ちかなりちか8
「チカー!チカー!モトチカー!」
元親の肩でわめく鳥を元就は睨みつけた。
「やかましい」
「珍しいだろー人の言葉を覚えるんだぜ」
眩しい黄色の羽根をばたつかせ、なおも鳥は「モトチカー!」と鳴く。
「こいつの躾は信がやってなぁ。言葉もスラスラ覚えさせるんだぜ」
「ふん」
信親の名前を聞いて、元就の目がすぅっと細くなる。信親は実父より長身でさわやかな好青年だが、元就を見る目はアニキ親衛隊が浮かべるものと大差ない。
「この世で海が似合うオトコは?」
「モトチカー!」
「よーしよく出来たなー。な!すげぇだろ元就!」
「ナリ!」
鸚鵡はバサバサ飛んで元就の前に飛んでくると一言言った。
「カバチタレ!」
「!?」
「お、おいおい」
「ナリ!カバチタレ!イナカモン!」
「貴様…今すぐその舌を引っこ抜いてくれる!」
「うわ!元就!やめやがれ!」
なぜ鸚鵡が元就にそんな暴言を吐いたか……言うまでもない。
信はファザコン。親に近づくオトコは許さない!
カバチタレ=バカタレ
最終更新:2006年09月25日 02:56