ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
唯「綺麗だね……」
梓猫「にゃあっ………」
ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
唯「このまま…時間が止まってしまえばいいのに……」
梓猫「にゃあ~………」
ヒラヒラ…‥ヒラヒラ…‥
唯「あずにゃん、ごめんね……」
唯「私はもうすぐ、行かなきゃ――………」
ヒラヒラ…… ヒラヒラ‥‥‥
梓猫「にゃあ……っ、」
梓猫「にゃああ~!!………っ にゃあああ~っ………!!」
梓猫「にゃああ~………‥」
唯「あずにゃん………」
唯「……。あのね、あずにゃんに、お願いがあるの…」
梓猫「にゃぁ……?」
唯「憂の事、なんだけど…」
梓猫「にゃあ………」
唯「憂はきっと、独りでは耐えられないと思うの…」
唯「だからあずにゃんに、憂の事を支えててもらいたいの」
唯「私が帰るまでの間… 憂の事、見ててくれないかな?」
梓猫「………、、にゃあ~……」
唯「あずにゃん……」ギュッ
梓猫「にゃあ~………」
唯「私はちゃんと帰ってくるから……」
梓猫「にゃあ……」
唯「………ねぇ、しっかり掴まっててね?」
梓猫「にゃ?……」
………っ
………バサッ..
梓猫「……っ!(翼がっ…!?)」
唯「行っくよ~?……」
タンッ!…
バサッ……バサッ………
…………~~
梓猫(飛んでいる....)
梓猫(雲を… 突き抜けてゆくっ………!!)
――――………~ッ
唯「そぉ~れっ……!」
梓猫「………っ!!」
梓猫(これがっ……空の世界ッ………)
バサッ……バサッ……
………
梓猫(青白く光る満月…)
梓猫(どこまでも透き通った彼方の空…)
梓猫(雲の海が泳いでいる…)
梓猫(静かで……ただ、風が強く鳴いている………)
バサッ……バサッ……
梓猫(星も、月も……)
梓猫(何も無いと……こんなにハッキリと輝いてるんだ…)
唯「あずにゃん、私ね…」
唯「私は……半人前の天使なの…」
梓猫「にゃあ?……」
唯「私は、一度帰らなくちゃいけないの……」
梓猫「………」
唯「ちゃんと、一人前になって帰ってくるから…」
梓猫「にゃあ………」
唯「しばらく、待っててね?……」
梓猫「にゃあ!………」
唯「ふふっ……」
唯「私、この世界に来れてよかった……」
唯「みんなに、出会えて……良かった!………」
……………
憂「…………」
憂「お姉ちゃん………」
――ガチャッ..
唯「憂ぃ、ただいまー!」
梓猫「にゃあ!………」
憂「お姉ちゃん、おかえり~…って、どうしたの??その猫…」
憂「…………えっ?」
憂「…………」
憂「…………嘘っ…」
憂「………、梓ちゃん…なの?」
梓猫「にゃあ……っ!」
唯「……、憂には分かるんだね……」
唯「憂は、本当に凄いなぁ……」
唯「なんでも出来て、とっても優秀で……」
唯「こんな事にも、気付くなんて………」
唯「私、憂にはいつもビックリだよ?……」
憂「……違う。そんなんじゃないよ!………」
憂「だって……梓ちゃんは!」
憂「私の、一番の親友だからっ!……」ぽろぽろ
唯「憂ぃ…」
唯「…………」
唯「私ね、もうすぐ行かなくちゃいけないの……」
憂「………っ、ヤダ!」
憂「お姉ちゃん、行っちゃやだーっ!!」
唯「憂ぃ……」
唯「憂は、優秀だから…私が居なかったら、きっと…何でも出来るよ?…」
憂「…………っ」
憂「やめてよっ……!そんな言い方しないでよっ……!」
憂「私は、いつも言ってるでしょ…?」
憂「私は何もいらない…何も望まない…」
憂「ただ、お姉ちゃんが居てくれたらそれでいいって……!」
唯「憂ぃ………」
憂「初めて会った、あの時から――…!!」
―『…以上が神様からの伝言です。』
―『あなたの望むものを叶えて差し上げろ、との事…。』
―『ねえ、何で君はそんなに恵まれるのに、泣いているの?』
―『そんなに才能に溢れているのに、どうしてそんなに悲しい顔をしているの…?』
――私は、何かがしたいわけじゃないよ……
―『…望むものを与えろ、との事。何か欲しいものはないの…?』
――だったら、天使さんが欲しいなっ!
―『ほえ……?』
――うんっ!!
―『――わ、私ぃ…?!』
――ダメかなぁ…?
―『…む、無理だよぅ。』
――私はべつに何もいらないから、天使さんが欲しいな…。
―『で、でも私…この世界の事よく分からないし……』
――私が全部面倒見てあげるから!
――だから天使さん、私のお姉ちゃんになってください!!
―『う、う~ん……』
―『わ、わかったよぅ……』
――天使さんっ、天使さんっ!!
――これ作ったの、食べてみてっ!
―『わぁ~、憂の作ってくれるご飯は美味しいなぁ~』
――天使さんっ、天使さんっ! コレ一緒に食べようっ!
―『わっ!何これ、冷たくて美味しい~!!』
――天使さんっ!天使さんっ!
――あのねっ、あのねっ!……
―『もぅ、憂ったら…』
―『私たち、姉妹になったんだから…これからはお姉ちゃんって呼んで…?』
――うんっ、お姉ちゃん…?
――お姉ちゃんっ……!お姉ちゃんっ……!
憂「お姉ちゃんっ…!」ぽろぽろ
憂「お願い…………」
憂「何処にも行かないで………」
憂「お姉ちゃん……っ!!」ぽろぽろ
唯「……憂ぃ」
唯(こんなに何でも出来る子が…)
唯(こんなに才能に溢れた子が…)
唯(望んだものが…ただ、人の温もりだったなんて………)
唯「憂ぃ…っ!」ギュッ
唯「今日は一緒に眠ろう…?」
唯「朝まで……ぎゅってしてあげるからっ!」ぽろぽろ
梓猫「にゃあ……!」
唯「うん…、あずにゃんも一緒に、ね…?」
……
唯「憂ぃ……」
唯「私、ちゃんと帰ってくるから…」
憂「お姉ちゃん……」
唯「あずにゃんと、一緒に待っててくれる…?」
憂「えっ………」
唯「一人じゃない………、二人で……帰りを待っててほしいの……」
憂「お姉ちゃん………」
唯「大丈夫、私は必ず帰って来るから――」
憂「うん………」
唯「帰って来たら、3人で暮らそうよ?…」
憂「うんっ………」
唯「約束、だからね?……」
………
― 発表会 …
律「よ~し、行くぞ!みんなっ」
梓「はいっ……!」
澪「絶対に成功させようなっ…!」
紬「あれだけ練習したんだもの…ね、唯ちゃん?」
唯「うん、いっくよ~!!」
――タンッ♪
――♪♪―――♪♪♪
――♪♪♪…
……沢山の事があった...
……色んな事を知った...
――♪♪♪――♪♪
……音が混じり合う...
……みんなの音が重なり合う...
……様々な想い出が溢れてくる...
――♪♪♪―――♪♪
……私、この世界に来れて良かったよ...
……みんなに出会えて良かったよ...
……けいおん部に入れて、良かったよ...
唯「みんな……ありがとう………っ!!」
………
律「みんなお疲れーっ」
澪「大成功だったなっ!」
唯「………」
和「あんたたち凄いじゃない、観客も騒いでたわよ!」
憂「………」
紬「そろそろ、か………」
さわ子「いやー、私も聞いててなんだか感動しちゃって……ってあれ?どうしたの??」
梓「………」
唯「……、私……」
唯「そろそろ行かなくちゃいけないの…」
律「行くってドコにだ…?」
澪「何か寄る処でもあるのか…?」
唯「ううん……」
唯「私は、帰らなくちゃいけないの……」
さわ子「どういう事…?」
憂「お姉ちゃん!!」ガバッ
憂「必ず、帰ってきて…」
梓「……先輩…」
梓「私…、ずっと待ってますから…」
梓「ずっと、ずっと…待ってますから……!」ぽろぽろ
唯「憂……、あずにゃん………」
唯「みんな、ありがとぅ………!」
和「……ッ! 唯…あんた、翼がっ?!」
律「……えっ、どういう事?」
澪「……唯、本当に行ってしまうのか……?」
紬「唯ちゃん……私はここで待ってるわ」
紬「みんなと一緒に、此処で唯ちゃんの帰りを待ってるからっ…」
唯「うん……!」
唯「みんな…私、けいおん部に入れて良かったよ!」
唯「また、一緒に演奏しようねっ!」
唯「バイバイっ……!」
憂「………っ」
憂「お姉ちゃんーーっっ…………!!!」
梓「…………先輩…」
律「……行ってしまった……」
澪「唯って、天使だったのか……?」
憂「………うぅ…グスッ」
梓「………、憂…」
梓「一緒に、唯先輩の帰りを待ってよう…?」
梓「先輩は……必ず帰って来るから……」
紬「………憂ちゃん…」
紬「一緒に、けいおん部に入らない?」
律「おぅ、唯の残していったギー太もあるぜっ!」
澪「………みんなで唯のために一曲、作ろうか」
憂「紬さん、律さん、澪さん……」
憂「……はいっ……」
梓「ありがとう………」
梓「私、待ってますからね…………?」
梓「ずっと、ずっと……………」
おしまいっ!
最終更新:2010年01月07日 18:48