語用論

語用論(ごようろん pragmatics)は、言語の実際の使われ方を研究する分野。音韻論形態論統語論という3大研究分野についで、意味論とともに生じた。C.W.モリスが提唱。



実際に私たちが使用している言語は、文法が正しいだけではコミュニケーションの役に立たない。その伝える意味が重要である。しかしまた、表面上の意味が正しいだけでもコミュニケーションがうまくいかないことがある。現実のコミュニケーションにおいては、言語は「言語外の意味」(言外の意味)をふんだんに含んでいる。こういう言外の意味をとらえることを、「行間を読む」とか「空気を読む」とか言うが、その範囲は様々で私たちは知らず知らずと言外に意味を含ませて、言外の意味を読み取ってコミュニケーションを取っている。そういうコミュニケーション第一に据えた時の言語の仕組みを研究するのが語用論である



例えばお店やなんかで

「お手洗い、ありますか」

と店員さんに聞いたとき

「はい、あります」

とだけ答えられることなんか、期待してませんよね。できれば

「はい、あちらです」

と、場所を教えてほしいところです。
お手洗いの存在を問うている…≒お手洗いに行きたい(が、場所がわからない)… のだろうと、空気を読んで答えてほしいところです。もちろんこの「空気読め」というのも程度によるもので、どこまで空気を読んだらいいかとか、そういうのは難しいところです。誰もが自然に読める空気の範囲というのは、はっきりと決められません。



語用論は比較的新しい研究分野で、その研究対象もまちまちです。人間関係によって使い分ける敬語だとか、実際に現場でモノを指さしながら使う「これ・それ・あれ」だとかも研究対象になったりします。

言外の意味が含まれているかどうか、というのを判断する方法としてグライスの提唱した「会話の公理」なんてものもあります。

関連項目

コミュニケーション
パラ言語
非言語
文脈
指示
ダイクシス
発話行為
関連性
比喩
会話の公理
最終更新:2013年07月24日 04:26