ジョセフ「ん? 嬢ちゃんか! ちょーど良い所に来たぜッ!」
ジョセフ「このオッサンをなんとか……」
紬「ジ、ジョジョさん! おお落ち着いて聞いてくださいね!
私、『タイムスリップ』したんだけど『タイムスリップ』じゃあないの!」
紬「あ、あと、さわ子先生がさわ子先生じゃなくて、さわちゃんなの! 高校生なの!」
ジョセフ「ハァ? 嬢ちゃんが落ち着け、意味が分からねーぞ。さわちゃんって誰だよ」
さわ子「私です!(イケメンキター!)」
堀込先生「琴吹、この人と知り合いか?」
唯「……ムギちゃんの彼氏さん!?」
澪「彼氏!?」
梓「(か、彼氏持ちなんですかッ!?)」ガァーン
さわ子「(一瞬で私の恋終わった……)」
紬「ち、違うわ、えーと……」
堀込先生「やっぱり、不審者か」
ジョセフ「ノォーッ!」
ジョセフ「(なんか上手いことごまかせ嬢ちゃん!
俺達は今、学校に閉じ込められてる。
敷地内から外に出られないようにバリアが張られてるんだ)」ヒソヒソ
紬「(ええ!?)」ヒソヒソ
ジョセフ「(これは『スタンド使い』の仕業だ。
そしてこの『タイムスリップ』もソイツと無関係じゃあない)」ヒソヒソ
ジョセフ「(俺はこれからその『スタンド使い』を探してとっちめる!
つまり、ここでグダグダしてらんねーのよ)」ヒソヒソ
紬「(わ、分かったわ)」ヒソヒソ
紬「先生、待ってください。その人は怪しい人でも彼氏でもありません!」
律「じゃあ、いったい誰なんだッ!」
紬「実は私の新しい執事なのです!」バァーーーン!
唯「なあんだ、ムギちゃんの執事さんかあ」
律「へー、執事さんだったのか」
澪「全然、そう見えないのは気のせいか?」
梓「執事なんて、今の日本に実在するんですね……」
さわ子「(私の恋終わってなかった!)」
堀込先生「し、執事?」
ジョセフ「そ、そーゆーことなのよ! そーそー!」
ジョセフ「琴吹お嬢さんの執事を務めさせていただいてます?」
ジョセフ「ジョセフ・ジョースターだ。ジョジョって呼んでくれ」
唯「はいジョジョちゃん!」
梓「(ジョジョ……)」
紬「ですから、見逃していただけませんか? 先生」
堀込先生「そういうのは困るんだがな……」
堀込先生「次からはちゃんと報告してくれよ」
紬「はい、申し訳ありません」
ジョセフ「(執事ってなんだオメー!? もっとマシな嘘の付き方あんだろよォ!
お金持ちのお嬢さんでもあるまいしよー!)」ヒソヒソ
紬「(私、お金持ちなの)」ヒソヒソ
ジョセフ「(あ、そうなの……)」ヒソヒソ
唯「ねぇ、ジョジョさ~ん?」
ジョセフ「あ~ん?」
唯「私達、これからお昼なんですけど、よければ一緒に食べませんか?」
唯「ジョジョさんとお話してみたいなぁ」
澪「おい唯……」ボソボソ
唯「いいじゃん、ご飯は大勢で食べた方が美味しいんだよ」
澪「それはそうだけど……」
唯「ムギちゃんも良いよね?」
紬「そうね……」チラッ
ジョセフ「……そういえば朝から何も食ってねえなァ」
ジョセフ「ここはその話に乗ったぜ!」
ジョセフ「(気になることもいくつか出来たしな……)」
――――――
――――
――
さわ子「どうぞ、ジョジョさん。この卵焼きは私の自信作なんですよ」
ジョセフ「言うじゃねーか、俺は味にうるさいぜ」
さわ子「あーん、してください」ニコッ
ジョセフ「あ、あ~?」
梓「……さわ子先輩、キャラ違いませんか?」
律「言うな、察してやれ」
唯「私も憂にあーん……って、食べさせて貰う時あるよ!」
澪「多分、あの『あーん』には色んな意味があるんだろうな……」
ジョセフ「モグ」
さわ子「……」ドキドキ
ジョセフ「ンめー! ンまいじゃねーの! グー」
さわ子「良かった! やっぱり、女性は料理が出来ませんとね!」
ジョセフ「こりゃあモグモグ、いけるぜッモグモグ」
さわ子「(YES! YES! YES!)」グッ
ジョセフ「そうだ、嬢ちゃん。聞きたいことあったんだ」
紬「はい?」
ジョセフ「おめーよォ、さっき言ってたよなァ?
『タイムスリップ』だけど『タイムスリップ』じゃあねえとかよ」
ジョセフ「ありゃあ、どういう意味だ?」
紬「上手く説明出来るかはちょっと自信無いんですけど……」
紬「今、私達のいるこの2008年は私達の過ごした2008年じゃないと思うんです」
ジョセフ「その理由を聞かせてくれ」
紬「話の流れは大体同じなんです。私達が二年生になって、新歓ライブして、梓ちゃんが軽音部に入部して……」
紬「ただ、一つだけ違う部分が」
ジョセフ「違う?」
紬「さわちゃん……
山中さわ子さんが、
ここでは高校二年生で私達と同じ軽音部の部員ということになってるんですけど」
紬「私達が元いた2010年では、山中さわ子さんは山中さわ子『先生』として、
軽音部の顧問として、いたはずなんです」
ジョセフ「そいつは妙ちきりんな話だなァ。
単に2008年まで時間が巻き戻ったんなら、高校生まで戻るはずは無い」
ジョセフ「加えて、過去には無かったはずの出来事(2008年時点で山中さわ子が平沢唯達と同級生で且つ、同じ軽音部員)
が起こっている、か」
律「さわちゃんの猫被り~!」
さわ子「か、被ってないっての!」
ジョセフ「(……コイツが『スタンド使い』じゃあねーだろーなァ?)
紬「あ、あともう一つ……」
ジョセフ「……? シーッ!」
紬「……!?」
キィィィィィィィィィィン……
ジョセフ「あ、あの『音』だッ!」
紬「ま、また……!」
――――――
――――
――
講堂
ジョセフ「……」
紬「……」
ジョセフ 紬「ハッ! ここはッ!?」
紬「講堂……?」
ジョセフ「なんだァーッ? いつの間にか、場所が変わってやがるぜッ!
しかも、俺達以外に誰も見当たらねーッ!」
紬「ま、まただわッ! さっきも、いきなり『音』が聞こえて『タイムスリップ』を!」
ジョセフ「『スタンド』だッ! 嬢ちゃんは俺の後ろに隠れてなッ!」
ジョセフ「(やはり、狙いはこの俺か?
どこで恨み買ったかは知らねーが、キッチリ落とし前はつけてやるぜッ!)」
ドドドドドドドドドド……
ジョセフ「!」
?「イレギュラーが二人……」ドドドドドドドドドド……
ジョセフ「てめーが、『スタンド』か?」
?「校内全体の夢移行を確認、肉体の夢移行を確認、記憶の夢移行……二名失敗」
ジョセフ「……はっ? なあに、トンチンカンなことほざいてんだァ?」
?「……能力を使用時に対象範囲を校内に集中させたのが失敗だったんですかね?
ちょうどその時、この二人は校内の外にいた。だから影響が中途半端に……」
?「それにしても部外者が紛れ込んでいたなんて。余計な手間を」
ジョセフ「……もしもお~~~し! 俺の声聞こえてるゥ?
お耳が少しばかり遠いんとちゃうのォ~~~?」
紬「!?」
キィィィィィィィィィィン……
紬「きゃあッ!?」バタッ
ジョセフ「じ、嬢ちゃんッ! てめー!」
?「イレギュラーの数量を 2 → 1 へ」
?「次は貴方ですよ……ですが貴方だけはこの世界では不要な存在、いつ『覚める』とも限らない」
?「ですから……」
ドリーム・ドランカー「この『ドリーム・ドランカー』がここで殺ってやるDEATH!」ドウゥゥゥウン!
ジョセフ「ぎゃあニィーーーッ!?」
『ドリーム・ドランカー』
破壊力:E スピード:D 射程距離:B 持続力:A 精密動作性:A 成長性:?
ジョセフ「じ、冗談じゃねーッ! 殺されてたまっかよッ!」
ジョセフ「(クソッ、俺も『スタンド』さえ使えりゃあ……うん?)」
ジョセフ「(アイツが見えるってことは『スタンド』出せるんじゃあないの俺?)」
ドリーム・ドランカー「DEATH!!!」
ジョセフ「『隠者の紫』ッ!」
ジョセフ「……」
ドリーム・ドランカー「……」
ジョセフ「やっぱり、出やしねえーーーッ! なんでだァーーーッ!?」
ドリーム・ドランカー「アハハハハハハァ! むっだぁん! むっだぁん!」
ジョセフ「お、おちょくりやがってェ~!?」
ジョセフ「(なんでだ!? なんで『スタンド』は見えているのに『スタンド』が出せねえ!?)」
ジョセフ「こうなったら……体力比べといこうぜ、スタンドヤロー!」
ドリーム・ドランカー「あぁ?」
ジョセフ「逃げるんだよオォォォーーーーーーッ!」ダダッ!
ジョセフ「(このままじゃあ、一方的に殺されるッ!
今は逃げてもなんとしても、奴の『謎』を解いてやるぜッ!)」
ドリーム・ドランカー「あれあれ? 紬お嬢様をほっぽりだしたままで良いんですか? ジョセフ執事」
紬「……」
ジョセフ「しまったッ!? ひ、卑怯だぞてめーッ!」
ドリーム・ドランカー「馬鹿じゃないの」
ジョセフ「だったらよォ……お嬢様を背負って逃げるだけだぜーッ!」ダダッ!
ジョセフ「(あ、意外と重いな嬢ちゃん……)」
ドリーム・ドランカー「アハハハハハハ……」
学校の廊下
ジョセフ「遠くだッ! 今は出来るだけ遠くへッ!」ダダッ!
キィィィィィィィィィィン……
ジョセフ「ぐああああッ!? あ、頭が……ッ!」
――――――
――――
――
講堂
ジョセフ「うう……なッ!?」
ドリーム・ドランカー「おかえりなさいDEATH」
ドリーム・ドランカー「体力比べをするのではなかったんですか?」
ジョセフ「ノォーッ!? 俺は確かに廊下に出たッ!」
ジョセフ「なのになんで、『ここ』に戻っていやがるんだァ!?」
ジョセフ「(まるで『世界 (ザ・ワールド)』でも食らったみてーな違和感だッ!)」
ジョセフ「(そしてその違和感は決まって『音』を聞いてから現れるッ!)」
ジョセフ「(人を若返らせたり、時間を戻したり、瞬間移動させたり、なんでもありかよ)」
ジョセフ「まるで夢でも見てるよーな気分だぜ……」
ドリーム・ドランカー「……!」
ドリーム・ドランカー「やはり貴方は危険です。『均衡』が崩れる」
ドリーム・ドランカー「ここで死んでください」
キィィィィィィィィィィン……
ジョセフ「うあああああッ!?」
ジョセフ「(ず、頭痛がッ! インフルエンザで死にそーなくらいにくるピーィ時に、
全力でヘッドバンキングしたみてーに頭が痛えーッ!?)」
ジョセフ「(し、死ぬ……これはマジでやばいんじゃあないの……)」
ドリーム・ドランカー「さよなら、ジョセフ・ジョースター」
キィィィィィィィィィィン……
読者諸君、君達はきっとこう考えているだろう。
あのジョセフ・ジョースターがこのまま死ぬはずがない。終わるはずがない。
きっと、自分達の想像もつかないようなトリックと策でこの絶体絶命な状況を乗り切るだろうと。
言っておこう、そんなことはない!
彼には何の対抗手段も残されてはいない。
当然だ。相手の能力の全貌も掴めず、『スタンド』すら使えず、出来ることは逃げるだけ。
だが、その逃げることすら敵は許さなかった。こうしてジョジョは死んでいくのである!
ジョセフ「(……ここまで老いぼれながら生きといてよォ。
こんな死に方って、あんまりなんじゃねーのよ……?)」
その時、ジョジョは『波紋』の呼吸をした。無意識に体がそうさせたのだ。
ここで散ろうと、最後まで戦い抗う意志の表れなのか?
しかしその『波紋』がジョジョに思わぬ幸運をもたらした!
それは……
ジョセフ「ゲホォッ!」
ジョセフ「う……あ……」フラァァ……バタアァァァアンンッッッ!
バチッ! バチバチィッ!
キィ……ィ……ィィ…………
ジョセフ「(……? 今、一瞬音が途切れたよーな……)」
ガチャリ
梓「な、何の音ですか……? 大きな音がしましたけど……」
ジョセフ「く、来るな……ここは危ねえ!」
梓「ジョジョさん!? ムギ先輩!? どうしたんですか!」ダダッ!
ジョセフ「お、おい、来るなッ!」クルッ
シィーン……
ジョセフ「……『スタンド』がいない?」
梓「ど、どうして二人とも倒れてるんですか? 怪我でも……」
ジョセフ「……いや、なんでもねー。ちょいと足滑らしただけよ。
それより、嬢ちゃんの方を見てくれ」
梓「は、はい。ムギ先輩!」
紬「ん……梓ちゃん?」
最終更新:2013年01月30日 23:39