【人工言語の作り方】語の形(初級)
品詞分類をしよう
品詞(ひんし)とは、語類(ごるい)とも呼ばれる単語のグループ分けのことです。
人工言語を作るにあたって、たくさんの単語を作ることと思います。たくさんの単語が雑多にごちゃごちゃしてたら、勉強する人にとっても、そして作る側にとってもワケ分からなくなってしまいそうです。そこで、単語の文法的な特徴ごとに、分類するということが必要です。
(※文法的な特徴じゃなくて、意味で分類してもいいのですが、このあと文法のことを考えるにあたって文法的な分類も必要なのです。意味的な分類ならば、「親族名称」「色彩名称」「身体名称」とか、「八百屋で使いそうな言葉」「郵便局で使いそうな言葉」「飛行機での旅行中に使いそうな言葉」「魔法の城で使いそうな言葉」とかの分類ができそうです。詳しくは
語彙についてをご覧ください)
例えば英語では、次の8つの品詞があるといわれています。
- 名詞、代名詞、形容詞、動詞、副詞、前置詞、接続詞、間投詞
例えば日本語では、次の9つの品詞があるといわれています。
- 名詞、代名詞、形容詞、形容動詞、連体詞、動詞、副詞、接続詞、感動詞
ちなみにこれらをどう分類するかは学者によって諸説有ります。英語に「冠詞」を入れるかどうか(少ないのにわざわざ分類を作ってやる必要ある?)とか、「疑問詞」はどうか(疑問詞は名詞っぽいのも形容詞っぽいのも副詞っぽいのもあるので1つにはできない?)とか、「助詞」はどうか(助詞は単独でそれだけで使えないので単語とは言えない?)とか、考えるべきところはたくさんあります。つまりこういう分類が絶対ではないのです。
オリジナル人工言語なら、品詞もオリジナルで何でも作ればいいのです。また逆に減らすのもアリで、現実に「動詞と形容詞の区別がつかない言語」みたいなのもたくさんあります。「動詞と名詞の区別がつかない言語」はわりとレアです。
とりあえず人工言語を作るにあたって有ったほうが良い、必須の品詞はこんな感じでしょうか。
前置詞とか代名詞は、作りたいと考える言語の文法に左右されるところもあるので、おいおい考えましょう。
形容詞や副詞は、動詞に近いか名詞に近いか、あるいは中間的かみたいに考えることができます。
じっくり考えたいのは名詞と動詞です。以下、名詞と動詞について考えて見ましょう。
名詞の変化
名詞の変化のことを「曲用(きょくよう)」と呼ぶことがあります。
名詞は、数(すう)や格などによって形を変えることがあります。
数(すう)
言語学の用語では数(すう)といえば単数なのか複数とかのことを表わします。
- 単数 それが1つであること あるいは数えられないものであることを表わす
という区別は英語でおなじみですね。でも言語によってはまだ色々あります。
- 不定数 1つであるとかいくつであるとか数えられないとかあまり気にしない
日本語の名詞は複数だったら必ず複数を表わさなきゃいけないわけではないので、不定数に近いですね。あと、数詞とか「たくさん」とかいう語がついてたら複数の形にする必要が無いとかそういう言語もあります。
- 双数 2つであることを表わす。双数がある言語では、当然「複数」といったら3つ以上であることを表わすことになります。2つペアのもの(靴とか目とか夫婦とか)にしか双数を使わないこともあります
- 多数・少数 多いのか少ないのかで複数のかたちが変わるような言語もあります。
格
格というのは、日本語で言えば「が」「を」「から」「で」「に」などのようなもので、動詞との関係を表すものです。
主格「彼が 来た」
対格「彼を 呼ぶ」
奪格「日本から 来た」
処格「日本で 学ぶ」
与格「彼に 送る」
動詞との関係を表すのか微妙ですが「の」も格に入れたりします。
属格「彼の 本」
※主格(主語だから)とか対格(対象物だから)とか属格(属するから)とかの名前は、言語学なんかで使う習慣はありますがべつにそんなに重要ではありません。あくまで目安みたいなものです。例えば与格(与えるから)も、「ここに いる」「彼に 殴られる」「1日に 3回」みたいに、与えるのと関係無さそうな使い方がいくらでもありますよね。名前にこだわり過ぎないようにしましょう。
世界の言語では格のあらわし方は様々です。日本語は、名詞に格助詞をくっつけるだけですが、名詞がもっと変化するとか (I「私が」がme「私に/を」になるとか)、前置詞を使うとかです。主語と目的語の違いを表わすだけなら語順だけであらわすこともあります。
人工言語用のオリジナルの格が作れるように、いろいろな格のサンプルをご覧ください。
動詞の変化
動詞の変化のことを、「活用(かつよう)」と言うことがあります。
時制(過去か未来か現在か)とか、相(進行中なのか完了したのか)とか、ムード(命令とか、不確定とか話し手の気持ちに関わるところ)とかで変化しやすいのが動詞です。他にも、主語が何かによって変化することもあります。
時制
過去―現在―未来
という時間軸で考えますが、例えば日本語や英語のようにとくに未来形が無い言語もありますし(英語の場合は、未来を表わす助動詞はありますが動詞そのものは変化しませんよね。日本語も似たようなものですが、未来は不確定なのでモダリティみたいに表わすことはよくあります)、ずっと昔なのか最近なのかで区別する言語もあります。過去のさらに過去、大過去なんていうのもあります。そして「昨日」とか「来年」とかいう言葉を使えばいいからということで時制が区別されない言語もあります。
相
英語では現在進行とか現在完了とかがありますよね。時制みたいに時間の流れと関係がありそうなので時制と混同しがちですが、相はどちらかというと「時間をどう捉えるか」と関係があります。
よく使われるのは進行(~している)、完了(~してしまう)で、それぞれ過去進行とか未来完了とか、時制と組み合わせたりもできます。
さらに、いろいろな相がありえます
始動(~しはじめる)
結果継続(~している:~した結果が今も残っている)
習慣(いつも~している)
経験(~したことがある)
…
ここまで来ると動詞の変化だけでなく、動詞の変化形+助動詞とかそういう表現で表わされることが多いかもしれません。
ムード
過去なのか現在なのかみたいな客観的な情報でなく、話し手の気持ち、態度、雰囲気が現れるのがムードです。このムードと言う言葉は、ヨーロッパの言語を研究するときに使われ始めた用語で、アジアの言語とか他の地域の言語を考えるときにはあまり便利じゃありません。といことでムードmoodをアレしてモダリティmodalityという用語が広く使われています。ここでは、ムードとモダリティをあまり区別しないで大雑把なことを書きます。
「しろ!」命令
「するな!」禁止
「してください」依頼
「したい」願望
「かもしれない」不確定
「だろう」推測
「らしい」人から聞いた
「っけ」確認
ここまで来るとやっぱり動詞の変化だけじゃあらわしきれず、助動詞を使うとか、終助詞を使うとか、副詞を使うとか言語によっていろいろな方法を取ります。あとよく使われるのが接続法や仮定法と呼ばれるものです。「晴れだったら行けたのにな」みたいなひっくり返らない現実に対する恨みつらみとかを表わすムードです。
他にも、その事態が自分の領域なのか他人の領域なのかとか、ムードっぽい表現が現しうるものは多岐に及びます。ここではあくまで、「動詞の変化だけでどこまで表わせるか」ということを考えるといいと思います。
主語の人称
主語が何かによって動詞が変化するという言語もあります。英語なら主語が3人称単数なら、現在形のときに-sをつけますよね。言語によっては一人称単数、二人称単数、一人称複数、二人称複数とみんな動詞にそれぞれ変化形がある言語もあります。ただちょいとつけるだけの要素ならいいのですが、変化形にすると上記の時制やらムードやらそれぞれにまたそれぞれの変化形を設けることになり大変かもしれません。
日本語を母語とするものにとっては無意味な変化にも思えますが、日本語の場合はムード的な表現が充実しているので人称を表わさなくても事足りることが多いだけなのです。動詞が人称によって変化する言語は多くあります。
その他
終止形以外の動詞の形、というのも考えておきたいですね。
英語なら動名詞とか不定詞とかがあります。日本語なら連体形とか連用形とかです。文と文とを繋ぐ形とか、名詞を修飾する形とかです。文と分を繋ぐときには、前後で主語が変わるのかどうかとかで変化形のある言語もあります。
最終更新:2016年01月11日 13:06