律「澪、今年はどんな年だった?」

澪「たくさん楽しいことがあったよ」

澪「みんなのおかげで」

澪「ありがとう」

律「……よせよ、気持ち悪い」

澪「気持ち悪い!?」

梓「なにをセックスする前みたいな雰囲気になってるんですか」

律「ちょっと現実逃避してただけだろ」

澪「足が絡まってコタツから出られないとか何なんだよ」

唯「えっ、なにこれ、本当に足が抜けない……」

律「どうすんだよこれ……」

紬「こんなエロ同人みたいな状況になるなんて……」

梓「むしろ望むところですけどね」

律「望むな」

澪「年の暮れの最後の最後まで本当に楽しい連中だよお前らは」

※ライブハウス回



澪「冷静に考えてちょっと足が絡まったくらいでコタツから出れないわけないだろ」

梓「足が絡まったフリして馬鹿力で押さえつけてる人がいるんじゃないですか」

律「あああ、変な方向に動くなって!」

唯「痛い痛い痛い」

梓「まったく困りましたね」

澪「どうやったらこんな絡まり方するんだよ」 グッ

唯「いたい!!」

律「ヒザが!ヒザがっ!!」

梓「澪先輩!下半身を激しく動かしてムリヤリ抜こうとするのはやめてください!」

澪「言葉のチョイスがおかしいんだよ!」

梓「でも抜くの得意そうじゃないですか」

澪「足の話だよな?」

紬「足で抜くのが得意なの?」

梓「女子高生の足がこんなに密集してるのにヌけないとは皮肉なものですね」

澪「お前なんでさっきから嬉しそうなんだよ!?」



梓「唯先輩とこうして繋がったまま夜を過ごすなんて……」

唯「頭が沸騰してしまえばいいのに」

梓「邪魔者がいるからって照れなくてもいいんですよ?」

律「面と向かって邪魔者とか言うんじゃないよ」

紬「力を合わせてなんとか脱出しましょう」

唯「力が合わさってるからギッチギチになってるんじゃ……」

澪「もっと痩せておくんだった……」

梓「私の足は細いからまだしも……」

紬「誰の足が大根みたいだって?」 グ ッ

梓「いだだだだだ」

澪「お前らも散々飲み食いしてるのに何で太らないんだよ!!」 グリッ

律「ぎゃああああ」 メキメキメキ

唯「いたたたたた」 ミシミシミシ

梓「それにしても唯先輩が涙目で痛がる顔ってエロいですよね」

紬「敏感なのかしら」

唯「自分の部屋で寝ればよかった……」



梓「唯先輩と二人で夜を共にするのも久しぶりですよね」

唯「二人だけで夜を共にした覚えは一切ないんだけどね」

梓「でも下半身はこんなになって、身体は正直みたいですね」

律「正直だったらお前の頭をカチ割って足をへし折ってとっとと脱出してるところだよ」

澪「本当にお前の仕業じゃないんだな?」

梓「何度言ったら信じてくれるんですか」

律「みんながウトウトしてる時にムラムラして足を絡めようとしてこうなったわけじゃないんだな?」

梓「私がそんないやらしい真似をするような子に見えますか?」

唯「すごく」

澪「他にどう認識しろっていうんだ」

梓「そういえば唯先輩、今日は生足なんですね」

律「なに見事な前フリをきかせてんだよ」

梓「ちょっと場を和ませようとしただけじゃないですか」

唯「………」

梓「あっ ドン引きされてる」





紬「状況を整理しましょう」

梓「えーと、これが唯先輩の足で、これが律先輩の足で、
  唯先輩の足と澪先輩の足がこっちで、唯先輩が……」 スリスリ

唯「うぅ、気持ち悪い……」

律「ガッチリはまってるな」

梓「ハメられましたね」

紬「抜けそう?」

梓「ヌケそうです」

唯「ひゃっ!?」 ビクン

梓「不可抗力です」

唯「足を解くのにおしり触る必要ないよね!?」

梓「予期せぬハプニングじゃないですか」

律「お前やる気あんのか!?」

梓「これが落ち着いていられますか!!」

澪「仕分け係を変えよう」

梓「けっ、わかりましたよ」 チッ



律「唯の足をこうずらして……澪の足をこっちに……」

梓「そっちの太いのがムギ先輩で……」

紬「………」 ゴ ッ

梓「ぎゃっ」 グキッ

律「よし澪、動かすぞ」 グッ

澪「痛っ……律、もっとゆっくり……」

律「そこ…もうちょっと…もうちょっとだけ……」 グッ グッ

澪「うぅ……いたい……」 ギシギシ

梓「律先輩、角度的にこっちから見えないんですけど、
  澪先輩といやらしいことをおっぱじめてないですよね?」

紬「なんですって?」 ガバッ

澪「痛いっ!!」 グリッ

律「起き上がんなって!!」

梓「場所をわきまえてくださいよ、こんな時に」

澪「してないよ!!」

紬「こんな時だからこそ、とか言うんでしょ?」

律「言わねーよ!!」



梓「初めての時ってそんなに痛いんですか?」

律「しるか」

澪「早くコイツの足をへし折って脱出しよう」

律「そうだな、誰かが犠牲にならないと」

梓「そんな、いくら可愛い後輩のためとはいえ先輩たちの足を犠牲にするなんて」


梓「でも先輩が4人もいるから1人くらいなら足を折っても……」

紬「この中で一番細くて折りやすそうな足にしましょう」

梓「部長を犠牲にするって言うんですか?」

律「でも私たち来年受験生だしな」

紬「気を利かせて一肌脱いでくれる後輩がいないものかしら」

澪「脱ぐの好きそうだしな」

梓「唯先輩、ここで骨折しておけば来年のマラソン大会に出なくて済むかもしれないですよ」

唯「次のマラソン大会いつだと思ってんの」



梓「唯先輩が歩けない間は私がつきっきりで面倒見ますから」

唯「また面倒くさいことを言い出した」

梓「下のお世話だってしちゃいますよ」

唯「私に何ひとつメリットがないんだけど」

梓「じゃあ足は折らなくていいですから下のお世話をさせてください」

唯「そういう時だけ素直になるのやめて」

梓「下の世話を!!」

律「本能に従順忠実だな」

梓「だって本当はcrazy」

唯「現実は絶体絶命」

澪「きが くるっとる」



梓「取り乱しました」

唯「知ってるよ」

律「逆にいつ正気を保ってるんだよ」

澪「そんなことよりトイレ行きたいんだけどどうしよう」

紬「私も」

唯「私も」

梓「この場で放尿してしまうというのはどうですか?」

律「お前さっきから酔っぱらってるの?」

唯「ここ一応私の家のリビングなんだけどなぁ」

梓「でも将来的には私の家になるかもしれないですし」

律「何でここに住み着こうとしてんだよ」

梓「女子高生に中で出していいと言われる機会なんてそうそうないですよ?」

澪「できれば一生そんな目に会いたくなかった」

梓「みんなでやれば怖くないですから」

唯「ウチのリビングが地獄絵図に」

紬「ある意味天国だけど」

唯「………」



梓「じゃあ私が直に口をつけて全部吸い尽くすっていうのはどうですか?」

唯「事態は悪化の一途をたどるばかりだ」

梓「ちょっと試してみましょう」 ガバッ

澪「ちょっ、無理に体勢を変えなあああああ」 ゴキゴキ

梓「猫はコタツで丸くなるものですから」

律「いだだだだだ」 メキメキ

梓「それくらい我慢してください!」

澪「お前が欲望を抑えろ」

梓「こっちはそれどころじゃないんですよ!!」

唯「それどころじゃないのは私のほうだよ!!」

梓「猛獣に喰らいつかれた時は引かずに突っ込んだほうがいいんですって」

律「引くわ!!」

澪「どっちが猛獣だよ!!」

唯「けだもの!!」

梓「………」

澪「あっ、泣いてる?」

唯「言い過ぎた?」

紬「責められて興奮してるわね」

唯「………」

律「いいからとっとと体勢戻せクズ猫」



梓「クズと言えばムギ先輩は眉毛を引き抜いて軟体化できるんでしたっけ」

唯「何を言い出したんだろう、この子」

紬「気が狂ったのかしら」

梓「なんか左右の眉毛をむしるとムギ先輩のドロドロした本性が現れるんじゃなかったですか」

律「寝言は寝て言えよ」

澪「起き上がれないんだけどな」

唯「でもムギちゃん、ちょっと眉毛整えてみるのもいいかも」

律「確かに眉毛で印象変わるかもな」

梓「どうせ下の毛もロクに処理してないんですよね?」

紬「梓ちゃんはそんなにツインテールを引き千切られたいの?」

梓「ムギ先輩のために言ってるんじゃないですか」

紬「うーん、確かにちょっとは可愛くなるかもしれないけど……」

梓「誰もそこまでは言ってませんけどね」

紬「………」 グリッ

梓「いだっ!?」




律「アホなことばっか言ってないで、このバカげた状況を何とかしよう」

梓「マジレスすると憂に助けを求めましょう」

澪「え? ああ、そうだな……」

梓「あれっ、なんだか乗り気じゃない」

律「だってお前、よく考えてみろよ」

梓「そりゃ私だって先輩たちと下半身を密着させていたいですけど、
  いつまでもこうしてるわけにはいかないじゃないですか」

澪「いや、お前が憂ちゃんにこっぴどく叩きのめされる様を見たくないんだよ」

律「いくら憎たらしい後輩でもリンチされてる場面は引くからな」

梓「ちょっ、なんで私が!?」

律「この状況を見たらまずお前を疑うだろ」

梓「私がナニをしたっていうんですか!?」

澪「唯の誕生日とかクリスマスにやらかしたことをもう一度思い出してみろ」

梓「………」

律「なんで思い出し笑いしてんだよ」

唯「気持ち悪いなぁ」



梓「でも今回のは不可抗力じゃないですか!ちょっとしたラッキースケベじゃないですか!」

律「だとしても憂ちゃんがこの現場を見たらさ」

紬「私たちに命乞いをされても」

澪「ラッキースケベとか言ってる時点でもうアレなんだよ」

律「きっと梓を逆さ吊りにして唯の身体に触れた箇所を全て削ぎ落したりするんだろうな」

紬「来年まで歯と爪が全部残ってるといいわね」

梓「もう体育の授業中に教室に忍び込んで先輩たちの制服に悪さはしませんから」

澪「お前教室で何やってた」

梓「マラソン大会なんかどうでもいいから水泳大会を詳しく描くべきですよね」

紬「それはわかるけど」

律「もう軽音部の合宿は中止にしような」



梓「唯先輩が弁解してくれればあの狂女だって手荒な真似はしないと思うんですよ」

唯「憂になんてメール送ったらすっ飛んできてくれるかな」

梓「話を聞いてください」

澪「梓に襲われてるって送れば飛んでくるだろ」

梓「まだ襲ってません」

唯「ついさっき襲われかけたんだけど」

律「梓が足を絡めてくるって書いとけ」

梓「身動きの取れない私を見たら憂が何をすると思ってるんですか」

澪「この際しょうがないだろ」

梓「しかし」

唯「えーと、あずにゃんがコタツで発情して……と」

澪「さりげなく身体を触ろうとしてくるとか書いとけ」

律「とにかく梓が鬱陶しいとか」

紬「でもそれって日常茶飯事なんじゃ……」

梓「まず私が何かやらかしたっていう発想を変えてみませんか」



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最終更新:2015年12月28日 21:16