唯「どうなってたと思う?」

律「どうなってたって…」

紬「…どうなってたんだろう?」

唯「気にならない?気になるよねぇ」ルンルン

律「…まぁ、ちょっとは」

澪「とりあえず、ティータイムは存在しなかったかもしれないな」

唯「え〜っ、それはダメだよ!」

律「確かに、入部したときの梓はティータイムを目の敵にしてたもんな…」

紬「放課後ティータイムの根幹を揺るがす存在になっていたかもしれないわね…」

唯「うーん、それは困るなぁ〜」

律「そもそも梓が同級生なら、唯がけいおん部に入らなくてもギターと人数は足りてたってことになるから」

律「唯が辞めるって言いにきたときに無理に引き止めなかったかもしれないな〜」

唯「がーん!ひどいよりっちゃん!」


澪「でも、梓は新歓ライブでの私たちの演奏を聴いて、入部を決めたわけだから…」

澪「同級生だったらここにに来るきっかけもなくて、ジャズ研に行ってたかも」

紬「それだとやっぱりけいおん部は3人だったってことになるね」

律「じゃあ結局うちに唯は必要だったってわけか」

唯「ふふーん、やっぱりけいおん部はわたしがいないと始まらないんだね!」

律「はーいはい」

唯「あしらわれた…」

律「でー?」

唯「ほぇ?」

律「いきなりどーしたんだよ、梓が同級生だったら?なんて」

唯「ふふふ〜、それがわたくしおもしろーいこと思いついちゃいまして〜」

紬「おもしろーいこと?」

唯「この1週間、あずにゃんには同級生になってもらおうと思います!」

   〜〜〜

梓「こんにちは〜」ガチャッ

唯「待ってたよあずにゃーん!」トタトタ

梓「わっ!どうしたんですか唯先輩…」

唯「敬語禁止!先輩禁止!」ビシッ

梓「…は?」

唯「あずにゃんは今日からわたしたちの同級生なんだよ!」

梓「は、はぁ…」

梓「…って、なんなんですかそれ!」

唯「だから敬語禁止だってば〜」

唯「あずにゃんにはね、今日から1週間、わたしたちの同級生として振舞って欲しいんだ〜」

唯「もちろんわたしたちもあずにゃんが同級生だと思って接するから!」

梓「い、いきなりそんなこと言われても…」

律「まぁまぁ、おもしろそうだしさ、ちょっとやってみようぜ」

澪「まったく…唯の思いつきにはいつも振り回されっぱなしだな」

紬「ふふ、唯ちゃんらしい発想でいいじゃない」

梓(先輩方も乗り気だ…)

梓(でもいきなりなんで…)

梓(はっ!!ま、まさか…!)

唯「どうしたの?あずにゃん」

梓(もしかして…先輩方…!)

梓(留年が決まっちゃったんじゃ!?)ガビーン

梓(それで、今のうちから私と同級生という状況に慣れておこうとしてこんなことを…)

梓(どうして?もしかして、1年生の頃から音楽室を占領してお茶してたのが、今になって問題になったの?)

唯「あずにゃーん?」ヒラヒラ

梓「へっ?あっはい!」

唯「どうしたの、ボーッとしちゃって」

梓「い、いえ…」

梓(うう…単刀直入には聞き辛いし…)

梓(こうなったら、とりあえず唯先輩の言うとおりにして、様子を探ろう)

梓「…わかりました。じゃあこれから1週間、みなさんの同級生になります」

唯「ほんと!?やった〜!」ダキッ

梓「うわっぷ!唯先輩!いきなり抱きつかないでください!」

唯「敬語禁止!先輩禁止!」

   〜〜〜

唯「まず呼び方からだよ!」

唯「当然だけど、なになに先輩は禁止ね。さん付けもよそよそしいから禁止」

唯「あとはなんでも、あずにゃんの好きなように呼んでくれていいよぉ」

梓「ええ…?」

唯「まずわたしから!」

梓「うーん…」

唯「ふふふ〜、なんでも好きなように呼んでごら〜ん?」ワクワク

梓「えと…」モジモジ

唯「ほらほら〜うつむいてないでさぁ〜」ワクワク

梓「…」モジモジ

梓「じゃ、じゃあ…」モジモジ

梓「ゆ…唯…」

唯(くはぁ…っ!か、かわええ…!)ズキューン!

唯(澪ちゃんに初めて『唯』って呼ばれたときのことを思い出すよ…!)

紬「恥じらいながら名前を呼ぶ梓ちゃん…実にいいわぁ」ウットリ

唯「次、澪ちゃん!」

澪「ええっ?私か?」

梓「えと…どうしよう…」

梓「…やっぱり…澪、かな」

澪「…なんか、照れくさいな///」

唯「ん〜、さっきから普通だね」

梓「ほ、他に呼び方ないでしょ!」

澪(あ、今敬語じゃなかった)

紬「私は?私は?」

梓「じゃあ…紬…じゃ、なんだか普通だし…」

梓「それなら…ムギちゃん、とか」

紬「まぁ…」

唯「あー!ムギちゃんだけズルいよ『ちゃん』付けされて!いいないいなー」パタパタ

紬「梓ちゃんありがとう!私、すごく嬉しいわ!」キラキラ

梓「あはは…」

律「じゃあ最後あたしなー!」

律「梓ちゅわんは部長であるあたしのことをなぁんて呼んでくれるのかしらー?」

梓「むっ…」

梓「そうだなぁ〜…じゃあ」

梓「…バカ律」ボソッ

律「」

唯澪「ぷっ!」

紬「あらあら」

律「なななな…」

律「中野〜!」ギューッ

梓「あはは、ごめんなさい!冗談です!」

唯「あーっあずにゃんダメダメ!今のは『ごめん、冗談だよ』って言わないと!」

梓「あ…ごめん、その…唯」

唯(うはぁっ上目遣いでの『唯』…やっぱりかわええ…!)キュンッ

澪「じゃあ私は澪、唯は唯、ムギはムギちゃん、律はバカ律ってことか」

律「うぉい!」

梓「いやいや、ちゃんと…律って呼ぶよ、律」

律「…なんかあたしにはあまり違和感なくタメ口使ってるな」

梓「いや、もちろん違和感は、その、あるけどさ…、なんだか他の先輩たちと比べたら、タメ口に抵抗がないんだよね」

澪「まぁ律や唯より梓の方が先輩らしいしな」

律「なにぃ〜?」

唯「がーん!わたしまで!?」

梓「いやっ、別に低く見てるとかそういうわけじゃなくてっ」アタフタ

梓「律せん…、おほん、律はこう、あっけらかんとしてる分、親しみやすい雰囲気があるというか…」

梓「も、もちろん先輩としても部長としても尊敬してるよ!」

梓「けど、まぁ…そういうこと、うん」

律「ほ、ほぉん?まぁそう言われたら悪い気はしないな…」

唯「わたしはどう?あずにゃん」

梓「唯も…、そう、だな〜…あっ、う、憂相手だと思って接すればそこまで違和感はないかな…?」

唯「ほむほむ、憂相手と思ってねぇ…なるほどぉ」

紬「私はどうかなぁ、梓ちゃん?」

梓「ムギちゃんは…どうだろう、難しいけど…」

梓「でも、頑張るよ」

梓「頑張るって表現が正しいのかはわからないけど…」

律「じゃあ澪はどうなんだー?」

梓「それは、えと…」

ガチャッ

さわ子「ちょりーっす」

律「お、さわちゃん」

さわ子「ムギちゃーん、私にも紅茶入れてもらえるかしら」

紬「はいただいま〜」

さわ子「で、あなたたち。顔突き合わせて一体なんの相談してたのよ」

唯「ふっふっふ、あずにゃんと同級生になろうっていう話し合いだよ!」

さわ子「…なにそれ、あなたたちまさか留年するつもりなの?」

梓「…」ピクッ

唯「違うよぉ、私たちとあずにゃんが1週間、同級生として過ごしてみたら楽しいんじゃないかな〜って」

律「っていう唯の思いつきだよ」

さわ子「ふ〜んなるほど?まぁいいんじゃない?」

さわ子「社会に出てみれば多少の歳の差なんて気にならないけど、学生時代って、たった1歳の差がとても大きなものに感じるでしょ?」

さわ子「あえてそれを崩してみるのはおもしろいんじゃないかしら」

唯「さすがさわちゃん!話がわかるね〜!」

律「あ、そーだ。さわちゃんも参加してみる?」

唯「お〜、それもおもしろそうだねぇ」

さわ子「結っ構です」

唯「え〜、おもしろそうなのにぃ」

さわ子「あのねぇ、忘れてるかもしれないけど私は教師なの」

さわ子「生徒たちに対して最低限の威厳は示さないと…」

澪「でもよく考えたら、唯と律はもう先生のこと『さわちゃん』って呼んでるような…」

さわ子「」

梓「それどころか今もすでにタメ口使ってますよね…」

さわ子「」

律「あ、ほんとだ」

唯「そういえばそうだね〜」

律「修学旅行でもあたしらに散々愚痴った挙句、違和感なく同じ部屋で寝てたしな〜」

唯「さわちゃんとわたしたちの間にはすでに壁なんてないね!」

さわ子(私の教師としての威厳はいずこへ…)

紬「あ、あの、先生?紅茶入りました…」

さわ子「…ありがとう」

グイッゴクッゴクッゴクッ!

さわ子「っぷはぁ…ムギちゃん、おかわり!」バッ

紬「は、はい」

梓「ヤケ紅茶だ…」



唯「結局さわちゃん、お茶とケーキだけ食べてさっさと帰っちゃったね」

律「今さらあたしらに対して威厳がどうとか気にしなくてもいいのにな〜」

梓「…」

梓(いきなり先輩たちと同級生だなんて…違和感ありまくりだよ)

梓(でもさっきの先生とのやり取りを聞いてたら、留年が決まったってわけじゃないのかな…)

梓(でも、留年が理由じゃないとしたら、なんでこんなこと…)

梓(そもそも『同級生』ってどういうこと?私が3年生になるってこと?それとも先輩たちが2年生になるの?)

梓(ああ…わかんなくなってきた)

律「よし、じゃあとりあえず練習すっか」

澪「珍しいな、律から練習って言葉が出るなんて」

律「ん〜、まぁ同級生の梓ちゃんが早く練習したいんじゃないかって思ってさ〜」

梓「…」

律「…梓?」

梓「えっ?あっごめんなさい!」

唯「ぶっぶー!ダメだよあずにゃん、ごめん『なさい』は敬語だよ!」ビシッ

梓「あ…そうだった」

澪「厳しいな…」

律「で、どーしたんだよ梓、ボーッとしちゃってさ。梓の大好きな練習するぞ?」

梓「う、うんわかった、今準備しま」

紬「はいっアウト!」ビシッ

梓「ひっ!」

律「反応はやっ!」

紬「梓ちゃん、今『準備します』って言おうとしたでしょ」

梓「う、うん…すみませ」

唯「『すみません』も敬語だよっあずにゃん!」ビシッ

梓「わっ!」

唯「そういうときは『ごめん』だけでいいんだよぉ」

梓「うん…ご、ごめん」

唯「も〜あずにゃんったらぁ、最初からこんなことじゃ先が思いやられますなぁ」

梓(なんか…部室に来てまだお茶飲んだだけなのに、ものすごく疲れたよ…)

澪「まぁ始めたばかりだし、梓も戸惑うかもしれないけど、気楽にやればいいからさ」

梓「はい…」

紬唯律「『はい』も敬語っ!」ビシッ

梓「ひええ!」ビクッ


【夜・平沢家居間】

唯「むふふ〜ん♪」

憂「ご機嫌だね、お姉ちゃん」

唯「あっ、憂〜」

憂「なにかいいことでもあったの?」

唯「今けいおん部でおもしろいことやっててね〜」

憂「おもしろいこと?」

唯「うんっ!あずにゃんとわたしたちは今週、同級生なんだよ!」

憂「同級生…?」

唯「そう!少しの間、あずにゃんにはわたしたちとタメ口で話してもらって、あずにゃんの好きな呼び方で呼んでもらうんだ〜」

憂「へぇ〜、楽しそうだね!」

唯「でしょ〜?」ニヘラ

唯「でも今日はまだあずにゃん慣れてないみたいで、しょっちゅう敬語が出たり、先輩って呼んじゃってね」

唯「敬語も先輩も禁止したのになぁ」

憂「それは仕方ないよ、梓ちゃん真面目だもん」

憂「きっと、お姉ちゃんや先輩たちといきなりタメ口で話すのは、抵抗があるんじゃないかなぁ」

唯「う〜ん、気にしなくてもいいのにぃ」

憂「まぁまぁ。それだけお姉ちゃんや軽音部のみなさんのことを尊敬してるってことだと思うよ?」

唯「…そう、なのかなぁ」テヘヘ

憂「うん、きっとそうだよ」

憂「そろそろごはんできるから、手を洗ってきて」

唯「はぁ〜い」


【翌朝・2年1組教室】

憂「梓ちゃん、おはよう」

梓「おはよう憂」

憂「お姉ちゃんから聞いたよ、今軽音部でやってること」

梓「ああ、聞いたんだ…」

憂「楽しそうだよね〜♪」

梓「ははは…」

憂「…元気ないね」

梓「きっとまた唯先輩の思いつきなんだろうね」

憂「そうみたいだね」

梓「うーん…」

梓「いざタメ口とか、下の名前で呼び捨てって考えると、どうしても抵抗があってさ…逆に気を遣っちゃうんだよね」

憂「梓ちゃん、真面目だもんね」

梓「はは、そんなことないけど…」

梓「…はぁ」

憂「なんだか大変そうだね…」

梓「…」

憂「でもさ、きっとお姉ちゃんたちにもなにか考えがあって、こういうことしてるんじゃないかな〜って思うんだ」

梓「考え…?」

憂「うん。だから、騙されたと思って、それに乗ってみたらどうかなぁ」

梓(…考え、か)


〜〜〜〜〜〜〜〜


デフォルメ唯『あずにゃんと同級生!おもしろそうじゃない!?』

デフォルメ律澪紬『おもしろそ〜!』

一同『あははは〜』


〜〜〜〜〜〜〜〜


梓「ほんとに、あるのかな…」

梓(単なる思いつきな気が…)

憂「ふふ、まぁただの思いつきかもしれないけど…でも、こんな機会今しかないよ?」

梓「そうだけど…」

憂「とりあえず、私や純ちゃんに接すると思って。気軽に楽しんでみればいいんじゃない?」

梓「…まぁ、頑張ってみるよ」

憂「うんっ!」

梓「あ…そうだ、憂」

憂「なぁに?」

梓「唯先輩ってさ、もしかして…」

梓(留年が決まったとか…)

梓「…」

憂「どうしたの、梓ちゃん?」

梓「…ううん、なんでもないや」

憂「?」



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最終更新:2015年04月20日 22:18