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 『音を楽しむ』という、音楽に対するアプローチ。

 それは『Roseliaに全てを賭け、目標に向かい突き進んでいく』という、彼女達が結成当時に掲げた誓いとはかけ離れた感覚であり。数多の音楽家が胸に抱く、音楽に対する向き合い方の一つでもあった。

 情熱や信念だけではない、『楽しむ』という感情。それこそが、何よりも夢や理想に向かう為の原動力となる。

 そしてその感情は、共有する人の数に比例し、何倍にも膨らんでいく。

 物事に対し、『楽しむ』という事の素晴らしさと大切さを、今この時2人は、梓達の演奏を通して思い出していた――。

紗夜「……私が音楽を始めた理由は……そもそもが妹の日菜に対する強い対抗意識からでした……だから、音楽に対する楽しさを感じたことなんて、Roseliaに加わるまではほとんどありませんでした……」

友希那「……私もよ……お父さんの夢が破れた時から、私が音楽をやる理由は、お父さんが成し遂げられなかった夢を叶えることに変わったから……それ以来、音楽を楽しんでやるなんて事、あまり考えなくなっていた……」

紗夜「思い出しました…………この胸の高鳴り……これが、『音を楽しむ』という事なのね……」

友希那「『音を楽しむ』……演者だけでなく、観客と演者が一つになる事で生まれる感情……これを私達の演奏に活かすことができれば、私達はまた一歩、前へ進めるかも知れない……」

友希那「梓さん、ありがとうございます……貴女達のおかげで……私達はまた一歩、目標へ近付く事が出来たと思います……!」


リサ「ほーら二人とも! 今は難しい事は考えずに梓さん達の音楽を楽しもうよ!! ほら、腕上げて! ねっ♪」

友希那「ふふっ……ええ……紗夜も、今はこの感覚に身を委ねてみるのも良いと思うわ」

紗夜「はい……少し照れますが……やってみますっ」

 ぎこちなく、辿々しく……2人は腕を上げ、身体を揺らし、自身の感情そのままに身を委ねていた……。

 今はまだ完全じゃない……それでも、普段はクールに徹しているあの2人が音楽に乗っている……。その姿が、リサの心を打つ。


リサ「も~、二人とも照れちゃってしょうがないなぁ……でもアタシ、嬉しいよ……。 梓さんありがとう!!! 私達、今すっごく楽しいよーーーー!!!」

あこ「いぇ~~~~い♪ 放課後ティータイム!! いっけ~~~♪」

燐子「ふふふっ……♪ 私も楽しいよ……あこちゃん……♪」


唯「――関西人ならやっぱり お好み焼き&ごはんっ♪ 私前世は 関西人っ♪」

律・澪・紬・梓「――どないやねん!」

律(あー、やべ……ヘトヘトなのに……超楽しい……!)

澪(ああ………ライブって、みんなで演奏するのって……こんなに楽しいものだったんだよな……!)

紬(懐かしい……熱くて、胸がドキドキして……今にも叫びだしそう……!!)

梓(終わって欲しくない……いつまでも、いつまでも、こうしてみんなで演奏がしていたい……!)

唯(私、今すっごく楽しいよ……またこうして、みんなで演奏できて良かった……本当に良かった……!)


唯「――1・2・3・4・GO・HA・N! みんなも一緒に!!」

あこ「1・2・3・4・ご・は・ん! あははははっっ!! すっごいおもしろ~い♪」

リサ「うんうん! 1・2・3・4・ご・は・ん!! ほら、友希那と紗夜も!」

友希那「……い、1・2・3・4・ご・は……ぅ、さすがにそれはちょっと……」

紗夜「わ、私もです……っ」

燐子「うふふっ……照れてる友希那さんと氷川さん……可愛いな……♪」

 和やかな場の空気に乗るという気恥ずかしさから、二人の顔が赤く染められる。……しかし、不思議と悪い気はなしかった。

 今はまだ、完全に理解できたわけでは無かったが……それでも、絶えず脈打つ心臓の音だけはそれを理解していた。


 ――その胸を打つ鼓動は、2人が確かに、放課後の歌を心から楽しんでいるということの証でもあったのだから。


唯「いぇええええええい!! みんな、あっりがと~~~~♪」

 ――ワアアアアァァァァーーーー!!!!

 HTT! HTT! HTT!!!!!

 放課後ティータイム!! さいっこーーだぜえええ!!!


 そして、笑いに包まれた4曲目の演奏が終わり、放課後の、最後の曲が奏でられようとしていた。

唯「みんなが楽しんでっ……くれて私達もすっごく嬉しいよ!! でも……んっ……ごめんね、次で最後の歌になっちゃいました!」

 ――ええええええ!!!

 ――そんな~~~~!!

 ――いやだっ! もっと聴かせてよ!! 放課後ー!


唯「ごめんっね……でも、私たちも最後まで全力で歌いきるから……げほっ、みんな゙、よろしくね゙ーーっっ!」


 ――ワアアアアァァァーーーッッッ!!!!

律(……唯も、そろそろ限界か……!)

澪(唯……!)

紬(唯ちゃん……)

梓(唯先輩……)

唯(ごめんねみんな……でも、最後までやらせて……! この歌だけは……!)

 ここまでMCを含め、長時間声を張り上げ続けて来た唯の声に微かな変化が生じていた。

 しかし、それでも声を上げることをやめることなく、唯は声を上げ、ギターを掻き鳴らす。


唯「――っそれじゃあみんな、聴いて下さい……大切なものは、いつもみんなのすぐ側に……『U&I』!!」

  • 5曲目 U&I-


 僅かに声を枯らしながら、唯の最後の歌声が響き渡る。

 酸欠で目元がふらつき、気を抜くと倒れてしまいそうになるのを懸命に堪えつつ、唯は心のままに歌を歌い続ける。


 その姿を見る香澄達の眼には、それぞれ光るものが込み上げてきていた――。


香澄「……っっ……唯さん……っっ……ゆいさん……!!」

有咲「……っ……すげえな……唯さん……」

たえ「うん……あんなに歌って……もう疲れてヘトヘトな筈なのに……それでも、凄く楽しそうに歌ってる……」

りみ「……っ…うん……っ……みんな、すごくて……かっこよくて……うち、泣けてきちゃったよぉ……っ」

沙綾「明るくて、前向きで、暖かくて優しい歌……唯さんの想いが伝わってくる歌だね……」

香澄「…………唯さんっ…………がんばれ……がんばれ……っ…!」

 優しく紡がれる唯の歌……。

 それは、自分の大切な物全てに送られる愛の歌。

 自分の大事なもの。いつも傍にいてくれる大切な存在。……けど、それが当たり前になっていると気付かない。

 そんな大切な事に気付かせてくれる歌だった。

唯「――まずはキミに つたえなくちゃ―――「ありがとう」を!」

 ――♪ ~~~♪

声「すごい……いい歌だね」

声「うん……あはははっ……なんだか私、泣けてきちゃった……!」

声「楽しくって、切なくて……ああもう、よくわかんないけどいい! この感じ、すっごくいい!!」


純「っっ……っっ……わ、私、もう涙が止まらないよぉぉ……!」

直「純先輩……」

菫「っ……っっ……ああもう、私も……泣けてきちゃいました……っ」

憂「……お姉ちゃん……っっ……うぅ………ぉ……おねえちゃぁん……っっ!……っ」

和「憂……」

憂「和ちゃん……私……今凄く嬉しい………お姉ちゃん、あんなに輝いてる……!」

憂「お姉ちゃんの歌声が、色んな人の心に届いてるのが分かる……! お姉ちゃん! ……私、あなたの妹で良かった……! ほんとうに良かった……っ!」


 唯の歌声に、会場中の思いが一つになる。

 ある者はサイリウムを、またある者は携帯の画面を付け、横に振り続けている。

 その光景は、ライブを見る何人かの人の眼に、ある情景を思い描かせていた――。

香澄(……えっ?)

 ふと、香澄の視界が一瞬暗転し、別の景色が浮かび上がる。

 それは涙で目の前が滲んだせいか、唯達の演奏が魅せる幻なのか分からないが……香澄の眼は、自分が今までいたライブハウスとは違う風景を描き出していた。


香澄(ここは……?)

 そこは見知らぬ音楽室。

 目の前には、紺色のブレザーを着た、香澄と同年代ぐらいの5人の女の子達がそれぞれ楽器を手に、楽しく歌っている様子が見える。

 先頭で、学生服姿の女の子が赤いギターを弾き鳴らしつつ、陽気に歌い続けている。

 女の子の襟元で青いタイが僅かに揺れ、その女の子は香澄に微笑み、優しく手を差し伸ばしながら言う。


女の子「――私達のライブに来てくれてありがとう♪ 今日はたくさん楽しんでってね♪」

香澄「………うんっ……!」

 女の子の声に大きく頷き、涙で濡れた目元を拭う香澄。

 やがて視界が戻り、上を見ると、懸命に歌い続ける放課後の姿がしっかりと見えていた。


香澄「唯……さん……そっか…っっ……そうだったんだ……!」

香澄(さっきのはきっと、唯さん達だったんだね……私達と変わらない……音楽が、歌が大好きな……キラキラ、ドキドキしてる……唯さん達だったんだね……!)

香澄「……!! 唯さん……がんばれーーーーー!」

 会場の声援に負けじと香澄は声を張り上げる。

 その頬を伝う涙はもう止まっており、輝きに満ちた笑顔で香澄は声援を送り続ける。

香澄(泣いてなんかいられない……! 今は、この人達の輝きを見ていたい……! 誰よりも、何よりも近い場所で、唯さん達の放課後を見ていたい……!)

 香澄だけでなく、多くの人が歓声を上げ、放課後の演奏に心を沸かせ続けていた。

 そして……。


唯「――思いよ―――届け――――」 

 ~~~♪ ―――♪ ―――…………♪

 最後のフレーズを歌い切り、放課後の演奏が今、終わりを告げた……。

 程なくして照明が暗転し、暗闇が会場を包み込んでいく。

 演奏の余韻が、会場から送られる歓声が全員の耳の中に響き、感傷が5人の胸中で渦を巻いていた。


律(終わっちまったな…………)

澪(ああ…………)

紬(楽しかった……でも、もうおしまい……なのね)

 終わってしまったという寂しさが胸を打ち、涙が溢れそうになる。

 ――その時だった。

 ――ル! ――ール!

梓(……え?)

 ――コール!! ンコール!!


唯(まさか…………)

 ――アンコール!! ――アンコール!!


唯「みん……な……!」

 ――まだ終わらないでーーっっ! 放課後ーーー!!

 ――最後に一曲! お願いーーーっっ!!

 暗闇の中、止むことなく続くアンコール。

 その想いは声となり、意思となり、願いとなり、絶えず唯達に投げ掛けられる。

 会場中の誰もが願う『終わってほしくない』、『もっと放課後の歌を聴いていたい』という希望。

 まさにそれは、放課後の最後の復活を望む、期待の声だった――!


 ―――アンコール!! ――アンコール!!!!

唯「みんな………っ!」

律「マジかよ……はははっ! こんな事って!」

 演奏に集中していたこともあり、アンコールが振られるなんて全員が予想すらしていなかった。

 驚きとともに興奮が再度全員の胸に蘇り、身体中を締め付ける疲労を払拭していく。

 その時、大慌てでまりながステージの脇から唯達に向け、声を上げていた。





まりな「はぁ……! はぁ……! お、お願い! みんな……! みんなの期待に、応えてあげて!」

唯「まりな……ちゃん」

まりな「私も見たいんだ……最後にもう一度……私達の思い出を……放課後を……! 会場中に届けてあげて!」

唯「でも、時間が……」

まりな「大丈夫! この後一度休憩を挟むから! だからお願い! みんなキツいのは分かってる……でも……お願いっ!」

 頭を下げ、まりなは懇請する。

 観客、スタッフ、演者、会場にいる全ての想いを一身に受け、まりなはひたすらに頼み込んでいた。


澪「でも……今日やる5曲で手一杯で、アンコール用の歌なんて考えてる余裕は……」

梓「唯先輩の声も限界ですし……どうすれば……!」

紬「急いで何か、別の歌を考えないと!」

律「くそ、どうする……! どうする……!」

唯「……あの、さ……みんな!!」

唯「それなんだけど、……で……みんなでやるってのは……どうかな?」

 唯は立ち上がり、皆にそっと提案を耳打ちする。

 その声を聞いた4人全員の顔に笑顔がこぼれ、皆が皆、唯の案を受け入れていた。

律「はははっ……唯、それ、ナイスアイデアじゃん!」

澪「それなら唯の負担も減らせるし、会場のみんなも乗れるな!」

梓「ええ、教科書にも載るぐらい有名な曲ですから、皆さんもきっと知ってると思います!」

紬「さすがね唯ちゃん……私ももう一度、この曲を演奏したかったの……!」

唯「じゃあ、お客さんが待ってるから……最後にやろう! みんなっ!」

一同「――うんっ!!」


 唯の言葉に頷き、再度楽器を構える5人。

 割れんばかりの観客の声に応え、照明がステージを照らし出す。


 そして、正真正銘、彼女達の、最後の放課後が幕を開けた――!


唯「みんな……本当にありがとう……! アンコールまでもらえて、私達……すっごく、すっごく嬉しいです!!」

唯「……最後の歌は、きっと知ってる人も多いと思います」

唯「よかったらみなさんも一緒に歌って下さい……私達のはじまりの歌、『翼をください』!!」

  • アンコール 翼をください-


律「……ワンツースリーフォー!」

 ~~♪ ―――♪ ―――♪

紬「――いま 私の願い事が かなうならば――翼がほしい――」

唯「――この背中に 鳥のように 白い翼つけてくださーいー」

律「――この大空に 翼を広げ 飛んでゆきたいよ――♪」

紬「――悲しみのない 自由な空へ♪」

梓「――翼はためかせ ゆきたい――」

 唯だけに負担をかけぬよう、1フレーズ毎にパートを変え、その歌はバトンの様に5人の間を駆け巡っていく。

 ある時は観客の方へとマイクが向けられ、その歌はステージの上だけでなく、会場全てを巻き込んだ合唱となり、一層の熱を帯びていった。

 ――その歌は言わば、放課後の原点とも呼べる歌だった。

 13年前、高校に入学し、律が軽音部を立ち上げ、澪と紬が入部をし、3人で奏でたこの曲を聴いたことで唯は入部を決め、そこから全てが始まった。


 春にギターを買い、夏に合宿をし、やがて顧問が来て、初めての学園祭を迎え、クリスマスを幼馴染とみんなで過ごした。

 2年の春には後輩ができ、その年の2度目の学園祭で桜高軽音部は、放課後ティータイムへと名前が変わった。

 3年になり、マスコットが増え、修学旅行に行き、結婚式にも参加した。

 夏フェス、夏期講習、マラソン大会と、色んな行事に参加した。……そして最後の文化祭、ステージで歌を歌い、夕日に照らされた部室でたくさん泣いた。

 そして受験を迎え、大学に合格し、みんなでロンドンに行った。

 卒業式、後輩にみんなで作った歌を届けた。その時に見た後輩の涙は、今まで見たどの涙より輝いていた……。


 その年の春、大学へ入学し、沢山の素晴らしい人達に出会うことが出来た。

 それと同じ頃、妹とその友達が軽音部に入部をしてくれた。それから新しく二人の後輩も入部をしてくれて、わかばガールズが結成された――。

 それは、僅か4年に満たない、人生でほんの僅かな期間だったけど、これだけの思い出が軽音部にはあった。


 その全ての思い出を歌に乗せ、放課後の少女達は声を合わせて歌い続ける。

 過去から今へ、そして未来へと羽ばたく翼のように、いつまでもいつまでも、ここにいるみんなと歩いていけるように。


 そんな誓いを立てた少女達の歌声が一斉に響き渡る。


 世代を、時を、時空すらも超え、想いが一つになり、全てが眩く輝いていく――!

 ――この大空に 翼をひろげ 飛んで行きたいよ―――


 ――悲しみのない 自由な空へ 翼はためかせ―――


 ――行ーきーたーい―――――――――。


HTT一同「みんな……………あ………ありがとう…………っっ! ありがとうーーーーーー!!!」

 ――ワアァァァァアアアァァ!!!

 ――HTT! HTT! HTT!

 ――みんな最高だったよ! ありがとう!! ステキな歌をありがとうーーーー!!!!


 何度目か分からないほどの歓声と拍手が会場中にこだまする。

 喝采を浴び、少女達は笑顔を浮かべつつ、肩を支え合い、会場を後にする。


 その表情は、10年前のあの頃と同じように、大きな輝きで満ち溢れていた――。

最終章.放課後と輝きの絆


 ――高校生になってから、私の毎日には音楽があった。

 それは、これから先も変わる事なく続いていく……。

 私が今、私のままでいられるのは、きっと、音楽があるからだと思うんだ。


 あの日、何かがしたいと思っていた私に応えてくれた音楽が。

 キラキラ、ドキドキしたいと思っていた私を導いてくれた音楽が。

 あの頃の私を、みんなに会わせてくれた音楽が。

 今の私を、あの人達に会わせてくれた音楽が。


 私を、みんなと繋いでくれた音楽が私は……大好き―――!!

―――
――
―

【控室】

 静まり返った控室に、5人の姿はあった。

 疲労で全身は気だるく、腕が重い。酸欠で息は上がり、指先の皮は捲れ、僅かに血が滲んでいた。

 皆、まさに満身創痍の様相だったが……それでも、かつてのあの日の様に、並んで座り込む5人の顔は、充実感と満足感で満ち溢れていた。


唯「……やりきったね……私達」

律「……ああ……みんな、よくやったよ……澪もそう思うだろ……?」

澪「ああ…………本当に……」

紬「澪ちゃん……」

澪「うん、良かったよな……本当に……良かったよな……」

紬「うんっ……とっても良かった……」

梓「やっぱり私、皆さんと演奏できて……幸せです」

律「そのセリフ、前にも言ってたな……ははは、懐かしいや……」

唯「うん……そうだねー……」

 互いに手をつなぎ、過去の記憶が頭の中に蘇るのを自覚しつつ、唯達はしばしの安らぎに身を委ねていた。

 そしてしばらく、その静寂を破るように、控室の扉が大きく開かれる。

 ――ガチャッ!

声「皆さん! お疲れさまでした!!」

律「あははは……こりゃまた元気なお客さんの登場だ」


香澄「唯さんっっ! 唯さん……! 私、すっごく感動しました……皆さんのライブ……最高でした!!」

ひまり「っっ! 澪さん……すっごくかっこ良くて!! もう私、涙が止まらなくって……! っぅうぅ!」

麻弥「もーーー!! 律さん! ジブン、こんなドッキリ聞いてませんよぉ! でも……本当に凄いライブでした! ジブン、もう感動しっぱなしでした……!!」 

美咲「あははは、みんな泣きすぎ……。……紬さん、お疲れ様です。本当に、素晴らしい演奏だったと思います」

友希那「梓さん……お疲れさまでした、私も心の底から楽しめた……素晴らしいライブでした」

 香澄達はなだれ込むように控室へ入り、相次いで放課後のライブに対する称賛と労いの言葉が紡がれる。

 皆の言葉を、満更でもないといった様子で唯達は聞き入れ、言葉を返していた。


唯「香澄ちゃん……みんな……えへへへ♪」

澪「みんなの演奏も素晴らしかったよ……蘭ちゃん、ひまりちゃん……招待してくれて本当にありがとう……」

律「みんな、あたしが見てるって知らなくても、あんだけすげー演奏できてたんだもんな……もうみんな、十分立派なアイドルだよ……」

紬「こころちゃん、美咲ちゃん……私の方こそお礼を言わせて……みんなのステージ、本当に楽しかったわ」

梓「友希那さん……こちらこそありがとうございました。Roseliaの演奏のおかげで、私、迷ってた気持ちも綺麗に吹き飛びました」

 その言葉を聞く香澄達もまた笑顔で返し、和気藹々とした空気が控室に流れていく。

 そして……。


まりな「ほらみんなー、ライブはまだまだ終わってないよ! 次の演奏もあるから、ステージに行こう、ね♪」

香澄「……はい! 唯さん……私達のライブ、もっと盛り上げていきますから……最後まで、楽しんでいって下さい!」

蘭「あたし達の歌はまだまだ続きます、澪さんも、最後まで見ていて下さい……!」

彩「ふふふっ……私達も、さっき以上にステキなステージにしてみせますね♪」

友希那「ええ、皆さんのライブにも負けない……最高の演奏をお届けします」

こころ「ふふふっ♪ それじゃあみんな~、いっくわよ~♪」

 そして、観客の待つステージへと少女達は歩き出す。

 その背を追うようにして、唯達もまた、ゆっくりと足を進ませていた。

―――
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最終更新:2019年12月15日 08:29