ー肛門ー
もちろん、肛門じゃなくて校門を通って私たちは帰ることにした。
唯「肛門を通ったら私たち、うんちだもんね」
梓「なに言ってるんですか…食事中に汚ないなぁ」
律「今、食事中じゃないだろ」
梓「なに言ってるんですか。今、澪先輩の細くてスベスベの美脚をオカズにしてるに決まってるですよ」
紬「キマってるのはお前の頭よ、このヤク中が」
澪「ひぃい、怖い!」
がスッ!
紬「もゲらッ!?」
澪先輩は恐怖に顔をひきつらせてムギ先輩の背中を殴りつけ、ムギ先輩はくの字になってぶっ飛んでいった。
紬「痛い痛い痛い!なぜ私を殴ったの!?」
澪「ごめん…、私って意外と乱暴者だから」
澪「よく言うだろ?わ〜たし、さく乱暴〜♪って」
律「らっきょう」
唯「殴るなら変態梓ちゃんを殴ればいいのにね〜」
梓「梓ちゃんだなんて他人行儀だなぁ」
梓「親しみをこめてなんか可愛いあだ名をつけてくださいね!」
律「なに一人で盛り上がってンだコイツ」
紬「梓ちゃんバナナケーキ好きだし、愛称はぺニスパーティでいいんじゃないかしら」
梓「人前で呼べるモンなら呼んでみろよ!?」
澪「背が小さくて可愛いからアリのフンなんてどうかな」
梓「澪先輩って外見は美少女女子高生なのにセンスがピッコロ大魔王並ですね!このナメクジのフン」
澪「えへへ、ありがとう…¥¥¥」
律「じゃあアリのフンで決定だな」
梓「そんなことありませんよ?」
律「じゃあアズくそマンで決定だな」
梓「そんなことあるワケないッて言ってよ!?」
律「でもお前、うんこネタ好きそうだしさァ」
梓「もっと可愛いヤツがいいんです」
紬「うんこプリティちゃんとか?」
澪「おっ、可愛い」
梓「ばかばか!」
野良猫「ニャオーン」
唯「あっ!」
見ると民家の塀の上でオス猫同士が交尾をしていた。
唯「よーし!!猫が交尾してたから、あだ名はあずにゃんにしようよ」
梓「どんなキッカケなんですか」
こうして私はあずにゃんになった。
純「おーい、梓ー!」
タッタッ
校門を越えると学校の方からもじゃもじゃした髪を揺らしながら純が追いかけてきた。
律「ん、あのコは…」
唯「あずにゃんのお友だち?」
梓「純!!」
そういえば体操服をとりに行くとかいって、かれこれ2時間くらいほったらかしだったんだっけ。
純「梓、人を待たせておいて、どこ行ってたのさ!」
梓「あ、ご、ごめん…」
純「まだ電話番号もメアドも知らないから連絡もつかないし、どうしようかと思ったよ〜」
梓「う、うん…」
唯「あずにゃん、このコと待ち合わせしてたのに軽音部に来てたの?」
梓「はい…ちょっと流れでそうなってしまって…」
梓「純、ごめんね。本当にごめんなさい」
純「ん、うん、それはまあ いいよ。そう素直に謝られたんじゃ怒るに怒れないや」
梓「純…」
純「ところで今、軽音部に来てたって聞こえたけど…?」
澪「ああ、このコ、軽音部に入部したんだよ。な?」
純「えっ」
梓「あっ」
紬「二人ともどうしたの?」
そそそそういえば私、純とジャズ研に入るって言ってたのに、なんで軽音部に入っちゃったの!?
純「軽音部に…入ったの?」
梓「あ、えと、それ!違うの!私はジャズ研に…」
唯「ん?あずにゃん、本当はジャズ研に入りたいの?」
梓「あ、はい!友達と約束してて…」
律「なんだ、だったらジャズ研に入んなきゃ」
澪「別に無理に軽音部に入部しなくってもいいんだからな?」
梓「す、すみませんです…」
純「…梓、本当にジャズ研に入りたいの?」
梓「え…」
純「そういえば部活紹介の時から軽音部のこと気にしてたし、軽音部のベースの人とかすごく上手かったし。梓、そういう人たちと自分を高めあいたいみたいなこと言ってたよね」
梓「……」
純「私のこと気にして無理にジャズ研にしなくてもいいんだからね?梓のやりたいようにすればいいんだからね」
梓「純…」
律「いいコだな…」
紬「女神だわぁ…」
澪「結婚したい」
君を見てると〜いつもハートどきどき〜♪
その瞬間、ふと私の頭の中に軽音部の先輩たちが歌ってたフレーズが流れた。
ちょっぴり変わったところもあるけれど、私の心も体も、本当はこの人たちの音楽と一つになりたがっている
それが私の本心…なんだろうか。
純「じゃ、私、道 こっちだから。また明日、学校でね!」
梓「あっ…純…」
そう言って純は一人、別方向へ歩き去っていく。
その後ろ姿に、サヨウナラって声をかけようとしたけど、なんだか声をかけづらく、
私は小さくなっていく純の後ろ姿を黙って見送った。
ーその夜ー
梓「…やっぱり、このままじゃ気になるなぁ」
ジャズ研に入るって約束、破っちゃったこと、一度きちんと謝ろう。
純はそんなこと望んでなさそうだけど、謝らないと私はずっと純に負い目を感じ続けるし
私がそんな気持ちでいることこそ純は望まないだろう。
時計を見ると今は夜10時過ぎ。
出かけるには遅い時間だけど、そんな時間に出向くからこそ、謝りたいって気持ちもより伝わるような気がする。
梓「お母さん、ちょっくら出かけてくる!」
梓母「あら、こんな時間にどこ行くの?」
梓「友達のとこ!私、謝らなきゃいけないことしちゃったから謝りにいくの!」
梓母「おほほ、お粗末さま。お前の親の顔が見てみたいわんたんめん」
梓「え?わんたんめん?」
お母さんは無機質なマツタケみたいな表情でジャンプして下駄箱の上に飛び乗り、ハンマーブロスみたいに金槌を私に投げつけてきた。
ゴカッ
ガッシャアァンッ
梓「お父さんお父さん!助けてお父さん!」
梓父「大丈夫か梓!クソッ、こうなったらオラの超カメハメ波をくらわせてやる!」
梓母「えっ」
梓父「かーめーはーめー波ー!」
梓母「んっ…」
お父さんがお母さんにカメをハメハメしているスキに私は家から逃げ出した波。
ー純の家ー
純の家に着いた。
純の家は彼女と知り合った日にストーキングしたので分かっていた。
さて、どうしたものかな。
インターホンを押せば簡単な話だけど、夜遅いんだ。大きな呼び鈴の音でお家のヒトに迷惑をかけてはいけない。
純の部屋が分かれば、窓をノックして直接、話したり謝ったり出来そうだけど…
そう思って純の家の周りをうろうろしているとキャッツアイみたいなレオタードを着たムギ先輩といきなり出くわした。
梓「あっ、こんにちわ!頭がどうかしたんですか?」
紬「ちょっぴりね」
紬「さっきのあのコ…純ちゃんって言ったわね」
梓「はい」
紬「あのコといた時、なんだか私、マトモだった気がするの」
梓「そうでしたっけ」
紬「きっとあのコの醸し出すアルカリ性分が私のオチャメな酸性を中和してくれるに違いないわ」
紬「あっ、酸性だったらルパン三世の格好をしてくればよかったかしら」
梓「いや、よく分からないですが…」
紬「…私ね、高校卒業までに親にマトモな人間になれって言われているの」
梓「でしょうね」
紬「だから私、決めたの」
梓「マリファナを?」
紬「アルカリ性な純ちゃんのパンティをルパンのように盗んでお湯で煮てスープを作って飲んで私はマトモになろうって!」
梓「その発想がすでに人間のレールを外れてますよ」
紬「人間の「間」って極限状態で見ると青と白のストライプのビキニに見えてくるから大丈夫」
紬「人って言う字もどう見てもおっぱいかケツの割れ目にしか見えないし」
紬「つまり人間は変態であることこそが正しいありのままの姿なのよ」
梓「人類に謝ってください」
紬「アレを見て」
ムギ先輩が殺人鬼のような目付きで純の家の2階を指差す。
その指の先にはベランダ兼サンルームがあって
パンティが干されていた。
知り合ってまもない私の大事な友達の優しいパンティ。
梓「ごくっ」
紬「さあ、もはや言葉はいらないわね」
紬「出撃」
梓「えっ」
ムギ先輩はバッと塀の上に飛び乗り、忍者みたいな鉤爪つきのロープを瓦に引っ掛けあっという間にサンルームの外面に張り付いた。
梓「ちょ、待っ!?」
紬「優柔不断ね」
紬「 盗 る の か 盗 ら な い の か ど っ ち な の !?」
梓「盗ります!」
純「なんか声がするなぁ〜」
紬「ッ!!」
梓「ヒョッ」
バシュッ
パジャマ姿の純がベランダにひょっこり顔を出したので、ムギ先輩は立体起動装置を作動させ隣の家の屋根を飛び越えて消えていった。
私はとっさに足元のドブに隠れる。
純はキョロキョロと辺りを軽く見回し、ベランダに何も異常がないことを確認すると、室内に引っ込んでいった。
私は初めて見る純のパジャマ姿、髪もほどいてなにやら新鮮な友人の艶やかな唇に妙に興奮してはぁ…はぁ…はぁ…はぁ…ん…んん…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁ…はぁはぁ…んん…ん…はぁ…はぁ…んん!!!
紬「ふぅ…行ったみたいね」
梓「は、はぃ…イッたみたいでひゅハァ…ハァ」ビクッピクッ
澪「それでどうするんだ?」
紬「そうね…サンルームの外側に張りついてみたもののアソコからは中に入れなさそうだし…」
澪「どこか別の侵入ルートから入ってサンルームを目指した方が早そうだ」
紬「確かにね。12時…だと誰か起きている可能性があるから2時まで待ちましょうか」
梓「あの、ちょっと待ってください」
澪「どうかしたのか?」
梓「いや、なんで澪先輩がしれっと怪盗セイントテールの格好でいきなり ここにいるのかなって」
澪「あの純ってコ、私のベースが上手いって言ってただろ?」
梓「知らんです」
澪「だからあのコのパンティスープを飲めば私の怖がりも治るかなって」
梓「私はもう澪先輩の存在そのものが怖いですけどね」
澪「私が怖いって!?うわあぁああ怖いいぃいい!?」
がスッ
バタッ
澪先輩は自らの顔面をゲンコツで殴って失神した。
梓「この人なんなんですか」
紬「はぁはぁ」
ムギ先輩は倒れた澪先輩によからぬことを働いたので私はムギ先輩って働きものだなあって思いながら2時になった。
ー戦慄の午前2時ー
紬「純ちゃんの家族も寝静まった頃だわ」
紬「早速、侵入しようね」
梓「でも戸締まりはしっかりされているみたいです」
紬「梓ちゃん、覚えておいて」
梓「はい?」
紬「ドアなんてモンは閉じられていたならノックして開けてもらうかファックしてこじ開けるか2つに1つなのよ」
そういうとムギ先輩はピッキング工具を鍵穴に強制挿入し、ぐちゅぐちゅ中をかき姦してカチャっと玄関のドアを開け、家の中に侵入していったのだった…
ー翌日、学校ー
梓「おはよう、純」
純「おはよ!」
梓「昨日はゴメンね、部活のこと。でも私、純の言う通り軽音部でがんばることにした!」
純「うん、そっか」
純「じゃあ私はジャズ研でじっくり腕を磨いて、いつか梓とセッション出来るようにがんばるさ!」
梓「…うん!」
梓「でも大丈夫?私がいなくても練習できる?」
純「おバカにするんじゃないよ。私はもうジャズ研で仲良しさんがいっぱい出来たから、そのコたちに教えてもらうもんね」
梓「えっ、そうなの!?」
純「ふふ、まあ心配しなくても教室にいるときはかまってあげるから、梓はひとりぼっちじゃないよ?」ナデナデ
梓「もうっ、頭なでないで!」
純がジャズ研のコたちと仲良くなっていったら
その分、私とは疎遠になるかも…って一瞬思ったけど
でも、きっと大丈夫だ。
私の胃袋には純のパンティが胸いっぱいに詰まっているから。
私と純は、いつまでもどこまでも繋がっている。
おわり
最終更新:2015年06月20日 08:36