律「よし、ざっとこんなもんかな」

梓「はい。もう破片も落ちてませんね」

唯「あ、あずにゃん指きってる」

梓「ああ、ちょっと切っちゃいました。でも大丈夫ですよ」

澪「……」ガクガクブルブル

律「弱っ!澪、弱っ!!」

紬「ふふふ。それじゃ、そろそろ帰りましょうか」

律「ああ。重ね重ねごめんな、ムギ」

梓「すいませんでした」

紬「いいのよ。ティーカップなんか、まだまだ家に有り余ってるんだから。それより二人のほうが私には大事」

律「へへ。……ありがと」

唯「おーし、ほんじゃかえろう!」

梓「はいですっ!」

律「おらいつまで怖がってんだ澪。おいてくぞ」

澪「っ?!やだ!!一人ぼっちやだ!!」だだだ


~~~~いえじ!~~~~

唯「あっ!」

律「どしたー、唯」

唯「……数学の問題集、教室に忘れてきちゃった」

紬「あらあら」

梓「取りに行きますか?……あ、でももう閉まっちゃってるかなあ」

唯「んー、じゃあ明日で」

澪「よくない」ずい

唯「えぇっ」

澪「その日のうちに復習しとかないと、またすぐ忘れちゃうだろ。唯の悪いクセだ」

梓「ああ、テスト開けたらコード忘れちゃったりしてたんでしたっけ」

律「しょーがないな、みんなで取りにいくかぁ」


~~~~もんぜん!~~~~

紬「閉まっちゃってるわね」

澪「うーん、これじゃ仕方ないか」

唯「あ、待ってみんな。さわちゃんに電話してあけてもらう」ぴぽぱぴ

澪「……あ!私も弁当箱忘れてたっ!!」

律「あー、あれってさぁ、明日あさっての土日挟んで月曜日に開けると、この世のものとは思えないなんやかんやが……」

澪「ひぃっ?!……と、取りに行く!私もぜったい行く!!」

梓(相変わらずだなぁ、このひと)

紬「あ~!私も忘れ物しちゃった~」

梓「え、ムギ先輩もですか。珍しいですね」

律「ははっ。……じゃ、私と梓はここで待ってるから、ちゃちゃっと済ませてきな」


……

さわ子「もぉ、仕事増やさないでよねー」

唯「ごめんごめんさわちゃん」

澪「忘れ物取ったらすぐ帰りますから」

さわ子「あら?今日はあとの二人はいないのね」

紬「山中先生、野暮は言っちゃダメですよ~」

さわ子「えっ?」

澪「?……そういえば、ムギは何を忘れたんだ?」

唯「あはは、澪ちゃんも野暮はナシだってば。……でもでもムギちゃん、あれは流石にわざとらしくなかった?」

紬「ふふ、りっちゃんにはばれてるかもね。でもまぁ、ばれてるならばれてるなりのお気遣いもアリかなあって」

澪&さわ子「「……???」」


……

律「あ、メールだ……なになに、『探すのに手間取っちゃって時間かかるそうだから、先に帰ってていいよ』……」

梓「はぁ。わかってましたけど、唯先輩ははやっぱりずぼらですね」

律「……あーもぉ。あいつらー」くしゃ

梓「?」

律「ほら、そういうことだから、いこうぜ梓」

梓「?はい」

てくてく

律「梓、寒くないかー?」

梓「律先輩こそ、そんなにおでこ出して寒くないんですか」

律「こりゃ私のあいでんてぃてぃーだ」

梓「……私、律先輩が髪おろしたところって、全然見たことない気がします」

律「まぁそうだろうな。学校じゃはずさんし」

梓「……」じぃっ

律「やん梓ちゃん、せっきょくてきィ」

梓「……茶化さないでくださいよぅ」

律「ははは、悪い悪い。ま・そのうち、な」

梓「そのうち、見せてくださいよ……へくちっ」

律「やっぱ寒いんだろ」

梓「……まぁ、多少」

律「風邪引いちゃコトだしたなぁ。ほれ、梓」ぎゅ

梓「……」ぎゅ

律「あずさ」

梓「はい」

律「梓あずさ」

梓「はいってば」

律「……あああああ梓あずさあずさ梓中野梓あああああー!!」

梓「うわっ、な、なんですか一体」

律「あずさー!!好きだー!!大好き大大大大っっっっっ好きだああああぁー!!」

梓「えっ、うわ、ちょ」

律「このっ」ぎゅう

梓「ひゃ」

律「……」

梓「……いいんですか。みんなに、」

律「おう。みんなに、背中押してもらったからな。だから、いいんだ」

梓「……嬉しいです。すごく。すごく、嬉しい」

律「私もだ。ついきわまって叫んじゃうくらい嬉しい」

律「……道のど真ん中で何してんだろうなー私ら」

梓「抱き着いてます。抱き着かれてます」

律「やーねー、さいきんの若者は恥じらいってものがないのかしら」

梓「律先輩がしてるんですよー一方的に」

律「んふふ、確かにそうだけど。梓だってヤじゃないくせに」

梓「そういうおやじくさいのは嫌いですよ」

律「はいはい。じゃ離れるぞ」

梓「……べつに離れなくてもいいです」

律「……にやにや」

梓「……もぉ」


~~~~よくじつ!~~~~

がちゃ

律「おっすー」

梓「あ、律先輩」

律「よー梓。……そんなロコツに嬉しそうな顔されるとりっちゃん嬉し泣きしちゃうぞ」

梓「えへへ」

律(くぅ、なんだちきしょうかわいいなこいつ)

梓「律先輩」

律「おう。なんだ?」

梓「呼んでみただけです」

律「うわ、お約束」

律(しかしお約束だけあって、すごい効くじゃないの……)

律「梓ー、こっち(ソファ)おいで」

梓「はい」

ちょこん

律「よしよし」なで

梓「えへへ」ころん

律「わ。ひざ枕っておまえ……タガが外れたみたいに甘えてくるなぁ」

梓「いけませんか?」

律「いけなくないです」なで

梓「んに」ごろごろ

うとうと

梓「はっ」

梓(……いつの間にか寝ちゃってた)

律「Zzz」

梓「律先輩も……寝てる……」

梓(カチューシャ取っても……だいじょぶかな)

そそそ

ふぁさ

梓「わぁ……」

梓「きれい……」

梓「律先輩……かっこいい」

梓「かわいい」

梓「きれい……」

梓「……素敵」

梓「き、キスとか……しても……」

梓「はぁっ」

梓(いやいやいやなに考えてんだ私)

梓(とか考えときながら、もう律先輩の顔がすぐそこにある……)

梓(やっぱり素敵だなぁ、律先輩)

梓(髪の毛、まっすぐですごく綺麗)

梓(安心したような寝顔はかわいいくて)

梓(でも顔立ちは凛々しくて、世界中の誰よりかっこいい)

梓「……ごくり」

すすす

梓「……あ」

梓「この匂い……」

律「……んあ」

梓「あっ」

梓(やば、起きた)

律「あれ……私、寝ちゃってたのか……って、何やってんだ中野ォー」

梓「あっ、いや、これは」

律「前髪がうざったい。カチューシャかえせ」しょぼしょぼ

梓「す、すいません」

律「うむむ。眠たくて怒る気にもなれん」

梓「あ、あの律先輩」

律「あん?」

梓「シャンプー……変えました?」

律「あ?……あー、ああ」

梓「ふふ、やっぱり」

律「梓が使ってるのと同じやつ、探すのけっこう苦労したんだぜー?」

梓「……私たち、一緒、ですね」

律「ああ。一緒、だ」

梓「んぅー……律先輩りつせんぱいっ」ぎゅう

律「梓ぁー……大好きだぞぉー」ぎゅう

梓「私も好きです大好きです大好きですっ」

律「くあーっ。一生こうしててぇーっ」

梓「髪おろした律先輩も素敵ですけど」

律「うん」

梓「やっぱりおでこ律先輩もかわいいです」

律「ありがと……おでこ律先輩ってなんだよ」

梓「私、ふと思ったんですけど」

律「あん?」

梓「律先輩がおでこ出してるのって……こういうことするためなのかなぁって」

ちゅ

律「」

梓「えへへ……しちゃった」

律「」

律「……むむむむ」

梓「そ、そういえば昔『おでこにキッス』なんて歌もありましたよねぇ」

律「うがーっ!!こらぁー!!中野ぉー!!!」

がばっ

梓「ふわあっ」

律「おかえしだこのやろーっ!!」










おしまい




律「なー」うだうだ

澪「なんだ」

律「みんな、次の土日はひまかー」

澪「ひまじゃない」

唯「んー、私も憂と出かける用事が」

紬「ごめんねりっちゃん。私もちょっと」

律「んむぅ。じゃあ……あずさー」うだうだ

梓「私は……特に予定もありませんが」

律「にや」

梓「なんですかその笑いかた」

唯「がんばれー、あずにゃんの犠牲は無駄にはしないよぉ」

梓「えっ?!え、ええっ?!」

紬「私は、りっちゃんと二人で遊んだとき、けっこう面白かったけどなあ」

澪「でも、疲れるだろ?」

律「……おまえらひでーな」

梓「……あのー、私やっぱり家で何かしらの用事が」

律「許さーん!!許さんぞぉ中野ォ!!」

梓「ひぃっ」

律「いいじゃんかー梓ぁ。遊ぼうぜー」

梓「はぁ。わかりました、いいですよ」

律「わーい」

澪「大丈夫かなあ……」

律「こら澪ぉ!そういう不安を煽るよーな発言をするな!」

梓「……私、大丈夫じゃないんですかね?」

律「だいじょぶだから!大丈夫ですから梓さんっ!」

紬「そうよ梓ちゃん。りっちゃんと二人で遊ぶの、楽しいよ」

律(いいぞムギもっと言ってやってくれ!!)


~~~~どにち!~~~~

律「おっすー」

梓「おはようございます、律先輩」

律「おー、はやいな梓。まだ集合10分前だぞ」

梓「なんだか早く目が覚めちゃいまして」

律「ほっほーう。そんなにこのりっちゃんに会えるのが楽しみだったかぁ」

梓「え?え、えーっと。うーん……」

律「うわぁ!ある意味『そんなことない』って即答されるよりつらいリアクションだぞそれ!!」

梓「あはは。冗談ですよ、冗談。ほんとはけっこう楽しみにしてました」

律「けっこうって……」

梓「ささ、それじゃ行きましょうか」




どこに行けばいいんだろう


3
最終更新:2011年02月13日 22:11