありがとう! た、たいなかさんっ」

りつ「りっちゃんでいいよー」

みお「り、りっちゃん……?」


りつ「そう!あのねー、私の名前『りつ』でしょー? でも『りつちゃん』って言いにくいでしょ?だから『りっちゃん』!」

みお「……りっちゃん」

りつ「そうそう!りっちゃんです!!」ブイッ

みお「……ふふっ!あはは!」


りつ「おもしろかった?じゃあもう一回! りっちゃんです!!」ブイッ

みお「あはははは!! ……あぁー、おかしい…」

りつ「えへへへ///」


みお「……あ、もう家に着いちゃった」

りつ「へぇー、みおちゃん家ここだったんだ」

りつ「……あ!かっこいい車があるー!」

みお「あー、あれはパパの車なんだー」

りつ「へぇー、かっこいいねー! ……じゃあみおちゃん!また明日ね!」

みお「……うん!また明日…!」


・・・・・・

車内


澪「……で、あの時なくなった私の傘は結局お前が間違って持っててたんだよな」

律「なんだよー、まだそんなこと覚えてたのかよ…… どっちにしろもう時効だい!」

澪「そんなこと言ってるけどお前この前借りていった私の傘まだ返してないだろ!」

律「まあいいじゃん傘の1本や2本くらい。あとで返すからさー」

澪「……まったく。大体、雨が降りそうだって天気予報で言ってたら傘を持って来ればいいのに……」

律「私が傘を持っていくと雨が降らないし、逆に持ってかなかったときに限って雨が降るんだよ!」

澪「知らないよそんなこと!」


ザー……


澪「……雨、止まないな」

律「……そうだな」


澪「……」

律「……」

カーナビ「ツギノコウサテンヲウセツシテクダサイ……」


ザー……

澪「……」

律「……しゃべれよ」

澪「え?」


律「え?って言ってる場合か!! ダメだダメだこんな黙りこくってちゃあ! ますます気分が沈んじまうぞ!!」

律「というわけで澪! しりとりをして気分を盛り上げるぞ!!」

澪「また突然だなオイ!! ……大体、しりとりって言ったってそこまで盛り上がらないだろ」

律「ちっちっち。私がやろうとしているしりとりは、ただのしりとりじゃあないんだぜ」

澪「じゃあ何のしりとりなんだよ」

律「名付けて『い』で始まって『い』で終わる語onlyしりとりとでも言っておこうか」

澪「名前長っ!!」


澪「……でも普通のしりとりよりかは面白そうだな」

律「だろー? じゃあ私からなー」

澪「いや、やるとは言ってないけど」

律「それでもやるんだよ!!」

澪「私に拒否権はないのか!」


律「いーじゃん、しりとりくらいー。そんなケチケチすんなよー! 私からな、えーと……い、『芋洗い』!」

澪「勝手に始めるなよ……。あとなんだよ芋洗いって……美しくないなぁ」

律「しりとりに美しさなんて求めるなよ……じゃあ澪、美しい回答をどうぞ!」

澪「しょうがないなぁ、私もやればいいんだろ、やれば。 えーと……い、『一緒にいたい』……」


律「……え?」

澪「あ」


澪「い、いやただしりとりの回答としていっただけだぞ!!深い意味はない!他意はないんだ!!」

澪「で、でも別に律と一緒にいたいってわけではないということではないぞ!」アセアセ

律「何焦ってんだよ……」

澪「別に焦ってなんかない!!」ギュイイイン

律「っわ!!あぶねえ!! 左折するときはもっとゆっくり曲がれよ!」

澪「ご、ごめん……。 そ、それはともかく!次は律の番だぞ! だからもうこの話はおしまい!」

律「わかったよ…… じゃあ、えーと、い、い……」

律「……『いつまでも一緒にいたい』」


澪「…………え?」


律「い、いやただ思いついたから言っただけだし! で、でも澪といつまでも一緒にいたくないというわけではないぞ!///」

澪「そ、そうか……」


澪「……///」

律「……///(なんかかえって変な雰囲気になっちまった……)」


数分後

澪「……あ、雨やんできた」

律「えっ!?」ガバッ


律「ほ、本当だ……なーんだ、やっぱり傘なんて必要なかったな!!」

澪「私の傘まだ返してないお前が言うセリフか!」


澪「でも、雨やんでよかったな。 せっかくのドライブなんだし……」

律「うん……」


澪「……? なんだ、あんまり嬉しくなさそうだな。あんなにテンション下がるだとかなんとか言ってたくせに」

律「…だってもう眠くなってきちゃったから……。 …着くまで寝るな? おやすみ……」

澪「また突然だな……。 ってオイ!寝るのはいいけど私の方に寄りかかってくるなよ!」

律「いいじゃーん、別にー。だってドアの方より澪に寄りかかったほうがあったかいんだもーん」

澪「そもそも寄りかかろうとするなよ!  ……ったく。運転の邪魔だけはするなよ?」

律「分かってるよー」スリスリ

澪「まったくしょうがないなぁ……///」


さらに数分後

律「zzz」


澪「……ホントに寝ちゃった」

澪「寝顔がよく見られないのが残念だけど…… きっとかわいい顔してるんだろうな///」

澪「しかし本当によく寝てるな……」

律「zzz」


澪「……」

澪「……りっちゃん♪」

澪「な、なんてな!!ちょっと言ってみただけだぞ!/// ……まぁ聞こえてないだろうけど。てか起きてたら恥ずかしくて言えないし」


澪「……そういえばいつからだったかなぁ、律のこと『律』って呼ぶようになったの」

澪「『りっちゃん』から『律』って呼ぶようになって、車乗れるようにもなって……。私もだんだんと大人に近づいているのかな……」



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