梓「一日中家に引きこもってパソコンは楽しいなあ」ピコピコピコ

梓「あ、なんかある!」

梓「え?なになに?風俗行ったら人生変わった話?へーそういうのあるんだ」

梓「あれれ調べてみるとそういうのっていっぱいあるんだね。ふーん、今まで物事に臆病だったけど風俗に行ったらそれ以来前向きになった……ふうん、なになに、仕事のできない後輩を風俗に連れて行ったら見違えるようになった」

梓「へー?あ、そうなんだ、変わるもんなんだなあ、知らなかったよ」

梓「じゃあちょっと行ってみようかな、人生を変えに」



風俗の店!

梓「なんか怖い雰囲気だなあ、怖いものが出てきそう」

梓「町がまず怖いもんねー、わかんないけど、深夜とか怖そう」

人「いらっしゃいませー」

梓「あ、どうも」

人「どの子を指名いたしますか」

梓「あ、えと、猫耳似合う子を指名したいんですけど……」

人「当店ではそういうサービスはやってないんですよ、申し訳ないです」

梓「そうですか、じゃあなんでもいいです、ごめんなさい」

人「じゃあフリーということでよろしいでしょうか?」」

梓「あ、はい、そのフリー?で」

人「かしこまりました。こちらで少々お待ちください」

梓「あ、はい」

梓「わ、怖い、怖いなー。もう喋り方が怖いもんなー。丁寧なところが逆に」

梓「はーまだかなぁ……なんか寒いなぁ」プルプル

ガタッ

梓「わっ怖い……なんだ別のお客さんか」

梓「緊張するなぁ……怖い」

梓「……」

梓「……」

梓「だめだ、逃げよう!」


ガチャンバタバタバタバタ


梓「はあはあ……ここまで来れば流石に平気だよね」

梓「ふぅ、怖かったぁ……でもこれで人生変わったのかな?」

梓「あ、変わった気がするぞ!」フンス

梓「やったぁ!人生変わったじゃん!」グッ


唯「あー、あずにゃんだー!こんなとこで会うなんて奇遇だねっ」ギュー

梓「わ、やめてくださいよ。っていうか、唯先輩、風俗で働いてるんですか?」

唯「いや、風俗では働いてないよ」

梓「そうですか……」

唯「それよりあずにゃんは今日はどうしたの?」

梓「ああ、いや。わたしさっき風俗に行ってきて……」

唯「風俗?」

梓「ええ、ちょうど人生が変わっちゃったところなんですよ!」

唯「へーそれはずいぶんいい体験だったみたいだね」

梓「はい」

唯「え、もっと聞いていい?」

梓「はい!もちろんですよ。根ほり葉ほり聞いてください」

唯「じゃあさ、いきなり聞いちゃうけど本番とかしたの?」

梓「本番はしないですね」

唯「本番なしのお店だったんだ」

梓「いや、ありのお店ですよ」

唯「ありだけど、しなかったんだ?」

梓「はい」

唯「はじめてだと緊張しちゃいそうだもんねえ」

梓「ええ、すっごく緊張しましたよ。もうぜんぜん別世界でしたもん」

唯「おお、そうなんだー」

梓「はい、なんか人生変わったって感じです!」

唯「あはは、あ、そうだ。あずにゃんこの後ひま? よかったら一緒にご飯でも食べない?」

梓「うーん、暇ですけど。人生変わったばっかりだからなあ、どうしよ」

唯「だめ?」

梓「んー、うーん……ま、いいですよ。人生変わったばかりのわたしでよければですけど」

唯「いいよいいよ。なんか食べたいものとかある?」

梓「なんでもいいですよ……と、今までのわたしなら言っていたところですが……人生が変わったのでお寿司が食べたいです!」

唯「お寿司かあ、回るやつでいい?」

梓「はい」

唯「じゃあちょっとスマホで調べるね」

梓「あ!あそこにデニーズありますよ」

唯「でもデニーズって寿司屋じゃなくない?」

梓「でもまあいいじゃないですか、あそこにあるんだし」

唯「ま、あずにゃんがいいならいいけどさ」

からんからんからん

梓「ね!唯先輩はなに食べます!わたしは和風ハンバーグセットのダブルにします!」

唯「だぶる?あ、ふたつ頼むってことなんだ……ハンバーグセットにダブルってはじめて聞いたな……」

梓「どうでもいいですよ!そんなの!唯先輩は!なに頼むんですか!」

唯「なんか楽しそうだね!あずにゃん」

梓「だって、人生変わってはじめての食事なんですから!楽しいですよ!ハッピーです!これは幸せって意味ですけどね!」

唯「そっか、わたしはイカスミパスタにしようかなー」

梓「あ、それベストチョイスです!」

唯「じゃあなんであずにゃんは違うの頼んだのさ……」

唯「でもさあ、あずにゃんがなんていうのかな、そんなに……その……たまって?たの?」

梓「いや、そうじゃないです。インタネットに風俗に行くと人生が変わるっていう話があったので、行ってみようと思ったんです」

唯「そんなに人生を変えたかったの?」

梓「はい、とっても」

唯「なんかやなことがあったんだ? あんまりそんなに風には見えなかったけど」

梓「いや、やなことはなにもなかったです」

唯「じゃあ、なんで、人生を変えたかったの?」

梓「それは」

唯「それは」

梓「人生を変えたかったからです」


唯「だから、なんで!」

梓「だから、人生を変えるために……」

唯「だからそれがなんでかって!」

梓「え?」

唯「だからね人生を変えたいって思うってことはその前の人生が嫌で新しくしたい!っておもうわけだよね?」

唯「なんで前の人生が嫌だったのかなあって思ってさ」

梓「別に前の人生は嫌ではなかったですよ。でも人生変えられるっていうから試しに変えてみようって思って」

唯「じゃああずにゃんは人生を変えるためだけに人生を変えたの?」

梓「そうですよ、わたし人生変えるの好きなんですよねー。けっこう昔から人生よく変えてて」

唯「えーなにそれ?」

梓「いやだから趣味みたいなものですよねー、気分転換によく変えるんですよ。ふられたあととか」

唯「髪の色みたいに?」

梓「唯先輩はなんかおすすめの人生とか知りませんか?」

唯「いや、わたしは一応生まれつきのでずっとやってるからなあ」

梓「あ、そうですか。でもその人生はすごく唯先輩に似合ってると思いますよ、あと髪色も」

唯「えへへ、そうかなぁ」

梓「そうですよ!」

唯「ありがと」

唯「あずにゃん、最近は何してる?」


梓「最近はずっと家に引きこもってゲームかパソコンですね」


唯「金髪なのに?」


梓「髪の色は関係ないじゃないですか」


唯「褐色なのに?」


梓「それは体質ですよ」


唯「金髪褐色なのに、一日中家に引きこもってゲームしてるんだ?」


梓「最近はfalloutが出たんで新しいの。あのゲームやって人生が変わったとか言う人、すごく多くないですか?」


唯「わたしゲームとかはあんまりわかんないんだよねー」


唯「あ、でも、ぷよぷよはできるよ!」


梓「一番かわいいやつじゃないですか、それは。ぷよぷよだけのやつは」


唯「えへへ、そうかな」


梓「そうですよ、ほんとあざといですね」


唯「わ、わざとじゃないもん!」


梓「その怒り方があざとい」


梓「あざといの連鎖だ」


梓「フィーバー」


唯「うるさい」

唯「髪の色と言えばさ、やっぱ金髪にしたのも人生変えたいと思ったからなの?」

梓「そうですよ!」

唯「変わった?」

梓「人からかわいいって言われるようになりましたね、あ、でもそれは昔からか、どうでしたっけ?」

唯「えーどうだろー?わたしは正直黒いほうが似合ってると思うけど、まあでもそれはそれでかわいいかも!」

梓「別に唯先輩の意見は聞いてないですけど」

唯「むむむ……」

唯「でもあずにゃん大学に入ってから変わったよねー、大学デビュー?っていうのとは違うかもしれないけど」

梓「そうですか?」

唯「そうだよ!金髪にしたのもそうだし、服装とかふんいきとかも」

梓「どうなりました!」

唯「なんか近寄り難い感じ」

梓「そうですか」

唯「みんな言ってるよ、軽音サークルの人たちとか。あいつやばいやつなんじゃないのって」

梓「そうなんです?」

唯「そうだよ!すっごいわたし言われるんだよ!あの子どうしたのとか昔からあーいう感じなのとかなんか怖いとか」

梓「なんで唯先輩に言うんですか?」

唯「そりゃたぶんほらわたしとあずにゃんがなんかこう、近いと思われてるんじゃない?」

梓「家が?」

唯「家は近いけども!っていうか同じアパートにしようって言ったのわたしだけど!」

梓「お金ほしさにですよね」

唯「そうだけど!でもちがうじゃん……」

唯「だってほら、友達と住むと安くなるっていうのやってたから……それは巡り巡ってお金ほしさだけどー……でもちがうじゃん!」

梓「いや、よくわかんないですけど」

唯「お金じゃない大切なもの欲しさにだよ!」

梓「なんですか、それは」

唯「それは、だから……ふたりで過ごす時間っていうか」

梓「…………へぇ」

唯「や、やっぱうそ!うそだから!欲しいのお金!」

唯「っていうかそれより、あずにゃんの話だよ!」

唯「あずにゃん変な服とか着てくるよね」

梓「そうでしたっけ?」

唯「なんだっけ?I♡JAZZみたいな」

梓「あ、I♡Jazz喫茶Tシャツですか?」

唯「そう。なんで喫茶なんだよー」

梓「いいじゃないですか、お洒落ですよ」

唯「あとはなんかすっごい子どもの落書きみたいなのが描いてあるやつのトレーナー、あの、ほら、太陽に顔が描いてあって手と足が出てる」

梓「アラマブラ君トレーナーですか」

唯「あれそういう名前なんだ」

梓「そうですよ」

唯「あんなのなんで着てんのさ!」

梓「宗教上の理由で」

唯「意味わかんないし!」

唯「なんかみんなすごいダサいって言って笑ってて、わたしまで恥ずかしかったんだよ!」

梓「なんで唯先輩が恥ずかしいんですか」

唯「え、なんかない?そういうの。あるじゃん、あずにゃんにはない?」

梓「あのあれですよね、自分の大好きなお店とかがネットで叩かれてたりするとなんか自分のことじゃないのに悲しくなっちゃうみたいな」

唯「そうそうそれだよー」

梓「わたしは唯先輩のフェイバリットスポットかっ! 」バシン

唯「いったぁ……なんで叩いたのさ」

梓「わたしは唯先輩のフェイバリットスポットじゃないのに唯先輩が勝手にフェイバリットスポットにしたから……」

唯「それはたとえじゃん!あとフェイバリットスポットかどうかはわたしが決めることだし」

梓「じゃあわたしは唯先輩のフェイバリットスポットなんですか?」

唯「え?」

梓「わたしが唯先輩のフェイバリットスポットかどうかは唯先輩が決めるなら、どうなんですか、わたしは唯先輩のフェイバリットなんですか、ちがいますか」

唯「え、わかんない、えっとね……」

唯「うーん……」

唯「ふぇ……フェイバリットスポット…………ア、リトル?」

梓「語順!」

唯「あとHTTシャツとかもふつーに着てくるよね、あずにゃん」

唯「ちょー言われるもん、あの子、あのちっちゃい子、今日も放課後ティータイムのTシャツ着てたよーって。あの子HTTのこと大好きじゃんって!すごい恥ずかしい!」

梓「いいじゃないですか、ほんとに大好きなんですから。あと着心地がいいし」

梓「ていうかなんでいちいち唯先輩に言うんですか、そいつらは。唯先輩の舎弟なんですか」

唯「舎弟じゃないよ、あずにゃんの行動が目に余るから忠告してくれてるんだよ」

梓「そんなこと言えばわたしよく宣伝してますけどね、放課後ティータイムのこと。学食で隣に座った子とかにライブのチケットあげたり、あと講義で発言した後とかにあ、CDが出てるんで買ってください、って言ってますよ」

唯「やめてよー!そんなの!恥ずかしいよ!」

梓「でももう毎回言ってるから言わないと教授にキミ今日はバンドの宣伝はいいのかい?っていじられて逆に目立っちゃいますよ」

唯「もー、ばか!」

唯「はぁーあ……あずにゃんほんとに変わったよね。高校のときはあんなかわいい後輩だったのに」

梓「っていうかむしろ高校のときが特別だったんですよ。わたし子どものことからずっと人生変わりまくってますから」

唯「変わってるっていうか変えてるんでしょ?」

梓「そう、そうです。でも高校時代の3年ずっと変わらなかったっていうのは長かったなあ、それだけ先輩たちとの出会いが衝撃的だったんでしょうけど」

唯「ま、そう言ってくれるのは嬉しいけど」

梓「まああの時が一番大きいですね、一番人生変わったかな。中学生のときわたしぜんぜんあんなじゃなかったですもん」

唯「えーどういう感じだったの?」

梓「いっつも自分の席に座って友だちどころかちょっとお話する相手さえいなくて休み時間とかはずっと一人で本読んでて、いわゆる眼鏡とかかけてて周りのみんなからも……」

唯「いじめられてたの?」

梓「いや、普段喋ったりはしないけどよくよく見るとすごくかわいいって評判でしたね」

唯「なんだよー」

梓「え、いじめられてた方がよかったですか?」

唯「うん……そ、そんなことはない、ないけどさ!」

梓「でもって小学生の頃は子役やってましたからね」

唯「え、テレビとか出てたの?」

梓「あずみんって知りませんか?」

唯「ああ、え?あ!聞いたことある!あるよ!」

梓「後にですけど、あの人がいまの取材とかも来たんですよ」

唯「ほんとに!?」

梓「ええ、お蔵入りになっちゃったみたいなんですけどね」

梓「画が取れなかったんですよね」

唯「なんか業界用語っぽい!」

梓「えへへ」



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最終更新:2019年03月29日 22:03