織「フフフフフフフ…………」ドゴンドゴン

男3「ああああッ」

キュウウウウウウン ドロッ

男3「おbb……」グチャ

男3も男2同様にいとも簡単に潰されてしまった。

唯「(さッき避けられたハズなのに刀に命中した……。あれはもしかして……ロックオンかな……)」

唯「でも、どうしよう……(私とあずにゃんだけになッちゃッた)」

唯は何をすればよいかわからなかった。動かなくてはいけないのは承知しているが体が言う事を聞かない。

織「フフフフフ……」ブン

唯「あッ!」ガッ

信長の手が唯の腕を掠めて、銃を吹きとばしてしまった。

唯「銃がどこかへいッちゃッた!」

梓「唯先輩ッ!」

梓は唯のピンチに思わず叫んだが、スーツが機能しなければ何の助けにもならない。

唯「(このままじゃ……スーツも壊れて私も死んじゃう……なんとかしなくちゃ……!)」

バシャッ

唯「あッ!」

イケメン「おおおおおおッ!!」

織「ぬッ!?」

イケメン「おおおおおらああッ!」

織「ぬおおおおおおおおッ!!」ドゴォ

イケメンが水面から飛び出して、信長を蹴り倒した。

イケメン「クソッ!」

唯「大丈夫ですかッ!?」

イケメン「俺が隙をつくるから……!その間に奴を撃ッてくれ」

唯「あッ、それが銃がさッき飛ばされちゃッて」

イケメン「じゃあ……これを」スッ

イケメン「頼んだぞッ」ダダダ

イケメンは唯に銃を手渡した。しかし、唯の知らない形の銃だった。

唯「私の持ッてたのと形が違う……。でも撃たなきゃ」スッ

イケメン「おおおおおおおッ」

織「フフフフフフフフ……」ブンッ

信長はイケメンの攻撃を往なして、イケメンを叩きつけた。

イケメン「クソッ」

キュウウウウウウン ドロッ

イケメンのスーツが機能を失った。

唯「上トリガ―で……ロックオン……」

チュイイイイイイン

銃が甲高い音を辺りに響かせる。モニターには野獣と化した信長のレントゲン図が映し出されている。

唯「いッけええええッ!!」

ギョーン

唯「えぇッ!?弾じゃなくて紐ッ!!?」

銃からは見えないエネルギーではなく、レーザーワイヤーで繋がれた三つの玉が発射された。

織「」サッ

イケメン「くそッ避けられた!!」

信長はまたしても紙一重で避けた。しかし

キュウン

織「ぬッ!?」

ボッ ガガッ

しかし、玉は自動的に信長を追尾し信長をワイヤーで捕え、拘束した。弾からジェット噴射が起き、地面に深くめり込んだ。
信長がいくら足掻いてもビクともしない。

唯「捕まえたッ!やッた……」

唯「やッたよ!あずにゃんッ!!」

梓「やりましたねッ!唯先輩ッ!」

梓は思わず唯に抱きついた。

唯「これどうすればいいのかな……」

ギョーン

ジジジジジジジジジジジ

唯が引き金を引くと、天から光線が現れ信長を消していった。

唯「あッ、光が」

梓「どこに送られるんでしょうか……」

バタッ

突然、唯が地面に倒れこんだ。梓が驚いて屈みこむ。

梓「唯先輩ッ!?大丈夫ですかッ!?」

唯「終わッた……本当に良かッたぁ……」

梓「………(ありがとうございます、唯先輩。助けられてばかりだけど今度は私が頑張りますから)」

ジジジジジジジジジジジ

梓「あッ転送がはじまりました」

ジジジジジジジジジジジ

唯「ふぅ~今回は本当に危なかッたね~」

イケメン「助かッた……か………」

イケメンは自分の手の平を眺めながら呟いた。

チーン それではちいてんをはじめる

イケメン「採点?」

梓「終わッたら採点があるんです」

パッ

美男 4点 TOTAL4点

イケメン「4点か」

パッ

あずにゃん 2点 TOTAL2点

弱すぎ 泣きすぎ 心配しすぎ

唯「私のこと心配してくれたんだ~ありがとね」

梓「い……いや、そうですけど……」

パッ

平沢進 8点 TOTAL11点

あずにゃん好きすぎ

唯「11点かぁ~」

唯「今更だけど“TOTAL100点まで”ッてなんだろね」

梓「“あと89点でおわり”ッて書いてあるから、ここから……戦闘から解放されるんじゃないですかね」

唯「そうかもだね」

唯「終わッた~」

唯は両腕を揃えて天井に伸びをした。梓は自分の着替えをまとめて、帰宅の準備を始めた。

梓「着替えてから帰りましょうか」

イケメン「あ…名前……」

梓「あッ、中野梓です」

唯「平沢唯です」

イケメン「俺は…クリス・祐樹だ」

唯「ハーフ?」

ク「あぁ」

梓「これからもお願いします」

ク「あぁ、じゃあ」バタン

唯「着替えもせずに帰ッちゃッたね」

梓「そうですね」

唯「そうだッ!この服持ッて帰ッてトレーニングしようよ!」

スーツを顔の近くまで持ち上げながら言う唯。顔は玩具でも貰った子どものように輝いている。

梓「えぇ……」

梓は露骨に嫌そうな顔をした。それを見て唯が強請る。

唯「これから生き残るためにもさぁ?ねぇ~」

梓「ま……まぁ、そうですね。持ッて帰りましょうか。でもトレーニングはバンドの練習が終わッてからですからねッ!」ガチャ

梓「(でもこのままは恥ずかしいからトレーニングの時は上に何か羽織ろうかな)」


帰り道

唯「今日は疲れたね。本当に」

梓「そうですね」

唯「じゃあ、ここでッ!」

梓「はい、ではまた」

唯「あ、そうだ!練習どのくらいしよッか?」

梓「命を懸けるんですから……毎日が良いかと」

唯「え~?」

唯は肩を落として露骨に嫌そうな顔を見せる。梓は呆れながら唯を見た。

梓「言い出したのは唯先輩ですよ」

唯「う~ん、そうだね。じゃあ、バイバイ」

梓「はい」

梓は不安げにスーツを見つめながら自宅へと歩み始めた。唯に乗せられ、銃まで持って帰って来てしまった。

梓「これ……どこかに隠さなくちゃ……」

梓は一人静かに溜息をついた。


数週間後

律「おーッし、終わるかー」

澪「そうだな」

紬「お茶飲んで帰ろッか」

紬が慣れた手つきで机にティーカップを並べる。紅茶の良い香りが漂ってきた。

律「ありがとう、ムギ」

唯「ゴメン、今日も私たち先に帰るよ」

律「え?また?」

梓「すいません」ガチャ

スーツと銃の入った袋を手にした二人は早々と音楽室を後にした。

律「最近、どうしたんだろ。あいつら」

紬「(なにか二人だけで企んでいるとか……)」

律「こうなりゃ、後をつけるか……」

澪「人のプライバシーに首を突ッ込むなよ」

律「ムーッ」

律は頬を膨らませながらティーカップを口に運んだ。

~~~~~~~~~~

梓「最近、律先輩が怪しんでますね」

唯「仕方ないよ、言えるわけないしね」

梓「ではトレーニング始めますか」

唯「うんッ!早くスーツの動きに慣れないとね」スッ

唯が脚に力を込めるとスーツがメリメリと隆起する。レンズ状のポイントは青く輝いている。

キュイイイイイイイン ダンッ

唯は空高く跳び上がった。


翌日 放課後

律「今日という今日は白状してもらうぜッ!」

律「お前たちは毎日毎日どこに行ッてるんだぁッ!」

律が帰ろうと準備ををしている二人を追い詰めた。しかし、唯と梓は顔を見合わせてバツの悪い顔をする。

唯「えーと……その……買い物だよぉ、りっちゃん」アセアセ

律「そんなに毎日行くわけばいだろッ!」

梓「い、言えません」

律「どうしてだよッ」

梓「どうしても、何を言われようが絶対に言えませんッ!」

梓が大声を出すと、律は少したじろいだ。紬は心配そうな表情で二人を見つめる。

澪「もういいだろ、律……」

唯梓「あッ」ゾクゾク

あの寒気が二人の背筋に走る。あの部屋へ転送される予兆の寒気だ。

紬「どうしたの?唯ちゃん、梓ちゃん」

梓「(て……転送が始まる……!早急に部室から出なくちゃ!!)」バッ

梓が椅子から立ち上がる。しかし極度の緊張で体が強張る。唯は口を開けて固まっている。

律「どうしたんだよ?」

梓「あ……(緊張して体が動かない~!)」パクパク

律「な~かのーーーッ!」ガシッ

律が梓にチョークスリーパーをかける。梓は体が動かせずされるがままになった。

唯「」

梓「(律先輩ッ!?放してくださいッ!!!)」パクパク

ジジジジジジジジジジジ

唯の頭部がゆっくりと消えていく。

澪「うわッ!ゆゆっゆゆ唯ィッ!?ああああ頭がぁ!??」

唯「こここ……これにはふか~いわけg」ブンブン

ジジジジジジジジジジジ

手を振って必死に言い訳するも、口元が転送されてしまい聞き取れなかった。

紬「梓ちゃんも!」

梓「律先p」

ジジジジジジジジジジジ

律「梓ッ!?どうなッてr」

梓の転送が始まった。梓を技を掛けていた律の頭部も転送が始まる。

紬「りっちゃんッ!」ガシッ

紬は思わず律の手を掴んで引き戻そうとした。しかし、

ジジジジジジジジジジジ

澪「ムギッ!?待ッてどこに行k」ガシッ

澪も紬の手に触れる。澪の視界から音楽室の光景が消えた。

ジジジジジジジジジジジ

シーン

音楽室には誰もいなくなり静寂が訪れた。

唯「はッ……!?みんなッ!!」バッ

ジジジジジジジジジジジ

梓「ゆ…唯先輩……」

唯「あ……あずにゃん」

唯はみんなに見られてしまったことに焦りを感じていた。梓とどうするか話しかけようとしたその時。

ジジジジジジジジジジジ

梓の首元に腕が出現した。見覚えのある服を着ている。見覚えのある所か唯自身も毎日着ている。
光線が高速で動きまわり、律の体を形成していく。

律「へ?」

続いて、ムギ、澪も姿を現した。

唯「りっちゃんッ?ムギちゃん?澪ちゃんまでッ!?」

ク「どうしたんだ一体」

ただならぬ事態を感じたクリスが駆け寄ってきた。梓が恐る恐るその質問に答えた。

梓「せ……先輩方が付いてきてしまいました」

律「な……なんだココは……」

澪「ひぃッ……(何あの黒い玉は?)」

紬「ここはいッたい……」

三人が怪訝そうな顔で唯と梓を見つめる。二人は観念して全てを打ち明けた。

~~~~~~~~~~

梓「と、いうわけです」

梓は包み隠さずに全てを話した。そして、長い沈黙が訪れる。

律「命を懸けた戦い……か………」

澪「」

澪は青白い顔をして律が触れていなければ気絶してしまいそうだった。

紬「ごめんね……澪ちゃん……私がりっちゃんに触ッたばかりに……」

律「いや、悪いのは私だ。私が梓に触ッていたからな」

紬「そんな……」

律「唯と梓も悪かッた。事情も知らずにわがまま言ッたりしてさ。でも、友達だから知ッておきたかッたんだ」

梓「いえ……そんなことないですよ。こちらこそすいません」

唯「みんなで生き残ろうッ!みんなで自由になろうッ!!」

唯が天井へ拳を突き上げた。四人がその拳を不思議そうにを見つめた。

紬「オーッ!!」

紬が遅れて拳を突きだす。それを見てみんな微笑んだ。

律「(とことん、前向きだよな。こッちは怖くて仕方がないよ)」

律「(でも、そのおかげで頑張れる。私も頑張らなきゃな!)」

あーたーらしーい あーさがきたー

無機質なテープのような音が部屋によく響く。

唯「始まッたよ」

澪「……」ゴクリ

オオカミ星人

特徴
つよい

好きなもの
人間

口癖
ワオーン

梓「オオカミ星人………」

唯「目つきするどいね」

ガシャン

不意に漆黒の玉が開く。

澪「ひぃッ!」ビクッ

律「よしッ!着替えるか」

澪「本当に着替えるのか?」ブルブル

律「私は二人を信じるよ」ガサゴソ

そう言うと、律はスーツケースを持ち、廊下に出て行った。

澪「………」

紬「なんかカッコイイね~この服」

紬は顔を輝かせながら、両腕を広げてみせた。

梓「もうすぐ闘いなのにずいぶん呑気ですね……」

律「ん?」ガチャ

律「なぁ、梓。こっちの部屋は開くぞ」ガチャッ

梓「本当ですか?」

梓が中を覗くとそこには大きな一輪の乗り物二台とプラスティックの様な棒が数本置かれていた。

律「なんだこれ……?バイクか……?」

唯「あーッ!これこち亀で見たことあるよ。たしかバイクだよ。ブレーキが掛けられないんだよね」

律「なんか本当に危ないな………」

律「………」スッ

キュウウウウウウン シュンッ

律が黒いスティックを手に取り、軽く振ると黒色の刀身が出現した。

律「おおッ!?刀かッ!」

澪「(私は梓が言ッてた捕獲用の銃でいいや)」カチャ

紬「これは……」ピッ

スウウウウウッ……

紬の姿が部屋の色に溶け込み姿を消した。

唯「ムギちゃんが消えちゃッたッ!!」

紬「えへへ~これすごいね。これ地図ッて教えてくれたけど透明にもなれるよ」バチバチ

紬は体中に電気を発生させながら姿を現した。

律「本当にこれは現実なのか……」

唯「みんなッ準備はいいッ?」

律「OKだッ」

澪「(やッぱり怖い……)」カタカタ

澪は体を寄せて体を震わせた。体の震えが止まらない。

律「………」

律「みーおッ!大丈夫だッて!二人とも二回も生き延びてるんだから」

律が澪の肩に手を乗せて緊張をほぐした。澪の怯えた表情が少し和らいだ。

唯「そうだよッ澪ちゃん!何かあッたら絶対に助けるからさッ!」ニコッ

澪「律……唯……」

律「(ありがとうな………唯……)」

ジジジジジジジジジジジ

梓「来ましたッ!」

ジジジジジジジジジジジ

一行が転送された場所は人々の行き交う街の通りだった。


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最終更新:2011年03月17日 02:26