キーンコーンカーンコーン


律「やべっ予鈴だ・・・!そんじゃ、二人とも、またな!」ダッ

澪「・・・どういうことだ?」

和「これって、元の世界に戻ってきてるってことじゃない・・・?」

澪「そう、なるよな?」

和「でも・・・どうして?」

澪「・・・みんな、恋が出来たから?」

和「・・・やっぱり、そうなるわよね?」

澪「でも・・・いきなり過ぎるよ・・・!」

和「澪、悲しんでいる場合じゃないわ」

澪「え?」

和「このまま、私達は放課後を迎えると・・・」

澪「・・・?なんだよ」

和「また、律が『恋がしたい』って言い出すわ」

澪「・・・!!」

和「変えないと。今日という二回目の時間を・・・!」

澪「でも、どうやって・・・」

和「恋をしていれば・・・恋がしたいなんて、言い出さないと思うわよ?」

澪「えっと、つまり・・・」

和「そう。あなたの出番よ、澪」

澪「やっぱり、そうなるよな・・・」

和「もう、逃げないんでしょ?」

澪「・・・ああ!」



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


律「(・・・あれ、メールだ)」

律「(澪から?なんだろ)」

律「(体育館裏・・・!?私、ついにボコボコにされるのか・・・!?)」

律「(冗談はおいといて。了解・・・っと)」

律「(それにしても、なんだろう・・・?)」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


放課後!


元の世界、あっちの世界。
色んなことがあった。
でも、それはこっちの世界ではリセットされているだろう。
私と律とムギ。唯と梓。和と憂ちゃん。
全部、この世界では未来のこと。

私は・・・律が好きだ。
あの世界に行って、それに気付いた。
きっと、みんなが気付いてないだけで、あっちの世界のみんなと気持ちのベクトルは変わらないはず。

本当のことを言うと、あの世界にもっといたかった。
戻る方法を突き止めても、戻るタイミングは自分達で見計らいたかった。
こんな突然戻されるとは・・・思ってなかった。

でも、あの世界にいつまでも縋っているわけにはいかない。
過ごした時間を、意味のないものにしたくない。

どこで過ごすか、じゃない。
環境を言い訳に、私は今まで逃げてきたんだ。

どんな風に過ごすか。大切なのは、そこ。

ザクッザクッザクッ・・・


律「よっ!」

澪「律・・・!」

律「で、話ってなんだ?」

澪「律、私・・・」


私達が変われば。


澪「律のことが、好きなんだ」


世界は変えられる。






fin.




その後…


律「えっと・・・なんだって?」

澪「だから、好きなんだよ。律、お前のことが」

律「澪・・・本気で、言ってるのか?」

澪「ああ」

律「マジ?」

澪「マジもマジ。大マジだ」

律「・・・私達は、女同士なんだぞ?」

澪「それもわかってる」

律「だったら・・・!」

澪「それでも・・・どうしてもお前じゃなきゃ駄目なんだよ、律」

律「・・・そっか」

律「少し・・・考えさせてくれないか?」

澪「ああ」


~~~~~~~~~~~~~~~

夜~律の家~


律「(澪が、私のこと好きだったなんて・・・)」

律「(っていうか、澪が告白なんてな・・・)」

律「(柄じゃないこと、してくれんじゃん)」

律「(普通、こういう場合私から・・・って、何考えてるんだ、私は)」

律「(澪、なんかいつもと違ったな・・・)」

律「(なんていうか、一皮向けたというか、成長したというか・・・)」

律「(でも・・・わかってるぜ、澪)」

律「(お前だって、怖かったんだよな?勇気、振り絞ったんだよな?)」

律「(友達じゃない関係・・・恋人、か・・・)」

律「(そもそも私、澪とキスとかできるのか?)」

モンモン

律「(・・・駄目だ。容易に想像できる・・・)」

律「(もっと、こう・・・レベルの高い恋人同士のコミュニケーションは・・・)」

律「///」

律「何考えてんだ、私///」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

次の日~部活の帰り道~


律「なあ、澪?」

澪「なんだ?」

律「昨日の返事なんだけど・・・」

澪「ああ・・・!どうだ?」

律「・・・友達からってのは、どうかな?」

澪「いや、今も友達だろっ(あっちの世界で全く同じツッコミをお前にされたよっ)」

律「えっと・・・そうじゃなくて、付き合うのを前提とした友達っていうのかな」

澪「つまり?」

律「私、澪の気持ちに応えられるか、わからない。でも、できるなら、応えたい」

澪「それが、答えじゃないのか?」

律「へ?///」


澪「だから、その気持ちで十分だってこと」

律「そ、そうか?」

澪「うん。なあ、律。私が律にキスしたら、その・・・イヤか?///」

律「それが・・・全く嫌じゃないんだな、これが」

澪「!!」

澪「じゃあ、そうだな・・・。例えば、唯とキスできるか?」

律「・・・」

律「したいとは思わないけど、されるくらいなら有りかも知れない」

澪「(駄目だこいつ・・・!元々遊び人の素質あったんじゃないのか!?)・・・そっか」

律「って、何言わせるんだよ!」

澪「あ、ああ、ごめん」

律「とにかく!」

澪「?」

律「・・・これから、よろしくな?」ギュッ

澪「(また、手・・・///)・・・ああ!」ギュッ


澪「ああ、そうだ、律」

律「うん?なんだ?」

澪「浮気したら・・・わかってるな?」

律「し、しねーし!」

澪「わかってるならいいんだけど」

律「澪こそ、あんま可愛いとこ、他のヤツに見せるなよ?///」

澪「(律、かわいい///)・・・わかってるってば」


夕暮れ、歩き慣れた道、律の横顔。
私の中の『当たり前』が、今日は全て違って見えた。
何処かから漂ってくる夕飯の匂い。

澪「(この家の夕飯は・・・焼き魚かな?)」

いつか嗅いだ筈のその匂いが、鈍色の記憶を連れてくる。
二人の少女、二つの影。
それは紛れもなく、幼い頃の私と律だった。
そう、色褪せた古い記憶の中にも律はいた。

律「おい、澪?どうしたんだよ、ニヤニヤして」

声を掛けられて、ふと視界に色が戻る。
あの日と変わらない律の体温。
手を繋いでいる私達の影は、一つだった。

澪「・・・なんでもないよ」クスクス

律「なんだよー!何にもないなら笑うなよー」

澪「律」

律「なんだよ」


チュッ


律「~~~!!////」カアアアア


世界は変えられる。


澪「好き。・・・大好き」


今も、変わり続けている。






Fin.





最終更新:2010年01月07日 06:08