―律達の町―
律「はあ…、何で変身できなかったんだ…?」
澪「…」
律「おい、聞いてるのかよ」
澪「私、こっちだから」
律「…ああそうかよ!バーカバーカ!お尻ペンペーン!」
律「…一緒に行ったほうが近いのに…」
―翌日・部室―
律「…」
澪「…」
梓「あの…、どうかしたんですか?律先輩と澪先輩…」
唯「うう…、今日一日ずっとこんな感じ何だよ~」
梓「喧嘩でもしたんでしょうか…」
澪「梓…。何か言ったか?」
梓「ひっ!」
律「私達は喧嘩なんかしてないぞ?」
澪「ああ」
梓「そ、そうですか…」
律「でも、今日はなんか空気が悪いからもう帰る」ガタッ
澪「ああそうか。私もそうしようと思ったところだ」ガタッ
唯・梓「ひいい…」ガタガタ
律「…マネすんなよ」
澪「…お前だろ」
律・澪「ふんっ!」
バタン
唯「こ、怖かった…」
梓「あ…、唯先輩…、ふたりとも同じ方向なのに分かれていきますよ…」
唯「何があったんだろ…」
―澪の家―
澪「…」
澪「何で叩いたりしちゃったんだろ…」
澪「律…」
テレビ「今日の昼、また謎の物質が原因とみられる事件が発生しました…」
澪「!」
澪「場所は…、この町じゃないか!」
澪「…」
澪「やっぱりほうっておけない!」
澪「ちょっと出かけてくる!」
―事件現場―
澪「はあ、はあ…。けっこう時間かかっちゃったな…」
澪「ん?あれは…」
律「…」
澪「…おい」ポン
律「!」ビクッ
澪「…何驚いてるんだ」
律「う、うるさい!それより何しにきたんだ!」
澪「ニュースで事件のことみてな…」
律「…私もだ」
律「ったく…。変身もできないのに何しにきたんだか」
澪「律…、あのさ、私お前に言いたいことが…」
律「まて…。誰かくる」
紬「あれ?りっちゃんに澪じゃない。こんばんは」
澪「ムギ?こんなところで何を?」
紬「今日ニュースで事件があったって聞いて、野次馬にきたの~」
紬「私、野次馬するのが夢だったの~」
紬「ねえ、もしよかったらこれからお食事でも…」
律「ムギ…。もうやめてくれ。お前なんだろ?」
紬「何のことかしら?」
澪「律?まさか…」
律「…」さっ
ボップ「ビカー…ビカー…」
澪「ボップが…」
紬「ゲルゲルゲル…。せっかく楽に殺してあげようと思ったのに…」
律「ムギ…!」
紬「仕方がないわ…」ピュウーン…
クラゲルゲ「クゥーララァー!」
アントマン「ヒヒヒヒヒ…」「ヒヒヒヒヒ…」
律「くそっ…。ムギ!もうやめてくれ!」
クラゲルゲ「あなた達を始末すれば、世界はドルゲの物となる…」
クラゲルゲ「世界を美しいドルゲの愛で満たすのです…。ゲルゲルゲル…」
アントマン「ヒヒヒー!」バーッ!
澪「ひっ!」
律「澪!危ない!」ドンッ!
澪「えっ…」
シュバ!
律「くっ…」
澪「律!血が…」
律「かすり傷だ!それより逃げるぞ!」ダダッ
澪「う、うん!」ダダッ
クラゲルゲ「追え!」
アントマン「ヒヒヒヒヒ…」
―お化けマンション―
律「はあ、はあ…」
澪「律…、大丈夫か?ごめんな…。私のために…」
律「気にすんなって…」
澪「待ってろ、今このハンカチで…」ギュ
律「ありがとな…」
澪「あの、律…、私律に謝らないと…」
律「え?」
澪「その…、叩いたりして、ごめん…」
澪「律…、嫌だったんだよな?ムギを…、友達を疑うのがさ」
澪「私、知ってたはずなのにな…。律のそういう優しいところ…」
律「…私だって謝らないと」
律「澪はまじめだからさ、正義のエージェントの責任感じてたんだろ?」
律「私、知ってたはずなのにな…。なのに、ついムキになっちゃって」
律「コプーはあの時言っていた。変身するにはふたりの友情の力が必要だって。だから…」グス…
律「私のせいなんだ…。ほんとに…、ごめんな…」グス…
澪「違う…。私のほうこそ…、ほんとにごめん…」
クラゲルゲ「ゲルゲルゲル…、見つけましたよ…」
律「ムギ…」
クラゲルゲ「ゲルゲルゲル…。さあ、覚悟を決めなさい…」
律「澪…!」
澪「うん…!」
(その時、ボップにある友情の熱バロメーターは、0を示していた)
(しかし!この瞬間、律と澪の心に、熱い友情のエネルギーが走った!)
律「バローム!」
澪「クロース!」
ピカアアアア…!
クラゲルゲ「馬鹿な…」
バロム・1「バ、ローム!」
律(できた…!変身できた!)
澪(ああ!)
クラゲルゲ「おのれ…。一体何があったと…」
バロム・1「ムギ!今、お前の目を覚まさせてやる!」
クラゲルゲ「ゲルゲルゲル…!かかれー!」
アントマン「ヒヒヒヒヒ…」「ヒヒヒヒヒ…」
バロム・1「とう!」ドガァン!
アントマン「ヒィ!」
バロム・!「どおりゃあ!」ドガァン!バキィ!
アントマン「ヒヒ…」
クラゲルゲ「ゲルゲルゲル…、これでもくらいなさい!」ブシュウウウ!
ガチィ!
バロム・1「足が!」
クラゲルゲ「ゲルゲルゲル…。動けないでしょう…」
クラゲルゲ「バロム・1!私の最大の超能力をうけてみなさい!」
クラゲルゲ「100万ボルトの電流を!クゥーララァー!」
ビカァン!ドゴオオン!
バロム・1「ぐうあ…!」
クラゲルゲ「ゲルゲルゲル…。バロム・1の最後だ…」
バロム・1「!」
バロム・1「とう!」
バキィ!
クラゲルゲ「何!?」
バロム・1「バロームチョップ!」ドガァン!
クラゲルゲ「ゲ…、ゲル…、どうして…」
(バロム・1の体は、電気を通さない特殊な細胞でできているのだ!)
クラゲルゲ「ば…、馬鹿な…、私は愛の使い…。負けるはずが…」
バロム・1「違う!こんなものは愛じゃない!」
クラゲルゲ「くっ…」ダッ
バロム・1「逃がさないぞ!」
ダッダッダッ…
ダッダッダッ…
ダッダッダッ…
バロム・1「バロームブレイク!」ドガァン!
クラゲルゲ「ゲルゥー!」ドザア
バロム・1「よし、今だ!」シュバアアアア!
バロム・1「バロム爆弾パーンチ!」
ドゴオオオン!
クラゲルゲ「ゲルゥゥゥー!」
ドガアアアアン!
バロム・1「バ、ローム!」
ピカアアアア…
律「澪…。ありがとう」
澪「私こそな…」
紬「…私は今まで何を…?」
律「さあ、早く帰ろうぜ!」
澪「ああ!」
律「お~い、ムギ~!」
―その日の夜―
男「…」
女の子A「…」
OL1「…」
最後の被害者「…」
バロム・1(皆さんの回りで起きた、不幸な出来事は、全て、ドルゲという悪魔の仕業なのです)
バロム・1(しかし、もう悪魔は去りました。どうか、今まで通りあなたの大事な人と接して上げてください…)
バロム・1(もう、みんな元に戻っています…。どうか…)
男「はっ…。夢…?」
プルル…
男「はい…。えっ…、あいつが…?はい…、はい…。ありがとうございます…」ガチャ
男「夢じゃなかったのか…?」
―数日後・部室―
唯「おらおら~!あずにゃん分を出せ~!」ムギュー
梓「助けて~!」
律「またやってる…」
澪「はあ…、おい、いい加減に…」
紬「唯ちゃん、もうそれくらいにしてあげたら?」
澪「えっ…」
梓「ムギ先輩…?」
紬「唯ちゃん、嫌がってるのに無理にするのはよくないわ」
唯「えっ、でもムギちゃんこの前は…」
紬「そうね、あの時の私は間違っていたわ」
紬「でも、今はわかったの」
紬「愛というものは、異性でも同性でも、関係ない」
紬「お互いが信頼しあって、真剣に向き合っていればそれだけで素晴らしいものだって…」
律「ムギ…」
唯「そっか…。わかったよ。ごめんね、あずにゃん」
梓「わ、わかってくれれば…」
唯「私、もう抱き着くのやめる。今までごめんね」
梓「え」
梓「あの…、そこまでしなくても…」
唯「え?でも…」
梓「あの、それはそれで寂しいので…。その、あんまりきつくじゃなければ…」
唯「やったー!あずにゃん大好きー!」ムギュー
梓「ひえ~」
律・澪「………」
律「ま、いいか…」
澪「そうだな…」
紬「はい、お茶どうぞ」
律「ありがとな」
澪「ありがとう」
律「もう大丈夫なのか?」
紬「おかげさまで」
紬「でも、休んでた時の記憶があまりないの…」
澪「そうか…」
紬「でも…」
紬「何だかりっちゃんと澪ちゃんの声が聞こえたような…、そんな気がするの」
律「ま、まさか!そりゃ夢だよ」
澪「そうそう」
紬「そうかしら…?でも、御礼を言わせてください。どうもありがとうございました」
律「馬鹿、やめろよ、も~!」
澪「そーそー」
律・澪「なあ!」
律・澪「………」
律・澪・紬「ぷっ…」
紬「うふふ…。ふたりって本当に仲がいいのね」
律「そりゃあな!」
澪「幼なじみだもん」
紬「私、ふたりのこと応援してるからね!」
律「おう!」
澪「ああ!」
律・澪「…………」
律・澪「おいっ!」
人々の愛を利用せんとする、ドルゲの卑劣なる企みは倒れた。
しかし、ドルゲは新たな悪のエージェントを作ろうとしている。
がんばれ、律!
がんばれ、澪!
戦え、僕らのバロム・1!
終
最終更新:2011年03月20日 00:44