第三部
―未来への遺産―
3月の桜ヶ丘高校!
憂「あ!あったよ!お姉ちゃん!」
唯「…ほんとだ!」グスッ
憂「もう、何でお姉ちゃんが泣いてるの?」ナデナデ
唯「だって嬉しくてぇ~」グスッ
律「お~い!憂ちゃん!」
憂「あ、皆さんお久しぶりです」
唯「憂受かってたよ!」
オメデトウ ヨカッタネ アリガトウゴザイマス
スタスタスタスタ
梓「…」ジッ
梓「…あれ?」
4月の桜ヶ丘高校昇降口!
唯「あ!りっちゃん私とクラス同じ!2組だって」
律「ムギも一緒だぞ!」
紬「承太郎君も一緒ね!」
唯律紬「…けど」
澪「…1組……」
律「ま、まあ休み時間は来ればいいじゃないか!」
スタスタ
憂「皆さんおはようございます」
澪律紬「おはよう!」
律「制服似合ってるじゃん!」
紬「初々しいわぁ」
憂「ありがとうございます」
「あ、お姉ちゃん髪の毛寝癖ってるよ」ナオシナオシ
ジカンガナカッタンダヨー ドッチガネエチャンダヨ
梓(…良かった。受験番号あって…逆さまにしちゃってた)
2年1組!
澪(…誰も知ってる人がいない)
(…寂しい)チラッ
花京院「…レロ」ドドドドドドド
澪「ヒィッ…」ブルッ
和「どうしたのよ、澪」
澪「の、和ぁああ…」グスッ
放課後!
律「なあ、新歓ライブの前にビラ配らないか?」
澪「あぁ、結構効果あるかもな」
唯「りっちゃんたまにはいい事言うね!」
律「何だよたまにはって…」
紬「じゃあ明日から配りに行きましょう」
翌日の放課後!
律「よし、みんなこれに着替えろ!」ドサッ
唯「なぁに、これ?」
律「着ぐるみだよ。目立つだろ?」
中庭!
唯「軽音部でーす!」
澪(…何か避けられてないか?)
紬「よろしくお願いしまぁーす」
承太郎(…)ゴゴゴゴゴゴゴゴ
律(…原因はこいつだろ)
(着ぐるみに入りきってねえし…)
音楽室!
律「ふぅ…」ドサッ
澪「ある意味宣伝効果はあるかもな…」
唯「あ!承太郎君全然汗かいてない!」
律(そりゃあ通気性良さそうだったしな…)
ガチャッ
さわ子「みんないる?」
律「いるよ。てか何その荷物」
さわ子「ねぇあなた達、1年生を迎えるのに制服はちょっとあれじゃない?」
唯「でもこれ以外ないよ?」
さわ子「ふふーん」ニヤッ
「じゃーん!メイド服」
承太郎「!」
承太郎「…」ゴゴゴゴゴゴゴゴ
澪(うわっ!)
さわ子「大丈夫よ。承太郎君のは執事服だから」
「じゃあみんな、早速それに着替えて!1年生はいつ来るか分からないわよ!」
少し後
コンコン
憂純「こんにちは~」
唯律紬「いらっしゃいませ~♪」
承太郎「…こちらへどうぞ」
純「!」
(でかっ!怖っ!もう帰りたい…)
憂(大丈夫!優しい人だよ)ニコッ
憂「あの、この子
鈴木純ちゃんって言って、軽音に興味あるそうです」
紬「はい、お茶どうぞ」
純「あ、ありがとうございます…」
唯「ねぇねぇ、純ちゃんはどこ中出身なの?」
律「やりたい楽器とかあるの?」
紬「お菓子おかわり一杯あるわよ♪」
数十分後!
唯「あれ?もうこんな時間だね」
律「最後に私達の演奏聞いてってよ!」
純「悪いですよ…」
律「大丈夫!ほら、みんな配置につけ!」
スタンバイ!
澪「ジョジョ、今日は何にする?」
承太郎「…今日は『カレー』の気分だな」
律「オッケー。」
「みんないくぞ!1、2、1、2、3、4!」
~~~♪
承太郎『カレーCHOPPILI ライスTAPPLI♪』
律(あ、少し声高くなってる)
ジャーン♪
唯「どうだった!?」
純「凄く上手でした。…入部は考えさせていただきますね。では…」
唯「じゃーねー」ブンブン
ガチャバタン
唯「入ってくれるかな?」
紬「そうだといいわね♪」
廊下!
純「憂、私トイレ行ってくるから先に帰ってて。じゃ!」
憂(これは期待薄かな…)
(お姉ちゃんのために次の子探さなきゃ!)
同時刻音楽室!
承太郎(平沢達はああ言ってるが…)
(あいつは入部しねぇ…)
(それに考えとくなんて言ったが、入部の事なんか一生考えませんって顔してやがったッ!)
(新歓ライブに賭けるしかねえか…)
(…やれやれ)
唯「承太郎君、アイス食べに行こうよ!」
承太郎「…31か?」
翌日!
和「律?講堂の使用届けと演奏する曲目、書いた?」
律「ああ、書いたよ。はい」ピラ
和「『ふでぺん~ボールペン~』、『カレーのちライス』、『私の恋はホッチキス』、『ふわふわ時間』」
「これでいいのね?」
承太郎「…ああ。」
和「そう。じゃあ今度の新歓ライブ頑張るのよ」
新歓ライブ当日!
梓(そういえば今日新歓ライブか…)
(軽音部…気になるけど…)
(ジャズ研もあるしな)
(………トイレ行こう)
憂(…)チラッ
(あの子…外に行こうとしてる?…チャンスかも!)
「あのっ!」
梓「!」
体育館前!
憂「ごめんね、付き合わさせちゃって…」
梓「ううん、平気」
「それより中に入ろう?」
体育館!
憂「あ、もう始まってる!」
~~~♪
承太郎『始まりだけは軽いノリで~』
『知らないうちに厚くなって~』
『もう針がなんだか~とおらな~い~』
『ララ☆また明日~♪』
ジャカジャーン
ウワアアアアアアアアア
カッコイイー カワイイヨー コッチムイテー レロレロレロ
憂「!?」
(ス…スタンディングオベーション!?)
憂(凄い…)
(既に承太郎さんの周りには飲み干したペットボトルが8本も落ちてる…)
(それだけ本気なんだ!)
承太郎『…軽音部だ』
キャーキャー
承太郎『…』イラッ
『1年生、まずは祝福してやる』
『俺達は去年からこの5人で活動してきた』
『これからも人数を減らすつもりはないが…入部希望者は歓迎するぜ』
『…興味のあるやつは来い』
律(ジョジョ…成長したな…)
承太郎『いくぜ…最後の曲ッ!』『ふわふわ時間ッ!』
~~~♪
『君を見てると~』
梓(凄い…)
(たったワンフレーズ聞いただけで歌に引き込まれる…)
(わかった…スゴ味だッ!)
(この人達のスゴ味のせいだッ!)
『ふわふわたーぁいむ』
ジャカジャーン…
放課後!
唯「誰か来てくれるかな~?」
紬「大丈夫よ。きっと私達の演奏に心を動かされた人はいるわ」
澪「そうだな…今は信じて待ってよう」
スタスタ
コンコン ガチャッ
梓「あの~入部希望なんですけど…」
律「確保~!」
承太郎「…言われないでも分かってるぜッ!」ガシィッ!
梓「ヒィッ!」
こうして、軽音部は6人になった
翌日の放課後!
梓「
中野梓と言います!」
「パートはギターを少し」
「これからよろしくお願いします!」
律「ギターかぁ。唯と被るな。」 「ねぇ、ちょっと何か弾いてみてよ」
梓「は、はい!」
ピロピロピロギュワーン
梓「こんな感じです」
………
梓(あれ?何でみんな黙ってるんだろう…もしかして私の演奏が下手すぎた!?)
「あのっ、すみま…
律「すっげぇ上手いじゃん!」
澪「これなら即戦力だよ!なあジョジョ」
承太郎「…そうだな」
律「あとはどっちがリードかリズムするかだな」
唯「私リードがいい!」
梓「じゃあ私はリズムで…」
律「でもな~…」
承太郎「いいじゃあねぇか平沢で」
「こういうのはやる気のある奴にさせた方がいい」
「そっちのほうが伸びるしな」
律「それも一理あるかもな」
「じゃあ今まで通り唯はリード頼むな。梓はリズムで」
唯「うん!」
梓「はい!」
紬「それじゃあパートも決まったことだし…」
梓「練習ですか!?」キラキラ
承太郎「…お茶だ」
数日後!
梓(ここのところ毎日ティータイムばかり…)
(全然練習する気配もないし…)
(あの時感じたスゴ味は気のせいだったのかな…)
(これなら…他のバンドに入った方がいいかも…)
ライブハウス!
梓(上手い…)
(技術はあの人達より数段上…)
(でも違う…私が求めているのは)
翌日の放課後!
ガチャバタン
唯「あ!あずにゃん!」
律「どうしたんだよ梓?最近顔見せないで」
紬「とても心配してたのよ?」
梓「…分からなくなって」グスッ
唯「え?」
梓「何で私がここに入部したのか!何に魅力を感じたのか分からなくなって!」グスッ
澪「そうだったのか…」
「1人で悩んでたんだな…」
承太郎「………」
承太郎「…おい、お前ら配置につけ」
唯「…え?」
承太郎「わからなくなったって言ってんなら!俺達が再び演奏してやればいいだけだッ!」
律「そうだな!」
「みんなやろう!」
~~~♪
梓(暖かい…)
(凄く暖かい音楽…全身を優しく包み込むような…)
(私はこの音楽に惹かれたんだ…)
承太郎「…中野」
梓「はい…」
承太郎「思い出したか?」
梓「…はい」
承太郎「そうか」
「なら、その気持ちをずっと忘れるんじゃあねーぜ」
「またお前のために演奏してやるのは面倒くさいからな」
梓「はい!絶対に忘れません!」
「先輩方、ありがとうございました!」ペコリ
承太郎(やれやれ…だな)
最終更新:2017年05月28日 21:57