音声学とは、
言語を発するのに使われる音声を研究する学問。
音声を研究するという点で、
物理学的な領域におよぶ。そういう意味では、
言語学の中でもちょっと変わり者のような存在。でも、音声というのをあくまで「言語に使われるもの」に限っているので、やっぱり言語学に近い存在だ。
お金の落ちる音、車のクラクションなんかの音は扱わないし、
犬の鳴き声、小鳥のさえずり、蝉の合唱なんかは扱わないし、
人の出すくしゃみやげっぷ、いびきも扱わない。
言語を織りなす基本になるのが
音声言語(文字でも手話でもない)だと考えると、この音声学という分野はむしろ言語学の基礎になる、とても大切な分野である。
もちろん、言語を学ぶ人、
語学の好きな人にとってもこうした音声学の知識は必要となる。私たちは日頃、どのようにして言語の音声を発しているのだろうか。
こうした点に注目した学問が、音声学である。
音声学の3分野
先に「私たちは日頃、どのようにして言語の音声を発しているのだろうか。」と述べたが、実はこれは音声学の研究分野の一部しか指していない。
そこに「音声」があるならば、音声を発するもの(口など)、音声を伝達するもの(空気など)、音声を受け取るもの(耳など)があるはずだ。
音声学は、この3つの視野から音声を研究する。
調音とは、口の中をいろいろ動かして、いろいろな音声を生みだすこと。そうした音声を作りだす方法を考えるのが、
調音音声学である。
口の中のことは、わりと意識して動かすことができる。語学には不可欠であり、わりと昔から研究されている分野だ。
音響とは読んで字のごとく、音の響きのことである。ご存じ、音は空気の振動である。音声が伝わると言うことは、口をどう動かすか以上に、空気がどのように振動しているのかが肝になる。
近年では、
プラートのような使いやすい分析ソフトが公開されたり、この分野の研究も盛んになってきている。例えば、こうした音声を「音」として認識することで、コンピュータが人間言語の音声を認識するための方法が研究されたりする。
音声は、どんなに発声されても、それを受け取る耳が無ければ伝わらない。そういう意味で、聴覚という角度からの音声研究もあってしかるべきである。ところが、あまり研究が進んでいないのもまたこの分野である。
耳、正確には鼓膜や聴覚神経が、どのように音を認識しているのか。脳の側はどのように音声を識別しているのか。解き明かされていない謎が、たくさんある。
どちらも「音」という字を共有しているので、混乱しがちだが、明確に区別しなければならない。
音声学は、あくまで言語の音声を「音」として見て、物理学的に研究するものだ。
音韻論は、言語の音声を言語の一要素、つまり「音素」とみて研究するものだ。
両者は、どちらが大切とか言うものではない。両者ともに、互いの研究成果と背景を前提として存在するものである。結果的に、音声学の研究者が音韻論の研究者であることもあるし、あまり区別しないで扱う研究方法も現実にはある。でも、違うものであるということは前提としておかねばならない。
関連項目
最終更新:2012年11月30日 02:33