梓「突然なんだけど、菫!」

菫「はいぃ!!」

梓「軽音部に興味無い?!」

菫「あっ・・・」

憂「私たちの部ね、部員が少ないの」

純「菫のお茶が有れば私のベースが本当の力を解放するんだ!」

梓「あんたはもう黙ってて!」

純「なによぅ、私が励まさなかったら最上級生のくせに後輩にウジウジした姿を晒し続けてたくせに」

梓「うぐっ……その借りはいつか返すから」

菫「…あの、申し訳ないですけど…ん?」

さわ子「金髪…碧眼…ご奉仕属性…ククク…絶対にこのウェイトレス衣装が似合うワア…」

菫 「うひぇぇぁぁああああああああ!!!!」






 少女逃走中...






さわ子「あら?」

憂「菫ちゃーん!!」

梓「先生ェ・・・」

純「良かったじゃん憂、ウェイトレスの衣装だよ」

憂「うーん…お仕事で着てみたかったんだよ…」


* 菫の日記 *


・4月?日

 『今日は高校生活最初の日。始業式に相応しく、素敵な桜の木が咲いていました。』

 『春休みぶりに再会した中学の同級生の友達は、ちょっぴり大人っぽくなっていました。私が大好きなあの子もちょっぴり大人びていました。少し寂しいです。でもあの子の成長は避けられませんよね。だからいいの。私はあの子の友達として成長を祝福します。』

 『あと今日は高校生になって最初に学校でお仕事をした日です。といっても今日中にはできなかったけど。軽音部の部室にある食器棚を片付けるお仕事をしていたら軽音部の人たちに見つかってしまいました。』

 『てっきり怒られるかと思ったけど、優しい人たちでした。ただ、それは多分、軽音部の人たちは私に入部して欲しいからだと思う。会話の流れでそんな空気を察したのと、直接勧誘を受けたから解りました。でももしかしたら本当に優しい人たちなのかもしれません。』

 『でもごめんなさい。私は琴吹家のメイドです。琴吹家のお仕事をサボるわけには参りません……頼めば許してもらえると思うけど。あとはお姉ちゃんと違って、私は歌も楽器も習ったことはありません。軽音部の足手まといになってしまうでしょう。でもお茶汲み係くらいはできるかも?鈴木先輩がそんなことを言ってたような。』

 『なによりも、私は公園で仲良くなった少女たちを手放すことはできません。こんなことは口が裂けても先輩たちに言えませんが。』

 『だけど思い返すと、軽音部の人たちは本当に親切な人たちでした。優しくて呑み込みの早い平沢先輩、ちょっと奔放でお団子頭の鈴木先輩、元気で真っ直ぐな瞳の中野先輩。顧問の先生っぽいけど、なんというか、すごく先生っぽくない先生。断りも無く突然現れた私のことを拒絶しないで迎えてくれました。』

 『あとこれは完全に私の失態だけど…。中野先輩は三年生だけど、背も立ち居振る舞いもどこか三年生っぽくなくて……。私はてっきり軽音部志望の一年生だと思い込んだまま中野先輩と接していました。本当にすいません…私、ずけずけと何度も中野ちゃんとか梓ちゃんとか呼んでましたよね…。そのせいで凹ませてしまったし……お詫びの品を届けようかとも考えましたが、お仕事が済めば中野先輩との縁が切れるわけだし、やめることにしました』

 『今日一日で疲労がどっと溜まった気がします。慣れないことにたくさん出逢ったからだと思います。そして一つわかったことがあります。私の求める癒しは高校にはなくて、放課後に通りかかる公園にしかないんだろうな。』

 『しかたないよね。これが成長ってことなんだろうね。』

 『食器棚は明日にもちゃんと片付けるつもりです。菫、頑張ります。』

・4月??日


 『ごめんなさい、お姉ちゃん。またしても軽音部の先輩たちに見つかってしまいました。』

 『そういえば昨日は勧誘を断る前にびっくりすることがあって、先輩たちに失礼だけどお返事する前に逃げ帰っていました。私は断ったつもりでいたのに今日また勧誘されたけど、きっと昨日のうちにきちんと断らなかったせいだね。というか今日も断れなかったよ…。だって振り返ったら怖いものが目の前にデンと現れるんだもの…。思い返すとあれは着ぐるみの頭っぽかったような気がします。そんなものがどうして先生の手にあったのでしょう…?』

 『先輩たちは今日も親切にしてくださりました。私の煎れるお茶を美味しく飲んでくれるので、とても遣り甲斐を感じます。それに知らないうちに私に「スミーレ」とあだ名を付けていて、少し困惑したけど、おかげで先輩方との距離が近くなった気がしました。』

 『だけど、こんな縁も食器棚を片付けてしまえばおしまい。そう思うと先輩方に申し訳なくなります。』

 『学校生活では新しい友達が出来て、楽しくやっています。といっても友ちゃんの友達ネットワークの端っこをつまむ感じで、少人数の輪の中にちょこっと混ざれるくらいの関係だけど。友ちゃんは昨日の今日でクラスを跨いでたくさん友達を作ってました。すごい。でも私には、今くらいの少人数でお話するくらいがちょうどいいの。』

 『担任の先生はお話が長いけどわるい人ではないと思いました。食器棚を片付けるために台車を貸してもらおう、なんて変なお願いをしてもイヤな顔一つしないで丁寧にお断りされました。ただお話が長いのが困りもので、疲れました。でも本当にわるい先生じゃないんです。』

 『あと先生といえばその相談を職員室でしていて、そこで軽音部の顧問の先生を見かけたけど。あの先生って二重人格なの?とても優秀で優しい先生に見えましたが……たぶん深くは突っ込んじゃいけないことなんだと思って、誰にも話せずにいます…。お姉ちゃんに尋ねることが増えました。』

 『そんなこんなで入学してまだ2日目だけど、良い学校に入れたと思います。さすがお姉ちゃんがお父さんやお母さんの推薦する学校を蹴って入った学校だ、て思いました。』

 『ただ惜しむことがあるなら、やっぱり高校には私のオアシスが無いことです。友ちゃんだけは中学生の頃のままでいて欲しかった…なんて非現実的なことを授業中に考えふけってしまいます。学校内・外を問わずオアシスが広がっていたこれまでの生活が贅沢だったんだろうな、て思い直してはいるんだけど。』

 『せめて、中野先輩が本当に一年生だったら良かったのに。』

 『とても失礼で中野先輩には絶対に言えないけど、日記だからこれくらいはいいよね。』

 『なんて、無いものねだりは今日でおしまいにしないと。すっぱり諦めて、放課後に食器棚を片付けたら、公園で女の子たちに目一杯癒してもらおうと思います♪』

・翌日

菫(今日の配布物に新入生歓迎会のチラシがあって、そのプログラムの中にあの軽音部の演奏が体育館で行われることに気づいた)

菫(ということはその時間は音楽準備室ががら空き…。歓迎会の途中で抜け出せば、部室に忍び込むには絶好のチャンス!)※戸締り中

菫(だけど、あの先輩たちの演奏かぁ。2日間だけだったけどお世話になったし、聴いてみようかな)

菫(っていうわけで友ちゃんとお喋りしつつ歓迎会を見てるけど…部活に興味無いから退屈…)

菫(友ちゃんは何にでも興味津々で凄いな。今終わった漫才部の芸のなにが面白いのか私にはこれっぽっちもわからないや)

菫「ふわああ……ねむい」




菫(いよいよ軽音部の紹介……)

梓「みなさん!ご入学おめでとうございます!」

梓「私たち軽音部は今、部員が少なくてこのままでは廃部してしまいます!」

梓「もしバンドや楽器に興味のある人がいたら是非来て下さい!初心者も大歓迎です!」

菫(廃部……そっか、それで勧誘に必死だったんだ。大変だな…)

菫(でも私は正直どっちにも興味は無いし……お力になれなくてすいません)

友「小さっ!菫ちゃん!あの先輩小さっ!きっと145センチ無いよ!絶対!」

菫「ううん、150cmくらいだよ」

友「そんなー!菫がでかいから見間違えてるだけかも!私と同じ目線になればちゃんと判る!しゃがんで見て!」

菫「えーっ、行儀わるいよ」

友「私の勘が告げてるの!あの先輩は絶対に私より小さいんだから!勝った!勝った!」

菫「(友ちゃんのこういう負けず嫌いなところは中学の頃から全然かわらない♪)」

梓「――それでは一曲聴いてください!」

菫(あれ?平沢先輩と鈴木先輩は演奏しないのかな?)

友「お手並み拝見だよ!小っこい先輩!」ワクワク

菫「友ちゃんが言えることじゃないと思うよ…」

梓「き゛み゛を゛み゛て゛る゛と゛い゛つ゛も゛ハ゛ァ゛ト゛ト゛ギト゛ギ」

菫(歌すごくヘタだったー!?)

友「                         」

菫(友ちゃんが茫然としてる!?)

菫(あわわ…中野先輩がんばってー…ん?)

菫(前の席で頭を揺さぶってる子がいる……たしか奥田さんだったっけ?)

菫(頭を左右に振り続けてる…なんで?…だんだん肩も大きく揺らして……あっ、隣の子と肩ぶつけた…)

・翌日、放課後

菫(演奏を終えた中野先輩はやっぱり気分が沈んでいるようで、暗いオーラをまとって舞台を去っていった)

菫(そんな先輩と顔を合わせたら先輩を刺激してしまうだろうから、昨日は部室に行かないで真っ直ぐに公園へ向かって女の子たちと遊んだ)

菫(そして今日。今日こそ先輩方が来る前に食器棚を片付ける…!)

菫(とくに中野先輩に見つかって、もし昨日の演奏をまだ引き摺っていたら、私にはかける言葉がない…)

菫(なので、どうか神様。先輩方に見つからないように……)

梓「すーみれ!」

菫「見つかったーっ!!Σ」

菫「すっ、すいません…ん?」

憂「あのね。今日ケーキ焼いて来たんだ!一緒に食べない?」

梓「菫のお茶、飲みたいなー!」

菫「あっ・・・」

菫(中野先輩…元気にしてる…?)

菫(どうやら私の杞憂だったみたいっ)

菫(良かった…)



 『すみれちゃーん!』

 『すみれちゃん!ジュース買ってー!』

 『すみれちゃんのクッキー好きー!』



菫(えっ・・・?)

菫(どうして今、公園で遊ぶ女の子たちのことを思い出したんだろう?)

梓「菫?」

菫「あ、はい!ただいまー!」

梓「扱いやすい子……」

憂「かわいー♪」


*5分後*


菫「わあ…平沢先輩のケーキ美味しいです…」

憂「ほんとう?よかったー!」

純「憂ってなんでもできちゃうよねー。ウマウマ」

憂「何でもはできないよぉ」

純「私の知る限りはたいていのことはできちゃうじゃん。ねー梓?」

梓「ギターの上達スピードが恐ろしいしね」

純「学園祭前に唯先輩が風邪ひいたときだっけ?凄いよねー」

憂「二人ともやめてよぉ///」

憂「地道に練習しただけだってば。紅茶の煎れ方もそんな感じだよね?菫ちゃん」

菫「え?はい」

純「いやいや~憂の場合は呑み込みが早すぎて恐ろしいんだって。たとえば梓がさ~」

梓「うわ嫌な予感しかしない」

純「今から地道に歌を練習してどれくらいで仕上がると思う?」

菫「ゲホッ!」

憂「スミーレちゃんだいじょうぶ!?」

菫「す、すいません…」

梓「菫!安心して!二度と歌わないから!」

純「すがすがしいまでの開き直りだ!」

梓「歌のことはもう忘れなさい……イイネ?」

純「おおう怖い怖い」

梓「頭のモップ剥ぐよ?」

純「返答する前に手をかけないでくださいごめんなさい」

菫「うぅ…すいません。決して中野先輩を笑ったわけじゃなくて…」

梓「あー気にしないで。明らかに私の能力不足が招いたことだから…」

憂「まぁまぁ。梓ちゃんも地道に練習すればきっと綺麗な歌声で歌えるようになるよ」

梓「いいんだ…私はムッタン一筋で音楽を表現するんだ……」

菫「むったん?」

梓「あ、いや、今の無し!!///」

憂「スミーレちゃんが入部してくれたら解るようになるよ」ニコニコ

菫「うっ・・・」

純「ちなみに私はミオタンって名前の」

梓「澪先輩の名前を使うな!」

純「いーじゃん!憧れの先輩なんだし!」

梓「いーやダメ!澪先輩が穢れる!」

純「そこまで言う!?」

憂「じゃあ私はユイタンって名づけようかなあ(ギター買ったらね)」

梓・純「どうぞどうぞ」

憂「あれ?反応それだけ?」

梓「触らぬ神になんたらら、てやつよ」

純「下々の我々には口出しできないのさ」

憂「ちょっとさみしい・・・」

梓「とにかく、ミオタンなんて絶対許さないから」

純「心の中で連呼するもんねー」

梓「うわストーカーみたいなやつ…」

純「梓だってどうせギター抱きながら心の中で唯先輩唯先輩言ってんでしょ?」

梓「言いません!!///」

憂「梓ちゃんホント?」ニコニコ

梓「でっち上げだから!///」

純「でも現に梓の携帯の発信履歴が」

梓「うおおおおお!!その口を慎めええええええ!!いつ見た!いつ見たの!!言いなさい!!」

純「うごっ…が…首締……っ」

憂「前から思ってたけど、やっぱり梓ちゃんってお姉ちゃんのことが♪」

梓「ちがう!ほんとにちがうから!変なこと言わないで!///」

憂「梓ちゃんなら安心してお姉ちゃんを任せられるのに♡」

梓「だから!ちーがーうー!!///」

菫「・・・・・・」

菫(本当に楽しそうな人達…)

菫(もし私が入部したら、きっと楽しいんだろうな)

菫(でも私は食器棚を片付けに来てるだけ。食器棚を片付けたらそれっきりの関係)

菫(お姉ちゃんと違って歌も楽器も習ったことはない。音楽に特別な興味があるわけでもない)

菫(それに私には……うん。あの公園に私を待っている大事な子たちがいるから、やっぱり入部はできないな…)

菫(ご期待に添えずごめんなさい、先輩方。こんなに美味しいケーキまでいただいてしまったのに)

菫(今日こそきっちり勧誘をお断りしないと・・・)

菫(そうしたらこの楽しいお茶会もお終いだな・・・)

菫(・・・・・・)


梓『菫のお茶、飲みたいなー!』


菫「……っ」

菫(・・・ほんとうにいいのかな)

純「ギ、ギブ……」

梓「あーごめーん(棒)手放すのわすれてたー(棒)」

純「げほっ、こほっ!」

梓「自業自得だからね」

純「わたし死にかけたよ!?やり過ぎでしょ!」

憂「梓ちゃんったら照れ隠しに純ちゃんを使うなんて正直じゃないなあ♪」

梓「いくら憂でもそれ以上は怒るよ!」

純「キャー梓部長コワーイ」ギュッ

菫「え、ふぇ?」

憂「ほらスミーレちゃんが委縮しちゃってるよ?」ギュッ

菫「え?え?」

梓「ぬぬぬ……っ」

菫「あの、わたしはお構いなく…!」

純「スミーレは私たちを見捨てるの!?」

憂「信じてたのに!」

菫「そんなつもりで言ったんじゃないですぅ!」

梓「もう怒った!部長権限で、純は明日からお茶もお菓子も抜き!」

純「ちょっと!憂は許されていいの!?」

梓「だってお菓子作ってきてくれるの憂じゃん」

純「不当だー!平等じゃなーい!」

菫「…………」

菫(入部をお断りしなきゃ……でも)

菫(変だな……勧誘する気配を先輩方から全く感じない)

菫(まるで只お茶会を開いて談笑してるだけのような、穏やかな雰囲気に包まれてる)

菫(どうしたんだろう?もしかしてとっくに入部したことになってたり…いやいや、仮入部届も提出してないのにそんな)

菫(わからない…どうして先輩方は私をお茶に誘うんだろう)

菫(これじゃいつ言いだせばいいのかわからない…)

菫(けど)

菫(…このままの時間を過ごすのもわるくない気がしてきた)

菫(悪ふざけを始める鈴木先輩と便乗する平沢先輩、被害者だけどめげない中野先輩)

菫(私には無い、底抜けの元気が溢れる人たちを見ているのは大好き。そう、女の子が公園を元気に走り回る光景は私の宝物)

菫(お姉ちゃんも、無茶なことでもやると言ったら本気で実行しかねない危なっかしいところはあるけど、そんなところも大好き)

菫(ほんと、お別れするのが勿体無いくらいに)

菫「……楽しい人たちだな」

純「なにを今更w」

菫「あっ!すいません、聞こえましたか…?」

憂「私たちは毎日楽しいよ!」

純「私と憂は毎日梓に振り回されてるもんねー」

梓「みんなでこうしてお茶しておしゃべりするだけでも、純の戯言が気にならないくらい楽しいよ!楽しいよね?」ニコニコ

菫「中野先輩…」


 『楽しいね!スミレちゃん!』


菫「っ!!」

菫「・・・・・・」

菫(あっ…わかった…)

菫(中野先輩を見てると大好きな女の子たちを思い出すんだ…)

菫(もしかして…私は…いやでも先輩は高三なのに…年上なのに…)

梓(あれ?もしかして私が勘違いしてるだけで、楽しくない?)

憂「えへへ♪梓ちゃん、なんだかお姉ちゃんみたいなこと言うようになったね!」

梓「え!?何それ!?唯先輩に似てきたってこと!?ショックだー!」

憂「なんでショックなのー!いいじゃーん!」

梓「いやー!なんかイヤー!」

菫(よくわからないけど必死に否定してるところがかわいい…ううん、いけないいけない!先輩になんてことを思ってるの!)

純「やっぱ好きな人に似てくるもんだねー。モシャモシャ。ケーキうまい」

梓「似てない!断じて似てない!紅茶飲んで一日終ろうなんて考えないから!」

純「のわりには初日からスミーレのお茶のんでダベるだけだったじゃん」

憂「今日からケーキもついてくるよ」

梓「もうやめてー!うおー!やー!カムバックあたしー!」

純「それ去年に失敗したじゃん」

梓「ウグッ」

憂「私はそのままの梓ちゃんが好きだよー」ナデナデ

梓「うぅ…私だけでもしっかりしないといけないのに…」

純「ほれほれスミーレのお茶のお代わりだぞー」

梓「シクシク……こうやってますます堕落していくんだ…ズズ…うん美味しい…」

菫「…あの」

梓「うん?」

菫「…どうしてこんな私に構ってくれるんですか?」

梓「えっ」

菫「べつに入部希望と言ったわけでもないのに…」

梓「!」

憂「何でって?」

純「もう何回もいっしょにお茶してるじゃん!」

梓「さっきも言ったけど、菫とこうしておしゃべりしてるだけでも楽しいよ?」

菫「でも…」

梓「菫さえ良かったら、もっともっと菫とおしゃべりしたいなー?♪」ニコッ

菫「                                            
                                              」

憂・純(やっぱりお姉ちゃん(唯先輩)っぽくなってきてる)

菫(あっ……あっ……)

梓「菫?」

菫(ああ……っ!)

菫(梓『もっともっと菫とおしゃべりしたいなー♪』キャッキャッ)

菫(ああ……やっぱり…中野先輩って………)

菫(超かわいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!!111!!!!!!!!11!!!!!!!111!!!!!!!!!!!)

梓「ちょっ菫!?涎!涎!」

菫「へ?ヒャッ!ごめんなさい!///」

憂・純「?」

梓「はいティッシュ…どうしたの…?平気?」

菫「はぃ元気です///」

梓「体調の心配はしてないんだけど…」

菫「ほ、ほんとに大丈夫です!ありがとうございました!」

梓「ならいいけど…」

菫「はい!ですから先輩は笑顔でいてください!!」

梓「わ、わかったから落ちついて!」

菫(えっへへへ♪少しとまどってる中野先輩もかわいいな~♡)

純「スミーレどうしたんだろう…」

憂「さあ?でも見て。なんだか憑き物が落ちたみたいに晴れやかな顔をしてる」

純「そういえば。あんなに笑ってるスミーレは初めて見た。なんで?」

憂「さあ?♪」

梓「…あのね、菫?さっき菫が訊いたことだけど」

菫「はい!!」

梓「近い近い!もうちょっと下がって。見上げる首の角度がきつい」

菫「はわわ、すいません!」

梓「たしかに私たちは部員が欲しい。新歓でも言ったけど部員は最低4人いないと廃部になる」

梓「そうなったら私は先輩との……ううん、これは今言うことじゃないや」

菫「……?」

憂・純「………………」

梓「とにかくそういうわけで廃部を阻止するために部員の勧誘に躍起になってた」

梓「新歓のときみたいに空回りすることになるかもしれない。それでも止まるわけにはいかない。何としても部員を集めなきゃって思ってた」

菫(さっきまでのお茶会ムードの先輩とはちがう…一言一句に強い意志を感じる…。これが軽音部…?)

梓「でも!!!」

菫「ひゃっ!」

梓「それとこれとは別♪せっかくこうして菫と縁が出来たのに、廃部阻止のためだけの関係で終わらせるなんて寂しいじゃん?」

菫「あ…!」

梓「もちろん菫が入部してくれたら大歓迎!けど入部しなくてもさ、またここでお茶会しようよ?」

菫「せん…ぱい!」

梓「わたし、すっかり菫が煎れるお茶の虜になっちゃったみたい。てへっ♪」

菫「入部します!絶対に入部します!今ここで!ぜひ入部させてください!!///」

梓「わわわっ、だから近いってば!首がきつい!」

純「よっしゃ確保ー!」

憂「確保ー!」

菫「えっ、ギャー!?」

梓「あーん、もう!せっかくの良い雰囲気がー!確保ー!」

菫「中野先輩までー!?///」

直「あのすいません入部したいんですけど」

憂「あ!昨日の!」

菫「あ…同じクラスの奥田さん…」

梓「ごほんっ!奥田さん?も入部してくれるの?」

直「はい。私この学校の部活全部に体験入部したんですけど」

四人「全部!?」

直「この部活が一番うまくできそうだったので!」

梓・憂・純(あれで!?)

菫(直ちゃんの演奏…すごく独特そう……ってあれ?先輩方が呆けてる?どうしたんだろう?)



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最終更新:2016年04月17日 22:04