—2分後—

唯「ギターってどこで手に入るの?」

律「そりゃ楽器屋だろうよ」

唯「一番安いギターなら勝手に持ってってもいいの?」

澪「そんな時代が来るといいな」

唯「ギターっていくらするの?」

律「それはピンキリだけど、まあ5万円くらいは欲しいところだ」

唯「そんなお金ないよぅ」

紬「唯ちゃん、ジャンプしてみて」

ぴょんぴょん

チャリンチャリン

唯「ジャンプしたよ〜」

紬「ねえ見た?今、唯ちゃんのおっぱいがちょっと揺れてたわ」

澪「はぁ」

紬「はい、500円」

私は何故かムギちゃんからお金をいただいた。


唯「これをあと99回繰り返したらギターが買えるの?」

紬「このイベントでお金が貰えるのは最初の一回だけだから…」

律「じゃあアタシは一回目だからアタシが飛ぶぜ!」

りっちゃんがぴょんぴょん飛び跳ねたが、おっぱいはちっとも揺れなかった。


紬「敢闘賞よ」


りっちゃんは5円もらった。


そうなると隠れ巨乳の澪ちゃんがたゆんたゆん揺らせば
ムギちゃんは10コインブロックのようにお金を吐き出すのではないかと期待されたが

澪「そんな恥知らずな事が出来るものか」

と言ってジャンプした。

澪っぱいがタヌキのきんたまみたいにぶるるるるんって揺れた。


紬「持ってけ泥棒!」

ムギちゃんは5万円を床に叩きつけた。


唯「これでギターが買えるね!」

澪「いや、それ、私の金だから。唯には一円もあげないから」


紬「というか、それ、私のお金だから。あんな事で本当に5万円ももらえるなら誰も内臓なんて売らないわ」

澪「そりゃそうだろうな」

そう言って澪ちゃんは5万円を自分の財布にしまった。

紬「だめ!?返して!私の5万円返して!」

澪「いやだ!」

澪ちゃんとムギちゃんが取っ組み合いのケンカを始めたので私は面倒くさくなって帰ったよ。


—平沢家—

唯「そういうワケでギター買いたいから5万円ちょうだい!」

憂「家のお手伝い、なんにもしないのに?」

唯「じゃあ、おこづかい前借りでいいよ」

憂「前借りでいいよとか言われても私、お金持ってないし」

唯「お母さんから食費預かってるでしょ?」

憂「預かってるけど、お姉ちゃんにだけは絶対使わせるなってお母さん言ってたよ」

唯「構うもんか!!」

憂「構うよ!?」

唯「頼むよお願い食費から5万円貸してよ私を信じて」

憂「じゃあ実際、食費でギターを買ったら、ご飯どうする気なの?」

唯「もっと頭を使おうよ、あんぽんたんだなあ」

憂「ファックッッ!!」

憂は新品のマヨネーズをブビュッと握りつぶした。

憂は昔からストレス解消でケチャップとかマヨネーズを握りつぶす困った妹である。

だけど私は昔から家事手伝いを一切合切、妹に押し付ける困った姉なので寛大な心で許してあげてるんだ〜!


唯「食費でギターを買って、ギターで繁華街で弾き語りでお金儲けで食費GETだよ!」

唯「その理論で行けば今日中にギターが手に入る上に今夜はビフテキだね!」

憂「お姉ちゃん、今晩のご飯はポップコーンとナスでいい?」

唯「それ、人間の食事じゃないよ」

憂「そんなの関係ねえ!そんなの関係ねえ!」

憂は懐かしい踊りを踊って、私の意見を受け付けなかった。

私の晩ご飯はマジでポップコーンとナスだけだった。

憂はやると決めたら必ず成し遂げる子だもの。

でも憂の晩ご飯はラザニアとゴボウサラダでスゴい美味しそうだったらったらったらっ♪
アアァアァアアァアァアアァアァアアァアァアアァアァアアァアァ!!!????


—翌日・部室—

唯「昨夜は怒りで気が狂いそうになったよ」

律「ふぅん」

澪「初めて出会ったあの日から頭おかしかった気もするから別にいいか」

唯「でもお母さんからお小遣い前借りしてきたから5万円GETしたのは確かだよ!」

澪「おお」

律「これでギター買えるじゃん!」

唯「えへへ」

紬「ねえ唯ちゃん、私とジャンケンして勝ったら5万円あげるから負けたら
その5万円もらっていい?」

唯「やるやる!」

澪「おい落ち着け!?」

律「コイツ一秒も迷わずに危険な博打を」

唯「それがロックンローラーってもんだよ」

律「トランペットとトランポリンの区別もつかないバカのくせに変なことは知ってるんだなぁ」

唯「ふんす!」

澪「ふんすってどういう日本語?」

律「さてね」

紬「じゃあ勝負よ、唯ちゃん」

唯「ジャンケン…」




紬「パー!」

唯「チョキ!」



唯「うっ、うおおおおおお!?」

紬「今の無しね」

唯「なんで!?」

澪「そんなことより金があるなら、さっさと楽器屋に行くぞ」

私はすごい納得いかなかったけど楽器屋さんに向かった。


—楽器屋—

街の楽器屋さんに行くと、色んな楽器が置いてあった。

もちろん、お目当てのギターもいっぱい置いてある。

このギターの数だけ夢があり、そして、そのほとんどが散っていく夢なんだろうなあ。

なかなかかっこいい言い回しだったから私は声に出して威風堂々と発表してみた。


唯「ここにあるギターの数だけ夢があり、そして、そのほとんどが散っていく夢なんだろうねぇ」

律「ハァ?気持ち悪いこと言ってないでさっさとギター選べよ このバカが」

私は大変、気分を害したので、りっちゃんの背中に特大の鼻クソをつけた。

にちゃあっ

律「ん、なんかした?」

唯「えへへ、スキって書いたんだよ」

律「よせやい!」

りっちゃんの背中にはなすりつけられた汚らしい鼻クソ汁で『スキだらけ』って書かれていた。

私は嘘はついていない。

澪「お前が私の敵じゃなくて本当に良かったよ本当に」


—3分後—

澪「気に入ったギターは見つかったか?」

唯「私、これがいい」

紬「ギブソン・レスポール・スタンダード」

律「20万円以上って書いてあるな」

唯「5万円で足りるかなぁ」


澪「なんで20万円のギターを5万円で買える可能性があるって思ってるんだ?」


唯「諸葛亮孔明なら蜀軍5万で魏軍20万を蹴散らすことは造作もないことだからね」

ふんす=3

私は私ってアタマいい!!と思った!

唯ちゃんマジ策士!!

律「でもお前、孔明じゃないしなあ」

紬「どちらかといえば仁徳のある劉備タイプよね唯ちゃんは」

唯「てへへ、ありがとムギちゃん」

律「褒め過ぎだよ」

澪「確かに唯のほがらかな人柄は人々を惹き付けるが
知能レベルを考慮すると劉備玄徳というよりオランウータンに近い」


唯「おらん…たん、って誰?」


澪「お前、オランウータンを知らないのか」


律「知らん」



澪「お前も知らないのかよ!?」


紬「オランウータンというのはボルネオに住む猿とかゴリラとかあんな感じのお友達よ」

澪「オランウータンも知らないクズにボルネオとか言われても困るだろうけど」

唯「ボルネオってアレでしょ?北部がマレーシア領、南部がインドネシア領の島で」

律「石油、ダイヤ、アンチモン、ボーキサイトとか鉱物資源が豊富なんだよな」

唯「そういえば日本が占領してた時期もあったよね〜」

澪「オランウータンも知らないのになんでボルネオにはそんな詳しいんだ。というかアンチモンとかボーキサイトってなんなんだ」

唯「ほぇ?なんでもなにも常識だよね」

律「だよなぁ」

紬「じゃあアメリカについて知ってる知識を言ってみて」


唯「ナスの名産地」


律「ハラショー」


澪「這いよりますかっせいのうねりっ!!破っ!!」

律「ど、どうした」

澪「分からん」


—2秒後—

澪「とりあえず今は5万円で買えるギターで我慢しておけよ」

唯「ほざけ!」

澪「私、『ほざけ』なんて言われたの人生初」

紬「いいなぁ〜」

律「いいかぁ?」

澪ちゃんの言うことが現実的だってことは私にも分かる。


だけどファーストインスピレーションというかなんというか

とにかく20万円のヤツにビビッときた以上、今さら他のギターを5万円も出して買う気になれない。

紬「好きな人がいるのに、他の殿方のオチンチンをお股にハメハメしたくないのと同じ乙女心よね」

唯「ほざけ!」

紬「♪」

ムギちゃんはほざけって言われて浮かれて壁に激突して失神した。
澪「どうすればいいんだ」

律「帰ろうぜ」


—翌日・部室—

私たちは部室で「唯ちゃんお気に入りギター買う会議」を開催した。

唯「どうすればいいと思う?」

律「5万円ので我慢しろや」

澪「もしくはバイトでもしろ」

紬「会議終了〜(^ヮ^)」

唯「ほざけ!」

私は仕方なくバイトでギター代20万円稼ぐ決意をした。


—2秒後—

唯「でもバイトって何をしたらいいのかな〜?」

律「お前、たまには自分で考えろや」

澪「私を1時間マッサージしたら2円やろう」

紬「パンツをヤフオクで売ればいいじゃない」

唯「ほざけ!ほざけ!」

紬「まるで、ほざけのバーゲンセールだわ」


—1秒後—

唯「ドラえもんの映画観に行きたいな〜」

律「ギターの話は!?」

唯「飽きた」


—翌日—

私は街にやってきた。

そして、お金持ってそうな幸薄そうな、それでいて清らかな心を持ってそうな道行くサラリーマンに声をかける。

唯「すいませんすいません、私の声を買いませんかぁ?」

男「え、声を?」

和「この子の天使のようなあどけないエンジェルボイスで好きな言葉を喋らせる事ができます」

男「好きな言葉…」

和「単語なら500円、文章2000円、録音も可です」

男「ちょっと高いかなあ」

和「唯」

唯「おかえりなさい、お兄ちゃん♪」

男「おちんちんおにぎりって耳元で囁いてみてくれる?」

唯「お、おちんちんおにぎり」

男「↑↑↑」

和「500円です」チーン¥

男「じゃあ次は、お腹の中でびゅるびゅ


—1週間後・部室—

唯「ギター買っちゃった♪」

律「おお、マジだ!」

澪「お金どうにかなったのか?」

唯「お金はどうにかなったけど、頭もどうにかなりそうだったよ〜」

律「元々どうかしてるだろ」

紬「でもなにかあったの?」

唯「秘密!」

紬「秘所の蜜ってこと?」

律「なに言ってんだコイツ」

澪「まあ、唯のギターも揃ったことだし早速4人で練習だ!」

唯「えっ」

紬「らじゃー(^ヮ^)♪」

律「ワンツースリーフォー♪」カンッカンッ



ジャンジャンジャカジャカジャーン♪


唯「いきなり弾けるワケないよ!?」

律「そりゃそうだろうな」

澪「あと、いい加減、全員一丸となって違う曲弾くのやめようか」

そんなこんなで私の軽音ライフがようやく本格的に始まったらしい。


—2週間後くらい—

唯「いやぁ〜、ギターがあるとムギちゃん紅茶略してムギ茶が一段と美味しいね!」

紬「うひょっ♪」

澪「唯のギターも上達してきたし、なんとか部活として体を成してきたよ」

唯「てへへ」

律「でもホント、上達早いよな唯。相当、練習してんじゃないか?」

唯「ふふ!私、ギー太に首ったけだから。家でもずーっと一緒にいて練習してるからね〜♪」

紬「ギー太?」

唯「ギターの☆ギー太☆」

澪「名前つけたんだ」

唯「名前無しじゃかわいそうだもんね〜」


澪「ハハハ!!かわいそうだって?ギターに心があるとでも思っているのか?」


唯「澪ちゃんってりっちゃんとムギちゃん以外にお友達いるのかなあ」

紬「私、彼女とはお友達ではないんだけれど…」

律「アイツは愛と勇気だけが友達さ」

澪「お前たちが将来、寝たきりになったら
お見舞いに行って私の顔面の肉をひきちぎって食べさせてやる」



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最終更新:2015年06月20日 08:30