ガラッ

たまこ「寒っ」

たまこ「すっかりまた商店街に人が少なくなっちゃったなぁ」

たまこ「う~ん……そうだ! また前みたいに何かパーっと盛り上げる企画を用意するといいかも!」

たまこ「となると何がいいかな?」

たまこ「時期的にもお化け屋敷は無理だし……」

たまこ「う~ん……? どうしよ」



律「今日は結構いい感じだったんじゃないか?」

澪「そうだな! 皆息が合ってた。ドラムが走らない律を見たのは久々だよ」

律「おぉ!? 何を~!」

澪「わっ、やめろよ~!」

梓「やっぱりスタジオでやると機材が高級だからか、音もいいですよね」

唯「そうだねぇ~。あずにゃんのギターなんかいつもよりキッと締まってたよ」

紬「そうね~。皆プロみたいだったわぁ~」

唯「武道館ライブも近い!」

梓「もう、すぐ調子に乗る……。ムギ先輩もあんまり唯先輩を褒めないで下さいよ」

唯「えぇ~! あずにゃん酷いよ~」

紬「うふふ」

律「お前らー! 足が遅いぞー! もう電車乗り遅れても知らないぞ?」

唯「あっ! 急げー」

梓「手を引っ張らないで下さい!」

唯「ふぅ~。間に合った!」

澪「別にあんなに急がなくても十分間に合ったのに」

唯「えっ!? そうなの?」

澪「ああ」

唯「てっきりもう出発する寸前かと思っちゃってたよ~」

律「唯はおっちょこちょいだな~」

澪「お前がはっきり言わなかったからだろ」

律「あれっ、梓と紬寝てないか?」

澪「……本当だ」

唯「んふふ~、二人共可愛い寝顔だな~」

律「……なんだか私も眠くなってきた」

唯「奇遇ですね! 私もです! りっちゃん隊長」

律「よし、一緒に寝るか!」

唯「そうだね! おやすみ~りっちゃん」

澪「おっ、おい……寝過ごしても知らないぞ」

律「くかー」

澪「早っ! 皆寝ちゃってるし……」

澪「……なんだか私も眠たくなってしまったな」

澪「ちょっとだけ……」



車掌「次は~うさぎ山~、うさぎ山~」

澪「……! 寝過ごした! おい! 皆起きろ!」

律「んん……?」

梓「ふわぁ~。あれっ」

紬「よく寝た~」

澪「乗り過ごしたぞ!」

律「えっ!? おい、唯起きろ~!」

唯「う~ん……憂ぃ~、後5分……」

律「おーいー!」

梓「ケーキあげませんよ」

唯「おはよう!」

律「おい」

律「次の電車まで30分くらいあるな……。澪お前起きてたんじゃなかったのか?」

澪「うるさい」

梓「にしても、うさぎ山なんて初めて来ました」

紬「私も~」

唯「あ、それじゃあちょっとここの辺りを見物しようよ!」

律「それいいな! ここでずっと待ち続けるのも暇だし」


梓「結構大きな商店街ですね」

律「だな! あんま人通りは少ないけど」

唯「だね~」グゥー

唯「あ、お腹なっちゃった」

紬「うふふ、唯ちゃん可愛い。あ、ならこの商店街で小腹を満たすのはどう?」

唯「あ、いいね!」

律「どっかに店がーっと……ん、あっちにたまやって店があるぞ」

梓「何のお店なんですかね」

律「餅……かな?」

澪「餅だな」

唯「お餅いいね! 食べたい!」

紬「あ、私も食べたいなぁ。お餅なんて久々だから」

唯「じゃあ行こー」



たまこ「う~ん……」

唯「こんにちはー」

たまこ「う~ん……。いや、あれもなぁ……」

唯「あれっ?」

澪「何だか凄い考え込んでるみたいだな」

律「すいませーん!!」

たまこ「あっ! ごっ、ごめんなさい! いらっしゃいませ」

律「餅買いたいんですけど、何かオススメはありますか?」

たまこ「あぁー、そうですね。今ならこの豆大福なんかが美味しいと思います!」

律「じゃあ、それ5個下さい」

たまこ「はーい、ありがとうございます」

唯「うわぁ~すっごいもちもち」

律「ここで食べてもいいですか?」

たまこ「あ、どうぞどうぞ~」

梓「唯先輩、ずっとお餅を突っついてるままだと食べられませんよ」

唯「あっ! そうだね!」

唯「じゃあ頂きます」パクッ

唯「……! うまい!」

紬「本当……。甘さも程よくて、しっとりした口当たり……」

律「本当に美味いな! 舌の肥えた紬が言うならさらに間違いない」

たまこ「えへへ、ありがとうございます!」

梓「本当に美味しいですね。こんなのどうやって作るんだろ」

たまこ「……あっ。もしかして皆さん高校生ですか?」

唯「そうでふー」

澪「口に物を入れながら喋るなよ」

律「どうして高校生だって分かったんだ?」

たまこ「皆さん制服着てるから」

律「あぁ、そりゃそっか」

澪「桜が丘高校の2年生です。こっちは後輩の」

唯「あずにゃん!」

梓「梓です!」

たまこ「そうなんだ! 私も高2だよ! 同い年だね~」

律「おっ、そうなのか!」

たまこ「さっきから皆が肩に担いでるのは……」

唯「あぁ~、楽器だよ! 私達軽音部だから」

たまこ「へぇ~! 凄いねぇ」

律「そういえば名前は何て言うんだ?」

たまこ「北白川たまこです!」

唯「へぇ~、たまこちゃんかぁ~! あっ、私は平沢唯って言うんだよ~」

律「律でーす」

澪「秋山澪です」

紬「琴吹紬と言います」

梓「中野梓です」

たまこ「そっかぁ~、皆よろしくね!」

澪「そういえばたまこはさっき何を唸ってたんだ?」

たまこ「あぁ~、それはねぇ」

たまこ「最近この商店街に活気が無くなってきちゃったから、こう何か盛り上がるイベントが無いかなーと思って」

唯「なるほど~」

たまこ「前の夏は皆でお化け屋敷をしたんだけどね?」

梓「あっ! それどこかで聞いたことあります! 確か本当に幽霊が出たとか……」

唯「ええっ!? 怖いよあずにゃん……」ギュッ

梓「もう、一々抱きついて来ないで下さい!」

たまこ「あぁ、でもそれはただの誤解だったんだよ!」

唯「そうなの?」

たまこ「うん。私の友達のかんなちゃんが仕組んでたり、偶然が重なったりしちゃって」

澪「凄いな……」

たまこ「でもそのお陰で、お化け屋敷は大盛況だし、商店街に来る人も増えたんだよね~」

たまこ「……まあ、今は季節のせいもあって人が少ないけど」

唯「……あ!」

律「うわっ、何だよ唯! いきなり大声を出すなよ」

唯「私達が商店街でライブをして盛り上げるってのはどうかな?」

たまこ「えっ!? いいの?」

唯「私達は全然いいよ! むしろやりたい!」

律「それはいいな」

澪「でも、そんな事勝手にやってもいいのか?」

たまこ「それはまだ分からないけど、今日商店街の集会があるから、それで提案してみようかな?」

律「おぉ!」

梓「あ、電車の時間大丈夫ですか?」

律「……あぁ! 後5分だぞ!」

澪「えぇ!?」

紬「残念、もうちょっとお話したかったんだけれど」

律「よし、じゃあまたな!」

たまこ「あ、はーい」

唯「……あ! たまこちゃんアドレス交換しよ?」

たまこ「そうだね! はい」ピロリロリーン

唯「出来た出来た」

律「おーい、唯行くぞー! 今度は本当に間に合わなくなるぞー!」

唯「あっ、じゃあごめん! もう帰るね」

たまこ「またね唯ちゃん」

唯「またねー」



長治「はい、それではうさぎ山商店街の会合を始めます! はい、うさぎぴょこぴょこ」

全員「うさぎ山~」

長治「今日も元気な」

全員「商店街!」

長治「では今日は、たまちゃんから提案があるそうです」

豆大「またか……」

たまこ「えっと、最近商店街の活気が少なくなってきたと思うんです!」

信彦「そうだねぇ」

文子「なんてったってこの寒さだものねぇ」

たまこ「実は今日、桜が丘高校の軽音部の人達がうちに来て、ライブを開いたらどうかって話になったんです」

富雄「ライブってことはバンド?」

たまこ「そう。それで商店街で後援して、さらに商店街を盛り上げられたらな~って」

かおる「素敵ね~! 私は賛成だわ」

長治「それでは、採決を取ります」

長治「ライブ計画に賛成の方は拍手!」

全員「」パチパチパチ

長治「では、全員賛成で可決~!」

文子「あら? 今回は大ちゃん反対しないのかい?」

豆大「別に浮ついた餅を作らないなら俺は反対はしねえ。どこぞのチャラチャラした餅屋とは違ってな?」

吾平「あぁん? そんなんだからお前ん所は時代に取り残されて行くんだ!」

豆大「餅屋は餅を作ってりゃいいんだよ! なーにがライスケーキ大路だ」

長治「まあまあ、二人共その辺で」

忠直「しかし、そうなるとその子達の高校に許可を取る必要があるのでは?」

長治「それなら心配に及ばんよ、私が取っておくから」

たまこ「わぁ~! ありがとうございます!」



たまこ「あっ、唯ちゃんにメールしとこ」ピッピッ

たまこ「ライブ出来るよっと……」

たまこ「送信!」




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最終更新:2013年02月25日 21:12