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ダルツガ1


「なぁ、帰らなくていいのかよ」

夕暮れを告げる識のアナウンスを聞きながら、隅にいたダルマは隣のツガルに話しかけてみた。日没以降には中学生以下である自分たちはゲーセンを後にしなければならない。今のところ悪目立ちをしていないおかげで識にはダルマは黙認という形であるが、ツガルはどう見積もっても16歳には見えない。
だから夕刻は一番気にする。

「いいのかよ」
「いいの」

誰を、どこを見ているわけでもないのにツガルは視線を流す。

「なぁ」

そうして時間は過ぎる。
やがて話すでもなく時間が過ぎているのが苦痛で、じゃあ、と言うこともできずに彼女から離れた。

「お!貧乳ナイア!」
「このっ、エロガキ!」


「……はんかくせ」
なんのためにここにいるのか、意味が通じていないまま走り回るダルマの姿を見つめながら、一度だけツガルは小さく呟いた。
最終更新:2006年07月26日 06:15