唯「うえ゛っ゛……ひっ……グスッ……ええ゛……」

唯「あず……にゃあ゛……ん……あずにゃあん……」

唯「ごめん……ねえ゛……グスッ……あ゛ぁ……ごめぇん……な゛ざぁい゛」

唯「いま゛……いま、いぐがらあ゛……」

カタタタタッ

唯「んえ゛っ゛……はぁっ……リストカットって……いたいのかなぁ……」



…………

律「……でさー」

澪「お前、それは……」

紬「まあまあまあ……」

梓「でもそれって……」




律「唯……、お前なんかあったのか?」

唯「……なんで?何もないよ」

梓(……おかしい、雰囲気がいつもと違いすぎる……全然楽しそうじゃないし……)

梓「……何もないなんてこと無いでしょ。どうしたんですか」

唯「……」

梓「……?」

唯「……あんたには関係ないでしょ」

梓「……!」

律「え」

紬「ふぇ?」

澪「ゆっ……?」

梓(ゆ……ゆいせんぱ……)

唯「……」

ツカツカツカ

唯「……」

梓「あ……あの……」

唯「ちょうどいいや……私、中野さんに話あったんだあ……」

梓「な……なんで中野なんですか……?」

唯「……大事な話だからだよ」




梓(唯先輩、こんなに近くにいるのに抱きついてこない……)

梓(それに顔……無表情ですっごく怖い……)

梓(で、でも唯先輩が私を見下ろしてて、私が唯先輩を見上げてて……)

梓(まるで……今から、その、き……キスするみたい///)ドキドキ


唯「私あんたのことずっと嫌いだったんだぁ」

梓「……えっ」

唯「……ずっとムカついてたんだぁ……」

唯「あんたいつも偉そうにして……」

唯「後輩が自分一人しかいないからって調子こいてんじゃないの?」

梓「そ……そんなこと……」

唯「それにさぁ……」

ガシッ

梓「っ!」

唯「あんたいつも私のことバカにしてんでしょ?」

梓「な…んで」

唯「私より頭も良いし、ギターだって上手いしさぁ」

梓(や……やだ、ゆいせんぱい)

唯「顔だって私なんかよりずっと可愛いし……」ギュッ

梓(や……手首……痛い……)ウルッ

唯「他にも私よりずっと良いとこだらけだし……」

唯「……ずっと私のこと見下してたんでしょお?」

梓「やっ……やだあ……」ポロ……ポロ……


律「っ……おい!唯やめろ!」ダッ

ガシッ

唯「っ!……」ガタン

梓「ふぇえ゛……っ……う゛え゛ぇっ……」グスッ

澪「梓!……大丈夫か?」

紬「どうしたの唯ちゃん?梓ちゃんと何かあったの?」

唯「……どうもこうも、今言った通りだよ」

唯「私は、中野さんのこと大嫌いなんだよ」

律澪紬「……!」

梓「……!……うえ゛え……っええ゛え゛え゛え゛……」ボロボロ

律「……ゆいっ!」ドンッ

唯「……っ……ごめん、私今日帰るね」

律「おい待て!梓にあやまれ!」

唯「……じゃあ、またね」

ガチャ バタン

梓「ぅえ゛ぇ……ヒッグ……うわ゛あ゛ええ゛え゛え゛ぇん……」ボロボロ

澪「あずさあ……あずさあ……」オロオロ

紬「梓ちゃん、大丈夫だからね。大丈夫」サスリサスリ

梓「う゛ぇ・・・っ…ヒッグ…はぁ…ぐすっ……」ボロボロ

律「……唯のやつ、いったいどうしたんだ……」

澪「梓、唯と昨日なんかあったのか?」

梓「ううっ……ヒッグ……グスッ……いいえ……はぁ……なにも、ありません……」

紬「じゃあ何で唯ちゃん……あんなこと……」

梓「わだしっ……ヒッグ……ゆいせんぱいにぃっ……はぁ……嫌われてるんですか……」

澪「……そんなことないよ」

律「きっと唯のやつなんかイライラしてたんだよ」

紬「そうでもなきゃ梓ちゃんにあんなこと……」

梓「グスッ……そう……ですかね……」

梓(でも……いくらイライラしてるからって……あそこまで……)


……次の日……

ガチャッ

梓「……こんにちはー」

唯「……」

梓(あっ……唯、先輩と……二人きり……)

唯「……中野さん」

梓「はっ……はい!」ビクッ

梓(……中野さん……)

唯「……どうしたの?はやくこっちきなよ」

梓「は……はい」


唯「……」

梓(……ううっ……唯先輩 一言もしゃべらないし顔怖いよぉ……)

唯「……中野さん」

梓「はいっ!」ビクッ

唯「どうしたの?何か言いたいことあるの?」

梓「い……いえ別に……」

唯「そう……」

梓「……あの!」

唯「……なに」

梓「わ……私、唯先輩に……何か怒らせるような事したでしょうか……?」

唯「……中野さん」

梓「……はい」

唯「……言いたいこと、あったんじゃん」

梓「え……あっ……」


梓「あ……う……ごめんなさい」ジワッ

唯「まぁいいよ、あずにゃんが私をを怒らせることだっけ?」

梓「……はい」グスッ

唯「……別に、何もしてないよ」

梓「……え」

唯「ただね、昨日言った通り」

梓「……」

唯「私はね、中野さんの事が大っ嫌い、なんだよ」

梓「……!」

唯「ていうか、すぐにそうやって泣くところ?そこも嫌いかも」

梓「……っ……グスッ……」ポロ……ポロ……

唯「……でもね、中野さん。私に嫌われても泣かずに済む方法があるんだよ?」

梓「っ……グスッ……ふぇっ……?」

唯「……中野さんも、私のこと大嫌いになれば良いんだよ」

梓「……え」

ガチャッ

唯「……りっちゃんたち、来てたんだ」

律「お前、梓になんて言った」

唯「やーん♪ りっちゃんのいけずぅ そんな怒っちゃいやあん♪」

律「ふざけんな!梓がどんな気持ちでお前に話かけたかわかってんのかよ!」

唯「わかってるよお……だから答えてあげたんじゃん」

紬「唯ちゃん……!なんで……」

唯「……もぉ、何回も言わせないでよお。だから私は中野さんが……」


澪「もうやめてえっ!!」

唯「……!」

澪「もうやめてよおっ……グスッ」ポロ……ポロ……

律「澪……」

梓「……みなさんごめんなさい、私今日帰りますね」

紬「梓ちゃん……」

唯「あーあ、中野さん練習せずに帰っちゃうんだー。調子こいてるー」

ガタン!

律「……お前黙ってろ」

唯「……」

梓「……唯先輩」

唯「……なに?」

梓「……私、唯先輩の言うとおりにします」

唯「……え?」

律澪紬「……?」

梓「……私、唯先輩のこと大嫌いになります。……どこか見えないところに行ってください」

唯「……!」

律「おい……」

澪「ちょ……ちょっと」

紬「あ、梓ちゃん!?」

梓「……じゃ、そういうことで」

ガチャ バタン

律「……おい、梓止めにいくぞ」

澪「あ、ああ……」

紬「梓ちゃん……」

唯「……」

律「……唯、お前はここにいろ」

唯「……なんで?」

律「……いいから」

澪「おい、早くしないと……」

律「ああ、行こう」

ガチャ バタン



唯「……」

唯「くふふふふ……あはははははは!」

唯(あーあ、とうとうあずにゃんに「大嫌い」って言われちゃった)

唯(ま……これでよかったんだよね)

唯(私、普通じゃないから……嫌われる前に嫌いになってやったんだよね)

唯(気持ち悪がられて避けられるより……こっちの方がマシなんだよね……)

唯「あははははははは」

唯「あははははっあ……あ゛ははは……」ポロ……ポロ……



唯「うえ゛っ゛……ひっ……グスッ……ええ゛……」ボロボロ

唯「あず……にゃあ゛……ん……あずにゃあん……」

唯「ごめん……ねえ゛……グスッ……あ゛ぁ……ごめぇん……な゛ざぁい゛」

唯「いま゛……いま、いぐがらあ゛……」

カタタタタッ

唯「んえ゛っ゛……はぁっ……リストカットって……いたいのかなぁ……」


「なにやってるの!!」


唯「……ふえ?」

紬「唯ちゃんやめてえっ!」ガシッ

唯「っ!……はなして!はなしてよぉっ!わた……わたしあずにゃんに言われたもん」

唯「「どっか行ってください」って!だから、わた、私……」

パァン!

紬「……!」

唯「あ……」


さわ子「……落ち着きなさい」


紬「さわ子先生……」

唯「さわちゃん……なんで」

さわ子「はぁ……廊下を歩いてたらたらムギちゃんが校内をウロウロしてて」

さわ子「事情を聞いて私も部室に来てみたら、あんたがカッター持ってオイタしてるの見つけたの」

唯「そう……なんだ」

さわ子「……さ、何があったか話してもらおうかしら」

唯「……」

紬「わ……私、梓ちゃん探してきますね」タッ

唯「……待って、ムギちゃん」

紬「っ!……」

唯「……ムギちゃんも聞いて……」

さわ子「……話した内容については絶対に口外しないわ、約束する」

紬「……私も……誰にも言わない」

唯「うん……ありがと」



…………


唯(……あれから一週間かぁ……)

唯(あれから全くあずにゃんと喋らなくなったなぁ……)

唯(それにみんなもあのことに関しては何も言わなくなってきたし……)

唯(毎日練習もお茶もしてるけどみんな雰囲気暗いし……)

唯(って……私のせいか……はは……)


律「……梓のやつ遅いな」

澪「そうだな……」

紬「何かあったのかしら……」

唯「……」

紬「……唯ちゃん、なにか知らない?」

唯「っ……なんで?」

澪「いやホラ……憂ちゃんから聞いてたりとか……」

律「おいお前ら……」

澪紬「あっ……」

唯「……憂と家でそんな話するわけ無いじゃん」

唯「私は……中野さんのこと大嫌いなんだよ?」

律澪紬「……」

ガチャッ

梓「……こんにちは」

唯「……」

澪「あっ、梓 遅かったな」

紬「今お茶出すわね」ガタッ

梓「いえ、結構です」

澪「梓、そう言わずにさ……」

梓「……今日はすぐにいなくなりますから」

澪紬「……え?」

唯「……?」

梓「律先輩」

律「……おーう、どした?」

梓「……これ、受け取ってください」サッ

律「おいおいラヴレターかよ……りっちゃんモテモテだなあ……」ピラッ

梓「……」

律「……おーい、梓 これ間違ってるぞー。何だよ今さらドジっ子キャラに方向転換かー?」

梓「……いえ、それで合ってます」

律「……これでホントにいいのか?」

梓「……はやくしてください。外で憂と純が待ってるんです」

澪「……なんだよ、何持ってるんだよ、律」

律「んー? ああコレ?」ピラッ

澪「え……」

紬「えっ……」

唯「!……」



梓「……退部届けです。今日をもって軽音部を辞めさせていただきます」


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最終更新:2011年04月04日 20:45