第7話「救出劇!」
ある晴れた日曜日、唯ちゃんとりっちゃんは公園で楽しくキャッチボールをしていました。
律「よーし!唯、いくぞ! それっ」シュッ
唯「ほいっ!」パシッ
律「うぅん…、今のは我ながらなかなか良い球が投げられたぜ!」
唯「……こんな球で満足するなんてりっちゃんもまだまだだね。あまちゃんだよ」
律「な、なんだとー!? じゃあ唯、私のを上回るボールを投げてみろよ!」
唯「おまかせください! 私がお手本を見せてあげるね!」フンス
律「くそー、偉そうに……。できるもんならやってみやがれ!」
唯「…じゃあいっくよー! 必殺!スーパージャイロナックルボール!!!」ツルッ
唯「…あっ」
律「っておいっ!!どこに投げてんだよ!」
ヒューン…… ポトッ
唯「あっ……あの家の塀の中に入っちゃった!!」
律「おいいいいいいい」
律「とりあえずボール取ってこいよ!」
唯「えー……。 あ、あのボールはもう諦めない?」
律「やだよ!てかあれ私のボールだし!!」
唯「だってー!あぁいう家にボール入れちゃうと……」
唯『すみませーん。ボール落としちゃいましたー。…てへっ』
家主『……』プルプル
唯『あ、あのぅ……』
家主『バッカモーン!!公園でボール遊びはしちゃダメだといつも言っとるだろうが!! ガミガミガミガミ……』
唯『ひぃいいいいい』
唯「…ってなるよきっと!」
律「いつの時代の話だよ!!」
唯「でも、今の時代もそういう人がいないとは限らないでしょ? だからやめておこうよ……」
律「いーやーだー!あのボール結構高かったんだぞ! ていうか大体、今時そんな雷親父いるわけないだろ」
唯「そんなこと言ってるならりっちゃんがボール取ってくればいいじゃん!」
律「は、はぁ!?なんで私が!? ボール投げ込んだのは唯だろ!」
唯「だってりっちゃんは雷親父なんていないとと思ってるんでしょ? だったら怖いものもないんだしりっちゃんが取ってきてくれてもいいじゃん」
律「まぁそうだけどさぁ……」
唯「おねがーい。今度アイスおごるからさー…」
律「……2段重ねなら考えてやってもいいぜ」
唯「う……。わ、分かったよ。背に腹はかえられないよ」
律「よーし、契約成立だな! まったく、今の時代そんな怖い人なんているはずないのに……。ラッキーだぜ」
唯「そんなこと言って油断してるときっとカミナリ落とされるよ……」ブルブル
律「ないない。心配するな、唯!私がスマートに取ってきてやるからな! そこで待ってなさい」
唯「あぁ……りっちゃん!無事に帰ってこれるよう祈ってるよ……」
律「大げさだなぁ……。じゃあ行ってくるな」
唯「りっちゃん!ご武運を!!」
律「まったく。唯もビビりすぎだよなー、たかが庭に入ったボールを取ってくるだけだろうに」スタスタ
律「……この家だな。 うひゃー、結構な豪邸だなー…。まぁいいや、ちょっと失礼しますよ」キィーッ
律「そーっと、そーっと……」チラッ
番犬「……」ギロッ
律「え」
番犬「バウバウバウ!!!」
律「!? う、うわぁああああ!!?」ダッ
バウバウバウ!!! ウワァアアア
唯「!? これは…りっちゃんの声!?た、大変だ!」ダッ
唯「りっちゃん!!だ、大丈夫!?」タタタッ
律「ハァ……、ハァ……。あ、唯…。と、突然犬にほえられて……」
唯「だから油断するなって言ったでしょ!油断大敵だよ!」
律「だ、ってまさかこんな大きな犬がいるとは思わなくって……」
番犬「……」ギロッ
律「しかもまだこっち見てるし……」
唯「きっとりっちゃんのことが好きなんじゃない?」
律「縁起でもないこと言うなよ……」
律「でもどうしよう…。コイツがいる限りボール取れそうにないな…」
唯「…そうだね。怖いしねー」
律「とりあえずここから一旦出て作戦を練り直すか」
五分後
唯律「うーん……」
紬「……あら?唯ちゃんとりっちゃんじゃない!唯ちゃーん!りっちゃーん!」ブンブン
唯「あ!ムギちゃんだ!」
紬「どうしたの?こんな道端で……? 考え事?」スタスタ
律「あー……ムギ、実はかくかくしかじかってことがあって……」
紬「……つまり大きな犬がいてボールが取りにいけなくて困ってるってことね?」
律「そういうこと。 ムギー、何かいい案ないー?」
紬「うーん、そうねぇ……」
紬「……あっ! いいこと思いついたわ!!唯ちゃん、りっちゃん!!ちょっと待ってて!」ダッ
唯「!? む、ムギちゃん!? ……もの凄いスピードで行っちゃった…」
律「ムギの奴 急にどうしたんだ…?」
数分後
紬「おまたせー」タタタッ
唯「あ!ムギちゃんおかえりー! …急にムギちゃん走りだしたからちょっとびっくりしたよ」
紬「ごめんね、唯ちゃん? でもいいもの買ってきたわよ!」
律「……コンビニの袋だな。何買ってきたんだ?」
紬「えぇ。ちょっとそこのコンビニで最高級品質のビーフジャーキーを買ってきたわ!!」
律「……え?最高品質……?」
唯「!!なるほど! それをエサにして犬がビーフジャーキーを食べてるスキにボールを取に行くって作戦だね!」
紬「そういうことよ!唯ちゃんはもの分かりがいいわねー♪」ナデナデ
唯「えへへへ///」
律「おいちょっと待て。ムギ、そのビーフジャーキー一体いくらしたんだ……?」
紬「えーと、5000円くらいだったかしら」
唯「!? ご、ごせんえん!?」
律「高っ!! い、いいのかそんな高級なモノ使っちまって!」
紬「だってあそこのコンビニにはこの種類のしか売ってなかったから……」
律「品揃え悪っ!!なんだそのコンビニ! 全然コンビニエンスじゃねぇし!!」
紬「…まぁそんなことよりも!今はボールを取らなきゃ、でしょ?値段なんか気にしてる場合じゃないわ」
唯「そうだよりっちゃん!今はボールを取るほうが大事だよ!」
律「そ、そうだよな! ……そうなのか?」
紬「とにかく、やってみましょ?」
律「わ、分かった。じゃあまずは私が入るからムギは後方から ビーフジャーキーで上手く犬の気を引いてくれ。頼んだぞ!」
紬「分かりました隊長!!」ビシィッ
律「よし、行くぞ……」スタスタ
番犬「……!」ギロッ
唯「ひぃっ!き、気づかれちゃったよ!」
律「よし、今だ!! ムギ、ビーフジャーキーをっ!!」
紬「分かったわ!! それっ!」ポイッ
番犬「! ワンワン!!」ダッ
番犬「〜♪」ムシャムシャ
律「よしっ! 今だ!!」ダッ
律「えーと、ボール、ボール……。どこだー?」キョロキョロ
番犬2「…………」ギロッ
律「……えっ」
番犬2「バウバウバウ!!!」
律「うわぁっ!!!も、もう一匹いたのかよ!!」
唯「ちょっ……!りっちゃん大丈夫!?」
律「はぁ、 はぁ……。び、びっくりした……」
番犬2「グルルルル……」
唯「まさか2匹目がいたなんて……。しかももう一匹の犬より大きくて怖いよぉ……」
律「と、とりあえず離脱するぞ唯隊員!」ダッ
唯「アイアイサー!」ダッ
番犬2「バウバウバウ!!!」
・・・・・・
紬「ど、どうだった!?」ドキドキ
唯「だめだったよ、ムギちゃん……」
律「まさかもう一匹いるとは……」
唯「ムギちゃん、もうビーフジャーキーは残ってないの?」
紬「ごめんなさい。一つしか買っていなくって……」
唯「そっかー……。残念……」
紬「ま、またコンビニに行って買ってこようか?」
律「いやそれは流石にムギに申し訳ないよ。一個5000円だし……。別の方法を考えよう」
唯「ちょっと待って。お金はりっちゃんが出せばいいんじゃない?」
律「……唯隊員、私にそんな大金が出せると思うか? てか何度も言うけどボール投げ込んだのはお前だろ」
唯「そういえばそうだったね……。じゃあさっさと別の方法を考えようか!」
律「…ほんと、調子のいい奴だな」
唯「そうかな? えへへ……」
律「ほめてはないけどな」
唯「……でもだからと言ってほかにいい方法あるのかなー? ここはやっぱりムギちゃんにもう一回コンビニに行ってもらった方が……」
センパーイ・・・
紬「あら?どこからか聞き覚えのある声が……?」
梓「唯先輩!律先輩!ムギ先輩!!」タタタッ
唯「あ、あずにゃん!?」
梓「はい。唯先輩こんにちは。 どうしたんですか、こんな道端で皆さん?遊んでいるわけでもなさそうですし」
律「あー、梓……。 実はかくかくしかじかってことがあってな……」
梓「……つまり、ボールがそこの家の庭に入ってしまって、番犬がいて ボールを取るのに苦労してるってことですね?」
唯「そういうこと! ……ねぇあずにゃーん。何かいい作戦ないー?」
梓「作戦って……。 そんなこと言ってるからいつまでたってもボール取れないんですよ。
ここは家の人にきちんと謝ってからボールを取りにいくべきです!」
唯「えー!?そ、そんな危険な……!!」
梓「どこが危険なんですか! 悪いことをしたらきちんと謝ることは人として当然のことでしょう!」
律「そ、そうだけど……」
梓「なんでそんなにイヤそうなんですか! ただ謝るだけじゃないですか」
律「でも、なんかその……怒られたらいやだし」
梓「悪いことしたんだから怒られるのは当然でしょう!もうインターホン押しちゃいますよ」ピンポーン
律「ちょっ!待てはやまるn」
律「……あぁ、終わった……。何もかも…」
梓「んな大げさn」インターホン「Hello?」
律梓「え」
唯「!? え、英語っ!?」
紬「が、外国人さんが住んでいるのかしら……?」
梓「ちょっ、えっ!? せ、先輩方どうしましょう!?」
律「……頑張れ、梓」
唯「応援してるよ、あずにゃん」
紬「梓ちゃんならきっと話せるわ」
梓「って何にもフォローしてくれないんですか!? てかなんで私が話すことになってるんですか!」
律「まぁ、言いだしっぺだし……」
唯「あと流れ的に?」
梓「なんですか流れって!!」
梓「……あ!!そうだ確かムギ先輩は海外とかにもよく行かれるんですよね!?それなら結構英語も」紬「No」
梓「あ、はいそうですよねすみません嘘ですごめんなさい」
梓「……はぁー、分かりましたよ。私が頑張ってお話してみます」
紬「頑張ってー!梓ちゃーん!」
唯「フレー、フレー!あーずーにゃん!!」
律「梓ー!いったれー!」
梓(き、緊張してきたー!)ドキドキ
梓「は、はろー……?」
インターホン「Who is it please?What is your business here?」
梓「び、びじねす……? あ、あの、えと…………。」
梓「ソ、ソーリー!!アイドントスピークイングリッシュウェル!! sumimasendeshitaッ!!」ダッ
紬「あ、梓ちゃーん!!」
最終更新:2015年02月10日 23:16