――――

憂「ゆいにゃん、おいしい?」

猫「にゃあ、にゃあ!」

憂「そっかぁ、よかった」

憂「ゆいにゃんと一緒にご飯食べるの初めてだからなんか楽しいな」

猫「みゃぁ」

憂「いっぱい食べていいんだよ」ナデナデ

猫「にゃあ!」

憂「ふふ、可愛い」

ゆいにゃんのおかげで私は楽しく晩御飯を食べることができた


―――――

唯「おいしいー、あずにゃん凄くおいしいよ」

律「本当だな、梓、なかなかいあ腕してるぜ」

澪「だな、おいしいよ」

紬「そうね」

梓「あ、ありがとうございます///」

律「なんだ梓照れてんのか」

梓「ち、違います」アセッ

唯「あずにゃん、可愛いー」ギュッ

梓「ちょ、ちょっと、唯先輩///」


―――――

憂「ゆいにゃん、何して遊ぶ」

猫「にゃ、にゃあ」タタッ

憂「鬼ごっこかぁ、食後の運動にはちょうどいいかも」

憂「よーし」

憂「待って、ゆいにゃん」

猫「にゃあ!」タタッ

憂「ふふ」


―――

憂「もう逃げ場はないよ、ゆいにゃん」

猫「みゃぁ……」

憂「大人しく捕まりなさい」

猫「にゃぁ」タタッ

憂「つーかまえた」ダキッ

猫「みゃぁ……」

憂「えへへ……ってここお姉ちゃんの部屋だね」

憂「なんだかお姉ちゃんの部屋に入るの久しぶりだな」

憂「アルバム……久しぶりに見てみようかな」


―――

憂「私とお姉ちゃん、どれも仲がよさそうに写ってる」

憂「どっちかがどっちかにくっついてて……」

憂「これが私のお姉ちゃんだよ、ゆいにゃん」

猫「にゃあ!」

憂「……そっか、前にも教えたよね」

憂「昔はこんなに仲がよかったんだよ……昔はこんなにお姉ちゃんは私に構ってくれたんだよ……昔はこんなにお姉ちゃんに甘えることができたんだよ……」グスッ

―ポトッ、ポトポト

猫「にゃぁ……」ペロペロ


憂「お姉ちゃん、前まではもっと私のこと話してくれてたんだよ」グスン

憂「なのに最近は……ちっともそんなことない……」グスン

猫「みゃぁ……」ペロペロ

憂「昨日も今日もお泊まりが楽しみだってことばっかりで、私のことなんか全然気にかけてくれないんだよ」グスングスン

猫「にゃぁ……」ペロペロ

―ポトッ、ポトポト

憂「もっと私の事気にかけてくれていいじゃない、そんなの身勝手な思いだってわかってる」グスッ

憂「でも、それでも寂しいんだよぉ」グスングスン

猫「にゃぁ……」

―ポトッ、ポトポト

溢れてくる思い、そして流れてくる涙は、私にもゆいにゃんにも止めることができなかった


―――

この日私は涙が枯れるまで泣いていた

そばにはずっとゆいにゃんがいてくれた

誰かがそばにいてくれなかったら私は何をしていたかわからない

ありがとう、ゆいにゃん

そして私は泣きつかれてすぐに眠りについてしまった

私は何か夢を見ていた気がする、でもその内容を覚えていない……


――――

憂「……あったかい」ムニャ

憂「お姉ちゃん……?」ハッ

憂「ゆいにゃん……」

猫「………」スースー

目を覚ますとゆいにゃんが私の体に身を寄せるようにくっついていた

憂「ありがとう、ゆいにゃん」ナデナデ

憂「さてとご飯食べて洗濯したりしないと」

――――

憂「ゆいにゃん、ご飯だよー」

猫「………」スースー

憂「まだ寝てる」

憂「昨日ずっと起きててくれてたのかな」

憂「……ご飯ここに置いとこう」

憂「なんだか私も眠くなってきちゃった」

憂「することは済んだし、一眠りしようかな」

憂「おやすみ、ゆいにゃん」

――――

梓「えぇっ、もう帰っちゃうんですか!?」

律「今日は祝日だぞ」

唯「ごめんね、ちょっと心配事が……」

澪「心配事?」

唯「うん……」

紬「急ぐことなの?」

唯「うん、でもそれが済んだらまた戻ってくるから」

梓「そうですか……」

唯「じゃあ、私いってくる」

―――

唯「ただいまー」

唯(最近憂の様子がおかしい気がするし、気になって帰ってきちゃった)

唯「ういー、どこー?」

唯「あれ、いないや」

唯「部屋にいるのかな?」

唯「だったら荷物を自分の部屋に置いてからだね」
唯「ん?なんか憂の部屋からなにか聞こえるような、まぁいいや、開けちゃえ」

―バタン

唯「ういー」

猫「にゃ!!」

憂「………」スースー

唯「憂、寝てるの……ってあっ、猫さんだぁ」

唯「可愛い、おいでおいで」

猫「………」

唯「来ないんだったらこっちから行っちゃうよぉ」

唯「それ」ナデナデ

猫「しゃぁっ!」

唯「ほぇっ!?」

唯「そんなに恐がらなくてもいいんだよぉ」

唯「ほら、いい子いい子」グリグリ

猫「にゃぁっ!」ガリッ

唯「痛ーい!」

猫「にゃぁっ!」

憂「……ん?どうしたの、ゆいにゃん?」

憂「ってお姉ちゃん!?なんで帰ってきてるの!?」

唯「ちょっと用事があって……」

猫「にゃぁっ!」


唯「さっきからこの猫さん、ずっとこの調子なんだよぉ」

憂「えっ!?」

唯「ほぉら、よしよし」ナデナデ

猫「みゃぁ……」タタッ

―ダキッ

憂「………」

唯「あぁ……ねぇ、憂、私にもその猫だっこさせて」

猫「にゃぁ……」フルフル

憂「……駄目だよ」

唯「えっ……憂、今なんて言ったの?」

憂「駄目って言ったの」

唯「どういう意味?」

憂「お姉ちゃんにこの子はだっこさせられない、そういう意味に決まってるでしょ」

唯「どうしてー、憂の意地悪」

憂「それは……お姉ちゃんにはこの子をだっこする資格なんてないからだよ」

唯「えっ!?」

憂「お姉ちゃんにこの子の気持ち、そして私の気持ちなんてわかるわけないの」

唯「憂……?」

憂「この子は他の2匹の猫に置いていかれてとっても寂しそうにしてたの……それもこれ以上ないってくらいに」

唯「………」

憂「お姉ちゃんにその気持ちがわかる、わからないよね、でも私にはわかるの」

唯「憂にはわかる……?」

憂「うん、1人の寂しさ、自分に目を向けてもらえないつらさがね」

唯「憂は1人じゃないよ、私がいるよ」

憂「うそばっかり!!」

唯「えっ!?」

憂「そんなの戯れ言でしかないよ、だってお姉ちゃんの目は私になんか向いてないじゃない」

唯「憂……」

憂「家でする話は梓ちゃんや軽音部のみなさんの話ばかり……休みの日はいつも軽音部で遊んでばっかり……」

憂「私のことなんて全然眼中にないじゃない」

唯「それは……」

憂「それに今回のお泊まりだって、楽しみ楽しみ言うばっかりで1人になる私のことなんて少しも気にしてなかった……」

唯「………」

憂「私は……ずっと寂しかった」

憂「必要とされてないじゃないかって悩んでた」

憂「そんな時に会ったのがこの子、ゆいにゃんなの」

唯「ゆいにゃん……?」

憂「そうだよ、私にはこの子の気持ちがすぐにわかったの」

憂「この子と私は同じ気持ちだったから……」

憂「私とゆいにゃんはすぐに仲良くなれた」

憂「ゆいにゃんは私を必要としてくれた、そして私がつらい時にいつもそばにいて励ましてくれた」

憂「私は嬉しかった、そんなのもう味わえない……そう思ってたから」

憂「私はゆいにゃんといるときは寂しいなんて思わなかった……ゆいにゃんもそうだと思う」

唯「憂……」

憂「こう言ってもお姉ちゃんにはわからないかもね、ゆいにゃんの気持ちも私がどれだけ寂しいって思ってたかも!!」

憂「あっ……」

唯「憂……ごめんね、私……」

憂「聞きたくないよ、今はお姉ちゃんの言葉なんて聞きたくない!」

憂「………」

―タタッ

唯「憂!!」

猫「にゃぁ……」タタッ

―バタン

唯「行っちゃった……」


――――

――憂

最低だ

私は最低だ

この気持ちをよりによってお姉ちゃんにぶつけてしまった

自分勝手な気持ちだってわかってるのに

お姉ちゃんに悪気はないってわかってるのに

私はお姉ちゃんのことが大好きなのに……

流れる涙が止まらない

私は走り続けた……


――――

――唯

最低だ

私は最低だ

憂に寂しい思いをさせてるなんて気づけなかった

憂があんなに思い悩んでるなんて気づいてあげられなかった

私のたった1人の、かけがえのない、大好きな妹なのに

私にお姉ちゃんの資格なんてないね

ごめんね、憂

こんなお姉ちゃんでごめん……

―――

唯「追いかけないと……」

私は涙を拭って追いかけることにした

もう遅いかもしれないけど、もうどうにもならないかもしれないけど

私は何かしなくちゃいけない……そう思った

私のためじゃない

大好きな妹のために

私は走りだした……


――憂

私は公園でゆいにゃんとぼんやりしていた

考えるのはさっきのことばかりだ

なんであんなことを言っちゃったんだろう

でも言って正解だったのかな

いややっぱり駄目だよね

とかそんなことばかりを考えていた……今も考えてる

すると私の名前を呼ぶ声が聞こえた

梓「憂!」

憂「梓ちゃん……」

梓「どうしたの、こんなところでぼんやりして」

憂「えっ……何でもないよ……」

梓「うそばっかり!」

憂「えっ!?」

梓「何でもないわけないでしょ、そんなに目を真っ赤にしてるのに」

憂「それは……」

梓「憂、悩んでることがあるなら相談してよ、私達友達でしょ、私、憂の力になりたいの」

憂「梓ちゃん……ありがとう、あのね……」

憂「………ってことなの」

梓「そうなんだ……なんていうかごめんね憂、私……」

憂「梓ちゃんが謝ることじゃないよ、私が勝手に寂しがってるだけなの」

梓「憂……でも私は憂の気持ちわかるよ」

憂「えっ!?」

梓「私一人っ子だし、家ではちょっと寂しいなって小さい頃から思ってたの」

梓「高校に入って、軽音部に入部して先輩達と知り合ってからはその思いがより一層強くなったの」

梓「だからね休みの日は私が積極的に先輩方を誘ってたの、今回のお泊まりもそう……」

梓「だから憂がそんな気持ちになったのは私のせいかな」

憂「梓ちゃん……」

梓「憂、唯先輩の心のあったかさって一回触れると病みつきになっちゃうよね」

憂「うん」

梓「寂しくなるのもわかるよ」

憂「……うん」

梓「憂、欲しいものは自分で取りにいかないと駄目だよ」

憂「どういう意味?」

梓「唯先輩にそばにいてほしいなら自分で言わなきゃ」

憂「………」

梓「憂って唯先輩に遠慮してるところがあるでしょ」

梓「唯先輩が笑顔で楽しくやれるなら自分は我慢するって感じに」

梓「だから唯先輩が遊びに行くのを黙って見送ったりしてたんだよね」

憂「……うん」

梓「それじゃ駄目だよ、憂、もっと自分の気持ちに素直にならないと、自分の気持ちを大切にしないと」

梓「行ってほしくないときはきちんと言わないと『お姉ちゃん行かないで、私のそばにいて』って」

梓「唯先輩ならきっと笑顔で憂のそばにいてくれるよ」

憂「そうだね……こうなったのは私のせいだね」

憂「梓ちゃんありがとう、私、梓ちゃんの友達でよかった」

梓「憂……」

憂「私、お姉ちゃんに謝るよ、それで自分の気持ちを素直に言う」

梓「うん、それがいいよ、やっと憂らしくなったね」

憂「そうかな……」

梓「うん」ニコッ

憂「そういえば梓ちゃんは何でこんなところにいるの、みなさん梓ちゃんの家にいるんじゃないの」

梓「実は家の庭にいた野良猫が可愛くて、逃げたのを追ってたの」

ゆいにゃん「にゃあ!」

梓「えへへ、君みたいな猫だよ」ナデナデ

憂「そうなんだ……じゃあ、もう私行くね」

梓「憂、最後に1つだけ、唯先輩は憂のことをいつも気にかけてるよ」

憂「そうかな……」

梓「信じられないかもしれないけど私にはわかるの」

憂「……うん、そうだといいな」

憂「じゃあね梓ちゃん、ゆいにゃん行くよ」ダキッ

ゆいにゃん「にゃあ!」

梓「頑張ってね、憂」

梓「あっ、私も猫ちゃん探さないと」


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最終更新:2010年11月21日 21:07