本当になんの不満もなさそうに、梓は水を取りに行こうとした。
自分が裸なのに気が付いて、慌てて手で体を隠す。

「あはは、可笑しいなぁ。さっきまで散々見られてただろ」
「そ、そうですけど……」
「ほら、行ってきな。梓の体は見られても恥ずかしいものじゃない」
「……そういう問題ではないんですけど」

渋々そのままキッチンへ行く梓。
ミネラルウォーターとコップを持って帰ってくると、改めてあられもない澪の格好を見つめてしまう。
しっとりと汗ばんで桃色に色づいた体、その秘所を覆う下着は、先ほどまでの愛撫に粘液を絡ませている。
上気した表情に、とろんとした瞳は微かに潤んでいて、どうにも扇情的だった。
そんな興奮のせいか、梓も自分ののどが乾いていたことに気が付いた。
とりあえず先に澪にコップを手渡す。

「ありがとうなー」
「飲み終わったら私にも下さい」
「ん~」

 飲みながら返事をする澪。
こくんこくんとのどならして飲む姿は、いつもの、年齢相応、可憐な女の子のものだった。
その様子を微笑ましく眺めていると、梓は澪に手招きされた。
ベッドの上を四つんばいで進んでいくと、澪に手を掴まれ引き倒された。
澪の柔らかな胸に受け止められ、顎を持ち上げられてキスされる。

「ん……」

 そのまま、澪の飲んだ水を口移しされる。
少しずつ時間をかけて水を飲まされ、触れ合った肌からも、だんだんと体の疼きが戻ってきた。
飲み終わって一度唇を離し、すぐに互いに貪るような長いキスが始まった。

「ん……む……」
「ぁ……」

 艶めいた吐息がこぼれ落ちていく。
水を取ってきてもらう間の僅かな時間に、心を整理させた澪。
また理性は置き去りにされそうになっているが、先とは少し感覚が違った。
澪には今はそれで良かった。体の疼きを鎮めてほしかった。

 口付けで熱に浮かされた梓に、澪は押し倒された。
喉元に食らいつくようにキスをされ、舌で撫でられる。
そのまま耳元まで愛撫は続き、さらに耳を甘噛みされた。

「ぁ……ぅ……」

 たっぷりと耳を舐められ、澪が小さく声を上げた。
頬や唇、顎にキスされながら、優しく胸を揉まれると、じんわりと快楽が広がっていく。
体中を愛撫された澪の胸の蕾は、すでに痛いくらい勃っていた。
梓がそっと桜色の頂点を摘む。

「あ……」

 鋭い快楽が体を駆け抜けた。
ずくずくと体に響く快楽が、澪の思考を蝕んでいく。
澪の反応を見ながら、梓の指が両方の乳首を微妙な強弱をつけて摘み、くりくりと転がした。

「ん……」
「澪先輩、気持ち良い……ですか?」
「そうだな……うん、不思議な感じ……」
「そうですか。じゃあ――こうされるのと、」

 胸の頂点を指で転がされる澪。

「こうされるのと、」
「っんん……」

 今度は少し引っ張られた。


「どっちが良いですか?」
「……梓ちょっと楽しんでるだろ?」
「……少し」
「むぅ」
「すいません、澪先輩があまりに可愛らしかったので。それにさっきは私が一方的にされてたんで」
「そうだけどな」
「ああ、そういえばこんなこともされましたね」

 まるで今思い出したかのように、梓が澪の乳首を咥えた。
暖かい口内での粘つく舌の愛撫は、澪の予想よりも遙かに刺激的だった。
未知の快楽に、知らず背を反らしてしまう。
もう片方の頂点も、くいっくいっと断続的に摘み上げられて可愛がられている。

「っふ……あ……」

 澪の唇から甘い声が零れた。
梓は唇をすぼめて乳首に吸い付き、それを扱くように弄ぶ。
もう片方も指で扱いて刺激する。
両方の胸の頂点を、片方はぬるぬるの淫靡な刺激に苛まれ、もう片方は摩擦によって犯されるように責められていた。

「どうです?」

 勃った乳首を指で挟み込んで、弄びながら梓が訊ねた。

「私、おかしくなりそ……」
「感じます?」
「……うん……」

 消え入るような声で囁くと、澪は潤んだ瞳で梓を見つめた。
その顔があまりに可愛らしくて、澪をぐちゃぐちゃにしたい衝動を梓は必死に押さえ込んだ。


 まだ口で可愛がっていない方の澪の胸に口付け、敏感な所を口に含んで、先ほど同じように刺激する。
愛撫をうけて、唾液でべとべとになっている方は、指を絡めて弄ぶ。
また先とは違った刺激に、澪の口からか細い嬌声が漏れた。

「ん……ゃ……」

 余っている手を澪の秘所に伸ばすと、下着が透けそうなほど濡れていた。
秘所のクレバスを指で撫でようとすると、ぬるりと沈みこむ。

「澪先輩、結構感じてますね」
「う……もう、口に出さなくっても……」
「いや、嬉しいんです。ギターを持つ私の腕で、澪先輩を愛することが出来て」

 梓が心の底から幸せそうに微笑んだ。
そんな表情を見せられて、何も言えなくなっている澪の頭を、梓が愛しそうに撫でた。

「それはそうと」
「なに?」

 梓の指が、澪の秘所を下着越しに軽く擦って刺激する。

「ここ、どうやってしましょう?」
「ど、どうって……?」
「指か、それとも……口か。他にも……」
「え……あ……あ、梓の好きなように」
「分かりました」

 梓は澪の下着をずらして直接秘所に触れ、指でとろとろとあふれ出している愛液を掬った。
左手で澪の秘所を開き、余った手で澪の陰核に塗りつけていく。
そうやって蜜を絡めるように指で触れる度、澪の体は小さく震え、口からは切なそうな甘い吐息が零れた。
下着を元の位置に戻し、布越しに指をクリトリスに押しつける。


「あ……んぁ……やだ、これ……」
「さっき、澪先輩が私にしてたことじゃないですか」

 そう言って、梓の指が小さく抉るように、下着越しにクリトリスを擦る。

「さっきされて分かったんですけど、ここを下着越しにされると、布のざらざらで刺激されて、感じちゃうんですよね」
「ん……うん……ぁ……」

 緩慢な動きで指を上下されている澪は、声を押し殺して快楽に耐えていた。
どこか陶酔した表情の梓は、責めを休めないまま、澪に言葉をかけていく。

「特にこうやって擦ると、」
「……っんん! や……あ……あ……んんぅ」

 梓の指が、細かく陰核を擦りあげた。
梓の長い愛撫に先ほどから勃ちっぱなし、さらに愛液でべとべとになったクリトリスを、
下着の布の、ざらざらとぬるぬるの感触で集中的に責め立てられていた。

「あ……ゃ……駄目だ、ってぇ……あああ!」

 澪の体がびくびくと何度も震えた。
澪の声に、絶頂が近いことを感じながら、けれど梓は一定の間隔で陰核を嬲り続けた。
ちゅぷちゅぷと下着から溢れる蜜が、梓の指に絡みついていく。

「あ、ああっ! ひぅ……ぁんん! やめ……もう」
「もうイキそうですか? いいですよ」
「やぁ……まだ……あっ……ああっ……あああああ――!!」

 澪が体を大きく反らせて果てた。
梓が澪を余韻に浸らせるように、優しく体を撫でる。
しばらくして澪の息が落ち着いた頃、梓がそっと抱きしめた。
浅く口付けて、澪に笑いかける。

「イキました?」
「……うん、多分……」
「また新しい澪先輩の可愛らしいところが見れちゃいました」
「……なんやちょっとくやしいなぁ」

 あまりにも梓が充足した表情で微笑むので、澪は少し恨みがましそうな視線を送った。

「それにしても澪先輩は敏感ですね、すぐに果てちゃって」
「……し、仕方ないだろ!私、、梓可愛がってる間もずっと、その……興奮、してた、っていうか……。
もう、梓のえっち」

「ふふ、まぁとりあえず良かったみたいですね。じゃあ下着を」
「……え? だってもう私、」
「何言ってるんです? まだ一度じゃないですか」
「え? ……え?」
「それにさっき、私の好きなようにしろって言ったじゃないですか」
「違うって、あれはそういう意味じゃなくって」

 澪の制止の声を無視して、やや強引に梓は澪の下着を取り払った。
一度絶頂した秘所は、今も自身の愛液に蕩けたままだ。
澪の脚を開かせて、梓はその秘所に顔を近づける。

「や……恥ずかしいって……」
「脚、もう少し広げて下さいよ?」
「う……今日の梓、えらい積極的だな……」
「澪先輩のせいですよ。こんな可愛いらしい澪先輩に誘惑されちゃ、私には抗う術がありません」
「うー……」

 梓の舌が澪の秘所を優しく撫でた。
陰唇を這う生暖かい舌の感触に、澪の体は甘美な快楽を覚えてしまう。
クリトリスに吸い付かれ、そこを口内で舌に転がされると、澪の口から甲高い嬌声が上がった。

「ああっ……や……んんんっ!」

 唾液と愛液を掻き混ぜる舌が、淫靡な水音を部屋中に響かせる。
その度に澪の体は反り返り、艶めいた声が残響した。
悲鳴のような声で「やめて」と懇願する澪の声が聞こえないかのように、
梓は澪の秘所を舌で抉ってほぐしていく。
溢れ出る蜜を、わざと音をたてて吸って澪の羞恥心を煽り、
恥ずかしそうに口に手をあてて声を抑えたところで、激しく責めた。
手に押さえられてくぐもった嬌声は、梓には通常のそれより返って淫らに聞こえた。
瞳いっぱいに涙を貯めて、快楽に耐えようとする澪が愛おし過ぎて、梓の思考が次第に焦げていく。

 梓の指を澪の中がきゅっと絞める。
一瞬頭の中が白くなったような気がして、澪はぎゅっと目を閉じた。
しかし不思議と澪に絶頂感はない。
瞬間的な快楽は、突風のように澪の頭の中を駆けめぐっただけのようだった。
澪の様子をうかがうように一度中断された梓の責めが、再び始まった。

「どうやら少しイッたみたいですね」
「わ、わかんな……うぁ……あぁ……」

 寸止め以上、絶頂未満という未知の快楽に翻弄されたまま、さらに澪は責められ続けた。
蠢く指の感触が体を強制的に快楽漬けにしていく。
絶頂感がなかったせいか、体はすぐに果てる寸前の状況に追い込まれた。

「あ、ああっ……はぁ……ぁんんっ! やめ……いやぁ……」

 澪は目尻に涙を零して懇願するが、その蕩けるような甘い声では逆効果だ。
梓の指が容赦なく秘所をピストン責めする。
が、澪が体を震わせて絶頂の兆しを見せると、すぐにぴたりとやめてしまった。

「あ……あぅ……なんで……?」
「いえ、そういえばさっき澪先輩はこんな事してたなと思って」

 微笑んで答える梓だが、その指は澪を一瞬でも休ませないようにすでに蠢きだしていた。

「ぅ……ぁ……寸止め……いやあぁ……」
「嫌いですか?」
「ぅあ……違う、けど……」
「そうですか」

 今にも果ててしまいそうな澪の膣から、不意に指が引き抜かれた。
予想外の行動に、澪が少し驚いて梓を見つめた。
その表情に一瞬切なさのようなモノを読み取った梓は、含みのある笑顔で澪に手を差し出した。


「ここで終わってしまったら嫌ですよね? 姿勢を変えたいんで手を」
「う、うん」

 梓はベッドの上で膝立ちになっている。
澪の手を掴むと、そのくたくたの上半身を起こして抱き止めた。
抱かれた半身の温もりが、愛しすぎて痛いようだった。

「梓、キス――、」

 澪が口付けをねだろうとした時には、すでに梓の唇が近づいていた。
目を閉じて、温もりを与え合うように舌を絡めた深いキスをする。
澪が支えを求めるように梓の首に手を絡めると、いっそう強く抱きしめられた。

「はぅ……」
「ん……」

 息をするのも忘れるくらい、互いの唇を貪りあって、ゆっくり離れた。
でもいつでも唇を重ねられるくらい、近く。
抱きしめる、首に絡む、互いの腕がそれ以上の距離を許さない。

「梓……」
「はい」
「……続き……」

 消え入りそうな声でも、この距離なら十分だった。
もう一度ぎゅっと澪を抱くと、梓は今度は慈しむように可愛がり始めた。
優しく、愛しさを丁寧に織り為すように。



 朝日が差す。反射的に梓の意識は覚醒してしまう。が、体が必死に逆らう。
まだ疲れが残っている。休ませろと要求されるままに、目を閉じた。
 ふと違和感。妙にすーすーする。布団の中、全裸であることに気付く。
一瞬の思考停止、後に再覚醒。今度は何もかもはっきりと思い出す。昨夜の情事も。
ふっと顔が赤くなる。あ、私は澪先輩に澪先輩に澪先輩にあああああああああ……。
 頭を抱える梓、隣でもぞもぞと澪が動いた。

「……梓……何してるんだ……?」
「あ、いえ! あの! その……」

 寝ぼけ眼の澪先輩可愛い!! などと思うも束の間、昨夜のことを鮮明に思い出して思考が焼き切れる。

「どうしたの……?」
「いや……あのただ、昨日は」

 言いかけた言葉を唇に指を当てられ制止される。

「梓」

 澪に名前を呼ばれて、優しく抱き寄せられて、たまらなく良い匂いがして、そして暖かくって。

「大好きだよ」

 囁かれて、くすぐったくて、うれしくて、どうしようもなく愛しくて。

「私もです」

 抱きしめ返す。

 泣き出してしまいそうなほど、幸せだった。



お終い



最終更新:2011年03月23日 21:12