感想22-05

魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-

点数:10P 票数:5票 (2022-06-24) metalogiq




A-20■魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-■+2 SC H3 4209
個人的に2022年といえばこの作品。
笑いあり涙あり燃えあり、珠玉の短編エピソードを集めた宝石箱のようなファンディスク。
本編をプレイして少しでも気に入った人は全員やるべきだと思う。

特に、本編では掘り下げられなかったキャラクター“赤毛”に焦点を当てた「アリシャ・オラオンは死んだ」と、
本編で決して多くない出番の中ファンの心をがっちり掴んだ先輩三人組と特殊戦技兵という存在そのものについて掘り下げた「續・月軌道会戦 冥界宙域編」、
本編のどちらのエンディングでも成し得なかった壮大な勝利を勝ち取る最終エピソード「ちいさきものたちのゆめ」あたりの力強さといったらたまらない。
中でも個人的には「アリシャ・オラオンは死んだ」がお気に入り。

「アリシャ・オラオンは死んだ」は本編の 1/10 ほどの長さでありながら魔法少女消耗戦線のエッセンスがみっちり詰まっている。
女同士の軋轢と絆、カテドラルの男たちへの嫌悪、人類に対する諦観、徹底的に消費し尽くされる中での一筋の希望と、その希望すら摘み取られる絶望。

さらに当該エピソードの主人公、“赤毛”ことアリシャ・オラオンと今回立ち絵が新しく追加されたアモンディ・キバキが、二人とも非常に印象的なキャラクター。
単体でもそれぞれ相当魅力的なのだが、まさか関係性で魅せてくるとは思わなかった。
彼女たちは(少なくとも後半は)互いを想いあっているし、仲が良いと言って差し支えないだろう。
だが、決して慣れ合うような関係ではない。時々一緒に煙草を吸うだけの関係だ。
実際、彼女たちが言葉を交わしたシーンは3, 4回の「一緒に煙草を吸うシーン」のみ。しかしその会話の一言一言が重たく、甘く、独特の対比を孕んでいて癖になる。
「わたしは逆らわずに生き残ってきた」
「あたしは逆らって突っ張って生き残ってきたさ」
「どっちが生き残るかしら?」
「どっちも生き残ればいいな。たぶんどっちかは死ぬけどな」
「どっちも死ぬわ」

「……わたしとあなた、どっちが正しかったんだろ」
「死んでないんだから、どっちもまちがっちゃいなかったんだろうさ」
「どっちもまちがってたのかもね。こんなゴミだめにいるんだから」

正反対のことを言っているような、同じことを言っているような。
ここでの2人会話は他のエピソードでも生きてくるので一言たりとも見逃せない。

さらに、公式サイトでは紹介のないアリシャのG02としてのチームメイトでありルームメイト、アビゲイル・クラークと林万姫も個人的に大好きなキャラクター。

アビーことアビゲイル・クラークは故郷で行き場を失った少女たちも多いカテドラルでは珍しい、本物のお嬢様。
軍で栄達してきた名家の次女で、士官学校出身のエリート。特殊戦技兵にさえならなければ敬愛する兄や姉と同じく順当に出世していたのでしょうが、舞台はカテドラル。
覚悟していたものとはまったく別の地獄を味わうことに。さらに彼女は特殊戦技兵としては非常に弱く、作中に出てくる特殊戦技兵の中でも最弱クラス。
それだけ清楚な女の子ということではあるものの、この環境の異常さに声を上げても誰にも聞き入れてもらえず、戦闘能力の低さゆえに同僚からも蔑まれ、
しかしプライドの高さとカテドラルに来た経緯から簡単に折れることもできない彼女は滑稽で愛おしい。彼女が輪姦されるシーンはぜひとも見たかった。
ちなみに、別エピソード「續・月軌道会戦 冥界宙域編」では彼女の姉の名前が出てくる。

万姫はアビーと比べたらまだアリシャと境遇が近いが、それでも心理的に遠いことに変わりはない。
孤児院出身だという彼女は、それほど接点のないキバキからも「笑い女」と言われるほどいつも薄っぺらい笑みを浮かべていて、
それも悲惨な人生を送ってきた彼女の心の鎧。
別エピソードでは無防備な本心を少しだけ見せてくれたが、心の奥底では案外アリシャとアビーと良い関係でやっていきたかったのかな、なんて思ったりもする。
アリシャ曰く、適当な男に流されるときに「流され方がすばしっこい」らしいが、このシーンもぜひ見たかった。

また、立ち絵もセリフもなく地の文でしか存在しないモブ特殊戦技兵たちが謎の存在感を放っていたのも特筆すべき点。
特にモブキャラ人気投票1位の映画オタク エマはキャラデザが新規に作られ、ファンの反響が大きかったことも記憶に新しい。
エマは同じグループの堅物で規律正しい少女 韓との関係性も気になるところ。
個人的には女子校の王子様のような存在だという士官学校出身のエリート 菊蘭も気になる。

アビーと万姫のシーン含む追加エピソードを切実に求めたいし、モブたちももっと掘り下げてほしくなった。
魔法少女消耗戦線の世界観がまだまだ続いてほしいと願わざるを得ない最高のファンディスクだった。

1-61■魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-■+2 SC H2 1623
既存キャラが掘り下げられたミニエピソードを楽しむことができ、元々立ち絵がなかったり、
本編に深く関わるけれどそこに至る経緯が描かれていなかったキャラたちの、過酷な環境に適応していく流れが見れて良かったです。
あまりにも厳しい世界観のため、キャラの過去が出てくると、それに比例し陵辱も深まるわけで、
文章を進めるにつれて気分も重くなっていきます。
そういった気持ちを吹き飛ばすかのように、後半プレイできる「ちいさきものたちのゆめ」は前作の2パターンの終わり方と遜色のない、
人によってはそれ以上に満足感の得られるエピソードとなっており、キャラに対してそれまでの小話で感情移入させつつ、手を取り合い輪になる展開は、
不覚にも涙腺が緩んでしまいました。

その中でもキルケは特に感情を揺さぶられました。
明らかなヘイトキャラであり、事実行動一つ一つに悪意を持っているため擁護のしようがないのですが、
リゼットと対等になりたい、並んでいきたい、という気持ちは終始一貫しており、異常さが伝わるほど地の文でも現れておりました。
それが予想外の形ではありましたが、実現されて、本人がそれを自覚するのがなんとも堪りません。
憧れる対象であるリゼットもリゼットで、作中では話を聞かない己の信念を貫くなんの悩みもない異常者という印象でしたが、
そのリゼット自身もみのりを通じて不安を抱えている一人の人間であることがわかり、
それを考えると互いにもっと残雪のように目を向ければ違う結末になったのではないかと、
キルケがもっと早く手を取り合うこともできたのではないかと思うと胸が苦しいです。

前作で終わりだと思ってたのでここまで素晴らしい作品に仕上がっていて驚きと共に感謝の気持ちでいっぱいです。
今後もこういうダーティーでありつつも熱く、美しい作品に出会えたらと思います。

1-35■魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-■-- S- -- 303
本編をクリアした人向けのコメディ、シリアスどっちも詰め込んだ短編集。
作品全体のグランドフィナーレともいえるクーデタールートが熱い展開で特に面白かった。
本編おまけの過去編の続き「續・月軌道会戦 冥界宙域編」ではキルケの闇落ちの過程とやらかしを描いていて若キルケの見た目の可愛さを含めて楽しめた。

1-41■魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-■+1 S- -- 209
主人公の周辺で闘っていた人物を掘り下げるショートストーリー、リゼット達3人が如何にして分断されたかを描く過去編。
本編では見ることが出来なかった大団円と本編で見たかったものを全部見せてくれた最高のFDでした。

1-69■魔法少女消耗戦線 another record -ちいさきものたちのゆめ-■-- SG H4 168
本編クリア後に欲しかったもの全部くれたFD。
新キャラ、新エピソードが本編の解像度を上げてくれている。
エロだけならまだ入るけど新作の方が見たい。頑張れmetalogiq.




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最終更新:2023年01月30日 01:24
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