#7.放課後と輝きの五重奏



 ――そこは、様々な輝きで満ち溢れていた。

 夢が、今が、笑顔が、情熱が……そして、純粋に音楽を愛する輝きがそこにあった。

 5つの輝きはやがて1つの大きな星となり……ステージを……そして、“彼女達”を照らしだす。

 “彼女達”の歌が会場中に響き、そこから生まれた新たな輝きは全てを照らし、想いが一つになる……。


 ステージの上で歌うみんなの姿に、私は何度となく感謝の声を上げる。

 みんな……本当にありがとう――!

―――
――

 ライブが始まってから既に3組のバンドによる演奏が終了した。

 演奏が終わってからの僅かな時間、ステージ上にはスタッフの手により、急ピッチで次のバンドの演奏準備が進められる。

 そして数分後、本日4組目となるバンドが登場した。

 今日の主役の一組であり、数多の観客が注目するバンド。


 ――青き薔薇を掲げし少女達、Roseliaである。


  • 4組目 Roselia-

【ステージ】

声「あ……! 見て、Roseliaよ!」

声「きゃああああっっ!! 友希那ぁーーーーっっ!!」

 Roseliaの登場にフロアは一気に沸き、飛ぶような歓声が会場中から飛び交う。

 その歓声に動じる気配を微塵も見せず、スポットライトを浴びる友希那の声により、Roseliaのライブは幕を開けた。


友希那「皆さん、今日は来てくれてありがとうございます、Roseliaです」

友希那「まずは一曲目、聴いて下さい……『BLACK SHOUT』……!」


 ――ワァァァァァァーーーー!!!!

 ――Roselia!! Roselia!!!


 Roseliaの演奏を皮切りにフロアは大熱狂に包まれる。

 そんな様子を後方で見ていた唯達5人もまた、会場の熱気に取り込まれていた。


梓「始まった……これが、友希那さん達の歌……!」

律「うおぉ……! 見ろよこの盛り上がり、さっきのバンドとは比べ物にならねえ熱狂……さすがRoselia、評判以上のバンドだ……!」

澪「ああ……歌だけじゃなく、演奏技術も恐ろしく高い……メンバー全員、この日の為に何度も練習を重ねてるのがよく分かるよ……!」

唯「うんっ! すごく……すごく……か、かっこいい……!!」

紬「梓ちゃん……前で食い入るように見てるわ、私達も行きましょう!」

梓(凄い……! これが本当に高校生の演奏なの……? 昔の私達とは比較にならない程のテクニックと歌唱力……これがRoselia……!! 友希那さん達の、目指す音楽……!!)

 友希那の歌だけでなく、その後ろで一心不乱に奏でられるリサ、あこ、紗夜、燐子の音は確実に会場中の心を支配していく。

 その歌の力は梓の心すらも強く揺さぶり、梓が心の奥底に抱えていた自身の音楽に対する迷いすら、容易く氷解させる程の力を秘めていた。


梓「…………!! 友希那……さん……!!」

 心臓の鼓動が抑えられない……! 鳥肌が止まらない……! 音が、声が、暴力的なまでに耳を通じ、心に入り込んでいく……!

 Roseliaの放つ強く、鋭く、眩しい輝きが、梓の音楽家としての魂を燃え上がらせて行く……!

梓「ロゼリア…………私も……負けない……っっ!」

梓「唯先輩!! 私も燃えてきました!! あの人達に……ここにいる全ての人に、私達の素晴らしさを……私達の輝きを、見せつけてやりましょう!!」

 ステージ上で熱唱する少女達を見つつ、音楽家としての矜持を掲げ、梓は高らかに言い放つ。


唯「あずにゃん…………っ うん! やるよ、私も……燃えてきたっ!」

梓(早く……この胸に灯った火が冷めない内に……私も……早く……ステージに上がりたい……!)

 1曲目が終わり、続いて始められる2曲目の演奏。これもまた、フロアにいる全員のテンションを最高潮に高めていく。

 途中でメンバー紹介を挟みつつ続けられる演奏は、観客の中に更なる興奮と感動を呼び――。

 その興奮に身を委ねながら出番を待つ梓の心もまた、完全に会場と一つになっていた。

 そして……。

友希那「ありがとうございました……! 引き続き、ガールズバンドパーティーをお楽しみ下さい!」

リサ・紗夜・あこ・燐子「皆さん、ありがとうございました!!」

 ――ワーワーワー!!

 ――Roseliaありがとうーーー! 昼の部も期待してるからねーーー!!!


声「いやぁ~、来て良かった! やっぱRoselia凄いわ!」

声「うんうん、確か『FUTURE WORLD FES.』にも参加決まったんでしょ、私、絶対に行く!」

声「くううぅぅぅぅっっ! 私、まだ鳥肌が止まらないよ~~!!」

澪「凄いな……お客さん、演奏が終わってからもまだあんなに興奮してる……」

律「ああ……ほんと、ここまでやるなんてすげーよ……いやマジで」

紬「私も燃えてきたわ! ねえ次は! 次は誰の演奏なの?」

唯「ちょっと待ってて……あ、次、パスパレだよ! りっちゃん! 前で見ようっ♪」

律「ああ……分かった……って唯! 引っ張るなーっ!」

―――
――

  • 5組目 Pastel*Palettes-

彩「皆さんどうも! Pastel*Palettesでーす!」

彩「いや~、Roseliaの皆さん、凄い演奏でしたよねー。でも私達も負けないから、みんなよろしくねっ♪」

彩「じゃあ一曲目、行きますっ♪ 聴いて下さい、『しゅわりん☆どり~みん』!」



 先程とは一変し、和やかな演奏がフロアを賑わせる。

 色とりどりの照明に照らされ、楽しく歌う彩達に合わせ、会場の至る所で合いの手や掛け声が上がっていた。

 それはまさに、夢見る少女達のライブ……。

 彼女達のマネージャーである律も初めて見る、バンドとしてのパスパレが紡ぐ、大きな夢の輝きだった。


唯「彩ちゃ~ん♪ こっち向いて~!」

澪「パスパレのライブ、私も初めて見たけど、なかなかやるじゃないか」

紬「ええ……みんな、凄く楽しそう♪」

梓「演奏も凄く上手ですね、律先輩の教えが活きてるって感じがしますっ」

律「ははははっ、だろだろ~♪」

彩「ありがとうございましたー! それではここで、メンバーの紹介をさせていただきます♪」

 1曲目も終わり、彩のMCによるメンバー紹介が行われる。

 固くなく、それでいて砕けすぎでもない空気で場を和ませながら、彩はメンバー紹介を進めていった。

彩「えー、それでは最後は私、まんまるお山に彩を! 丸山彩でーす♪」

声「あははっ! 彩ちゃんかわいい~♪」

唯「ん~~、彩ちゃん今日もステキ……見れて良かったぁ~♪」

澪「ふふっ……唯も凄く楽しんでるな」

律「ああ……っ……まったく、会場中がこんだけ盛り上がってるのを見ると、ほんと、マネージャー冥利に尽きるよなぁ……っ……」

 涙腺が熱を帯びる感覚を覚え、口元を優しく綻ばせながら律は目元のサングラスをかけ直す。

 2曲目、3曲目と歌は続けられ、その度に歓声が響き渡る。

 会場全体が一つになってPastel*Palettesを応援するその光景は、誰よりも彼女達を近くで見守っていた律の胸に、熱いものを込み上がらせていた。


律(みんな、頑張れ……! 頑張れ……っっ!)

 決して声には出さず、それでも律は懸命にエールを送る。

 そのエールが届いたのか、Pastel*Palettesの演奏は、大盛り上がりの内に次のバンドへと繋がれていった。

 そして朝の部は終了し、より盛大な盛り上がりを見せる昼の部へと差し掛かるのであった……。

―――
――

 昼の部に入り、幾つかのバンドの演奏が終了したその時、突如として賑やかなマーチがフロア中に鳴り響く。

 その音色に合わせるようにして、彼女達はステージ上へと躍り出た。

 黄金色の照明に包まれる彼女達の笑顔に向け、会場中から黄色い声が飛び交う。


 音楽で世界を笑顔にする少女達の舞台が今、始まる――。


  • 10組目 ハロー、ハッピーワールド!-

こころ「みんなーーっ! 今日は楽しんでもらえてるかしら?」

声「こころちゃーん! 今日も可愛いよーっ!」

こころ「うふふっ、みんなありがとうー♪ それじゃあさっそく行くわよ♪ 『えがおのオーケストラっ!』ぜひ聴いてねっ♪」


律「こりゃまた……パスパレとは違うベクトルの賑やかさだなぁ」

澪「ああ……あの子達の演奏、私は好きだな」

律「なんつーか、昔の澪の歌を思い出すな、あの子達の感じ……」

菫「あっ、お姉ちゃん、良かった、やっと見つかりました」

紬「菫ちゃん! こころちゃん達よ、行きましょっ♪ 最前列で見ましょっ♪」

菫「はいっ♪」

 菫の手を引き、紬はステージの前へと移動する。

 先週、惜しくも見られなかったこころの歌を漏らさず聴き届けるため、紬と菫の2人は一心不乱にハロハピの奏でる音と歌に酔いしれていた。

 そんな時、唯達と離れた場所でライブを見ていた憂達も合流し、律達は一箇所に固まってライブを見届けていた。


憂「お姉ちゃーん♪」

唯「あ、憂! こっちこっち!」

純「やっと合流できた……ほんと、凄い賑わいですね……」

直「ええ……最初から見てましたけど、どの演者の方々も素晴らしい演奏ですっ!」

さわ子「いいわねぇ、これこそライブのノリってやつね……♪ 私もまだまだノるわよぉ~~♪」

和「私、あまりこういうライブには来ないんだけど……でも、楽しくて良い雰囲気ね……私は結構好きよ」

澪「和もさわ子先生達もみんな、楽しんでくれてるみたいだな」

律「ああ、特にトラブルもなく進行してるみたいだし、プログラムにも問題はなさそうだな……」

こころ「――つないだー手を つないでこー! 大きな輪になってー♪」

律「……はははっ、すっげー面白れぇ! 見てて飽きないなぁー、あの子達♪」

澪「ははははっ、私も……っ……まさかライブでこんなに大笑いできる日が来るなんて……お、思わなかったよ……っ」

こころ「みんな行くわよー♪ ハッピー! ラッキー! スマイル! いぇ~い♪」

 ――イェーーーイ!!!


紬「いぇ~~い♪ ふふふふっ、楽しいわぁ……こころちゃん達の歌、こんなに楽しいだなんて……♪」

菫「私、子供の頃を思い出しました……こころ様の前では、誰もが童心に戻れるんですね……本当に素晴らしい方です、こころ様……」

紬「私達の出番ももうすぐね……菫ちゃん、最後まで応援よろしくね♪」

菫「はいっ、もちろんです!」


 ――はははっ! すごーい! かわいい~♪

 ――ミッシェルも面白ーい! もっとやってーっ♪

 ――きゃあああっっ! 薫様!! ステキー!!


 ハロハピの演奏に会場中が笑顔で埋め尽くされる。

 それは、彼女達の持つ笑顔の輝きがもたらした奇跡に他ならなかった。

 まるで遊園地で繰り広げられるパレードのように煌めくステージは、フロアにいる全ての人を魅了して離さず、多くの人の心に幼い頃の気持ちを抱かせる。

 その瞬間、ハロハピのライブを見た誰しもが童心に帰り、彼女達の歌に聴き入っていた。


 そして程なく、夢の一時は終わりを告げ、次の演者へと引き継がれていくのであった。

―――
――

 軽快なギターの音色と共に、突如として彼女達は姿を見せた。

 その音色を聴いた全ての人の注目がステージへと注がれ、そのタイミングに合わせ、ステージの照明が真っ赤に染め上げられる。

 夕日のように紅い照明が彼女達を照らし出し、燃えるような興奮の熱が観客の心に広がり始める。

 まさにそれは、いつの日も変わらず人々を照らし続ける太陽の輝き……。


 ――Afterglow。

 不変の黄昏を抱く少女達の絶唱が今、始まる。


  • 12組目 Afterglow-

蘭「みんな、今日は来てくれてありがとう……Afterglow、行くよ!」

澪「来た……Afterglowだ! 律、前で見よう!」

律「ああ! 私も気になってたんだ、最前列で見ようぜ!」

 律の手を引き、澪はステージの前へと移動する。

 ステージの上で悠然と佇む少女達を前に、澪の胸は大きく高鳴りだしていた。




蘭「みんなに見て欲しい……私達の本気を、私達の輝きを……!」

蘭「行くよ、『That Is How I Roll!』!!」


 ――!!! ーーーー♪♪

 重厚なサウンドに合わせ、蘭の力強い歌声が会場中に響き渡る。

 何者にも縛られず、何時の日も変わらずにいる事を誓うように蘭は歌い続け、その歌に呼応するように、会場中からは大きな歓声が飛んでいた。


 ――すっげええええ!! Afterglow! いいぞーー!!

 ――みんなかっこいいよ!! もっと燃えさせてぇぇぇぇ!!!


澪「蘭ちゃん……凄いな、これが、Afterglow……!」

律「ははははっ! すげー! 昔を思い出すなぁ、この感じ……♪」

澪「ああ……!」

律「澪が気に入るのも分かるよ、こんなロックな歌をここまで歌えるなんて、Afterglow、確かに良いバンドだわ」

澪「うん……私も思い出したよ……律と一緒に音楽をやり始めた頃の楽しさを……」

律「へへへっ、やっぱロックはこうでなくっちゃな……! うおおおーーーー!!! Afterglow!! いいぞーーーっっ!!!」

澪「うんっっ!! Afterglow!! さいっっこうだあああああーーー!!!」

 2人はあらん限りの声を上げ、会場の熱狂に乗じていた。

 自分達の『今』を歌う少女達の演奏は確実に澪と律、双方に心を鷲掴み、その耳を虜にしていく。

 『今』を生きるその輝きこそが彼女達の全てであり、その歌は、自分達の存在を世界に突き付ける、まさに決意表明とも言える歌だった。

 そのロックに溢れる歌詞は絶えず2人の心を強く揺さぶり続け、歳を取って落ち着いた筈の熱が胸に蘇りつつあるのを、この時、2人は確かに感じていた――。

梓「……凄い……! どのバンドも、昔の私達以上ですね!」

さわ子「うんうん♪ みんなも負けてられないわねー♪ 唯ちゃん、頑張りなさいよー?」

唯「うん♪ ふふふっ……私も、早くステージに上がりたいなぁ♪」

 会場中の興奮を一身に受け、Afterglowの演奏は続けられた。

 そして最後の曲も見事に演奏しきり、Afterglowのライブは盛況の内に幕を閉じたのであった。


 ――♪ ――――♪

蘭「みんな、今日はありがとう、ライブはまだまだ続くから、最後まで楽しんでいって!」

モカ・ひまり・つぐみ・巴「ありがとうございました!!!」

 ――ワアアアアアアアアァァーーー!!

 ――みんな良かったよー!! 次のライブも楽しみにしてるねーー!!

 ――Afterglow! Afterglow!! Afterglow!!!

 ライブが終わってからもその声援は止む事無く、ステージは次のバンドへと引き継がれていく。

 そして、主役である5組のバンド、その最後の主役である少女達の演奏が開始されるのであった……。

―――
――

  • 13組目 Poppin'Party-

声「次は? 次はどのバンド?」

声「えっと……あ! Poppin'Partyだって!」

唯「Poppin'Party……香澄ちゃん達だ……!」

 フロアに期待の声が上がり、その声に応じるようにしてPoppin'Partyは姿を現した。

 周囲の声を聞いた唯は急いでステージのすぐ側まで向かい、香澄達の姿をその眼に焼き付けるように見つめ続けている。

 そして、会場中の注目がステージ上に集まりだし、香澄の大きく、一際元気な声がフロア全体に響き渡った。


香澄「……すうぅぅ……みんなーー!! 盛り上がってますかーー!!」

声「香澄ーー!! 待ってたよーー!!」

唯「香澄ちゃーーん!!!」


香澄「今日は来てくれてありがとう! 私達……」

香澄・有咲・りみ・たえ・沙綾「Poppin'Partyです!!」

 全員が揃った声に合わせ、会場中から再度声援が飛び交う。

 そして、香澄のMCにより、ライブは進行する。


香澄「今日は、どのバンドもすっごくかっこ良くて、楽しくって……キラキラドキドキしてて……もう、聴いてる私達もずっとノリノリでした!」

香澄「私達も負けないように歌うから、みんなも着いてきて!」

香澄「それでは早速ですが聴いて下さい、『ときめきエクスペリエンス!』!」


 ~~♪ ――――♪ 

香澄「――祈る空に 弧を描く流星が ハピネスとミラクルを乗せて “はじまり”を告げている……!」


 香澄達の歌声は、瞬く間に会場中の心を取り込んでいった。

 純粋に音楽を愛する少女達のその輝きが、ときめきが聴く者全ての胸を打ち、心を解き放っていく。

 それは、最前列で歌を聴いている唯も同じであり、フロアにいる誰よりも唯は、香澄の歌声に聴き入っていた。


唯「香澄ちゃん……あんなに楽しそうに歌ってる……」

梓「あの子、唯先輩に似てますね……」

唯「あずにゃん……」

梓「ボーカルのあの子、本当に歌が大好きなんだっていうのがよく分かります……楽しそうに、迷いなく一生懸命に歌うあの姿……私が大好きな唯先輩の歌い方にそっくりです♪」

唯「ふふふっ……うんっ♪ あずにゃん、ありがとう……♪」

 時に楽しく、時に切なく、様々な感情を込め、一心に香澄達は歌い続ける。

 途中でメンバー紹介を挟み、2曲、3曲と歌が続く中、香澄達のライブは更なる盛り上がりを見せていく。


香澄「次でこの時間最後の演奏です、精一杯歌うのでぜひ聴いて下さい……『キラキラだとか夢だとか ~Sing Girls~』!!」


 会場が大いに熱を帯びる中、香澄達の歌が始まる。

 歌に乗り、コールや声援が相次ぎ、会場全体が活気づいていくのを、香澄達の歌を聴く全員が感じ取っていた。

香澄「――キラキラだとか 夢だとか 希望だとかドキドキだとかで この世界は まわり続けている――!」

声「ポピパーーー!! いいよーー!! もっとやってえええええ!!!」

声「感動だよぉー、もう私……っっ涙出てきた……っ!!」


憂「すごいな……あんなに泣いてる人もいて……ステージのみんな……本当に凄い……!」

純「私達も昔はあのぐらい元気だったのになー。あーー、高校生の頃に戻りたいーー!!」

直「あはははっ、でも純先輩、さっきのバンドの時、全力で前行って叫んでましたよね?」

菫「ふふっ、ええ、最前列でノリノリだったの、私も見てましたよ」

純「もーいいじゃん! 今日ぐらいはさー! みんなも盛り上がってこーよー!」

和「ふふっ……本当にみんな、凄く楽しそう……」

さわ子「私達の頃に比べたらまだまだだけど、あははっ……今の子達もなかなかやるじゃない♪」

さわ子「……さてさて……唯ちゃん達もそろそろかしらね?」

 そんな話がされる一方、さわ子はフロアの片隅へと視線を飛ばす。

 その目線の先では、まりなと放課後ティータイムによる最後の打ち合わせが行われていた。


律「いやー、あぶねーあぶねー。唯に合わせてノってたらまりなとの打ち合わせすっかり忘れてたわ」

唯「あははは、ごめんごめん、香澄ちゃん達の演奏、本当に楽しくってさ♪」

澪「二人とも、気持ちはわかるけど、次が私達の出番なんだからしっかりやらないと……」

律「ああ、悪かった悪かった……あ、もう変装解いてもいいよな?……これでよしっと」

 言いながら律はサングラスを外し、髪を掻き上げて普段の髪型に戻す。

 それから間もなく、まりなの元で演奏前の最終確認が始められるのであった。

まりな「みんな揃ったね……じゃあ、最後に確認するね」

律「ああ、頼む」

まりな「今歌ってる香澄ちゃんたちの演奏が終わって、フロアが暗転したらみんなは客席からステージに上がってくれる?」

まりな「みんなの楽器ももうセッティングしてあるから、香澄ちゃん達がステージを降りたらすぐに準備するね」

唯「うん、分かったよ」

まりな「みんなの演奏、私も楽しみにしてるから、精一杯やっちゃって♪」

律「ああ、任せとけ。よっし、じゃあライブ前に、最後にみんなで円陣でも組むか!」

紬「わぁ、いいわね! みんな、やりましょう!」

澪「ああ……あまり大きな声だと周りに気づかれるかも知れないから、こっそりとな」

梓「ええ……ほら唯先輩、行きますよ」

唯「うんっ!」

 律の言葉に5人は小さく円陣を組み、その右手を合わせ、声を上げる。

律「放課後ティータイム……いくぞ!」

一同「おーっ!」



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最終更新:2019年12月15日 08:25