───ライブ終了後、部室
澪「みんな……本当に良かったよ」
純「ありがとうございます」
律「うんうん、さすがだ」
紬「感動したわぁ」
憂「あの…お姉ちゃんは」
澪「ああ、トイレに行くって」
憂「…」
和「憂、どう?」
憂「?」
和「新しく生まれ変わったって感じ?」
憂「ううん、そんなこと」
和「なんだか寂しいわ」
憂「和ちゃ…さん」
和「ふふ」
律「よーし!それじゃあ、みんなで打ち上げ行こうぜー!」
澪「唯を待たないと」
憂「あっ、すみません、私は…」
律「唯と2人で帰る?」
憂「えっ…はい」
澪「そっか」
憂「ごめんなさい…」
律「いいよ」
和「じゃあ、憂、じゃあ先行くよ」
純「終わったらおいでよ~、憂」
憂「うん!」
梓「憂、ありがとね」
がちゃん
憂「…」
憂(お姉ちゃんに何て言おう)
ざー…
憂(雨だ…)
憂「……あめあめ ふれふれ かあさんが」
憂「じゃのめで おむかえ うれしいなぁ」
* * *
ざー…
憂(お姉ちゃん遅いなぁ…)
憂(帰っちゃったのかな)
憂「…」
───
──────
和「憂、分かってるの?」
憂「え?聞こえない…」
和「やれやれ」
憂「本当に聞こえない…」
和「憂…」
憂「…ごめんなさい」
和「憂も苦しいのは分かるけど」
憂「…」
和「唯は別に憂から離れようとかそんなつもりはないのよ」
憂「…分からないなぁ」ぐす
和「何が?」
憂「お姉ちゃんは私をどう思ってたんだろ…」
『ういのかんびょうならぜんぜんへーき!』
『わたしはなーんにもしてないよ、ういもいつもありがとう』
憂「私が手がかかる妹だからお姉ちゃんは」
和「…」
憂「お姉ちゃんは私から離れたかった?」
憂「でもね、いつまでも一緒にいたいって…」ぐす
和「…憂はどうなの?」
憂「私?」
和「憂はどう思ってるの?伝えなきゃ、姉妹でも分からないわよ」
憂「私はお姉ちゃんとずっと2人でいたい」
和「それが正しいのか、私には分からないけどね。伝えないと」
憂「伝える…」
和「唯だってあの子なりに悩んでたのかもしれない。かも、だけどね」
憂「そっか…」
──────
───
憂(伝えた、んだけど…)
憂(やっぱりだめだった……)ぽろ
憂「ふふ……でも」ぐす
憂「私だって、お姉ちゃんだけじゃない」
憂「お姉ちゃんがいなくても平気だった」
憂「お姉ちゃんなんていなくても」
憂「…全然平気だった」
がたっ
憂「!?」
たったったっ……
憂「…」
憂「なんだかスッキリしたなぁ」ぽろぽろ
きーんこーんかーんこーん
憂「もう7時だから…帰ろ」
* * *
───平沢家
憂(お母さんたちはライブ観てすぐ旅行に行ったんだ)
憂(せっかくお寿司頼んでたのに……お姉ちゃんと食べたかっ…)
憂(…お姉ちゃんだって忙しいんだからしょうがないよね)
憂「よいしょ」すわりっ
憂「…」もぐもぐ
憂(食べきれないや)ぽろぽろ
ぴんぽーん
憂「…」もぐもぐ
ぴんぽーん
憂(しつこいなぁ)すたすた
憂「…」のぞき
憂「!!」
憂(お姉ちゃん…)
憂(どうしよう…)
憂(…よし!)
がちゃ
憂「お姉ちゃん!」
憂「あれ?いない…」
唯「ばぁ!」
憂「うぅ……」ほろっ
唯「ただいま、うい」
憂「お姉ちゃぁん…」ぽろぽろ
唯「えへへ~…遅くなってごめんね」
* * *
唯「ん~♪おいし~」
憂「いっぱいあるから、どんどん食べてね」
唯「うんっ」
憂「お姉ちゃんのためにいっぱい注文したんだ~」
唯「これ食べていい?」
憂「うん!」
憂「律さんもいないし、お姉ちゃんがこのお寿司全部食べていいんだよ~」
唯「えへへ~…ういも食べよ」
憂「うん!」
唯「…」
憂「おいしいね~」もぐもぐ
* * *
───憂のベッド
唯「今日はこのまま泊まっちゃお」
憂「うんっ」
唯「…」
唯(ういの部屋に飾ってあった写真が全部なくなってる)
唯「うい…」
憂「?」
唯「ごめんね、今まで迷惑かけて」
憂「…」
唯「ういは優しいからね、わたしの歌になんか返さないとってういは…」
憂「そんなわけじゃないのに…」
唯「ふふ…」
───
──────
唯「ギー太取りに戻ってたら遅くなっちゃった…」たったっ
唯「うい待っててくれてるかなぁ」
唯「うい~」そっ
「お姉ちゃんがいなくても平気だった」
唯(うい…)
「お姉ちゃんなんていなくても」
「…全然平気だった」
唯(聞きたくない)だっ
* * *
唯「もしもし、和ちゃん?」
和「あら唯?憂も一緒?」
唯「えっと……みんな今どこにいる?」
和「学校のそばのイタリアンにいるわ、待ってるわよ」
* * *
唯「お待たせ~」
澪「あれ?憂ちゃんは?」
唯「先に帰るって」
和「そんなわけないわ、唯、どうして一人で来たの?」
唯「だって…」
律「行きなよ、唯」
梓「なら私も…」
紬「ううん、梓ちゃんはここに」
梓「ムギ先輩…」
和「唯、あとで後悔するから早く」
唯「…分かったよ」
──────
───
唯「やっぱりういには敵わないや」
憂「敵わないって?」
唯「ううん、私は一回逃げちゃったから」
憂「…」
唯「ういはこうして私を待っててくれたのに…」
憂「そんなことないよ、お姉ちゃん」
唯「ういの歌、良かったよ」
憂「お姉ちゃんのおかげだよ」
唯「そっか」
憂「…」
唯「懐かしいね」
憂「?」
唯「そこの紙。筆談。うい、残しておいたんだね」
憂「お姉ちゃんとの大切な思い出だし…」
唯「思い出かぁ」
憂「お姉ちゃん、あのね」唯「ういが元気そうで良かったよ」
憂「お姉ちゃんも」
唯「ういがあんなに楽しそうに歌ってるのみたらなんだか辛くなっちゃって」
憂「どうして」
唯「結局離れてみて分かったけど、ういは今が1番楽しそうだから」
憂「お姉ちゃん、私はお姉ちゃんに伝えられたことが嬉しかったよ」
唯「…?」
憂「お姉ちゃんと同じ舞台で」
憂「お姉ちゃんと同じ方法で」
憂「お姉ちゃんに私の想いを伝えられたことが」
憂「お姉ちゃんに届いた気がして」
唯「明日になったら私は帰っちゃうよ」
憂「うん」
唯「いいの?」
憂「あと少しの辛抱だから…それにね」
唯「なぁに?」
憂「私はお姉ちゃんがいなくなって、お姉ちゃんにどれだけ助けられてたか分かったよ」
唯「うい…」
憂「お姉ちゃんのU&Iが本当に分かったんだ」
唯「うん」
憂「だからお姉ちゃんはやっぱり私のお姉ちゃんだなって」
唯「うい…」ぎゅ
憂「離れててもずっと一緒だよ」
唯「うい……もういいよ」
憂「うぅ…」ぐす
唯「我慢しなくていいのに…」なでなで
憂「落ち着いてお姉ちゃんに伝えたくて……」
唯「ありがとう、うい」
憂「うん…」
唯「疲れたでしょお」
憂「少しだけ…」
唯「おやすみ」
憂「あ、待って」
唯「?」
憂「タイトル言い忘れてたんだ、お姉ちゃん」
唯「なぁに?」
憂「お姉ちゃん」
ありがとう
おしまい
最終更新:2011年03月18日 23:11