……………


ギンガハクタイビル


唯「はぁ…はぁ… このビルに逃げ込んだと思うんだけど……」

???「んっ? 君は……」

唯「あっ! さっきの!!」

???「ちょ、ちょっと待って……」ゴソゴソ

ハンサム「私だよ私!」

唯「あっ! コトブキの変な人!!」

ハンサム「………」

唯「こんなところでなにしてるんですか?」

ハンサム「ギンガ団がこのビルにいるということがわかってね。 今ギンガ団に変装して調査してるんだが……」

唯「?」

ハンサム「今このビルにはギンガ団の幹部もいるらしいんだ」

唯「捕まえればいいんじゃないですか?」

ハンサム「実はだな……」

ギンガ団下っ端「おい! そこの! サボってないで自分の仕事しろ!!」

ハンサム「はっ!」

唯「………」 ←死角にいて気付かれていない

ハンサム「……こんな感じで完璧に変装しすぎて無闇に動けなくなってしまったのだ」

唯「………」

ハンサム「……可哀想な人を見る目で見ないでくれ」

ハンサム「そこで頼みたいことがあるんだが……このビルにサイクルショップの店長さんが誘拐されたらしいんだ。 その店長さんを助けてくれないか?」

唯「えー……でも……」

ハンサム「場所はわかっている。 このビルの最上階にいる」

唯「でも、すぐにバレますよ?」

ハンサム「安心しろ、ギンガ団の下っ端はバカばっかりだ。 「新人でーす」とでも言っておけば簡単に信用する」

唯(大丈夫かな……)

ハンサム「さぁ! 頼むぞ!!」

唯「え~……」


……………


ギンガ団下っ端「ん!? 誰だお前は!?」

唯「し、新人でーす……」

ギンガ団下っ端「なんだ、新人か。 それなら通っていいぞ」

唯「………」スタスタ

唯(本当に信用しちゃったよ……ギンガ団って凄いのか凄くないのかよくわからないよ……)ドキドキ


……………


唯「ここが一番上の階かな?」


ダレカー


唯「ん? 今何か聞こえたような……」

???「おーい! 誰かー!!」

唯「もしかしてこのドアの向こうに……」

???「おーい! 誰かいるのかー!!」

唯「もしかしてあなたがサイクルショップの店長さんですかー!」

店長「そうだー! ギンガ団じゃないなら助けてくれー!!」

唯「えーと……どうすれば開くんだろう……」

???「誰だ!?」

唯「あ」

???「ギンガ団では無いようだけど何しに来たの?」

店長「あ! お前! うちのポケモンは無事なのか!?」

???「安心しなさい。 ギンガ団は優しいからね」

店長「優しかったら私を閉じ込めたりしないだろー!!」

唯「そうだそうだ!!」

???「! そうか、思い出した。 あなたね、発電所で邪魔をしたというのは」

唯(発電所……ってことはこの人も幹部……?)

???「マーズから聞いた話だと結構手強いと聞いていたが……」ジー

唯「?」

ジュピター「まさかね。 まぁいいわ、ギンガ団幹部ジュピターが相手してあげるわ」

唯「え!?」

ジュピター「スカタンク!!」ボン!

スカタンク「ブァー!!」

ジュピター「さぁ、そっちも構えなさい」

唯「……もし勝ったら店長さんを解放してもらってもいいですか?」

ジュピター「いいわ。 さぁかかってきなさい」

唯「じゃあ……ゴン太!!」ボン!

ゴン太「ゴン!!」

ジュピター「"つじぎり"!!」

スカタンク「ブァー!」ザシュ!

ゴン太「!?」

唯「うわっ!? ゴン太しっかり!!」


ジュピター「"どくづき"!!」

スカタンク「ブァー!!」バッ

唯「ゴン太ー! "なげつける"!」

ゴン太「ゴン!」ブンブン

スカタンク「!?」ベチャ

ジュピター「これは……木の実か……!」

唯「ゴン太ー! "のしかかり"!!」

ゴン太「ゴン!!」ズン!

スカタンク「ブァー……」グラッ

ジュピター「へぇ……なかなかできるようね」

唯「……?」

ジュピター「いいわ、約束通り解放してあげる。」

唯「ほ、ほんと!?」

ジュピター「今の攻撃の威力から見て今の私の手持ちじゃ勝てないと思ったし……ほら鍵よ」ポイ

唯「おおっと……」パシ

ジュピター「今回は退いてあげるけど次は無いと思いなさい。 それじゃ」スッ

唯「あっ! 待っ…!」

ジュピター「"えんまく"」

スカタンク「」ブワッ

唯「えっ!? やられたんじゃないの!?」

ジュピター「多少の気力は残してあげないとスカタンクは何も出来ないし私も逃げられないでしょ?」

唯「げほ…げほ…何も見えない……」


……………

ハンサム「うーむ……逃げられたか……」

唯「ごめんなさい……一応店長さんは助けたんですけど……」

ハンサム「なに、それだけでも十分だよ」

唯「そうですか…?」

律「おーい唯ー!!」

唯「あっ! りっちゃん!!」

律「いやーうっかり寝てしまってさ……あれ? 何かあった?」

ハンサム「何かあったが解決したから別に話さなくてもいいだろう」

律「ひどっ!!」

ハンサム「後で彼女に聞きなさい。 それより明日サイクルショップの店長さんがお礼がしたいって言ってたから是非会いに行ってやってくれ」

唯「は、はいわかりました……」

ハンサム「よし! それでは私は失礼しよう! また会おう!!」ダッ!

唯「あっ!」

律「……相変わらず変な人だなぁ……それより何かあったか教えてよ」

唯「うーん……今日は疲れたから明日でいい?」

律「えー! 何だよそれ! ますます気になるじゃん!!」

唯「えー……」

律「えーじゃない! こうなったら何があったか全部言うまで今日は寝かさんぞ! 来い!」グイ

唯「あぁん! 勘弁してください~!!」ズルズル


……………


1のしま


梓「ここが……」

澪「1のしま、だな」

梓「なんか暑くないですか?」

澪「ここには"ともしびやま"という山があるから暑いらしい」

梓「ともしびやま?」

澪「確かあの山がそうだったと思う。 近くには温泉もあるらしい」

梓「随分詳しいですね?」

澪「船の中にナナシマの地図があったからな。 タダだったから取ってきた」

澪「……とはいえ地図があっても、この1のしまだけでも結構広いらしいし……一回ポケモンセンターへ行くか」

梓「そうですね。 外は暑いですし……」


……………


ポケモンセンター


澪「この1のしまには"ともしびやま"がある。 ここまで行ってみよう」

梓「成程、わかりました」

澪「ただその前に……」

梓「?」

澪「ちょっと待っててくれ」スタスタ

梓「??」(パソコンを使って何してるんだろう……?)

澪「おまたせ」スタスタ

梓「いえ……何してたんですか?」

澪「ポケモン預かりシステムでポケモンを引き出してきた」

梓「澪先輩のポケモンですか?」

澪「いや、元はロケット団のポケモンだ」

梓「ロケット団の?」

澪「団員が弱いって理由で捨てようとしたんだけど私が可哀想だと思ったから引き取ったんだ」

澪「引き取ったんだけど戦うのが苦手っぽいから育てようと思ったんだけど時間が無くてさ」

梓「ずっと預けっぱなしだったんですか?」

澪「そういうことだ。 それでだな梓」

梓「何ですか?」

澪「2匹の内好きな方を梓に譲るよ。 どっちがいいか選んでくれ」

梓「いいんですか!?」

澪「私が2匹面倒見るのもいいけどまだ2匹共私に懐いてないから1匹は誰かに譲ろうと思ってたんだ」

梓「そうですか……ところでこのポケモンって何ていうポケモンなんですか?」

澪「ラルトスというポケモンだ。 頭のツノのようなもので感情を読み取ったりするポケモンだ」

梓「へぇ……この2匹の違いってあるんですか?」

澪「いや、大した違いは無いと思うが……」

梓「じゃあこっちのポケモンにします」

澪「じゃあ私はこっちだな。 戦闘には慣れてないから徐々に慣らしていこう」

梓「そうですね」

澪「さて、梓。 一度私とポケモン勝負してくれ」

梓「……はい? なんでですか……?」

澪「ラルトス達に戦闘に自信を持たすためというのが一つの理由だ」

梓「一つ?」

澪「もう一つの理由はリベンジだ」

梓「リベンジって……?」

澪「ヤマブキで私は負けた。 今回の戦いはその時のリベンジだ」

梓「で、でもあの時はエリカさんもいましたから……」

澪「あのゲートを梓が通った時点で私の負けだ。 二人で戦ったからと言うのなら私もロケット団員と一緒に戦った。 そうだろう?」

梓「そうですけど……」

澪「リベンジもそうだがまだ理由はある。 梓と梓のポケモン達ががどれぐらいの強いのかも興味がある」

澪「そしてヤマブキの時とは違ってエリカさんも団員達もいない一対一の勝負だからだ」

澪「私も負けっぱなしっていうのも悔しいし……」

梓「澪先輩……」

澪「どうする? ここまで理由を言ってもまだ足りないか?」

梓「いいですよ! そのかわり返り討ちにしてみせます!!」

澪「……ありがとう」


……………


澪「さて梓、今いる手持ちはラルトスを除いて何匹だ?」

梓「えーと……3匹です。 澪先輩は何匹ですか?」

澪「私はラルトスを除けば2匹だ」

梓「ラルトスは戦わせないんですか?」

澪「いきなり戦わすと良くないから後でじっくり戦わせるつもりさ」

梓「そうですか……それでも澪先輩2匹でこっちが3匹っていうのもなんだか……」

澪「私は別にそれでも構わないぞ?」

梓「いえ、そんなんじゃフェアじゃないです! こっちも2匹でいきます!!」

澪「まぁ無理にとは言わないが……」

梓「こっちはあずわんを抜いてぴーたんとあずさんでいきます!」

澪「あずわん?」

梓「このドーブルのニックネームです。 犬っぽいところがあるなぁと思ったんですけど……」

澪「そうか」

梓「それにどういう技使うかまだよくわからないので……」

澪「それなら後でどういうポケモンなのか教えてやるよ」

梓「知ってるんですか?」

澪「少しな。 さてそろそろ始めるか」

梓「はい!」

澪「先に2匹とも戦えなくなったら負けだ! 行くぞ!!」

梓「はい!!」


……………


たんじょうのしま


アテナ「もしもし、アポロ?」

アポロ『おや? アテネですか? どうしました?』

アテナ「そろそろ始めようかと思ってね……」

アポロ『そうですか、わかりました。 成功を祈ってますよ』

アテナ「そっちの調子はどうだい?」

アポロ『こっちはラムダと一緒に逃走中ですよ』

アテナ「それは良かった」

アポロ『あなたには大変感謝してますよ。 あとは……』

アテナ「あぁ、今はいいわよ。 安全な場所まで逃げなさい」

アポロ『それもそうですね、ではまた』ピッ

アテナ「さてと……行くわよ。 正しいロケット団に戻すために」

ランス「正しい?」

アテナ「今ロケット団は澪の手で動かされている……今は彼女のせいでただの善人の集まりになっている」

ランス「………」

アテナ「悪人が集まってこそロケット団よ。 サカキ様もそう考えているはず。 そうだろう?」

ランス「恐らくそうでしょうね。 ただ私は悪人という自覚はありませんが……」

アテナ「まぁそう言うな。 もし我々がロケット団に戻ればあなたを幹部に昇格させようと考えているというのに……」

ランス「今の私達はロケット団の残党ですよ。 それにこんな人気のない所まで来て未だに私は何をするのか聞いていないのですが?」

アテナ「お前は私の命令に従っていればいいんだ」

ランス「だったら今は何をするのかぐらい教えてもいいのではないですか?」

アテナ「それもそうだな。 言わないとお前も拗ねて何もしないかもしれないし……」

ランス「私は子供じゃないんですよ。 言うなら早く言って下さい」

アテナ「デオキシスの捕獲だ」


……………


1のしま


あずさん「ニャー……」バタ

ふわ☆ふわ「………」フラフラ

梓「つ、強い……」

澪「それはこっちのセリフだ……ギリギリだぞ……」

梓「やっぱり澪先輩には敵いませんでしたか……」

澪「梓も十分強くなったと思うが……とりあえずポケモン達を休ませよう」

梓「そうですね」


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最終更新:2012年09月27日 00:27