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【ひきこもり8日目】


昨晩、早めに床に就いたせいか、私は五時前に目を覚ましてしまっていた。
一瞬、二度寝をしようかとも思ったけれど、
丁度『戦争と平和』の最終巻に差し掛かった事を思い出した私は、
読書のために布団の上で寝息を立てている唯と澪を起こさないよう居間に向かった。
夜明け前でまだ薄暗くはあったけれど、読書が出来ないほどではない。
それにすぐに陽も上るだろう。
私は居間の扇風機の前に陣取って、『戦争と平和』の読書に取り掛かった。

『戦争と平和』は壮大な物語だ。
登場人物も膨大だし、歴史と関係して重厚な展開が繰り広げられている。
壮大なだけに読み応えもあるし、それだけに胸に強く残り、
読み終えようとしている現在、私の中には深い満足感が生まれ始めている。
……のはよいのだけれど、この物語を読書感想文に選んだのは失敗だったかもしれない。
物語が壮大過ぎて、原稿用紙五枚以内に感想を纏められる自信が一切無い。
いくら何でも無理な気がするわ……。
これは適当に他の本を選び直した方がいいかもしれない……。

そう考えながら私が首を捻っていた時だった。


「う、うわわわわわわわっ!」


不意に澪の動揺した叫び声が上がった。
早朝だからまだよかったものの、
度々そんな大声を出されては、この家に誰かが居る事が気付かれてしまう。
私は『戦争と平和』を扇風機の横に置いて、澪の声がする自室の襖を開けた。


「ちょっと澪、そんな大声を出されたら……」


「ののの和……、ゆ、ゆゆゆ唯が!
唯がああああああ……!」


私の言葉が終わるより先に、澪が私の腕にしがみ付いて来ていた。
大きな胸を力いっぱい押し付けて、その表情は既に半泣きで蒼白だ。
よっぽど恐ろしい事があったのだろうか。
いえ……、そういえば澪は今、「唯が!」って言っていたわね……。
唯に何かが……?
私は眼鏡の位置を直して、澪が指差す唯の方に視線を向けてみる。

唯は静かに寝息を立てていた。
昨晩は九時頃に床に就いたというのに、唯らしくぐっすりとよく寝ている。
一見しただけでは唯の様子に変わりはなく思える。
けれど、澪は全身を震わせながら呻くように呟いていた。


「ち、ちち血が……。
唯から血が……出てるんだよ、和……」


「出血……って何処から?
見た所、唯は落ち着いてるみたいだし、外傷は無さそうに見えるけれど」


「……花園から」


「えっ? 何処?」


「唯の……秘密の花園から……」


「何処よ、それ……」


私が若干呆れて訊ねると、澪は唯の下腹部の辺りを指差した。
そこでようやく私は気付いた。
澪の言う通り、唯の下腹部の女性器付近から出血している事に。
唯に何が起こったのか?
それを考える事こそ私がするべきだったのだろうけれど、
何より先に私は澪の顔を見ながら呟く事しか出来なかった。


「秘密の花園って、澪……」


「な、何がおかしいんだよ、和。
秘密の花園は秘密の花園だろ?
他にどんな呼び方があるんだよ……。
まさか、和……」


「普通に女性器って呼べばいいじゃないの。
秘密の花園よりはよっぽど一般的な呼び方だと思うわよ?
まあ、律の女性器の呼び方は絶対に違うと思うけれど」


「そ、そうだな……。
確かに律の秘密の花園の呼び方は……、あー……。
……って、そんな事はどうでもいいんだよ、和。
唯の奴、秘密の花園から血が出てるんだよ!
何があったのかは分からないんだけど、異常事態じゃないのか?
ひょっとしたら、痒かったから掻き過ぎて出血しちゃったとか……」


「いくら唯でもそれは無いわよ、澪。
出血するほど女性器を掻くなんて笑い話にもならないわ。
それに唯ったら布団に染みを作るくらい出血してるじゃない。
引っ掻き傷で出来た傷からだったら、ここまでの出血にはならないんじゃないかしら」


「だ……、だったら、何なんだよ、和。
それ以外にこんなに血が出る理由なんて……、あっ!」


小さな叫び声を上げた後、澪が急に私の腕から離れた。
何故か胸元を二の腕で隠しながら、上目遣いになって頬を赤く染める。


「まさか和……、遂に唯との本懐を遂げたんじゃ……?
眠っている私の横で愛し合う全裸の二人は、
手を重ね、肌を重ね、唇を重ね、秘密の花園を重ねる……。
燃え上がる二人の艶めく指はお互いの秘密の花園の奥に奥に進み、
お互いが少女であった証を、想いを遂げ合った証として突き破る……。
結果、唯の秘密の花園からは破瓜の血が……!」


「落ち着きなさい、澪。
処女膜が破れてもそんなに破瓜の血は出ないらしいわよ。
布団に染みを作るくらいの大量の破瓜の血なんて、幻想だって話を聞いた事があるわ。
大体、もし私と唯が本当に性交したとしても、
破瓜の血をそのままにしておくはずがないでしょ?」


「それは……そうなんだけど……。
でも、それじゃ、この唯の血は……」


「ちょっと待って、澪。
何か臭わない?」


「臭う……って、私達の汗の臭いじゃなくて血の臭いだよな?
そりゃ、血が出てるんだから、血の臭いくらいは……」


「違うわ、そうじゃないのよ、澪。
血の臭いは勿論するけど、その中に変な臭いが混じってると思わない?
血の臭いは血の臭いなんだけど、ただの血の臭いとは違うような……。
って、あっ……」


「ただの血の臭いとは違う血の臭い……?
……ああっ!」


二人で軽く叫んでから、私達は唯の女性器に視線を向ける。
この量の出血、ただの血の臭いとは異なる臭い、
今も変わらず呑気に寝息を立てている唯の様子……。
これだけの条件が揃えば、女性なら誰でもすぐ辿り着ける答えがある。
つまり……。


「経血ね……」


「生理になったのか、唯……」


私、澪の順で肩を落として呟く。
そうだ。完全に失念してしまっていたわ。
女性器からの出血なんて、経血と考えるのが基本中の基本なのに……。
どうして私達はこんなに遠回りをしてしまったのかしら……。
澪の勘違いのせい……と言いたい所だけれど、必ずしもそうとは言い切れない。

澪と二人で顔を見合わせてみる。
早朝だと言うのに、二人とも汗だくで、
集中しなければ経血の臭いにも気付けないほど汗を掻いていた。
今まで自覚こそしていなかったけれど、
このひきこもり生活でかなり消耗してしまっていたらしい。
私の両親がハワイから帰って来るまで約一週間。
私達は誰にも気付かれずにひきこもり続ける事が出来るのだろうか……。


「わあっ……、やっぱりあずにゃんって生えてなかったんだー……」


恐らくは自分が生理になったという事にも気付かず、唯は幸せそうな寝言を呟いていた。
その姿を見ながら、ひょっとすると、と私は思った。
ある意味、ひきこもりのプロである唯だ。
このくらいのひきこもり生活なんて、そんな唯には大した事では無いのかもしれない。




「ほら、次は唯が怖い話をする番だぞ」


「あ、もう私の番?
うーん……、何かあったかなあ……。
あ、一つあったあった。
怖い話と言うか、不思議な話なんだけど、その話をするね。

ねえねえ、いきなりだけど私と憂ってよく似てるでしょ?
皆からそう言われるし、私自身もそう思うんだけどね。
だって、憂が髪を下ろしたら本当に鏡の中の私とそっくりなんだもん。
もしかするとね、自分の顔を見てた時間より、
憂の顔を見てた時間の方が長いかもって思うんだ。
だって、そうでしょ?
自分の顔は鏡を見ないと見れないけど、
憂の顔は見ようと思ったらすぐに見れるもん。

それでね、不思議な話っていうのはね、私が小学四年生の時にあった事なんだ。
その日はね、日曜日で学校もお休みで、
和ちゃんも用事があるって言ってた日だったから、私は朝の十時過ぎまで寝てたんだよね。
お休みの日のお寝坊って気持ちいいもんねー。
それで私は着替えてから朝ごはんを食べようと思って階段を降りたんだ。
一階では憂が朝ごはんの用意をして待っててくれたんだけど、
お父さんとお母さんの姿は見えなかったんだよね。
まあ、お父さん達はお休みの日は二人でよくお出掛けしてるし、
今日もそうなんだろうなあ、って私は別に気にせずに食卓の椅子に座ったんだ。

「おはよう」って私が声を掛けたらね、
憂がちょっと笑ってから私の椅子の隣に座ったんだけど、何か変だな、って思ったんだ。
だって、憂は私が朝ごはんを食べてる時は台所に立って、
私がごはんを食べるのを嬉しそうに見てくれてる事が多かったんだもん。
私ね、今日の憂は甘えん坊さんなのかなー?
って思いながら目を向けたんだけど、憂がいつもと違うリボンをしてる事に気付いたんだ。
いつもしてる黄色いリボンじゃなくてね、青っぽい感じのリボン。
憂が青いリボンをする事なんて滅多に無いから、私、訊いたんだよ?
「今日のリボン、いつもと違うね、憂」って。

でもね、憂は何も言わないで、ニコニコしてるだけだったんだ。
私の顔をじっと見てね、何も言わずに楽しそうに……。
何だかよく分かんなかったんだけど、
今日はそういう気分の日なんだろうって思ったから、
私はしばらく憂の好きにさせてあげる事にしたんだよね。
たまには憂がのんびり出来る日があってもいいもんね。
その日は予定も無かったし、一緒にのんびりしようって思ったんだ。

朝ごはんを食べ終わってから二時間くらい経ったかな?
二人で何もせずにゆっくりのんびりテレビを観てたんだけど、
外で車が停まる音がしたと思ったら、家の玄関の扉が開いた音がしたんだ。
お父さん達が帰って来たのかも。
私はそう思ってソファから立ち上がろうとしたんだけど、
いきなり憂に私の腕を服の上から掴まれて、悲しそうな表情をされたの。
まるで『行かないで』って言ってるみたいな顔だったな……。

二人の時間が終わっちゃうのが嫌なのかな?
って思って、私は悲しそうな顔の憂に言ったんだ。
「大丈夫。お昼ごはん食べたら、二人で公園に遊びに行こうよ」って。
それでも憂は悲しそうな顔のままで、
私の腕から手のひらの方に自分の手を動かして、私の手をぎゅって握ったの。
その時ね、私は変な感じがしたんだ。
憂とは何度も手を繋いだ事があるよ。
お風呂だって一緒に入るし、同じ布団で寝る事も結構あるもん。
でもね、その時の憂の手はね……、憂の体温はね……。


「ごめんね、唯ー。
お留守番ありがと、お昼ごはんすぐに用意するからね」


急にお母さんの声が聞こえて、私ははっとしたんだ。
憂の手の事を考えてたら、いつの間にかお母さん達が家の中に帰って来てたんだ。


「おかえりなさい、お父さん、お母さ……」


そう言おうとしたんだけど、その言葉は途中で止まっちゃた。
私、その時、すっごくびっくりしてたと思う。
だって、玄関の方の扉から、お父さん達と一緒に憂が帰って来てたんだから。
私ね、何が何だか分かんなくなっちゃって、
胸をドキドキさせながら、今まで一緒に居たはずの憂が居る場所に目を向けたんだ。
その場所……、私の隣のソファにはね、誰も居なかったんだ。
さっきまで確かに憂が座ってたはずなのに、何処にも姿が見えないの。
あ、正確に言うと憂はお父さん達の後ろに居たんだけど、そういう意味じゃなくて……。
『さっきまで私と一緒に居たはずの憂』がいつの間にか居なくなっちゃってたんだよね。


でもね、お父さん達の後ろに居る黄色いリボンをした憂の姿を見てたら、
私、思い出した事と気付いた事があったんだ。
思い出した事はね、その日の前の日にお母さんから聞いた話の事。


『明日の朝はお父さんとお母さんと憂で買い物に行くから、ちょっとお留守番してて。
朝ごはんは用意しておくから、目が覚めたら食べておいてね』


私、すっかり忘れちゃってたんだよね、その日の前の日にお母さんにそう言われた事。
そうなんだよ、和ちゃん、澪ちゃん。
その日の朝は私しか居ないはずだったんだよ。
でも、私しか居ないはずなのに、何故か家の中には憂が居て、
別の憂がお父さんとお母さんと一緒に家に帰って来たって事なんだ。

これってどういう事なんだろう?
そのヒントかもしれないのが、その話を思い出した後で気付いた事なんだよね。
憂に手のひらを握られたって言ったでしょ?
私ね、その時の違和感の正体に気付いたんだ。
何が変なのかって言うとね、憂の体温が私と全く一緒だった事なんだ。
いくらそっくりって言っても、私と憂の体温は全然違うもん。
憂は私より体温が低いから、夏なんか触らせてもらうと気持ちいいんだよ。
でも、その時の憂の体温は私と完全に一緒だったの。
自分の手が自分の手に握られてるみたいに。

後、もう一つ。
その時は気付かなかったんだけど、ずっと後になって気付いた事があるんだ。
憂が青っぽいリボンね……、私がお父さんから貰った物だったの。
ずっと後になって私の部屋の中から見つけたから、間違いないよ。
私だってたまにはリボンくらいするもんね。
つまり、憂じゃなくて、私が貰ったリボンを、憂がしてたって事になるよね?
ねえ、和ちゃん、憂がそんな事をすると思う?

ううん、その日、私と一緒に居たのは憂じゃなかったんだと思う。
憂じゃなくて、私と同じ体温をしてて、一言も喋らなくて、
憂の黄色いリボンじゃなくて、青っぽい感じのリボンをしてる私にそっくりな子。
その子……、もしかしたら……。
まあ、今でも正体がはっきりとしてるわけじゃないんだけどねー。
これで私のお話は終わりだよ。
怖い話じゃなくて、不思議な話だったけど、聞いてくれてありがとね」


「ゆ……唯、それってドッペルゲンガーなんじゃ……。
よ、よく生きてたな……。
ほら、よく聞くだろ?
ドッペルゲンガーの姿を見た者は死んじゃうって……」


「もう澪ちゃん、折角ぼかしてたのにー。
こういう話は結末をぼかした方が怖くなるって憂が言ってたのにー……」


「いいえ、安心しなさい、唯、澪。
それはドッペルゲンガーと言うより、自己像幻視かもしれないわ。
たまに脳が混乱して起こる事があるらしいのよ。
不意に自分がもう一人居るような感覚を覚える事がね。
特に唯の場合、自分にそっくりな妹が身近に居たわけだから、
自分がもう一人や二人居てもおかしくないって脳が捉えてる可能性もあるわ。
他者と自己の不分化といった所かしら。
幼年期には意外とありがちな事よ」


「和ちゃーん……。
怪奇現象を真面目に分析されると、すっごく恥ずかしいよう……」





【ひきこもり9日目】


「もう我慢出来ないよ、和ちゃん……」


「駄目よ、唯……。
それ以上はいけないわ、我慢しなさい」


「無理だよ!
だって、こんな感覚を私に教えたのは和ちゃんなんだよ?
もう……本当にどうにかなりそうなんだよう……!」


「それは悪かったと思ってるわ、唯。
でも、仕方ないのよ。こうするしかないじゃないの。
あんた、自分の状態が分かってるの?
これ以上はいけないの、分かってるでしょ?」


「でも……、でもぉ……。
こんなの初めてで、私だってこんな感覚に戸惑っちゃってて、
こんな感覚を知っちゃったら、もう元の生活に戻れないよう……。
和ちゃん、責任取ってよう……」


「責任は勿論感じているわ。
けどね、唯、あんただって了承しての事だったじゃない。
その感覚はあんた自身でどうにか解決しなければいけないものなの。
だから、それ以上いけないわ」


「やだやだ!
もうこんなの耐えられないよ!
こんな切なさを感じるくらいだったら、パンツなんて……!」


「駄目よ、唯!
そのショーツを脱いだら……って、ああ……。
あんたって子は……」


「えへへ、脱いじゃった。
はー、やっぱり気持ちいい……。
裸で過ごすのに慣れちゃったら、もう服なんてくすぐったくて着れないよねー……」


「その感覚は理解出来るけれど、今あんた生理なんだから……。
ほら、経血が床に垂れちゃってるじゃないの……」


呆れ顔で私は床に垂れた唯の経血を雑巾で拭いた。
家では全裸で生活している私だ。
床に垂れた経血の処理は私なりに慣れているつもりだ。
唯は私のその姿を見て、少し申し訳なさそうに頭を掻いていた。

そもそもは唯が久々に穿くショーツをくすぐったいと言い出した事が発端だった。
この家に住む以上は私としても唯に全裸で居てほしかったのだけれど、
唯が生理になってしまった以上、唯にはショーツを穿いてもらうしかなかった。
勿論、生理用品のナプキンをちゃんと固定するためだ。
構造上、ナプキンは下着と共に装着するしかない。
それで唯にショーツを穿く事を渋々許可したのだけれど、
この一週間以上にも及ぶひきこもり全裸生活に唯は適応してしまったらしく、
衣服で肌が擦れる事をくすぐったがり、殊更に嫌がるようになってしまったのだ。
唯の気持ちはよく分かる。
私も長い夏休みを終えた後に衣服を着用すると、
くすぐったくて仕方が無い事は多々あったものね。
けれど、私だって生理の時にはちゃんと下着を穿いていたのだ。
こればかりは唯に耐えてもらうしかない。

私は小さく嘆息すると、腰に両手を当てながら唯に言った。
ちなみに丁度タイミングが悪かったらしく、唯の膣口からは経血がかなり垂れている。


「分かって、唯。
ショーツがくすぐったいのは私にもよく分かるわ。
でも、経血を垂らしっぱなしにするわけにはいかないでしょ?
太股に垂れると洗い流しにくいしね。
こればかりはお願いよ、唯。
ちゃんとショーツを穿いて、お願い」


「えー……、でもー……」


唯が嫌そうに目を逸らし、その場に座り込まった。
そうされると更に床が経血で汚れてしまう。
どうしたものかしら……、と私が首を捻っていると、
不意に澪が左手に持ちながら居間に踏み込んで来て言った。


「なあ、和、こんな物見つけたんだけど……」


「突然何よ、澪……って、あっ」


私は感嘆の声を上げてしまっていた。
澪の左手に持たれている物を見て、目から鱗が落ちる気分になったからだ。
そうね、これを使えば条件はクリア出来るわ。
澪が持って来たのは生理用品のタンポンだった。
私は基本的にナプキンを使うから、恐らく私のお母さんがたまに使っている物だろう。
何度か自宅で見た事があるしね。
しかも、澪も何度かタンポンを使った経験があるのか、
タンポン挿入補助具のアプリケーターも持って来てくれていた。

これは好都合ね。
そう思った私は座り込む唯の肩を優しく叩いて言った。


「朗報よ、唯。ショーツを穿く必要は無いわ。
代わりにこれを挿入なさい。
これを挿入すればショーツ無しで好きに動き回ってくれても構わないわよ」


「えっ、本当?
……って、何それ?」


「タンポンよ、生理用品のタンポン。
あんた、知らないの?」


「うん、それに挿入って何処に挿入するの?
ひょっとして私のアソコに……?」


「あんたもあんたで古い女性器の呼び方ね……。
まあ、そのままの名前で呼びそうな律よりはマシでしょうけれど。
とにかく、そうよ、唯。あんたのアソコ……、女性器に挿入するの。
タンポンはナプキンと同じく吸収力に優れた素材で出来ていて、
あんたの経血を存分に吸い取ってくれるから、安心して挿入なさい」


「うーん……、でも、痛くないの、それ?」


どうかしら? と私はつい首を捻ってしまった。
私もそうタンポンを挿入した経験があるわけではないものね。
タンポンを挿入するのは生理なのに激しい運動をする場合くらいだもの。
例えばマラソン大会とか、そういう時くらいかしら。
その時に痛みを感じた記憶はあまり無いけれど、体質的なものかもしれないしね……。
唯にも自身の肉体で経験してもらうしかなさそうね。

私は唯の頭に軽く手を置き直してから続ける。


「とにかく、あんたの選択肢は二つよ、唯。
ショーツを穿いてナプキンを着用するか、
それとも、タンポンの初挿入に挑戦してみるか。
どっちでも構わないから、あんたの好きな方を選びなさい」


「うーん……、パンツはくすぐったいからやだし……。
じゃあ、タンポンってやつでお願いします!」


「分かったわ。
それなら、ほら……」


私は澪からタンポンとアプリケーターを受け取り、唯に手渡す。
これで問題も解決ね、と安心していたら、唯が不思議そうな顔で首を傾げた。


「どうやって使うの?」


「ああ、ごめんなさい、唯。
確かに初めてじゃ分からないわよね。
だったら、澪に説明書を持って来てもらうから……。

って、無理ね。あんた説明書読めないものね。
分かったわ、私が説明してあげるからその通りに挿入なさい」


「えー……?
よく分かんないから、和ちゃんが挿入してよう……」


「わ、私がっ?
って、何となくあんたならそう言う気がしてたわ。
仕方ないわね……、今回だけ特別に私が挿入してあげる。
次からは自分で出来るようにしっかり覚えるのよ?」


「ほーい」


唯が普段通りのやる気があるのか無いのか分からない声を上げる。
瞬間、私は嫌な気配を感じて振り返ってみた。
振り返ってみた先では、予想通り澪が頬を赤く染めて私達を見つめていた。


「ああ、やっぱり唯と和はそういう仲なんだ……。
誤魔化してるけど、やっぱり二人は愛し合ってる幼馴染みなんだな。
だって、そうじゃないか……。
私だって、律とタンポンの挿れ合いなんてした事無いのに……。
羨ま……けしからん、けしからんな……」


普通、タンポンの挿入し合いはしないんじゃないかしら、
と思いつつも、この澪の反応もある意味予想通りだったから放置する事にした。
私は出来るだけ澪を気にしないようにしながら、タンポンの紐を引っ張って伸ばしてみる。
うん、これなら内部で切れる事はなさそうね。
頷きながら、次にアプリケーターの中にタンポンを入れて、唯に声を掛けた。


「じゃあ、唯、股間を広げてくれるかしら?
そうそう、膣口がしっかり私に見えるように太股を手で持って」


「こ、こう……?
私、身体固いから結構辛いよ、和ちゃん……」


「うわっ、М字開脚だ……!
そこまでやらせられるなんて、和達はどれだけ進んだ仲なんだ……!」


私が唯に脚を開かせると、澪がまた黄色い声を上げて頬を染めていた。
いい加減静かにしてくれないかしら、この荒淫なクラスメイト……。
いけないいけない、今は澪の事を忘れないと……。
私は左手で唯の大陰唇を開きながら、右手で唯の膣口にアプリケーターを当てる。


「いい、唯?
息を吐きながら力を抜くの。決して力を入れちゃ駄目よ。
奥まで挿入するわけじゃないから安心して私に身を任せなさい。
ほら、息を吐いて、唯」


「分かった!
ヒッヒッフー……、ヒッヒッフー……」


「それはラマーズ法ね……。
まあ、それで力が抜けるんなら別にいいわ。
じゃあ、タンポンを挿入するわよ、唯。

……どう?
アプリケーターの目安まで挿入したけれど、違和感があるなら言いなさい。
変な感覚があったら失敗なんだから、言ってもらわないとこっちも困るわ」


「う、うん、意外と痛くないよ、和ちゃん。
その位置で大丈夫だと思う……!」


「よしよし、いい子ね、唯。
じゃあ、アプリケーターを抜くから、最後に少しだけ膣に力を込めなさい。

……うん、そう、そうよ。
後は紐を膣口から垂れるように伸ばして……、
ほら、これでタンポンの挿入は終わりよ、よく頑張ったわね、唯」


「ありがとー、和ちゃん!
初めてなのに上手くいったよ!
和ちゃんってタンポン挿れるの上手なんだね、凄い凄い!」


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最終更新:2013年02月20日 22:39