ー週明け・部室ー
ガチャ
唯「こんにちわでござる」
律「ござるってなんだよ」
紬「土曜日にみんなで観にいったるろうに剣心に影響されちゃったのね」
唯「えへへ〜、剣心さんがカッコよかったからつい…」
律「ハハ、いるよなー、そういうヤツ」
ガチャ
澪「遅くなってごめん」
律「おお、澪。掃除当番かー?」
澪「オイオイ、「君」くらいつけろよ無礼なセンパイだなァア!!」
律「お前はなんなんだ」
唯「澪ちゃんはししお君なんだね」
澪「いやー、藤原竜也カッコ良かったよな〜」
紬「あの人、全編通して顔中包帯ぐるぐる巻きか全身黒コゲだったけど…」
澪「そこがいいんだムギ。包帯で顔が見えないのにカッコいいってタダゴトじゃない」
澪「藤原竜也さんほどの黒コゲ俳優はいないよ」
紬「それ誉め言葉なのかしら」
唯「りっちゃんとムギちゃんは誰か気に入った人いないの?」
律「おお、映画のパンフレット持ってきたからソレ見ながらお茶にしようぜ」
澪「お前もしっかりハマってるんだな」
律「アタシ、左乃助の声とかしゃべり方が好きでさぁ」
唯「あ〜分かる」
紬「フフ、じゃあ早速、お茶の準備するね」
ガチャ
梓「……」
唯「あぇ?あずにゃん」
澪「久しぶりだなぁ、元気だった?」
梓「あ、あの…私、」
梓「実はもう部活を辞めようと思って…」
紬「あらあら♪」
梓「それで、ライブハウスに行って、もっと練習熱心で、上手い人たちのバンドに入れてもらおうって、色々なバンドを観てたんですけど」
律「へー」
梓「でも、みなさんより上手い人たち、いっぱいいたのに…」
梓「なにか違って…」
梓「先輩たちが揃って演奏するとどうしてあんなにいい曲になるんだろう…」グスッ
唯「天才だからね!」
律「というかなんでコイツ泣いてるんだ?」
梓「私、やっぱり先輩方と演奏したいです!」
澪「すればいいんじゃないかな」
紬「それよりカステラ食べる?」
梓「食べます」ガツガツ
こうしてあずにゃんは勝手に部活を辞めようとしつつ実は辞めないという無意味なフェイントを織り交ぜつつカステラを一人で全部たいらげて、練習もしないでお家に帰っていったよ。
ー1学期の期末テスト明けー
紬「いよいよ待ちに待った期末テスト明けね」
唯「ムギちゃんまで待ちに待った病にかかっちゃったよ」
紬「中間テストでは軽音部最低得点をとった恥辱で凌辱されたから、今回は本気出しちゃいましたぁ♪」
澪「なにっ、ずるいぞ」
梓「それでムギ先輩、平均何点だったんですか?」
紬「機動戦士ガンダム逆襲の99点、ベルトーチカチルドレンよ」
律「へー、すごいなぁ」
唯「ムギちゃんがんばったねぇ」
紬「シャランラシャランラァ♪」
澪「ま、負けた…」
梓「澪先輩は何点だったですか?」
澪「95点…」
梓「充分すごいです!」
澪「まぁな」
紬「それで、余裕かましてるゆっちゃんたちは何点だったの?」
唯「私、2点」
律「アタシ、0点」
澪「お前らになにがあったんだ」
紬「そして私のこの1ヶ月の努力はなんだったのかしらぁ…」
唯「今回は和ちゃんと勉強会しなかったからなにもかも分からなくなった!」
梓「だからって2点て」
澪「でもどうして和と勉強しなかったんだ?」
唯「え〜っと、和ちゃんなんか言ってたよ」
唯「成績優秀な私はダメだから勉強会はしばらくしないって…」
紬「成績優秀だとダメ?」
唯「うん」
唯「犬とかネコは人間の言葉を話せない程度のちのうだからカワイイんだって〜」
梓「律先輩は今回どうして0点だったんですか」
律「最近、弟がアカギにハマっててさ。アタシも読んでみたら面白くって」
唯「あかぎ?」
紬「麻雀漫画よ。独自のギャンブル哲学が書かれていて、向上心のある人間のクズに大人気なの」
律「それでアタシも今回のテストはすべて運に賭けてみたってワケさ!」
梓「えっ、それは具体的にはどういう…」
律「全ての問題の答えを数字が書かれた鉛筆転がして決めた」
澪「お前…」
紬「でも今回のテスト、選択問題はほとんどなかったわよね」
律「そうなんだよな」
澪「選択肢なんかどこにも書いてないのに解答欄には1とか2しか書いてない答案用紙って怖いぞ」
紬「織田信長の妹の名前を答えよ」
律「1」
梓「あ、あってる…!?」
律「まあ選択問題以外は昔なつかしのポケベル方式で答えることでことなきをえた」
律「5と1が出たら『あ、か、さ、た、な』の『あ行』で『な』みたいな感じで」
唯「りっちゃん頭いい!」
梓「もっとも0点とった時点でことなきはまったくえてないですけど」
紬「14世紀後半に領主の封建反動に抵抗してフランスで起こった反乱は何か?」
律「ぬてえつあ」
澪「『ぬて』の時点で書き直そうとは思わないのか?」
紬「 肺の働きについてカッコ内に適切な語句を入れよ。
肺では血液中の不要な( ① )が排出されて
血液中に( ② )を取り込んでいる。」
律「①えきき」
律「②くそ」
梓「もはや精神病ですよ」
紬「二酸化炭素CO2の0.25molの標準状態における体積を求めなさい」
律「けぬ」
澪「そこはせめて数字のまま答えておけよ!!どうせ間違ってるとしても!」
ー2分後ー
律「とにかくこれで楽しい楽しい夏休みを待つばかりだぜ」
澪「お前にとってのテストって度胸を試すテストかなんかなの?」
梓「先輩先輩!!」
唯「どーしたのあずにゃん」
梓「軽音部って夏休みの活動スケジュールはどうなってるですか?」
澪「半分くらいは学校に来て練習するよ。午前か午後だけ」
紬「去年は、8月中旬がお盆休みで1週間完全休暇だったわね」
律「で、下旬は入院してたよな」
梓「入院?」
律「女子高生の夏休みには色々あるんだよ」
梓「はぁ…まぁ、最後はよく分からないですけど、わりとマトモに活動するんですね〜」
澪「ま、いつものごとくお茶してる時間も多いけどな」
紬「私の淹れたお茶が気にいらないの?」
澪「好きだよ」
紬「えっ¥¥¥」
唯「それと夏休みは合宿もあるんだよ〜」
梓「それ、寝てる唯先輩の股に私の剥き出しの股を密着させてもいいんでしたっけ」
唯「いいワケないよね」
梓「あ゙あ゙ぁあぁああ楽しみだなぁあああ」
唯「ぜったい絶対にダメだからね!?」
ー放課後さわ子タイムー
ガチャ
澪「あ、さわ子先せ…」
さわ子「ヘィ!!ジングルベ〜るジングルベ〜る♪夏がキタァアーーーーー!!もうすぐ楽ッしッいッ夏休みッッ♪ヘィ!!!」
梓「この豚野郎が」
唯「さわちゃ
さわ子「私は今年の夏こそ彼氏のムオッと生臭い精液を私のお腹の奥に流しこんでもらうわ」
律「うるせえよ」
紬「さわ子先生、彼氏出来たんですか?」
さわ子「これから出来るのよ」
さわ子「夢は信じ続ければきっと叶うもの!」
梓「じゃあ私の夢がさわ子先生が生涯独身で過ごすことだと信じ続ければ夢は叶うんですかね」
さわ子「この子、思考が悪魔そのものだけど、あなたたち ちゃんと後輩に人の道を指導してる?」
澪「残念ながら残念な顧問が率先して人の道を転がり落ちていくので私たちには手の打ちようがありません」
さわ子「私が道を歩くのではなく、私が通ったあとに道が出来るのよ」
さわ子「だからムギちゃん、紅茶とお菓子くださいね」
紬「は、はい」
さわちゃんは悟りをひらいたブッダのような柔和なお顔で紅茶を飲んで、むせて鼻から紅茶を噴き出した。
さわ子「ゲほッッ!?ゴホッ!?ぶホっ!?ゲヘッ!?」
律「なんて悲しい生き物なんだろう」
さわ子「がハッ!!ぐ…ハァ…ハァ…」
唯「さわちゃんしっかり!」サスリサスリ
さわ子「ふぅ…助かったわ…」
紬「まだ現世に未練があるようですね」
さわ子「私の人生はこれからよ」
さわ子「見て。香り高い紅茶を鼻から噴射することで女子力アップに成功したわ」フンス-3
唯「あっ、さわちゃんの鼻の穴から紅茶の香りがするよ!」
澪「女子力をなんだと思ってるんだろうこの人」
唯「ねぇねぇさわちゃん〜」
さわ子「なぁに、唯ちゃん」
梓「おなにぃ唯ちゃん」
がスッ
梓「がッッ…!?」
唯「夏休みに軽音部で合宿するんだけど、さわちゃんも行こうよ〜」
さわ子「その日は予定があるからムリだわ、ごめんね☆」
唯「まだ日付いってないよね」
律「最悪の顧問だな」
さわ子「というか去年の合宿って人糞を頭から振りかけられ毒キノコを喰わされて死にかけたそれこそ最悪の想い出しかないからぶっちゃけ絶対に行きたくありませんよーだ」
梓「い、一体、去年の合宿でなにがあったんですか」
紬「気持ちよか
梓「じゃあ唯先輩の人糞を私にも振りかけてもらえるんですか?」
唯「そんなはず
梓「あ゙あ゙ぁあぁああ楽しみだなぁあああ!!!!!!!」
唯「お願いだから話を聞いて!」
ー2分後ー
梓「ところで合宿って、どういうアレなんですか?費用とか場所とか」
律「去年はアタシがたまたま鍵を発見した知らない人の別荘をタダで使えたけど2年連続はさすがに気まずいからな〜」
澪「あ?」
さわ子「知らない人の…?」
紬「聞かなかったことにしましょう」
唯「そうしましょう」
澪「今年はちゃんとお金を払って、どこかマトモなところを借りよう」
唯「でもあんまりお高いところだと憂が飛び下痢を放ってくるからなるべく安いところをお願いします」
梓「えっ、あの子、唯先輩に飛び蹴りなんてするんですか!?」
唯「わざわざ腐った牛乳を飲み干してチャージするからまいっちんぐだよ」
澪「???腐った牛乳飲んで飛び蹴りする意味が分からないぞ」
唯「飛び下痢と言えば腐った牛乳だよ」
紬「え?え?」
さわ子「私も学生時代にステージ上でよくやったわ〜飛び下痢」
律「すべて聞かなかったことにしよう」
ー5分後ー
紬「ところでみんなが想像できないくらい超金持ちな私の家が所有する海の近くの巨大で豪華な別荘があるんだけれどどうする?」
唯「使わせてください!」
律「タダで使わせてください!」
紬「あらあらウホホ、いいわよ」
律「やったぜ!」
唯「これで金銭面は安心だね!」
澪「あ、でも練習で結構デッカイ音が出るけど大丈夫?」
紬「お金さえあればなんとでもなるわ」
梓「そこって嫌がる唯先輩の全身を舐めまわしても大丈夫なんですか?」
紬「大丈夫よ」
唯「嫌がってるんだよ!?」
律「おーし、んじゃ万事オッケー、ムギさんの別荘で決まりだな!」
梓「やってやるです!」
唯「助けて!誰か助けて!」
ガチャっ
和「唯の貞操は私が守ってみせる!」
唯「和ちゃん!」
和「私が事前に唯の柔肌を舐めまわしておけば、あの変態ツインテールも汚なくて舐めまわさないハズ…れろれろれろ」
唯「あああ私、今ちっとも守られてないよね…」
梓「唯先輩に調味料が塗られていってるだけです」
和「くっ…どうすればいいの澪!?」
澪「そんな話に私を巻き込むんじゃない」
さわ子「ムギちゃん、私、合宿に参加するわ」
紬「あ、はい」
さわ子「そのかわり合宿中はあの子たちと一切、顔を合わせないですむスイートルームをお願いね」
紬「了解しましたぁ♪」
律「一体なにしに来るんだあの顧問」
澪「バカばっかりのバカンスになりそうだな…」
ー夏休み!ー
こうして高校生活2年目の夏休みがやってまいりました
平沢唯です。
とりあえず夏休み最初の3日間は自由をせいいっぱい満喫しようということで軽音部もお休み!
どこにも行かなくていいし、何もしなくていい
ありとあらゆる義務から開放された自由にして空白な3日間が始まったんだよ!
いったいどうやって過ごそうかなぁ〜。
唯「とりあえず一学期に溜まった体の垢と疲れを洗い流すために夏休み初日はお風呂にゆっく〜り入ってから、こころゆくまで寝ることにするよ〜」
ガチャ
憂「お姉ちゃん、夏休みは時間あるんだから家事の量を増やしていいよね?」
唯「えへへ、ダメだよ〜」
憂「ありがと〜♪じゃあ今日は玄関前とお庭の草むしりをお願いするね」
唯「お願いするのは自由だけど、願いが聞きとげられるとは限らないよ〜」
憂「うおぉッッシャァアァアアるァアアアア!!!!!」
ガッシャアァアンっ!!
憂は私の部屋のちゃぶ台をひっくり返して窓から木に飛び移って退室していった。
唯「……」
唯「……」
唯「草むしりしよう…」グスッ
ー草むしりー
ぶちっ
ぶちっ
ぶちっ
ぶちっ
私はかわいい妹の命令で草むしりを始めたよー。
ぶちっ
ぶちっ
ぶちっ
ミーンミーンミンミンミンミンツクツクォーシツクツクォーシツクツクォーシツクツクォーシみぃぃいぃぃいい
唯「うおぉおおうるさいよ!」
唯「せみ!ばーか!ぺっ!」
とみ「おやおや唯ちゃん、どうしたんだい。気が狂ったのかい」
唯「あっ、おばあちゃん」
唯「私、草むしりをしてるんだよ、エライよね!お偉いさんだよね!」
とみ「でも草は大気中のCO2を酸素に還元してくれるありがたい緑なのに、それをむしってしまう唯ちゃんは本当に偉いのかねぇ」
唯「でも…草が玄関先に生えてたら見栄えが悪いし虫も増えるいっぽうだよ。草なんかなくなった方がいいって、みんな言ってるもん!」
とみ「そんなのは人間のエゴじゃないのかい」
唯「え、えご」
とみ「唯ちゃん、地球がもたん時が来ているんだよ」
唯「わ、私、どうすればいいの…?」
とみ「確かに草をむしるのはよくないことだよ…」
とみ「だけど、私の家の悪い草を全部抜けば人類に人の心の光を見せられるかも知れないねぇ」
唯「ぁえ……?」
とみ「さあ時間がないよ!早く私ん家の庭においで!!」
唯「お、おばあちゃん、私をダマそうとしていない?」
とみ「私が唯ちゃんにウソなんてつくもんかい」
とみ「そうだ、もしウソだったら10円あげるよ」
唯「本当!?じゃあ私、おばあちゃんをもう一度だけ信じてみるよ!」
こうして私はとなりのおばあちゃん家の庭の草むしりをやって10円もらった。
憂「お姉ちゃん、うちの草むしりは?」
唯「私、地球を救うために隣りの家の草を全部むしったけどそれはウソだったけど10円もらったからウチの草むしりはやってません」
憂「お姉ちゃん、もう一回だけ聞くけど、うちの草むしりは?」
唯「これからやります」
私はかわいい妹がキレる気配を察して、素早く家の草むしりをやることで妹に怒られずにすんだ、そんな高校2年の夏休み初日でした!
こんな日は私の心のように灰色な黒ごまプリンでも食べて心癒されつつ寝ようと思います。
最終更新:2015年06月20日 08:38