ひまり「わあぁ! ありがとうございますっ! みんなー! 澪さんが差し入れ持ってきてくれたよ!」

モカ「おぉぉぉ、これは……まさしく桜が丘の喫茶店のパン……あ、ありがとうございますーー♪」

巴「これ、前にあこが買ってきてくれて、それからまた食べたいと思ってたんだ……澪さん、ありがとうございます!」

つぐみ「これがモカちゃんの言ってたパンなんだね、私も気になってたんです……澪さん、ありがとうございますっ♪」

蘭「モカ、今食べちゃダメだからね……澪さん、本当にありがとうございます」

巴「今日はみんな精一杯やりますから、ぜひ最後まで聴いてって下さい!」

澪「うん、楽しみにしてるよ。みんな、頑張ってね!」

一同「はいっ!!」

 これ以上邪魔をするのも悪いと思い、早々に澪は控室を後にする。

 その姿を見送り、5人は口々に言葉を交わしていた。

ひまり「澪さん……本当に来てくれた……良かったぁ~」

つぐみ「ふふっ……ひまりちゃん、本当に嬉しそうだね」

ひまり「ぅぅ……だってぇ~」

巴「はははっ、ひまりがここまで誰かのことを気に入るなんて珍しいよな」

モカ「ねーねーひーちゃん、さっきから澪さんの事ばかり推してるけど、薫先輩はいいのー?」

ひまり「違うの! 薫先輩は薫先輩でカッコいいけど、澪さんはまた違う意味でカッコいいんだよー!」

つぐみ「うんうん、ひまりちゃんの言いたいこと、私も分かるよっ」

 そして……。


ひまり「今度はちゃんと決めるからね、みんな、いい?」

 今日に関しては拒否権は無いと、ひまりの眼がそう語っている。

 その様子に根負けし、やれやれといった様子でこれからやることを蘭達は承諾していた。


蘭「まぁ、今日ぐらいはいいか」

モカ「よかったねーひーちゃん、今日は蘭も乗ってくれるみたいだよ~」

蘭「モカもやるんだからね」

モカ「はーい♪」

巴「よっし、それじゃあやるか! ひまり、景気よく頼むぞ」

つぐみ「ふふっ、こうして揃えるのもなんだか新鮮だね」

ひまり「よーーし! みんな、行くよ! えい! えい……おーー!!」

一同「おーーっっ!!」

 ひまりの声にハモるように、活気の良い掛け声が控室に響き渡る。

 彼女達の出番は、すぐ近くまで迫っていた。

―――
――

  • ライブ開始前 ハロー、ハッピーワールド!-

【控室】

紬「失礼しまーす、こころちゃん達、いるかしら?」

 紬はそっと控室の扉を開ける。

 扉の前に映る彼女の姿を見て、控室の中からは歓喜の声が上がっていた。


こころ「あら、紬……? やっぱりそうよ、紬だわ♪ みんなー! 紬が来てくれたわよ♪」

紬「こころちゃん、それにみんなもお久しぶり、お元気そうね♪」

花音「わぁ……紬さん、今日は来てくれてありがとうございますっ」

はぐみ「ムギちゃん先輩! こんにちわ!」

薫「これはこれは、紬さん、どうもご無沙汰してます……ああ、今日もお美しい……」

ミッシェル「薫さん、そういうのいいから……あ、ええと……」

 紬の姿を見ては若干言葉を詰まらせるミッシェル(美咲)だった。

 一応設定上は初対面だということもあり、どう反応すればいいのか迷っていたが、咄嗟にこころが双方のことを紹介していた。

こころ「そういえば、ミッシェルは初めてだったわね、紹介するわ、こちらは琴吹紬、私の小さい頃からのお友達なのよっ♪」

こころ「紬、この子はミッシェルっていうの♪ ハロー、ハッピーワールド!のメンバーなのよ、すっごく可愛いでしょ♪」

紬「ミッシェル……? あ、そういう事ね……」

 こころに紹介され、紬はまじまじとミッシェルを見る。

 そして、何かを察したのか、ミッシェルに近づき……。


紬「ええと……美咲ちゃん……よね? 今日は頑張ってね♪」

ミッシェル「あははは、紬さんには分かりますか? はい、どうもありがとうございます、紬さん」

 即座に気ぐるみの中に誰が入っているのかを当て、紬はミッシェルの中にいる美咲にそっと耳打ちしていた。

こころ「紬、今日は最高のライブにするから、ぜひ楽しんでいってね♪」

紬「ええ、私も菫ちゃんと一緒に応援するから、ハロハピのみんなも頑張ってね!」

一同「はいっ!」

こころ「ふふふっ♪ 出番が待ちきれないわ~♪ 早く来ないかしら♪」

花音「ふふっ、こころちゃん、凄く楽しそうだね」

薫「私も心と身体が震えるようだよ……ああああ……儚い……こんなにも儚いだなんて……最高の気分だ……!」

はぐみ「うんっ♪ はぐみもがんばるよ! ムギちゃん先輩とスミーレ先輩に、かっこいいとこ見せてあげなきゃ♪」

ミッシェル「はははは、みんな気合十分だね……かくいう私もちょっとだけ燃えてきた……かな」

 紬の激励により、いつも以上に活気に満ち溢れる様子の5人だった。

 そして……。


こころ「みんな、行くわよ~♪ ハッピー♪」

はぐみ「ラッキー!」

薫「スマイル!」

全員「イェーイ♪」

 手を取り合い、お決まりのフレーズを口にする5人。

 その表情は、会場にいる誰よりも眩しい笑顔で埋め尽くされていた。

―――
――

  • ライブ開始前 Poppin'Party-

【CIRCLE ラウンジ】

 客の誘導を終え、ラウンジの一角に香澄達は集まっていた。


唯「あー、いたいた……香澄ちゃん、こんにちわ♪」

香澄「唯さん! 今日は来てくれて本当にありがとうございます!」

 唯の突然の声に笑顔で香澄達は声を返す。

 その表情には先程の誘導の疲れは微塵も感じられず、むしろ活き活きとした表情に包まれていた。


たえ「唯さん、今日は精一杯演奏するので、ぜひ最後まで聴いていって下さい」

りみ「あの、みんなこの日のために一生懸命頑張ったんです、よかったら感想とかも聞かせてくださいっ」

有咲「わ、私達も頑張ってやりますんで、その……期待してて下さい……」

紗綾「あははは、有咲ったら顔硬すぎ、もしかして緊張してる?」

有咲「う、うっせー! ここまででっかいライブって初めてだし、なんか緊張すんだよ……」

香澄「あーりさ、えいっ!」

有咲「ひゃっ!」

 緊張で硬くなっていた有咲に向かい、背後から香澄が抱きついていた。

有咲「か、香澄!! 予告なく急に抱きつくな!」

香澄「そっか、じゃあ次からは予告してから抱きつくね?」

有咲「そ、そういう問題じゃねーっ!!」

紗綾「あはははは! 香澄のおかげで有咲の緊張も解けたみたいだね♪」

唯「ふふふっ……みんな楽しそう、私も前はそうだったなぁ~♪」

唯「私があずにゃんに抱き着いて、それで困った顔してて、澪ちゃんやりっちゃん、ムギちゃんがそれ見て笑ってくれてて……懐かしいなぁ」


有咲「ほら見ろ、唯さんに笑われてんじゃねーかっ」

唯「あ、ううん、違う違う……みんな凄く良い顔してるよ、うん♪」

香澄「唯さん……」

唯「私も客席でたくさん応援するから、みんな頑張ってね!」

一同「はい、ありがとうございます!」

唯「それじゃあ、またあとでねー♪」

 そう言い残し、唯はフロアへと戻っていく。

 その姿を見送った香澄達の中に、確かな熱が込み上げていた。

香澄「唯さん……ありがとうございますっ!」

たえ「ふふふっ……ねえみんな、少し早いけど、久々にあれ、みんなでやらない?」

沙綾「お、いいね♪ あれ、結構気合入るよね」

りみ「うん♪ じゃあ、円陣組んでやろう♪」

有咲「別にいいけど、何もここでやらなくても……」

香澄「ううん、私も今やりたいって思ってたんだ♪ じゃあ行くよ、せーのっ」

一同「ポピパ! ピポパ! ポピパパ! ピポパ!! いぇーい!!」

 5人の声が綺麗に重なり、それぞれの笑顔が咲き乱れる。

 香澄達の想いは一つになり、ステージでは、一組のバンドの演奏が始められる。


 少女達の待ちに待った宴が、いよいよ始まった瞬間であった――。

―――
――


  • ライブ開始前 Roselia-

【Roselia 控室】

 ステージの演奏が微かに聴こえる控室に、Roseliaの姿はあった。

 言葉を介する事もなく、静かに来るべき時を待つ彼女達の熱意と集中力は、既に極限まで研ぎ澄まされていた。


歌声「~~♪ ――――っっ♪」


紗夜「始まりましたね……皆さん、次で出番ですけど、調子はどうですか?」

燐子「はい……いつでも行けます……」

あこ「あこも準備オッケーです! こう……闇の波動があこの体中を駆け巡るっていうか、そんな感じです!」

リサ「あはははっ、あこは相変わらずだなぁ……うん、アタシもいつでも行けるよ」

友希那「私も、問題ないわ」

リサ「ああ、そういえばさっき、梓さんに似た人見かけたんだ」

あこ「え? ほんとに?」

リサ「うん、前に会った時みたいにスーツ姿じゃなくて私服姿だったけど……あの人、今日来てくれたのかなって思ってさ」

燐子「梓さん……確か……ご両親とジャズバンドをやってるって言ってましたね……」

リサ「うん、もしそうだったら、今日、本当の音楽のプロの人に私達の演奏を見て貰うってことだよねぇ……いやー、なんか緊張しちゃうよね」

紗夜「今井さん、それは違うと思うわ」

友希那「ええ、紗夜の言う通りよ、たとえ今日誰が来ようが、私達は私達の最高の演奏をするだけ……そうでしょう?」

リサ「そうだね……ごめん。友希那や紗夜の言う通りだね」

 今更何を言っているのかと、自身の言葉を反省するリサだった。


友希那「みんな、お喋りはそのぐらいにしましょう……そろそろだわ」

スタッフ「お待たせしました、Roseliaの皆さん、スタンバイをお願いします!」

友希那「みんな、行くわよ…………!!」

一同「はい!!」

 友希那の声に合わせ、リサ達は相次いで立ち上がり、ステージへと移動を開始する。


 そして、彼女達のライブの幕が今、大きく開かれる――!



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最終更新:2019年12月15日 08:22