#第一部


ある日の昼休み!

花京院「承太郎、君は部活には入らないのか?」
「毎日喧嘩ばかりして。何か入ればいいじゃないか」

承太郎「俺はこう見えても忙しいんだよ、色々とな」

花京院「どうせ相撲観戦だろ?そういえば君の父親はミュージシャンだったな」

承太郎「…それがどうかしたのか?」

花京院「軽音部なんかどうだ?」
放課後!
承太郎(ここが音楽室か…)

「ねぇねぇ、どうしたの?」


承太郎「少し軽音部に興味があってな… それよりお前は誰だ?」

「私?私は平沢唯って言うんだ。 軽音部のギター担当だよ!」

唯「それよりも入部希望でしょ?立ち話も何だし入ろう!」

承太郎「そうだな」


ドア ガチャッ

唯「ごめ~ん!遅れちゃった」

律「遅いぞー唯!」

唯「いやぁ、掃除がなかなか終わんなくて」

紬「今お茶用意するわね」

唯「ありがとー あ!一杯追加で!」

澪「どうしたんだ?お代わりすればいいだろ?」

唯「いやぁ~それがね、見学したいって人がいたから連れて来たんだよ!」

律「マジで!?」ガタッ

澪「本当か唯?」

唯「本当だよ!私が声かけたんだぁ」フンス
「じゃあ入っていいよ~」

承太郎「…」ヌッ

澪「ヒッ…」ガクガクブルブル

紬「…」ガシャーン

律(う…嘘…だろ?)ブルブル

唯「じゃあ紹介するね!あれ?名前何だっけ?」

承太郎「…空条承太郎だ」


唯「あれ?澪ちゃん何で泣いてるの?」

律(いや…誰が見てもビビるだろ…)

唯「まぁいっか!座って承太郎君」
「あっムギちゃんお茶が無いよー。」

紬「ハッ…い、今用意するわ!」パタパタ


律「あ、あのっ!」

承太郎「…何だ?」ジロ

律「ヒィッ!…あの、承太…空条さんは何か楽器の経験はおありなんでしょうか…?」

承太郎「親父がミュージシャンでな…ギターなら少しはやったことあるが」

唯「えっ!ギター!?私と一緒だね!どれぐらいやってたの?」

承太郎「3日ぐらいだ。あんなチマチマしたのは俺に合わん」

律(あれ?ちょっと親近感)

律「ていうか澪!もうそろそろ戻ってこい!」ボソボソ

澪「嫌だ!よりによって何で私の席の前なんだよ!」ボソボソ

律「仕方ないだろー。ムギは立ってるって言ったし、私はムギの席にいるし」ボソボソ

澪「お前のせいじゃないか!」ボソボソ

承太郎「…おい、お前」


澪「!」ガクガクブルブル
 「……グスッ」ガタガタ

承太郎「おい、俺はお前を呼んでるんだぜ」ガタッ

律「あ、あのー澪は人見知りでさ!」

承太郎「…そうか」ドサッ

唯「そういえば楽器って何か他に出来ないの?」

律「そうそう、楽器だよ!何か他に昔やったのはないの?」

承太郎「…」
「小学校の時に鍵盤ハーモニカはやったな」

律「ブフォッ」

律(何で鍵盤ハーモニカなんだよ!かわいいじゃねーか)プルプル

 「あー、軽音じゃそれ使わないんだよ」
「それに鍵盤はムギがいるしな」

承太郎「そうか…」シュン

律(あれ?ちょっと落ち込んでね?)

紬「ボーカルなんてどうかしら?」

律(久しぶりの発言だな、ムギ… やっぱりムギでも緊張するのか)

唯「あ!それいいねぇ!」

律「そういえばうちのバンドってボーカルいなかったな」
「よし、ムギ!その意見採用だ!」

承太郎(…俺は最初見学って言ったはずなんだが)

承太郎「今更なんだが…」

唯「ん?どうしたの?」

承太郎「…お前らはガールズバンドとかじゃないのか?」

唯澪律紬「!」

澪(そうだ!最初からそう言っとけば良かったんだ!)
(何で私は気付かなかったんだ。ありがとう空条さん…さようなら…)

唯「大丈夫だよ~ ねぇりっちゃん?」

律「ん~そうだな。私達もこっちで勝手に色々決めてたし」
「ていうか共学だしこんなこともあるだろ」ヘヘッ

紬「そうね。それに人数は多い方がいいわ」

澪(みんな…)

承太郎「…そうか。それじゃあよろしく頼むぜ」

唯「そういえば承太郎君、紅茶飲まないの?」

承太郎「…コーヒーは無いのか?」

紬「…替えます」

律「おっ、あったあった入部届け。はい、よろしく」

承太郎「ああ」サラサラ

唯「へぇー、こんな字なんだ」

紬「空“条承”太郎… 『ジョジョ』って呼べるわね!」

唯「ジョジョ?何かかっこいー!」

律「だな!」

承太郎「…書きおわったぞ」ピラッ

澪(何で満更でもなさそうな顔してんだよ…)

唯「!」ピコーン

律「どした唯?」

唯「りっちゃん、承太郎君のために演奏してあげようよ!」

律「いいな、それ!」

紬「やろうやろう♪」

律「ほら、行くぞ澪」ガシッ

澪「うん…」トボトボ

ジャカジャーン♪

唯「ねぇねぇ!どうだった私達の演奏!?」キラキラ

承太郎(お世辞にも上手いとは言えねぇ…)
(だが…何か引き込まれるものがあったのは確かだ)

承太郎「…少なくとも悪くはないと思うぜ」
「何か…引き込まれるような演奏だった」

律「お~やっぱり?私達って才能あるのかなぁ!?」

澪「…唯には上手くないって言われたじゃないか」

律「ウグッ…」

承太郎「…まぁ何だ、これからよろしく頼むぜ…あー」

律「あ!そういえば私達まだ名前教えてなかったっけ」
「私は部長の田井中律!」

紬「私達は琴吹紬よ。よろしくね」ニコッ

澪「…」モジモジ

律「おい澪、早く言えって!じゃないと殴ら…」ボソボソ

澪「ヒィッ…あ、秋山澪でしゅ!」

唯「澪ちゃん慌て過ぎ~」ケラケラ

承太郎「そうか。よろしく頼む、田井中、琴吹、秋山、それと平沢」

唯律紬「うん!」
澪「…ハイ」ボソッ

翌日放課後!

花京院「軽音部はどうだった、承太郎?」

承太郎「…女しかいなかったな」

花京院「そうか。じゃあ入部は…」

承太郎「…した」

花京院「何ッ!?」ガタッ
「どういう風の吹き回しだ承太郎!?君が女の子だけの部活に入るなんてッ!」

承太郎「一々騒ぎ立てるもんじゃあねーぜ、花京院?」
「…俺が入りたいと思ったから入った、それだけだ」

花京院「…そうか。まあ頑張ってくれ承太郎。じゃあ僕は生徒会に行くよ」ガタッ


音楽室!

紬「今日はマドレーヌよ♪」

唯「やった~!んふ~おいふぃ~」ニコニコ

ガチャッ

承太郎「…最後みたいだな」

律「よっ!ジョジョ」

唯「ヤッホー承太郎君!」

紬「こんにちは承太郎君。今おち…コーヒー入れるわね♪」

律(あれ?こいつらが昨日ジョジョって呼び方で騒いでたんだよな?何か恥ずかしい…)

承太郎「ああ…」ドサッ

澪(…私も挨拶しないと…… 同じ軽音部の仲間なんだし)

澪「……コ、コンニチハ」ボソッ

承太郎「ああ」
澪(!)
 (返事してくれた!)

ガチャッ

さわ子「みんなやってるー?」

律「おう、さわちゃん!」

紬「今日はマドレーヌですよ」

さわ子「あら、美味しそう!」
「で…あなたが新入部員の空条承太郎君ね?」モグモグゴクゴク

承太郎「ああ…」ズズッ

さわ子「私は顧問の山中さわ子よ。よろしくね!」
「女の子ばっかりで大変だと思うけど…頑張ってね!」ムギチャンモウイッコチョウダイ パクパク

承太郎「大丈夫だ。自分の意志で入部したんだ。中途半端には辞められないさ」

さわ子「そう。それなら大丈夫そうね。」
「期待してるわ!」ニコッ

律「騙されるなよジョジョ。今はあんなたいどだけど…」ボソボソ

さわ子「聞こえてるわよ~、りっちゃん」ニコニコ

律「ヒィッ…何でもありましぇん…」
(笑ってるけど分かる!私にしか分からないように睨んでる!)ガタガタ

承太郎「…何となく分かったぜ…この先生の正体……」

さわ子「あれぇ?何の事かしら」ニコニコ
「あら、もうこんな時間!私行くわね」スタスタ

唯「じゃーねー」フリフリ

ガチャバタン

承太郎「やれやれだぜ」


何日か後!

澪「合宿をします!」ズビシッ

唯「合宿~?」

澪「そう、合宿。あと少しで学園祭だろ?それに向けての合宿だ」

律「でも合宿って言っても場所とかどうするんだよ?機材もなきゃだめだし」

澪「うっ…それは…」

紬「あの~」

唯「どうしたのムギちゃん?」

紬「小さくていいのなら別荘があるんだけど…」

律「マジで!?」

澪「使っていいのか?」

紬「今聞いてみるわ」


紬「いくつか空いてるから使っていいって♪」
「どこがいい?」

唯律「海!」

ガチャバタン

承太郎「何が海なんだ?」ドサッ

律「ああ、あのな…おい澪!」

澪「えっ!?わ、私?」

律「当たり前だろー?言い出しっぺ澪じゃん」ニヤッ

澪「うっ…」

唯「頑張って澪ちゃん!」フンスッ

紬「頑張って~」ニコニコ


澪「…アノ、ガッシュクヲヤリタインデスケド」ボソボソ

承太郎「?」
「おい、何て言ってるのかわかんねーぜ」

澪「ヒィッ…」グスッ
「が…が、合宿を!し、したいんですけど!」

承太郎「…どこでだ?」
(やかましい…)

澪「ムギの!別荘でしっ…す!」
承太郎「いつだ?」

澪「夏休みの…さ、最初の金土日…」

承太郎「わかった。空けとけばいいんだな?」

澪「!」
「はいっ!」ニコッ
(つ…伝わった!)

承太郎(やれやれ…人見知りってのも楽じゃあないんだろうな)

律「よし!そうと決まれば買い物行こーぜぃ!」

唯「おーっ!」

承太郎「何を買いに行くんだ?」

律「ふふ~ん」ニヤッ
「着いてからのお楽しみ!行こうぜ!」

ガチャバタン


デパート!

承太郎「…水着か」

律「そうだ!何たって海だからな!」

澪「遊びに行くんじゃないんだぞ!」
(それに…空条君がいたら恥ずかしいだろ///)

律「ちょっとぐらいいいじゃん。なぁ、唯?」

唯「そうだよ!折角の夏休みなんだし!」

律「よーし、みんな行くぞ!」グイッ

紬「ごめんね、承太郎君」
「待って~」パタパタ

承太郎「…」


二時間後!

ポツーン
承太郎(長いな…)パカッ
(二時間か…)
(今日は千代の富士の大事な試合があったんだが…)
   (…花京院にビデオ借りるか)

パタパタガサガサ

唯「ごめーん!遅くなっちゃった!」ガサガサ

律「いやぁ、澪の奴がさ、『どれが一番セクシ

澪「…言ってないだろ!」ゴツン

律「すいましぇん…」プクー

紬「もうそろそろ帰りましょうか。暗くなっちゃった」

唯「そうだね!憂も心配しちゃう!」

律「ジョジョ!合宿楽しみにしとけよ~」ニヤッ

ジャーネバイバーイ

承太郎(…やれやれ)

終業式の日の放課後!

律「いやぁ、やっと終わったな」ノビー

紬「ええ、何かあっという間」

唯「だよね~。楽しい時間は過ぎるの早いや」
「そういえば、さわちゃんの高校時代ってどうだったの?」

律「あ!私も聞きたい!」

紬「私も!」

さわ子「…承太郎君はどうだった?一学期終わっちゃったけど」

律(うわー…シカトかよ…)

唯(よっぽど嫌な質問だったのかな?)

紬(何かかわいそう…)

承太郎「…楽しかったんじゃないか?」

さわ子「何で疑問で返すのよー」ブー

律「そうだぜジョジョー。楽しかったか楽しくなかったか。この2択に限る!」ニヤニヤ

承太郎「…時間は…早かったな」

唯「答えになってないよぉ。さぁ、承太郎君。言っちゃいな!」

承太郎「………楽しかったぜ」ポツリ

唯律(キャハーーーッ♪)

唯律「萌え萌え~キュン♪」

澪(いや…どう考えてもおかしくないか?)

さわ子「そう。それは良かったわ」ニコッ
「そういえば澪ちゃん、何でさっきから黙ってるのよ?」

澪「!」
「いえ…あの…歌詞考えてきたんですけど…」
「…クウジョウクンニミセタラコロサレソウッテイウカ」ボソッ

さわ子「へぇー。見せてみなさいよ」パッ

律「見せて見せて!」

唯「私も!」

紬「私も見たいで~す」

澪(あっ!取られた!)


―ふわふわ時間―

さわ子(ゲッ…こ、これを承太郎君が歌うの?)ガクガク

律(…マジかよ……これは無しだろ)

唯(歌詞かわいい!けど…承太郎君……)

紬(この歌詞いい!是非これでいきたいわ!)

澪「ど、どう?」キラキラ

さわ子律(変な眼差し向けんじゃねーーッ!)

さわ子「ちょ、ちょっとこれは…」

律「だよな、さわちゃん!ちょっと…」

唯「でもかわいいよね、歌詞!」

紬「うん、とっても素敵!」

承太郎「…2対2か」
「ちょっと貸してくれ」パッ

さわ子律(!)
(ああ…死んだ…)

承太郎「………」

承太郎「………」ペラッ

さわ子律(ああ!何も言わない!)
(終わった…)ガクガク

澪「…どう?空条君…」ジッ

承太郎「3対2だ…」

唯澪律紬さわ子「…えっ!?」

承太郎「…いいぜ、歌ってやる」

「元々ここには俺の意志で入ったんだ」
「それに、秋山も多くの時間を使って考えたんだろう」
「軽音部の為だ。断る理由はないぜ」

澪「!」パァッ

律(マジかよ…)

さわ子「…そう。なら私は言うことはないわ」
「が、頑張っ…頑張ってね」ブフォッ

承太郎「…」ギロ

さわ子「ヒィッ…」ブルッ

澪「あの…ありがとう……」

承太郎「…俺は自分のしたいようにしただけだ」

唯「よぉ~し!これで歌詞は決まったし後は合宿だね!」



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最終更新:2017年05月28日 21:58