—帰り道—
律「じゃあなー」
澪「ばあい!」
ばあい、っていつの時代の挨拶なんだろって思いながら
りっちゃん澪ちゃんと別れた私とムギちゃんちゃん。
ムギちゃんは二人きりになると、いつも私に鼻を近づけて
くんくん…
と身体中の匂いを嗅いできます。
私は本当は嫌だったけど、私が我慢することでムギちゃんが幸せになれるならいいかなって思ってムギちゃんの背中をパンチしました。
紬「ぎゃっ」
まあ、私は力が無いから ほとんどダメージは与えられないんだけど…
そんなこんなで、まもなくムギちゃんともお別れです。
紬「唯ちゃん、ちょっと今日はマクドナルドに寄っていかない?私がおごるから…」
唯「ほぇ?でも憂が夕飯を用意して待ってるから買い食いはマズいかなあ…」
唯「せっかく妹が作ってくれたのに食べられなくなっちゃうとさすがに悪いや」
紬「じゃあスタバでカフェだけ付き合うのは?ドリンクくらいなら入らない?」
唯「おや、マックも行ったことなかったムギちゃんが
今やすっかりファーストフード慣れしちゃったね〜」
紬「私、ファーストレディだから〜♪」
時々このヒトは奇妙な事を言うなあと思いながら
私はスタバにカフェだけ付き合うことにした。
—スタバ—
唯「グリルチキン&アボカドシュリンプのサンドイッチください」
紬「めっちゃ食べ物頼んどるし!」シャランルァ!?
唯「なにが?」ムシャムシャ
紬「憂ちゃんが夕飯用意して待ってるからマックで食べたくないって言ってたわよね」
唯「そんなの三歩歩いたら忘れたよ」モグモグ
唯「脳ミソと胃袋は別腹だもん!」
紬「そういう問題かしら」
紬「奇妙な人だわあ」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
唯「おかわり!」
おごりなのを良いことに私は胃が破裂寸前になるまでサンドイッチを食べまくった。
唯「あっ!!」
紬「どうしたの?」
唯「は、吐いていい?」
紬「だめ」
唯「はぁはぁ…」
紬「それより合宿の事で相談があるんだけれど…」
唯「ああ…そういえばムギちゃん、なんでりっちゃんに別荘があるか無いか聞いたの?」
唯「別荘なんて普通もってないよぅ」
紬「前フリよ」
唯「はぁ」
紬「聞かれもしないのに私の家の別荘あるから合宿でそこ行きましょうオホホ
というのもいやらしいから
りっちゃんが別荘なんてあるワケねーとか言ったら私の家の別荘を紹介するつもりだったんだけれど…」
唯「それで、りっちゃんをダシに使ったんだ」
唯「嫌な女だなあと私は思ったがサンドイッチをおごってもらった手前、黙っておくことにした」
紬「黙ってないよ!?心の声、洩れてるよ!?」
唯「わざとだよ」
紬「まあ、それはいいんだけれど…」
唯「たくましいなあ」
紬「私、この合宿中に澪ちゃんの恋人になりたいんだけれど、協力してくれないかしら」
唯「えっ」
紬「…びっくりした?」
唯「うん…」
紬「もしかして、嫉妬した?」
紬「ムギちゃんは私の事が好きだと思ってたのに!…って」
唯「いや、それはどうでもいいよ」
紬「どうでもいいの?」
唯「はい」
紬「本当にどうでもいいの?」
唯「はい」
紬「本当にどうでもいいですか?」
唯「はい」
紬「本当にどうでもいいですか?」
唯「はい」
紬「本当にどうでもいいですか?」
唯「はい」
紬「本当に…どうでもいいのか?」
唯「は…いいえ」
紬「うふっ♪ごめんね!」
それで満足なの?
唯「でもムギちゃんが澪ちゃんをつけ狙ってたなんて気付かなかったから
そういう意味では驚いたなぁ〜」
紬「最初はガードのユルそうな唯ちゃん狙いだったけど意外と手強いし
こうなったらチョロそうな澪ちゃんをテゴメにしたいの」
このタクアン眉毛最低!と思ったけど、怖かったので黙ってました。
紬「澪ちゃんも一見ガード硬そうだけどエッチに興味津々そうだし落とせるかな…って」
唯「……」
同じ部活に入った仲間同士。
ムギちゃんとは卒業するまで仲良くしていこうとは思っている。
だけど私と彼女が心底わかりあえる事はないんだろうな…って、この時、ハッキリ確信した。
唯「ムギちゃんは…そういうの、誰でもいいんだね…」
紬「誰でもというワケじゃないわ」
紬「例えばりっちゃんは友達としては好きだけど爪や歯が野生動物みたいだからダメ」
唯「あっ、わかるよ!」
私たちはりっちゃんの人柄のおかげで分かりあえた。
ありがとう、りっちゃんちゃん!
紬「それで私と澪ちゃんの愛のキューピッドオペレーション、協力してくれる?」
唯「はぁ…」
私の頭の中には
ムギちゃんってレズなのかなあとか澪ちゃんの事をもてあそぶつもりなのかなあとか色々思うところはあったけど
とにかくスタバのサンドイッチをたっぷりご馳走になってしまったので
私は澪ちゃんの肉体をこの肉欲まみれの汚らわしい淫魔にごちそうすることにした。
唯「いいよ」
紬「やった!」
ムギちゃんが私のケツを揉もうと手を伸ばしてきたので
私はペッとムギちゃんの顔面にツバを顔射したよ。
—平沢家—
唯「というワケなんだよ!」
和「青春ね」
憂「売春」
唯「立春!」
和「春が立つ…春が売春で勃つ…」
和「勃春」
唯「まあ、春の話はもういいよ」
憂「今、夏だもんね」
唯「うん」
唯「そんなことより私としては
賢くて えろな二人に合宿ムギ澪愛のキュピーッドファック大作戦を考えてほしいんだよ?」
和「愛のキュピーッド」
憂「キュピーッ」
和「なんか怖っ」
唯「だまれ!」
唯「二人ともいつもそうやって脱線して私の話を無視して…いたいいたいいたい」
ブチッ
和「アンタがキュピーットとか言うから悪いんでしょうが」
ブチッ
憂「お姉ちゃんファック」
ブチッ
唯「分かったから鼻毛ぬかないで!」
和「アンタの鼻毛、ふりかけにしていい?」
唯「勝手にすればいいよ」
和「憂。この鼻毛、明日の唯の朝ごはんの食パンに植毛しといて」
憂「おk」
唯「やめろ!?」
唯「食べ物を粗末にするヤツなんて大嫌い!」
憂「じゃあなんでお姉ちゃん今日の晩ごはん全部残したの?」
唯「そんな日もあるよ」
憂「私、3時半に学校から帰ってきて4時から買い物行って5時から料理してお姉ちゃんは8時まで帰って来なくて、開口一番ご飯いらないって…」
和「8時?随分遅いわね。何してたの?」
唯「一生懸命生きてたんだよ」
憂「もしかしてだけど私がご飯作ってるの知りながら買い食いしてたんじゃないよね…?」
唯「そんな事するはずないよ!!」
憂「!!」
唯「私のかわいい妹が…丹精こめて作った料理を買い食いしたからいらないなんて言うヤツがいたら…」
唯「私がぶん殴ってやる!!」
憂「お姉ちゃん…」
ぺちん
と、私は自分のほっぺたを軽くぶんなぐった!
和「なんで今、自分の顔をやさしく叩いたの?」
唯「なんとなく」
憂「お姉ちゃん、買い食いしたの?」
唯「そんなヤツぶん殴ってやったよ!」フンス=3
憂「私も殴っていい?」
憂は
こん棒を冷蔵庫から取り出した。
唯「なんでそんなモノ冷やしてたの!?」
憂「なんとなく」
私は全裸で土下座して許してもらった!
☆テッテレー☆
—12分後—
和「ちなみに澪にそのケはあるの?」
唯「そのケって鼻毛?」
和「レズビアンの素養があるかどうかよ」
唯「知らない」
憂「同性愛がダメな人だったらキュピーッド作戦もヘッタクレもないよね」
唯「ヘッタクレってよく聞くけど、なんなの?」
和「ヘチマの出来損ないのことよ」
唯「和ちゃんはなんでも知ってるなあ」
和「私はなんでも知ってるわよ」
唯「じゃあ澪ちゃんが同性愛者かどうか知らない?」
和「そういえば澪ったら以前、私の事をつけ狙っていたわよね」
和「和は私だけを見ていればいいんだとかって」
憂「和ちゃん、本当になんでも知ってるね」
唯「そういえばあったな〜、そんなこと」
唯「じゃあ澪ちゃんもムギちゃんも同じケツのアナルのムジナさんだね」
唯「これで安心してキュピ戦が練れるや!」
和「きゅぴせん?」
唯「キュピーッド大作戦の略」
憂「和ちゃん、そいつは無視して話をすすめようよ」
和「そうね」
唯「お姉ちゃんをそいつを呼ばわりするな!」
私は妹をたたきのめそうとしたが、絶対に私が泣かされるからやめてあげた。
私って理想のお姉ちゃんだよね!
—23分後—
和「やっぱり頼りがいがある人に女は弱いかしら」
憂「一時的に親元を離れ、合宿で澪さんが何かしら困ってるときに
紬さんがスッと助けてあげられたらポイント高そうだよね」
唯「スリーポイントシュートだね!」
和「合宿で困りそうな事と言えば…」
唯「かゆいけど背中の届かないところをペロペロなめてあげるとか?」
憂「お姉ちゃん、折り紙あげるから お外で遊んでてね」
唯「折り紙なのに外!?」
和「紙飛行機でも作って飛ばしてなさいよ」
唯「よーし!」
和「ああ、料理をサッと作れる女子高生なんてそそるわよね。特に制服にエプロンとか襲ってくれと言ってるようなものよね」
憂「あと味見で澪さんに小皿にすくったスープを飲んでもらってから
澪さんが口をつけた所に紬さんも唇をつけて間接キスするとか」
和「あー、さりげなくね。私はそんなの全然気にしてないよ?って感じを装って」
憂「でも澪さんだけは気にしちゃって…」
和憂「キャーッ///」
唯「紙飛行機できたよ!」
憂「お姉ちゃん、ボールとってきて」
ポイ
唯「私は犬じゃないよっ」
憂「ああ!?」
気付けば憂が投げたボールを全裸で四つんばいでとりにいく私がいた。
唯「ボールとってきたわんっ」
憂「よしよし」ナデナデ
唯「ゴロゴロ」
和「犬なのか猫なのかハッキリしなさいな」
唯「生きていればなんでもいいよ」
和「良いこと言うわね」
私は犬みたいにリビングにオシッコを撒き散らしてやろうかと思ったが
ぎりぎり理性が勝ったので、やめておいた。
そのかわり、憂のスキをついてリビングでウンコしてソファーの下に隠しておいちゃった!
あははは!アハハはハハは!!
—2秒後—
私は憂に鬼のような形相で睨まれ
自らの肛門から出したブツを全裸で素手で片付けさせられた。
片付けるといってもゴミ箱に捨てるワケにも行かないので
窓を開けて隣のおばあちゃん家の庭に放り込んだ。
—夏休み・合宿当日—
私たちは楽器、着替えなどを持参して、朝8時にりっちゃんの家に集合した。
顧問のさわ子先生は今夜、現地に遅れてやってくるので
今はいつもの4人だけが集まっている。
律「さあ行こうぜ」
なんの説明もなく、いきなりりっちゃんは家を出ていった。
澪「おい、バスか何かに乗って行くのか?」
りっちゃんはずんずん歩き、澪ちゃんの問いかけに答えようとしない。
澪「なんだかなあ」
唯「澪ちゃんも行き先は聞いていないんだ?」
澪「うん。着いてからのお楽しみとしか言わないんだよ」
唯「ふ〜ん、どんな所だろ。期待していいのかなあ」
澪「期待より覚悟をした方がいいぞ。アイツはたまにシャレにならない嘘を平気でつくからな」
唯「嘘を?」
澪「以前、律がおごってやるからガストに行こうなんて言って散々飲み食いした挙げ句」
澪「ヤツの財布には」
澪「ドングリ数個と葉っぱしか入ってなかったんだ」
唯「どんぐり…」
澪「結局、私は律の分まで食事代を払うハメになったよ…」
ひどい話だ。
だけど私が知る限り、りっちゃんは劣悪な脳細胞の持ち主かも知れないけど
悪意ある嘘をついて喜ぶ人間じゃない。
唯「りっちゃんは澪ちゃんを騙そうとしたんじゃなくて
本気でドングリでお買い物出来ると思ったんじゃないのかな?」
澪「だと、いいがな…」
澪「いや、良くはないが…」
私たちはりっちゃんの行く末が心配になった。
紬「ねえねえ、唯ちゃん」
唯「なあになあに、ムギちゃんちゃん」
紬「さっきからベタベタ澪ちゃんとおしゃべりしまくっとるけど
唯ちゃんは私と澪ちゃんをくっつける気あるのかしら?」
澪「なんだ、くっつけるって」
唯「色々段取りがあったんだけど今のムギちゃんの言動で大体ぶち壊しだよ」
紬「なん…だと!?」
合宿当日のこの日まで、いちご100%やニセコイを読み、ときめきメモリアルをプレイしエロゲー100本(※うち90本はレイプもの)クリアして恋愛のイロハを勉強したのに全て水泡と帰しちゃった!
澪「えっ、私とムギをくっつけるって、えっ?」
唯「知らない知〜らない」
澪「ムムムギは私のこと、好きなの?」
紬「ち、ちがう…!」
澪「じゃあ嫌いなの?」
唯「たぶん澪ちゃんのカラダだけ愛してるんだよ」
紬「なばれ!?」
ムギちゃんがもうワケの分からない雄叫びをあげながら
閑静な住宅街の道路の真ん中で私につかみかかってきた。
私はポケットに潜ませていたザリガニを2体召喚し
ムギちゃんの顔面に投げつけて様子を見る。
紬「こしゃくな!」
ムギちゃんはザリガニを噛みちぎってペッと吐き出した。
澪「私はムギのこと、好きだよ友達とし…」
紬「あぁ!?」
ブチュビチャアッとムギちゃんは鼻血の塊をブロック塀に噴きつけ澪ちゃんは失神した。
唯「しっかりして、澪ちゃん!」
紬「人工呼吸よ、ヒッヒッフー」
唯「それ、出産する時の呼吸法じゃないの」
紬「澪ちゃんの唇を奪って命を救って種付けまでする!私は一石で三羽の鳥を墜とす!」
ムギちゃんはワケの分からないことをわめきちらしながら
鼻血まみれのヌチャヌチャな唇で澪ちゃんに人工呼吸した。
紬「ぶぢゅぅるるる」
澪「ハッ、ガッ!?」
ムギちゃんの鼻血が澪ちゃんの口から逆流して鼻から緑色の何かがブッと噴き出した。
澪「うわあああ鼻から緑色のものが!?」
紬「それ、STAP細胞じゃないの!?」
悪夢のような光景だった。
律「唯、逃げるぞ!」
唯「り、りっちゃん…!!」
一人、黙々と前を歩いていたりっちゃんが
引き返してガッと私の手を握って走り出した。
紬「あビュッっ」
澪「ま、待でっ」
顔面、緑と赤の鼻血まみれのクリスマスカラー亡者が決死の形相で追いかけてくる。
私はりっちゃんの手をギュッと握りしめて太陽に向かって走り出したのだった。
おわり
最終更新:2015年06月20日 08:32