ー次の日ー
唯「ギー太はキレイになったけど、今度はりっちゃんが風邪をひいちゃったんだって〜」
梓「ハハハハハ!!!」
紬「超ウケるわぁ〜♪」
澪「なにがそんなに楽しいんだ、律が苦しんでいるのに…!!」
梓「ムギ先輩が持ってきたケーキ、1個あまるじゃないですか」
澪「あっ、それは良いことだな!」ウッヒョォー!!
紬「私はノリでウケるって言ってみただけだったのに、この人たちときたら」
唯「でもケーキがあまるのはとても良いことだよ?」
澪「よし、そうと決まれば早速ケーキの練習だ!!」
梓「やってやるです!」
紬「言いにくいけど今日のおやつはトマトなんだけど」
梓「あぁ!?」
ブしゅッ
と、あずにゃんは耳から鼻血を噴出して暴走したエヴァンゲリオン初号機みたいにムギちゃんに飛びかかった。
紬「ぎゃああぁああ!?」
梓「バナナはオヤツに入るけどトマトがオヤツに入ると思ってるトンマはお前だけですぅッッ!!」
澪「お、おい落ち着け梓!フルーツみたいに甘ぁいトマトかも知れないじゃないか!」
梓「そんなものは粘膜が作り出した幻想に過ぎんですよ!」
唯「まぁ多少甘くってもトマトはしょせんトマトだよねー」
紬「うっ…うっ…」グスッ
床にトマトをぶちまけられぐちゃぐちゃにつぶされ、ムギちゃんは血まみれで泣きじゃくった。
澪「大丈夫か、ムギ?」
紬「うぅっ…梓ちゃん、食べものを粗末にしたらいけないから残さず食べてね…」
梓「はぁい♪」
あずにゃんは床に這いつくばって千切れたトマトの肉片をむちゃむちゃ食べ始めたよ。
ガチャっ♪
さわ子「ケーキ!」
そう叫びながら部室に体操着ブルマ姿で飛び込んできたさわちゃん先生もブルマお尻を突き上げて、床で四つん這いになってトマトをねちゃねちゃ食べ始めた。
唯「なんであの人、体操着なんか着てるんだろう」
澪「変態だからだろうな」
唯「そっか!」
納得した私も夕食に使おうと比較的キレイなトマトを吟味してギターケースに詰め始める。
紬「まだまだいっぱいあるからいっぱい食べてね♪」
ムギちゃんは白目を剥いて口から泡を噴き出しながらカバンからトマトを200個くらい取り出して狂ったように床や壁に叩きつけ始めた。
澪「帰ろう」
澪ちゃんは帰った。
ー放課後ティータイムー
軽音部のみんなが暴走モードに突入しだしたので私は部室から避難した。
マトモな人間は私だけだからな、まいっちゃうよ…
自販機で紅茶花伝(あの甘いミルクティーのヤツ)を買って、浴びるように飲みながら私は道路脇の縁石に飛びのって落ちたら死ぬことにして私は家へと歩き始めた。
澪「ふふっ、うめー!」グビグビ
和「あらっ」
澪「あ、和」
和「ミルクティー、制服に飛び散ってるけど大丈夫?」
澪「この制服、撥水スプレーでコーティングしてあるから平気なんだ」
和「用意周到ね」
和「気色の悪い」
澪「和は今、帰り?」
和「えぇ、生徒会も終わったし唯の教室の椅子も舌で掃除してきたし本日は業務終了よ」
澪「そっか、ちょうどよかった」
澪「今から律の家にお見舞いに行くけど一緒に来るよな?」
和「いや、行かないけど」
澪「え〜、友達だろ?」
和「友達だからなんだと言うの?」
和「キャプテン翼くんが破れたり空気が抜けて弱ってるボールのお見舞いに行くシーンなんて見たことないわ」
澪「そりゃボールなんて本当はトモダチでもなんでもないからな」
澪「でも岬くんのお見舞いになら行きそうだろ?」
和「整いました」
澪「なにが?」
和「翼くんが風邪で寝込んでいる岬くんのボールを巧みなテクニックでドリブルしているうちに岬くんの灯台が勃起してきたとしたら?」
澪「灯台が勃起?ああ、ペニスのことか」
澪「岬くんの灯台はナヨナヨしてそうだなぁ」
和「しっかりしてよ澪。岬くんのビキビキになった灯台で翼くんは大空を舞う天使のように何度も昇天させられたに違いないんだから」
澪「岬くん、そんなにすごいのか」
和「派手な必殺シュートはないけど、岬くんの細やかなテクニックで翼くんの穴はキリキリマイだわ」
澪「大変!翼くん、妊娠しちゃう!」
和「グレートゴールキーパー若林くんが種を逃さずキャッチするから平気よ」
澪「ふぅ…それなら翼くんの子宮も安泰だな」
私は律の見舞いに行くのが面倒になったので日が暮れるまで和と喫茶店で腐れトークをして楽しく過ごしたのだった。
ー田井中家ー
律「誰かお見舞いに来ないかなあ」
律「……」
律「……」
律「…」
律「…」
律「」
ー夜ー
律「ンハッ」
律「…あ?」
アタシが目を覚ますと辺りは真っ暗になっていた。
どうやらぐっすり眠っていたらしい。
律「ん…少しフラつくけど、熱は下がったみたいだな」
それはいいが喉がカラカラだ。
あとパジャマが汗びっしょりで気色悪かった。
律「こうなったら風呂に入って汗を流しながらシャワーで水を飲めば一石二鳥だな」
アタシはパジャマを脱ぎ捨てコンビニに向かった。
ー外ー
全裸で歩く外はとても新鮮だった。
アスファルトのジャリジャリが足の裏の皮膚を刺激してアタシは裸足なんだということを改めて思い知らされる。
律「さて、アタシは金も持たずにどこへ行く気なんだろう」
おっ…?
そういえば澪に借りたCD、まだ返してなかったな。
よし、せっかくだし澪の家に行くか!
アタシはコンビニに向かった。
ー深夜のコンビニー
店員「いらっしゃいま…なにぃイィィイッ!?」
アタシが全身全裸で前進すると店員が前人未到のエンジン全開で頭が全壊
店員「ただいまレジにて淹れ立てコーヒーを俺が飲んでまぁす」
ごくごくとコーヒーを飲み干した店員はアイスが入ってる冷凍ケースに入っていった。
コイツ、人生終わったな。
まあ、いいか。
律「すいません、ファミチキかアイスコーヒーを3個くらいください」
店員「580円くらいになります」
律「金なら無いです」
店員「じゃあ230円でイィィイッ」
律「金なんか無いって言ってんだろ!?」
店員「イィィイッ」
店員は冷凍ケースの蓋を内部から開けたり閉めたりしながら奇声を発し、超怖ぇ。
店長「お客様、いかがされましたか」
律「あっ、あの店員の様子がおかしくて…」
店長「あれは前世がトイプードルだったので、その時の感じがなかなか抜けきらんのです」
律「そんなもんですか」
店長「はい」
律「じゃあファミチキかコーヒーをタダで下さい」
店長「いきなりなんです?」
律「アタシはファミチキが三度のメシよりメシなんだ」
店長「しかしここはローソンなのでファミチキはありません」
律「あ、アタシを騙したのか!?」
店長「ファハァwその気になっていた貴様の顔はお笑いだったぜ」
店長「でも肉まんをやるのでせいぜい元気を出すんだな」
律「すまねぇ…」
アタシは肉まんをもらってコンビニをあとにした。
店長「水島ぁ!!一緒に日本へ帰ろう!」
去り行くアタシの背中に意味不明の言葉を店長が投げ掛けてきた。
あの男、狂ってやがる。
アタシは怖くなってBボタンダッシュで走って帰宅した。
ー翌日…ー
律「お前ら昨日はよくもお見舞いに来なかったな?」
唯「うん」
梓「恋愛漫画の恋人同士じゃあるまいし、みんなが風邪くらいでいちいちお見舞いになんか行ってたら世の中が回らんくなるです」
紬「この世間知らず!」
澪「私は行こうとしたけど、面倒くさくなったから仕方ないよな?」
律「今からお前らのケツをドラムスティックで叩きまくるから全員パンツをおろして壁に手をつけ」
唯「え〜」
澪「おい梓、なんか上手いこと言ってごまかせ」
梓「え〜っと、いつも元気いっぱいで私たちを引っ張っていってる律先輩なら弱ってる姿を人に見られたくないんじゃないかと思ってあえて行きませんでした」
律「ほう…」
紬「猫も体が弱ってくると飼い主の前から姿を消すと言うわよね」
律「え?猫が透明人間になるってこと?」
紬「コイツなに言ってるの?バカなの?」
澪「そういえばバカのくせにお前、風邪ひいたんだな」
梓「バカ唯一のとりえの風邪をひかないというアビリティすら機能してない律先輩は銀河鉄道に乗って機械の体をもらってこないともはや救いようがないですね」
唯「バカ唯一って私がバカみたいな印象があるから、りっちゃん謝って」
律「ごめん」
唯「いいんだよ〜♪」
澪「でも私やムギはともかく唯はバカのカテゴリに入るだろ」
唯「は?」
唯「は?」
梓「そういえば唯先輩って頭はアレですけど、やっぱり勉強もアレなんですか?」
唯「アレってなぁに?」
紬「確か高校最初のテストで赤点とりまくってたわよね」
律「ていうかアタシに大敗してたよな、このバカ」
唯「かっ」
唯「わ、私、りっちゃんよりバカなんだっけ…?」
澪「まぁ…頭の良し悪しがテストだけで決まるとも思わないが…」
澪「基本的にはそうだネ!」
唯「お」
紬「お?」
唯「終わった…」
梓「ゆ、唯先輩?」
唯「あずにゃんや…」
梓「はい」
唯「私はなんのために生きているの…?」
梓「ひどい落ち込みようですね」
律「お、おい唯。アタシよりバカだからって落ち込むなよ」
紬「そうよ、りっちゃんを見て」
紬「いや、やっぱり見なくていいわ」
紬「特別に30000円あげるから元気をだして?」
唯「やった!」
唯「世の中カネだァ!!!!!」
紬「♪」
律「おい、アタシを見ろ」
唯「フニャ…」
澪「律、イジワルするんじゃない」
律「一体アタシが何をした」
ー数日後ー
梓「いよいよ待ちに待った中間テスト期間ですね!」
唯「まったく待ってないよ」
澪「習慣で部室に集まってしまったが、とっととケーキ食べて帰って勉強しなきゃな」
律「というわけでムギ、さっさと甘いの出せや」
さわ子「はやくはやく!」
紬「ほらよ」ドチュっ
唯「わぁ!おからだ!」
澪「うまいうまい!」ムシャムシャ
澪「濃厚な耳クソみたいなおからの食感が喉に絡み付いてうまいうまいと言うとでも思っていたのかァ!?」
ぶびゅゥゥウゥゥ!!!
澪ちゃんはリスみたいに口いっぱいに頬張ったおからをすべてムギちゃんめがけて毒霧のように噴き出した。
対するムギちゃんはあずにゃんの頭部をひっつかんで、あずにゃんシールドでおからを防ぎきる。
びしゃびしゃびしゃっ
梓「お前たちには言いたいことがあります」
澪「ごめんな」
紬「ごめんね」
私はおからだらけで気の毒になったあずにゃんの頭を
ぞうきんでキレイにしてあげ…
梓「もっといいもので拭いてくださいよ!」
唯「うるさいなぁ」
仕方がないのでハンカチで頭をなでるようにワシワシふくと、あずにゃんは気持ち良さそうな顔で
梓「-ω-」
大人しくなった。
ー2分後ー
澪「じゃあ、おからも食べたし帰るか」
律「そうだな」
さわ子「ウォオオッウォオオッ」
オヤツを食べ損ねて、陸に打ち上げられた魚みたいにバタバタ暴れるさわちゃんを無視して私たちは帰る準備を
ガチャッ
合唱部「あのぅ、こちらに山中先生はいらっしゃいますか〜?」
さわ子「ウォオオッ!?」
合唱部「えっ」
さわ子「ウォオオッ牧場〜は〜♪み〜ど〜り〜♪草〜の海〜♪風が吹〜く♪」
合唱部「は、はぁ」
さわ子「あら、どうしたの?今日は合唱部はテスト期間で休みでしょう?」
さわちゃんが自分を解放するのは軽音部の中でだけ、と決めているようで、合唱部の子の前では女神っぽく振る舞っているようだよ。
もう手遅れだけどね!
合唱部「あ、はい。合唱部のみんなで一緒にテスト勉強しようって話になって、それで出来たら音楽室を使わせてもらえないかなと、先生に許可をとりにきたのですけど…」
唯「へぇ〜!音楽室でテスト勉強するんだ〜。なんだか楽しそうだね〜」
合唱部「うん。お菓子とか持ち寄ってね。家で一人で勉強してても集中力が続かないし、そういうのもいいんじゃないかなって」
さわ子「お菓子?」
合唱部「ま、まずいですか?」
さわ子「いえ、とても美味しいわ」
合唱部「え?」
さわ子「わかったわ。今、鍵をとってくるから一緒にお菓子ましょう」
合唱部「は、はい」
パタン
オヤツにつられてヨダレを撒き散らしながらメガネ女神は去っていった。
紬「さわ子先生、毎日オヤツを与えればウチで飼育できないかしら」
律「あんなモン飼育してどうするんだ?」
紬「犬と交尾させるのよ」
澪「ひィィィっ!?」
ムギちゃんの発言にドン引きした私たちはムギちゃんを置き去りにして一目散に家にダッシュで帰った。
タッタッタ
澪「ハァハァ…このままだとアイツ、私たちを別荘に監禁して『私、みんなを苦しめるのが夢だったの〜』とか言って拷問しかねないぞ」
唯「その時はみんなで颯爽とベロ噛んで潔く自害しようよ」
律「そうだな」
梓「やってやるでひゅッ!?」
ガチィン!!
梓「じゅァ!?」
ダッシュしながら、なぜかいきなりあずにゃんが舌を噛んで唇から血が滴り落ちる。
澪「血ィィィ!?」
律「なぜこのタイミングで舌を噛んだんだ!?」
梓「お互いこの状態でディープキスすれば血が混ざりあってイイじゃないれすか!?」
梓「ぽ」
梓「ぽジ種くださぁああ〜い!!」
澪「あるかッ!?んなモンっ!?」
唯「ぽじたねってなぁに〜?」
澪「お母さんかお父さんに聞いてくれ」
律「わ、わかった」
私たちはゾンビみたいに追いすがるあずにゃんを振り払い、太陽に向かって走り続けたのだった。
なんか前もこんなことあったなぁ〜。
最終更新:2015年06月20日 08:37